(保険業を営む株式会社の分割)
第173条の2
保険業を営む株式会社(以下この節において「保険株式会社」という。)は、その会社分割(以下この節において「分割」という。)によりその保険契約を承継させる場合には、新設分割計画又は吸収分割契約(以下「分割計画等」という。)において、当該分割により承継させるものとする保険契約(第百七十三条の五第一項において「分割対象契約」という。)について、契約条項の軽微な変更で保険契約者の不利益とならないものを定めることができる。
(保険業を営む株式会社の分割)
保険業を営む株式会社(以下この節において「保険株式会社」という。)は、その会社分割(以下この節において「分割」という。)によりその保険契約を承継させる場合には、新設分割計画又は吸収分割契約(以下「分割計画等」という。)において、当該分割により承継させるものとする保険契約(第百七十三条の五第一項において「分割対象契約」という。)について、契約条項の軽微な変更で保険契約者の不利益とならないものを定めることができる。
(分割に関する書面等の備置き及び閲覧等)
分割の当事者である保険株式会社についての会社法第七百八十二条第一項(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)、第七百九十四条第一項(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)及び第八百三条第一項(新設合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)の規定の適用については、これらの規定中「事項」とあるのは「事項及び内閣府令で定める事項」と、「その本店」とあるのは「各営業所」とする。
(債権者の異議)
保険株式会社が分割の当事者となる場合には、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める保険株式会社に対し、分割について異議を述べることができる。
一保険株式会社である吸収分割会社(吸収分割をする株式会社又は合同会社をいう。以下この条において同じ。)の保険契約者その他の債権者(会社法第七百八十九条第一項第二号(債権者の異議)に定める債権者であるものに限る。)当該吸収分割会社
二保険株式会社である吸収分割承継会社(吸収分割会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を当該吸収分割会社から承継する株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。以下同じ。)の保険契約者その他の債権者当該吸収分割承継会社
三保険株式会社である新設分割会社(新設分割をする株式会社又は合同会社をいう。以下この条において同じ。)の保険契約者その他の債権者(会社法第八百十条第一項第二号(債権者の異議)に定める債権者であるものに限る。)当該新設分割会社
2前項の場合には、同項各号に定める保険株式会社(以下この条において「分割当事会社」という。)は、次に掲げる事項を官報及び当該分割当事会社が定款で定めた公告方法により公告し、かつ、知れている債権者(会社法第七百八十九条第三項又は第八百十条第三項に規定する債権者に限る。)(保険契約を承継させる分割である場合にあっては、前項第一号又は第三号に掲げる者のうち分割により承継させる保険契約に係る保険契約者及び当該知れている債権者)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一月を下ることができない。
一分割をする旨
二次のイ又はロに掲げる分割の区分に応じ、当該イ又はロに定める会社の商号及び住所
一吸収分割吸収分割会社及び吸収分割承継会社
二新設分割新設分割会社及び新設分割設立会社(新設分割により設立する株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。次条第一項において同じ。)
三前号イ又はロに定める株式会社の計算書類に関する事項として内閣府令で定めるもの
四分割当事会社の保険契約者その他の債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
五前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3保険契約者その他の債権者が前項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該保険契約者その他の債権者は、当該分割について承認をしたものとみなす。
4保険契約者その他の債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、分割当事会社は、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該分割をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
5前項の規定は、保険契約者その他保険契約に係る権利を有する者の当該権利(保険金請求権等を除く。)については、適用しない。
6第二項第四号の期間内に異議を述べた保険契約者(同項の規定による公告の時において既に保険金請求権等が生じている保険契約(当該保険金請求権等に係る支払により消滅することとなるものに限る。)に係る保険契約者を除く。以下この項及び次項において同じ。)の数が保険契約者(第一項の規定により異議を述べることができるものに限る。)の総数の十分の一(保険契約の全部を承継させる分割である場合にあっては、五分の一)を超え、かつ、当該異議を述べた保険契約者の保険契約に係る債権(保険金請求権等を除く。)の額に相当する金額として内閣府令で定める金額が保険契約者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)の当該金額の総額の十分の一(保険契約の全部を承継させる分割である場合にあっては、五分の一)を超えるときは、分割は、その効力を有しない。
7前各項の規定によりされた分割は、前項の異議を述べた保険契約者及び保険契約者に係る保険契約に係る権利(保険金請求権等を除く。)を有する者についても、その効力を生ずる。
8第四項の規定にかかわらず、吸収分割会社又は新設分割会社(保険契約の全部を承継させる分割を行うものを除く。)は、第百七十三条の六第一項の規定による認可を受けた場合において、第二項の各別の催告をしなければならない保険契約者のうち、第一項の異議を述べ、かつ、保険契約が承継されることとなる場合には解約する旨を申し入れた保険契約者がいるときは、分割の前日までに、当該保険契約者に対し、被保険者のために積み立てた金額、未経過期間(当該保険契約に定めた保険期間のうち、当該保険契約が解約された時において、まだ経過していない期間をいう。)に対応する保険料その他内閣府令で定める金額を払い戻さなければならない。
9前各項に定めるもののほか、これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
10会社法第七百八十九条、第七百九十九条(債権者の異議)及び第八百十条の規定は、第一項各号に定める保険株式会社については、適用しない。
11第一項に規定する場合における会社法第七百五十九条第二項及び第三項(株式会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第七百六十一条第二項及び第三項(持分会社に権利義務を承継させる吸収分割の効力の発生等)、第七百六十四条第二項及び第三項(株式会社を設立する新設分割の効力の発生等)、第七百六十六条第二項及び第三項(持分会社を設立する新設分割の効力の発生等)、第七百九十一条第一項第一号(吸収分割又は株式交換に関する書面等の備置き及び閲覧等)、第八百一条第二項(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)並びに第八百十一条第一項第一号(新設分割又は株式移転に関する書面等の備置き及び閲覧等)の規定の適用については、同法第七百五十九条第二項、第七百六十一条第二項、第七百六十四条第二項及び第七百六十六条第二項中「の規定により異議」とあるのは「又は保険業法第百七十三条の四第一項の規定により異議」と、「)の各別の催告をしなければならないもの」とあるのは「)の各別の催告をしなければならないもの又は同法第百七十三条の四第二項の各別の催告をしなければならないもの(同項に規定する保険契約者を除く。)」と、同法第七百五十九条第二項及び第七百六十一条第二項中「第七百八十九条第二項の各別の催告」とあるのは「第七百八十九条第二項又は同法第百七十三条の四第二項の各別の催告」と、同法第七百六十四条第二項及び第七百六十六条第二項中「第八百十条第二項の各別の催告」とあるのは「第八百十条第二項又は同法第百七十三条の四第二項の各別の催告」と、同法第七百五十九条第三項及び第七百六十一条第三項中「第七百八十九条第一項第二号」とあるのは「第七百八十九条第一項第二号又は保険業法第百七十三条の四第一項」と、「同条第二項」とあるのは「第七百八十九条第二項又は同法第百七十三条の四第二項」と、同法第七百六十四条第三項及び第七百六十六条第三項中「第八百十条第一項第二号」とあるのは「第八百十条第一項第二号又は保険業法第百七十三条の四第一項」と、「同条第二項」とあるのは「第八百十条第二項又は同法第百七十三条の四第二項」と、同法第七百九十一条第一項第一号、第八百一条第二項及び第八百十一条第一項第一号中「法務省令」とあるのは「内閣府令」とする。
12会社法第七百五十九条第二項及び第三項、第七百六十一条第二項及び第三項、第七百六十四条第二項及び第三項並びに第七百六十六条第二項及び第三項の規定は、保険契約に係る権利を有する者、第九十九条第三項に規定する保険金信託業務に係る金銭信託の受益者その他の政令で定める債権者については、適用しない。
(分割手続中の契約)
分割により保険契約を承継させる保険株式会社は、分割の決議後に分割対象契約を締結するときは、分割をし、又はしないこととなった時までの間は、当該分割対象契約を締結する者に対し、前条第二項第一号から第三号までに掲げる事項その他内閣府令で定める事項を通知し、当該分割対象契約が承継される場合には吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の保険契約者となることについてその承諾を得なければならない。
2前項の承諾をした者は、前条の規定の適用については、保険契約者でないものとみなす。
(保険株式会社の分割の認可)
保険株式会社の分割は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
2内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
一当該分割が、保険契約者等の保護に照らして、適当なものであること。
二保険会社による認可の申請にあっては、当該分割が、保険会社相互の適正な競争関係を阻害するおそれのないものであること。
三当該認可の申請をした保険株式会社が、分割後に、その業務を的確、公正かつ効率的に遂行する見込みが確実であること。
3内閣総理大臣は、第一項の認可の申請が保険会社の保険契約を承継させる分割に係るものであるときは、当該保険契約を承継する会社が保険会社でなければ、同項の認可をしてはならない。
(分割の公告等)
分割により保険契約を承継させる保険株式会社は、当該分割後、遅滞なく、当該分割により保険契約を承継させたこと及び内閣府令で定める事項を公告しなければならない。分割をしないこととなったときも、同様とする。
2分割により保険契約を承継した保険株式会社は、当該分割の日後三月以内に、当該分割による承継に係る保険契約者に対し、その旨(分割計画等において、当該分割による承継に係る保険契約について第百七十三条の二に規定する軽微な変更を定めたときは、当該分割により保険契約を承継したこと及び当該軽微な変更の内容)を通知しなければならない。
3分割により保険契約を承継させる保険株式会社が保険契約者に対して貸付金その他の債権を有しており、かつ、当該債権が分割計画等により保険契約を承継する保険株式会社に承継されることとされている場合において、第一項前段の規定による公告が時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法によりされたときは、当該保険契約者に対して民法第四百六十七条(債権の譲渡の対抗要件)の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなす。この場合においては、当該公告の日付をもって確定日付とする。
(分割の登記)
新設分割による設立の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条(申請書の添付書面)、第四十六条(添付書面の通則)、第八十六条(第八号を除く。)(会社分割の登記)及び第百九条第二項(第三号中同法第八十六条第八号に掲げる書面に係る部分を除き、同法第百十六条第一項及び第百二十五条において準用する場合を含む。)(会社分割の登記)に規定する書類のほか、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一第百七十三条の四第二項の規定による公告をしたことを証する書面
二第百七十三条の四第四項の異議を述べた保険契約者その他の債権者があるときは、当該保険契約者その他の債権者に対し、弁済し、相当の担保を提供し、若しくは当該保険契約者その他の債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託したこと又は当該分割をしても当該保険契約者その他の債権者を害するおそれがないことを証する書面
三第百七十三条の四第六項の異議を述べた保険契約者の数が同項の保険契約者の総数の十分の一(保険契約の全部を承継させる分割である場合にあっては、五分の一)を超えなかったことを証する書面又はその者の同項の内閣府令で定める金額が同項の金額の総額の十分の一(保険契約の全部を承継させる分割である場合にあっては、五分の一)を超えなかったことを証する書面
2吸収分割承継会社である株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社がする吸収分割による変更の登記の申請書には、商業登記法第十八条、第十九条、第四十六条、第八十五条(保険株式会社に係る同条第三号又は第八号に掲げる書面に係る部分を除く。)(会社分割の登記)、第九十三条(添付書面の通則)(同法第百十一条及び第百十八条において準用する場合を含む。)及び第百九条第一項(第二号中同法第八十五条第八号に掲げる書面に係る部分を除き、同法第百十六条第一項及び第百二十五条において準用する場合を含む。)に規定する書類のほか、前項各号に掲げる書類を添付しなければならない。
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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)