保険業法 第180条の12(清算人の第三者に対する損害賠償責任)
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- 清算相互会社の清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- 2.前項の清算人が、次に掲げる行為をしたときも、同項と同様とする。ただし、当該清算人が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
- 一社債(第六十一条に規定する社債をいう。)を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該清算相互会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
- 二第百八十条の十七において準用する会社法第四百九十二条第一項に規定する財産目録等並びに第百八十条の十七において準用する同法第四百九十四条第一項の貸借対照表及び事務報告並びにこれらの附属明細書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
- 三虚偽の登記
- 四虚偽の公告
この条文の基本情報
清算人の第三者に対する損害賠償責任とは何ですか?
定義清算人の第三者に対する損害賠償責任とは、保険業法第180条の12に定められた規定で、「清算相互会社の清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第180条の12(清算人の第三者に対する損害賠償責任)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第180条の12の条文原文は「清算相互会社の清算人がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該清算人は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。」で始まります。
- 保険業法第180条の12は第四節に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第180条の12の前の条は保険業法第180条の11です。
- 保険業法第180条の12の次の条は保険業法第180条の13です。
- 保険業法第180条の12には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第180条の12 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第180条の12(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/180_12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法180条の12は、清算相互会社の清算人に悪意又は重大な過失があった場合の第三者への賠償責任を定める。虚偽記載や虚偽の公告では立証責任が清算人側に転換される。
Q · 清算に入った保険相互会社の清算人を、個人で訴えることはできますか?
原則は悪意重過失が必要。書面の嘘なら立証責任が清算人側に移る
保険業法180条の12の1項は、清算相互会社の清算人に職務遂行についての悪意又は重大な過失があった場合に、第三者に生じた損害の賠償責任を負わせます。軽過失では成立しません。一方2項は、社債募集時の虚偽通知、財産目録等・貸借対照表・事務報告及び附属明細書の虚偽記載、虚偽の登記、虚偽の公告の四類型を挙げ、清算人が注意を怠らなかったことを証明しない限り責任を負うと定めます。請求する側は、事実が2項に当たるかを最初に検討すべきです。
解説
同じ清算人を相手に賠償を求めるのに、この条文には入口が二つある。しかも片方だけ、立証責任が逆さまだ。1項は原則ルールで、清算人に「悪意又は重大な過失」があったことを、請求するあなたが立証しなければならない。うっかりミス(軽過失)では届かない、かなり高い壁である。ところが2項に並ぶ四類型、社債募集時の虚偽通知、財産目録や貸借対照表・事務報告・附属明細書の虚偽記載、虚偽の登記、虚偽の公告に当たると、構図が反転する。清算人の側が「注意を怠らなかった」と自分で証明しない限り、責任を負う。あなたが清算相互会社の保険契約者や取引先で、公告された数字を信じて動いたのにそれが嘘だったなら、悪意の立証など要らない。狙うべき条項は最初から2項だ。
法的な位置づけ
保険業法180条の12は、清算相互会社の清算人が第三者に対して負う損害賠償責任を定める規定である。1項は職務遂行についての悪意又は重大な過失を要件とし、2項は社債募集時の虚偽通知、計算書類等の虚偽記載、虚偽の登記、虚偽の公告の四類型について、清算人が無過失の証明責任を負う立証責任転換型の責任を規定する。
手順
- 1.公告・登記・計算書類を全部そろえる 清算開始の公告、商業登記簿(履歴事項全部証明書)、財産目録等、貸借対照表、事務報告、附属明細書をすべて取得する。手元の通知書だけで判断せず、登記所と会社から原本相当の資料を集めるのが出発点
- 2.2項の四類型に当てはまるか一行単位で判定 社債募集時の虚偽通知、計算書類等の重要事項の虚偽記載、虚偽の登記、虚偽の公告のどれに当たるかを、書面の具体的な一行を特定して判定する。ここで当てはめられれば立証責任は清算人側に移る
- 3.請求書面で1項か2項かを明示する 2項に当たるなら条項と号を明示し、清算人側に無過失の証明責任があることを書面に書き込む。当てはまらない場合にのみ1項で悪意又は重大な過失を主張し、社内メールや議事録の開示を求める
- 4.債権申出期間と時効の二重の期限を管理する 清算手続の債権申出期間(公告で2か月以上)を過ぎると除斥される。並行して民法166条1項の時効(知った時から5年/行使できる時から10年)を起算日ごとに管理する
よくある質問 AI による整理
Q1清算人の第三者に対する責任とは?
清算人が職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとき、会社ではなく清算人個人が第三者の損害を賠償する責任です。保険業法180条の12の1項が根拠です。
Q2保険業法180条の12の立証責任は誰にある?
1項では請求する第三者が悪意又は重大な過失を立証します。2項の四類型に当たる場合は逆転し、清算人が注意を怠らなかったことを自ら証明しない限り責任を負います。
Q3清算相互会社とは?
解散等により清算手続に入った保険相互会社のことです。保険契約者は社員の地位を持ちながら、同時に保険契約上の債権者としての顔も併せ持ちます。
Q4虚偽の公告があったら損害賠償を請求できる?
できます。虚偽の公告は保険業法180条の12第2項の四類型の一つで、公告を信じて債権申出の機会を失った損害は、自分の名で清算人個人に請求できます。
Q5清算人が複数いる場合の責任はどうなる?
複数の清算人が関与した場合は連帯責任として全員を相手取ることができます。実務では資力のある清算人から回収する設計になります(現行条文の準用関係は要確認)。
Q6財産目録の虚偽記載はどう見つける?
公告された債務総額、登記簿、財産目録、貸借対照表、事務報告、附属明細書をすべて取得し、数字の齟齬を一行単位で突き合わせます。計上漏れの資産が典型です。
Q7債権申出期間を過ぎたらどうなる?
原則として清算から除斥され、配当を受けられません。残る回収先は清算人個人に対する保険業法180条の12の請求だけになります。期間は公告で2か月以上です。
Q8会社法429条と保険業法180条の12の関係は?
会社法429条(役員等の第三者責任)が原型で、株式会社の清算人には会社法487条が、保険相互会社の清算人には保険業法180条の12が同型の責任を定めます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1清算人って会社のためにやってるだけなのに、個人で払わされるんですか?
1項に当たれば個人の財産で払います。悪意または重大な過失が要件なので軽過失は免責されますが、2項の虚偽記載等では逆に、無過失を自分で証明しない限り責任を負います。実務のポイント:清算人を受ける前に、会社役員賠償責任保険(D&O 保険)が清算人の地位までカバーしているか約款を確認する。取締役の在任期間で切れていて、清算段階が空白になっている設計は珍しくない
Q2公告の嘘なんて後から分かりますよね。時効はいつまでですか?
不法行為(民法724条の3年)ではなく特別の法定責任と解され、旧商法下の判例は10年の時効を認めました(最判昭和49.12.17)。現行は民法166条1項で、行使できると知った時から5年または行使できる時から10年です(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:起算点が不法行為とずれるため、清算結了から数年後の発覚でも間に合う場合がある。3年で切れると思い込んで諦めるのが一番の損
Q3保険契約者も「第三者」に入るんですか? 相互会社では社員なんですよね。
入りえます。相互会社の保険契約者は社員の地位と保険契約上の債権者の地位を併せ持ち、虚偽公告で債権申出の機会を失った損害は会社の損害ではなく自分に生じた損害なので、180条の12で自分の名で請求できます。実務のポイント:会社に対する責任と第三者に対する責任は請求権者が別。会社側が追及を諦めても、個々の契約者の請求権はそれとは無関係に生き残る
Q4登記が間違ってただけで訴えられるって、厳しすぎませんか?
2項3号は虚偽の登記を明示しています。ただし免責の道は残っており、注意を怠らなかったことを清算人が証明すれば責任を免れます(2項ただし書)。問題は、その証明を自分でしなければならない点です。実務のポイント:登記申請の原資料と司法書士への指示メールを残しておくと、この無過失立証がほぼ自動的に通る。清算人実務における最大の防具は登記の証跡管理
間違えやすい点 AI による整理
- 「清算人に落ち度があったか」という問いの立て方そのものが、この条文では粗すぎる。1項と2項では、問われる落ち度の水準も、それを誰が立証するかも別物だからだ。正しい問いは「相手の行為が2項の四類型に当たるか」であり、当たるなら落ち度がなかったことを立証するのは清算人の側になる
- 「悪意又は重大な過失」が要件であることは知られているが、その壁の高さは実感されていない。計算ミスや見落としのような軽過失では1項の責任は成立せず、重過失は故意に近い著しい注意欠如を指すと解されている。1項一本で組む請求は、始まる前から険しい
- あなたから見れば清算人は会社の手足にすぎないが、法律から見れば清算人は自分の財産で第三者に責任を負いうる独立した主体である。この落差を知らずに清算人を引き受けると、受け取る報酬とは釣り合わないリスクを個人の名義で抱え込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰に対する責任か | 保険業法180条の12:第三者(債権者・保険契約者など)に対する責任 | 保険業法180条の11:清算相互会社そのものに対する任務懈怠責任(現行効力を要確認) 会社法487条:株式会社の清算人の第三者に対する責任 |
| 主観的要件 | 1項=悪意又は重大な過失。2項の四類型=清算人が無過失を証明しない限り責任 | 任務を怠ったこと(軽過失でも会社に対しては責任を負いうる) 1項=悪意又は重大な過失、2項=立証責任転換型(保険業法と同型) |
| 立証責任の所在 | 1項は請求者、2項は清算人(注意を怠らなかったことの証明) | 原則として会社側が任務懈怠を主張立証 保険業法180条の12と同じ二段構え |
| 請求権者 | 個々の第三者が自分の名で請求できる | 会社(清算相互会社)が請求主体 個々の第三者が自分の名で請求できる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は清算人を「職務上の負責人」と位置づけ、業務執行が法令に違反して他人に損害を与えたときに会社と連帯して賠償責任を負わせる構造。日本のように書面・登記・公告の虚偽類型を列挙して立証責任を転換する条項は置かれていない点が最大の違い
韓国も悪意又は重大な過失を要件とする点で日本と同型。日本法の継受系統にあるため条文構造が近いが、虚偽記載類型の立証責任転換の扱いは条文配置が異なる(準用条文番号は原典で要確認)
ドイツは清算人(Abwickler / Liquidator)に業務執行機関と同じ権利義務と責任を負わせる準用方式を採り、第三者責任を独立の列挙型条項では組まない。第三者救済は資本維持規定や信義則、破産法上の責任で補う構造
米国は制定法の列挙型責任ではなく、清算受託者が債権者に対して負う信認義務の違反として処理するのが基本。虚偽の開示は証券法上の責任や詐欺的移転法理でも追及されうるため、責任の入口が複線化している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 清算に入った相互会社にシステムを納品していて、公告を信じて債権を申し出た。ところが配当はゼロ。後になって財産目録に計上されていない不動産があったと判明する。1項で悪意重過失を立証するのは苦しいが、財産目録の虚偽記載を一行特定できれば2項2号に乗り、立証責任は清算人側へ移る
- もし清算人の就任登記が実際とは違う内容で入っていたら、それを信じて契約した相手はどうなる? 2項3号の虚偽の登記に当たり、清算人は注意を怠らなかったことを自分で証明しない限り、個人で賠償責任を負う
- あなたが清算人を引き受けた側だとする。事務報告の一行を前任者の資料からそのまま写した。その数字が嘘だったとき、無過失の立証はあなたの仕事になる
- 債権申出期間の締切まであと9日。公告に載った債務総額と貸借対照表の数字が合わない。ここで申出を出さずに期間を過ぎれば原則として清算から除斥され、残る回収先は清算人個人への180条の12の請求だけになる
- 保険契約者として資料を読んでいた友人が、清算の附属明細書の数字がおかしいと相談してきた。附属明細書も2項2号の対象であり、そこに虚偽があれば、会社を通さず個々の契約者が自分の名で清算人を訴えられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 公告、登記簿、財産目録、貸借対照表、事務報告、附属明細書をすべて取得し、数字の齟齬を一行単位で特定する。ここで2項の四類型に当てはめられるかが勝負2. 当てはまるなら請求書面で2項を明示し、立証責任が清算人側にあることを書き込む3. 当てはまらない場合にのみ1項で悪意重過失を主張し、社内メールや議事録の開示を求める4. 清算人が複数なら連帯責任として全員を相手取り、資力のある者から回収する
訴えられた側:1. 請求が1項か2項かを最初に見極める。2項なら立証責任はあなたにあり、防御の中身が根本的に変わる2. 2項なら「注意を怠らなかった」証跡を集める。原資料、専門家への照会記録、司法書士や会計士への指示と回答3. 1項なら軽過失にとどまることを主張し、重過失は故意に近い著しい注意欠如であるという水準を争う4. 第三者の損害と自分の行為の因果関係、損害額の算定根拠を個別に精査する
時効(請求できる期限):本条に固有の時効規定はない。この型の責任は不法行為ではなく特別の法定責任と解され、旧商法下の判例は10年の時効を認めた(最判昭和49.12.17)。現行は民法166条1項により、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方(最新の改正状況をご確認ください)。別枠の実務期限として、清算手続の債権申出期間(会社法499条相当の公告で2か月以上)を過ぎると清算から除斥され、回収先が清算人個人に絞られる
学説
法定責任説(通説):本条の責任は一般不法行為の特則ではなく、法人が消滅する局面で第三者を保護するために法が特に設けた独自の責任類型であるとする立場。要件は条文の文言に即して構成され、消滅時効も不法行為の短期時効とは異なる枠で考える。
不法行為特則説(少数説):機関個人の第三者責任を民法709条の要件を軽減した特則と捉える立場。この見方に立てば消滅時効も不法行為の枠に近づくが、判例は旧商法下でこれを採らなかったため、実務上の影響は限定的とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備 会社法の制定に伴う保険業法の整備により、相互会社の清算に関する規定が再編された。清算相互会社という概念と会社法清算規定の準用構造が置かれ、清算人の第三者に対する損害賠償責任が現行の形に整えられた。それ以前は旧商法の清算規定を参照する構造であった
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正により、相互会社の組織・清算に関する規定が現行法体系に置かれた。清算人の責任も旧商法の清算規定を参照する構造の中で整理された(詳細は原典で要確認)。
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う保険業法の整備により、相互会社の清算規定が再編。清算相互会社の概念と会社法清算規定の準用構造が置かれ、清算人の第三者に対する損害賠償責任が現行の二段構えの形に整えられた。
- 保険業法 第61条2項1号が引く社債の根拠規定
- 保険業法 第180条の17会社法清算規定の準用、2項2号の書類の根拠
- 保険業法 第180条の11清算相互会社に対する任務懈怠責任との対比(現行効力を要確認)
- 保険業法 第180条の13清算人が複数の場合の連帯責任(現行効力を要確認)
- 会社法 第487条株式会社清算人の第三者責任の同型規定
- 会社法 第429条役員等の第三者責任、本条の原型規定
- 民法 第709条一般不法行為、本条は特別の法定責任
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