保険業法 第240条の10(保険調査人の秘密保持義務)
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- 保険調査人は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。保険調査人がその職を退いた後も、同様とする。
- 2.保険調査人が法人であるときは、保険調査人の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が保険調査人の職務に従事しなくなった後においても、同様とする。
この条文の基本情報
保険調査人の秘密保持義務とは何ですか?
定義保険調査人の秘密保持義務とは、保険業法第240条の10に定められた規定で、「保険調査人は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第240条の10(保険調査人の秘密保持義務)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第240条の10の条文原文は「保険調査人は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」で始まります。
- 保険業法第240条の10は第一節に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第240条の10の前の条は保険業法第240条の9です。
- 保険業法第240条の10の次の条は保険業法第240条の11です。
- 保険業法第240条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第240条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第240条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/240_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法240条の10は、保険調査人が職務上知った秘密を漏らすことを禁じる規定である。義務は退任後も続き、法人が調査人のときは従事した役員・職員も名宛人になる。
Q · 保険調査人って、担当を外れた後も会社の内情を話しちゃダメなんですか?
はい。退任・退職後も期限なく守秘義務が続きます
保険業法240条の10第1項は、保険調査人が職務上知ることのできた秘密を漏らすことを禁じ、その職を退いた後も同様と定めています。第2項は、保険調査人が法人である場合に、その職務に従事する役員及び職員を直接の名宛人とし、職務に従事しなくなった後も同じ義務を課します。条文に期間の定めはないため、義務は生涯継続すると読むのが素直な解釈です。案件終了後の雑談や転職面接での案件名の開示も、漏示に当たりうる点に注意が必要です。
解説
保険会社が傾き始めても、外からは何も見えない。それは偶然ではなく設計である。内閣総理大臣(実務上は金融庁)が選任する保険調査人は、その会社の帳簿も、契約者が加入時に書いた告知内容も、水面下の資本増強交渉の中身も見る位置に入る。本条第1項はその人物に、職務上知ることのできた秘密を漏らすなと命じ、さらに職を退いた後も同じ鎖をかけ続ける。第2項の射程はもっと広い。保険調査人が監査法人や弁護士法人などの法人であるとき、その職務に従事した役員と職員の一人ひとりが直接の名宛人になり、担当を外れた後も口を閉じ続ける義務を負う。あなたが契約者なら、この規定はあなたの病歴と資産情報を守る壁である。あなたが調査側の専門家なら、これは退職しても外れない足枷であり、飲み会の一言が職業生命を断ちうる地雷でもある。
法的な位置づけ
保険業法240条の10は、保険調査人の秘密保持義務を定める規定である。保険調査人は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならず、その義務は退任後も存続する。保険調査人が法人であるときは、当該職務に従事する役員及び職員が名宛人となり、職務から離れた後も同様の義務を負う。
よくある質問 AI による整理
Q1保険調査人とは何ですか?
保険会社の業務と財産の状況を調べるため、行政庁の処分により選任される公的な立場の者です。保険会社が支払査定で委託する民間の調査員とは制度上まったく別物です。
Q2保険調査人の守秘義務はいつまで続きますか?
保険業法240条の10には期間の定めがありません。「その職を退いた後も、同様とする」と規定されているため、退任後も期限なく継続すると読むのが素直な解釈です。
Q3監査法人が保険調査人になった場合、誰が義務を負いますか?
第2項により、その職務に従事する役員及び職員が直接の名宛人になります。法人だけでなく、担当した個人一人ひとりが義務を負う構造です。
Q4保険調査人が秘密を漏らしたらどうなりますか?
保険業法の罰則章に定める罰則の対象となりうるほか、被害者からは民法709条・710条による損害賠償請求、所属法人には715条の使用者責任が問われる可能性があります。
Q5調査が終わって会社が立ち直ったら話していいですか?
いいえ。本条は結果によって義務が解除されるとは定めていません。秘密に当たるかは、破綻したか否かではなく、職務上知り得た情報かどうかで判断されます。
Q6退職後の職務経歴書に担当案件を書けますか?
案件の存在自体が非公表なら、会社名の記載が漏示になりうます。実務では業種と役割だけを抽象化して書き、エージェントへの口頭補足も避けるのが標準です。
Q7保険調査人と保険管理人の違いは何ですか?
調査人は業務と財産の状況を調べる段階の担い手で、管理人は業務及び財産の管理を命ずる処分の段階で選任されます。監督ステージが一段異なります。
Q8匿名でなら取材に答えても違法ではない?
匿名は免責になりません。本条が禁じるのは秘密の漏示という行為そのものであり、発言者名が伏せられていても漏示の成立は左右されません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社から来る調査員と、この保険調査人って同じものですか?
別物である。保険業法240条の10の保険調査人は、行政庁が選任して会社の業務と財産そのものを調べる立場であり、支払査定のために保険会社が委託する調査員は民間の契約関係にすぎない。実務のポイント:「保険調査人が入った」という言葉が実務で出た時点で、その会社に対する行政の監督ステージが一段上がったという合図になる。ニュースにこの語が出るかどうかを見ている人は、公表前に状況を読んでいる。
Q2調査人が秘密を漏らしたら、契約者側は何ができるんですか?
民法709条・710条で損害賠償を請求でき、相手が法人所属なら715条の使用者責任も併せて問える。加えて本条違反は保険業法上の罰則の対象になりうる。実務のポイント:最大の難関は漏えい経路の特定である。情報が出た媒体と日時を先に固定しておくと、その情報を知り得た人間の範囲が自動的に絞られる。証拠固めより先に抗議の連絡をすると、記事が差し替えられて痕跡が消える。
Q3退職したら、昔担当した案件を履歴書や職務経歴書に書けないんですか?
本条は「職務上知ることのできた秘密」を対象とするため、案件の存在自体が非公表であれば、会社名を書く行為が漏示になりうる。第2項は職務に従事しなくなった後も同じ義務を課している。実務のポイント:実務の標準は、案件名と業種を伏せて役割と手法だけを抽象化する書き方である。転職エージェントに口頭で詳細を補足した時点で外部漏えいになる点は、最も見落とされやすい。
Q4法人が調査人に選ばれた場合、案件に関わっていない社員も縛られますか?
第2項が名宛人にするのは「保険調査人の職務に従事するその役員及び職員」である。従事していない社員は本条の直接の名宛人ではないが、社内で情報に触れれば雇用契約上の秘密保持義務や不正競争防止法の問題が別途生じうる。実務のポイント:だからこそ実務では、フロアや共有フォルダのアクセス権を物理的に分ける情報隔壁を敷く。隔壁の運用記録が、後日の潔白の証明になる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「保険調査人」を検索してここに来たなら、立てている問いがずれている可能性が高い。保険金の支払査定で自宅や病院を訪ねてくる調査員は、保険会社が業務委託した民間の担当者である。本条の保険調査人は内閣総理大臣が選任し、会社そのものの業務と財産を調べる公的な立場であり、適用される規律も責任も別物である
- 退任後も守秘義務が続くこと自体は多くの実務家が知っている。知られていないのは「いつまで」である。本条には期間の定めがない。三年でも十年でもなく、生涯である。年金生活に入ってからの回顧録も、講演での昔話も、同じ条文の射程内にある
- あなたから見れば「もう終わった案件についての雑談」だが、法律から見れば「職務上知ることのできた秘密の漏示」でしかない。この落差が怖いのは、漏らした本人に漏らした自覚がないまま、聞いた側から情報が広がっていく点にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 240条の10:保険調査人(および法人の役員・職員)の秘密保持 | 241条:業務停止・管理命令など行政処分の発動 242条:保険管理人による業務及び財産の管理 |
| 名宛人 | 保険調査人本人、法人なら従事した役員及び職員 | 処分の相手方である保険会社 選任された保険管理人および対象会社 |
| 時間的射程 | 職務中から退任・退職後まで期限の定めなく継続 | 処分の効力期間に対応 管理命令の継続期間に対応 |
| 違反時の帰結 | 罰則の対象となりうるほか、民法709条等による損害賠償責任 | 処分違反に対する追加の監督措置 管理人の善管注意義務違反等の責任 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も経営不振の保険会社に対し主管機関が監管人・接管人を選任する構造をとり、職務上の秘密保持は行政法上の義務および刑法132条の公務員洩漏秘密罪の枠組みで処理される。日本のように破綻処理章内に独立の守秘条文を置く構成とは条文配置が異なる。
韓国も金融委員会・金融監督院を中心とする監督法制の中で、業務に従事する者の秘密保持義務を規定する。具体的な条番号は現行法で要確認。
ドイツ保険監督法は、監督業務に従事する者および委託を受けた者に守秘義務を課し、職務終了後も継続する旨を定める。EU 監督法制(Solvency II)の情報交換規律と接続している点が日本との差異。
米国は州単位の receivership 制度で、receiver およびその補助者に対する confidentiality 条項が置かれる。裁判所の関与が強く、秘密の解除も裁判所命令によりうる点が日本と異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 監査法人の若手として調査チームに入り、案件が終わった三か月後に転職面接へ。「直近はどんな案件を担当しましたか」と聞かれる。会社名を口にした瞬間、本条第2項の名宛人としての漏示になりうる。職を離れても義務は終わっていない
- 調査が入った会社が結局立ち直り、行政処分もなく終わった。ならばもう話していいのか。答えは否である。本条は「破綻したら解禁」とは書いていない。秘密であるかどうかは結果ではなく、職務上知り得た情報かどうかで決まる
- 契約している生命保険会社の名前が経済紙に出た。窓口に電話しても「お答えできません」の一点張り。その沈黙の一部は、この条文が作っている
- 保険会社の役員として調査を受ける側に回ったとき、調査人に渡す資料の中に契約者の告知情報と再保険交渉の条件が混ざっている。渡す前に何を秘密として明示しておくかで、後日漏えいが起きたときの立証が決定的に変わる
- 記者から「調査に入られた会社について、匿名でいいので」と連絡が来た。返答期限は明日の朝刊締切まで。匿名だから大丈夫という判断が最も危ない。漏示に匿名という免罪符はない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏えいを疑ったら、情報が出た媒体・日時・文面をスクリーンショットと URL で即日固定する。ウェブ記事は差し替えられる2. その情報が調査人しか知り得ない内容かを整理する。漏えい経路の絞り込みがすべての起点になる3. 保険会社であれば金融庁の担当部局へ事実関係を照会し、契約者であれば会社の個人情報保護窓口へ申し出る4. 損害賠償は民法709条・710条、相手が法人なら715条の使用者責任も併せて構成する
訴えられた側:1. まず「職務上知ることのできた秘密」に当たる情報かを冷静に切り分ける。調査開始前から公知だった情報、他ルートで独自に知った情報は射程外になりうる2. 発言の記録(メール、チャット、議事メモ)を改変せずに保全する。後からの整理が最も疑われる3. 法人内で単独対応せず、受任時の情報隔壁の運用記録を揃える4. 民事責任と保険業法上の罰則は別軌道で進むため、両方を見据えて弁護人と方針を立てる
時効(請求できる期限):本条の義務そのものに期限はない。退任・退職後も生涯続く。漏えいによる損害賠償請求権は民法724条により、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年。罰則の公訴時効は該当する罰条の法定刑によって決まるため、保険業法の罰則章の現行規定を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
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