保険業法 第271条の9(保険議決権大量保有者に対する立入検査)
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- 内閣総理大臣は、提出書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき事項のうち重要なもの若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けている疑いがあると認めるときは、当該職員に当該提出書類を提出した保険議決権大量保有者の事務所その他の施設に立ち入らせ、当該提出書類に記載すべき事項若しくは誤解を生じさせないために必要な事実に関し質問させ、又は当該保険議決権大量保有者の帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 2.前項の規定による立入り、質問又は検査をする職員は、その立入り、質問又は検査の相手方にその理由を示さなければならない。
この条文の基本情報
保険議決権大量保有者に対する立入検査とは何ですか?
定義保険議決権大量保有者に対する立入検査とは、保険業法第271条の9に定められた規定で、「内閣総理大臣は、提出書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき事項のうち重要なもの若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第271条の9(保険議決権大量保有者に対する立入検査)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第271条の9の条文原文は「内閣総理大臣は、提出書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき事項のうち重要なもの若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠…」で始まります。
- 保険業法第271条の9は第一節に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第271条の9の前の条は保険業法第271条の8です。
- 保険業法第271条の9の次の条は保険業法第271条の10です。
- 保険業法第271条の9には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の9 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の9(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/271_9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法271条の8は、保険議決権大量保有者の提出書類に虚偽記載や重要事実の欠落の疑いがあるとき、内閣総理大臣が職員に事務所への立入り・質問・帳簿検査をさせられると定める。
Q · 金融庁の職員って、令状なしで会社に入ってこられるんですか?
書類の記載漏れの疑いだけで、令状なしの立入検査が始まります
保険業法271条の8により、内閣総理大臣は、保険議決権大量保有者が提出した書類に重要事項の虚偽記載、または記載すべき重要事項・誤解を生じさせないために必要な重要事実の記載欠落の疑いがあると認めるとき、職員に事務所その他の施設へ立ち入らせ、質問させ、帳簿書類その他の物件を検査させることができます。これは行政上の監督権限であり、裁判所の令状は要りません。ただし第2項により、立入り・質問・検査をする職員は、相手方にその理由を示さなければなりません。
解説
保険会社の議決権を大量に持つと、金融庁に報告書を出す義務が生まれる。ここまでは知られている。だがその先がある。提出した書類に「重要な事項について虚偽の記載がある疑い」を内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)が持った瞬間、職員があなたの事務所に入ってくる。裁判所の令状は要らない。事前の通知義務も条文には書かれていない。あなたが答えるのは帳簿だけではなく、職員の質問そのものである。しかも対象は「虚偽の記載」だけではない。書くべき重要事項が抜けている、あるいは誤解を生じさせないために必要な事実が欠けている、この二つも立入りの引き金になる。つまり「嘘を書いていない」だけでは防壁にならない。書かなかったことが理由で人が来る。ただし第2項があなたの側の武器になる。立ち入る職員は、その理由を相手方に示さなければならない。示されない立入りは、この条文が予定した立入りではない。
法的な位置づけ
保険業法第271条の8は、保険議決権大量保有者に対する立入検査権を定める規定である。内閣総理大臣は、提出書類に重要事項の虚偽記載、または記載すべき重要事項もしくは誤解を生じさせないために必要な重要事実の記載欠落の疑いがあると認めるとき、当該職員に立入り・質問・物件検査をさせることができる。第2項は職員に理由提示義務を課す。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.立入り当日、第2項の理由提示を求めて文言を記録する 職員が到着したら、最初に「本条第2項に基づく理由の提示をお願いします」と述べ、告げられた理由を要約せず一字一句メモに残す。理由が虚偽記載の疑いか記載欠落の疑いかで、この後の検査範囲も提出書類も社内で呼ぶべき人も変わる
- 2.対応窓口を一本化し、単独回答を止める 担当者が一人で質問に答える状況を避け、法務・コンプライアンス部門が同席する体制に切り替える。記憶で答えず、提出済み書類の控えを確認してから回答する運用を全員に周知する
- 3.提出済み書類の控えと作成経緯を即座に集約する 保険議決権大量保有届出書・変更届出書・訂正報告書の控え、作成時の稟議、共同保有者の判断根拠メモ、資金の出所の裏付け資料を一箇所に集める。特に「書かなかった判断」の理由を示す資料が要になる
- 4.検査の射程を確認し、範囲外の要求は線を引く 本条の検査対象は当該保険議決権大量保有者の帳簿書類その他の物件である。海外関係会社の資料など日本の事務所にない書類の提出要求については、拒否ではなく「本条に基づく検査の範囲の確認」として整理し、記録に残す
- 5.記載の欠落に心当たりがあれば訂正報告の準備に入る 隠さず訂正報告書の作成に着手する。気付いた日付と訂正の日付を記録に残し、隠蔽の意図がなかったことを事実で示す。並行して、金融規制に実務経験のある弁護士へ当日中に連絡する
よくある質問 AI による整理
Q1保険議決権大量保有者とは?
保険会社の総株主の議決権を一定割合(5% 超)保有する者を指し、保険業法271条の3により届出義務を負う地位です。事業会社か投資ファンドかは区別されません。
Q2保険業法の立入検査に令状は必要ですか?
不要です。本条は行政上の監督権限であり、刑事訴訟法上の捜索差押えではありません。ただし第2項により、職員は立入り・質問・検査の理由を相手方に示す義務を負います。
Q3立入検査の理由は教えてもらえますか?
第2項が理由の提示を義務付けています。理由が「虚偽記載の疑い」か「記載欠落の疑い」かで検査範囲も準備する書類も変わるため、当日最初に文言のまま記録してください。
Q4記載漏れも立入検査の対象になりますか?
なります。本条は虚偽記載と並んで、記載すべき重要事項の欠落、誤解を生じさせないために必要な重要事実の欠落を同格の引き金としています。嘘を書いていないだけでは防壁になりません。
Q5立入検査で集めた資料は刑事事件に使われますか?
本条は行政調査であり、犯罪捜査のために用いることは想定されていません(行政調査と刑事手続の峻別)。一方、正当な理由のない拒否・妨害・忌避は罰則の対象になりうる点に注意が必要です。
Q6保険議決権大量保有届出書は誰に提出しますか?
内閣総理大臣宛てに提出します。実務上、当該権限は保険業法施行令により金融庁長官へ委任されており、窓口は金融庁になります。
Q7立入検査の相手は会社ですか、担当者個人ですか?
検査対象は保険議決権大量保有者ですが、第1項は「質問させ」と定めており、質問を受けるのは書類を作成した現場の担当者です。役員不在の場で答えた一言も記録に残ります。
Q8保険業法129条の立入検査と何が違いますか?
129条は保険会社本体への監督上の検査、本条は保険会社の株主である大量保有者への検査です。対象者が違い、本条は提出書類の記載への疑いが発動要件になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1立入検査って、断ったらどうなるんですか?
本条の検査は行政上の監督権限で、正当な理由なく拒否・妨害・忌避すると罰則の対象になりうる(保険業法の罰則章に検査忌避等の規定が置かれている)。一方で第2項は職員に理由の提示を義務付けており、理由が示されないまま従う義務まではない。実務のポイント:実務では全面拒否ではなく「本条に基づく検査の範囲を確認させてください」と範囲を絞る交渉が行われる。拒否と範囲確認は法的に全く別物であり、この二つを混同した対応が最も損をする
Q2報告書を出したあとで間違いに気付いたら、黙っていた方が安全ですか?
逆である。本条は「虚偽の記載がある疑い」に加えて記載の欠落も引き金にしており、後から発覚したときの評価は自主訂正より確実に厳しくなる。訂正報告を自ら出しておけば、少なくとも隠蔽の意図はなかったという事実が残る。実務のポイント:金融庁の検査では「間違いがあったか」より「気付いた後どう動いたか」が心証を左右する。訂正の日付と、気付いた日付の記録を残しておくことが、後の説明の全てになる
Q3うちは議決権を5% ちょっと持っているだけの事業会社です。金融庁が来るなんて本当にありますか?
保険議決権大量保有者は保有割合で形式的に画される地位であり、事業会社か投資家かは区別されない。提出書類の記載に疑いがあれば本条の対象になる。実務のポイント:実務で最も多い端緒は、他社の報告書や公表資料との突合で共同保有者の記載が食い違うケースである。自社が正確でも、相手方の書き方によって疑いが生じる。共同保有の可能性がある相手とは、提出前に記載内容をすり合わせておくのが最も安上がりな予防になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「虚偽記載さえしなければ立入りは来ない」と考えるのは、条文の読み落としである。本条は虚偽記載と並んで、記載すべき重要事項の欠落、そして誤解を生じさせないために必要な重要事実の欠落を、同格の引き金として並べている。積極的な嘘より、書かなかった判断のほうが立入りを招きやすい。何を書かないかは、書く内容と同じ重さで検討すべき事項である
- この立入検査を「犯罪捜査の一種」と受け取る人がいるが、問いの立て方が違う。本条は行政上の監督権限であり、刑事訴訟法上の捜索差押えではない。ゆえに令状は不要である一方、集めた資料を犯罪捜査のために用いることは想定されていない(行政調査と刑事手続の峻別)。この区別を知らずに「黙秘します」と応じると、正当な理由のない検査忌避として罰則の対象になりうる領域に踏み込む。守るべき線と、守らなくてよい線が別の場所にある
- あなたから見れば「株を買っただけ」だが、法律から見れば保険会社の経営に影響を与えうる地位を取得したことになる。保険会社は契約者から集めた資金を数十年単位で運用する存在であり、誰がその意思決定に影響するかは公的な関心事になる。この落差を理解しないまま保有目的欄を軽く書くと、後から「記載の欠落」として全体を疑われる
- 「立入検査は経営陣の問題で、担当者の自分には関係ない」と思われがちだが、第1項は「質問させ」と定める。質問の相手は書類を作った現場の担当者である。役員が同席しない場で、あなたが答えた一言が調書に残る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 検査の対象者 | 保険業法271条の8:保険議決権大量保有者(保険会社の株主) | 保険業法129条:保険会社本体 保険業法271条の3:対象者ではなく届出義務者を画する規定 |
| 発動の要件 | 提出書類に重要事項の虚偽記載、または重要事項・重要事実の記載欠落の疑い | 保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保するための必要性 議決権保有割合が基準を超えたという客観的事実 |
| 権限の内容 | 施設への立入り・記載事項に関する質問・帳簿書類その他の物件の検査 | 報告徴求、立入検査、業務改善命令等の監督権限 届出書の提出義務(権限行使ではない) |
| 相手方の手続保障 | 第2項の理由提示義務(示されない立入りは本条が予定したものではない) | 同種の理由提示規定および行政手続法上の規律 訂正報告(271条の7)による自主的是正の余地 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も同一人・同一関係人の持株が一定割合を超える場合に申報・核准を要求し、主管機関(金管會)が保険業への検査権を持つ。ただし株主側の事務所への立入りを明文化する構造は日本より薄い
金融委員会・金融監督院が資料提出要求と検査を行う建付けで、日本と同じく行政監督の枠内。大株主に対する規律も併せて置かれている
BaFin が情報請求権と現場検査権を持ち、保険会社のみならず一定の関係者にも及ぶ。EU レベルの Solvency II 体制と連動する点が日本と異なる
州保険庁が保険持株会社・支配株主に対する登録と検査の権限を持つ。連邦統一法ではなく州ごとに運用が分かれる点が最大の相違
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 投資ファンドの日本法人として生保の株式を買い進め、議決権保有割合が5% を超えた。報告書は顧問弁護士が作ったが、共同保有者となる関係会社の一部を「実質的な共同保有ではない」と判断して書かなかった。金融庁はその判断に疑いを持っている。次に鳴るのは電話ではなく、受付のインターホンかもしれない
- もし、立ち入ってきた職員が理由を告げないまま「帳簿を出してください」と言ったら? 第2項は理由の提示を義務付けている。その場で「本条第2項に基づく理由の提示をお願いします」と述べ、告げられた理由をメモに残す。後の争いで、この一行が効く
- 事業会社の経営企画部にいるあなたが、保険子会社の持株報告を担当している。資金の出所を「自己資金」と記載したが、実際は親会社からの一時的な融通だった。保有目的も「純投資」と書いたが、社内では役員派遣の検討が進んでいた。記載の食い違いが一つでも見つかれば、それは全体の信用を崩す入口になる
- 提出から3日後、金融庁から追加説明を求める連絡が入った。任意の照会である。ここで時間を稼ごうと曖昧な回答を重ねると、任意の照会が立入検査へ切り替わる。残された猶予は、回答期限までの数日しかない
- 共同保有者の一社が海外にあり、そちらの資料は日本の事務所にない。職員は「当該保険議決権大量保有者の帳簿書類その他の物件」を検査できる。日本の事務所に置いていない書類まで、この条文だけで強制的に取り寄せられるわけではない。どこまでが検査の射程かは、その場で線を引く必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:本条は監督権限の規定であり、典型的な被害者は想定されない。保険契約者・株主の立場でこの権限の発動を期待する場合は、金融庁の情報提供窓口へ具体的な事実と資料を添えて申告する。ただし申告者に検査を求める権利が生じるわけではなく、発動は金融庁の裁量である。個別の損害回復は、別途民事(民法709条等)で組み立てる必要がある
訴えられた側:1. 立入り当日、第2項に基づき理由の提示を求め、告げられた文言を記録する2. 対応窓口を一本化し、担当者が単独で質問に答える状況を避ける3. 提出済み書類の控えと作成経緯の記録を即座に集約、記憶で答えず書面で確認してから回答する4. 記載の欠落に心当たりがあれば、隠さず訂正報告の準備に入る。隠蔽の上乗せが最も重い結果を招く5. 金融規制に実務経験のある弁護士へ当日中に連絡する
時効(請求できる期限):本条の立入検査自体に期間制限はなく、提出書類に疑いがある限りいつでも発動しうる。特定の時効はないが、関連する行政処分の取消しを求める場合は、処分があったことを知った日から6か月以内の取消訴訟提起(行政事件訴訟法14条)、または3か月以内の審査請求(行政不服審査法18条)という期限が働く。検査忌避等に罰則が適用される場合の公訴時効は、法定刑に応じて刑事訴訟法250条による(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政調査論):本条のような監督目的の立入検査は行政調査であり、令状主義の直接適用はないが、取得資料を刑事手続へ無限定に転用することは許されないと解される。検査忌避に罰則が伴う点から、実質的な強制力を持つ調査として手続保障を重視する見解が有力である。
実務的理解(金融監督実務):発動要件を「重要な事項」についての虚偽または欠落の疑いに限定した点に、株主という民間第三者への過剰介入を避ける立法上の絞りがあると理解される。些細な記載不備では本条を動かせない構造になっている。
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