保険業法 第332条の3(両罰規定)
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法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の刑を科する。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、保険業法第332条の3に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第332条の3(両罰規定)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第332条の3の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し…」で始まります。
- 保険業法第332条の3は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第332条の3の前の条は保険業法第332条の2です。
- 保険業法第332条の3の次の条は保険業法第333条です。
- 保険業法第332条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第332条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第332条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/332_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法332条の3は両罰規定で、従業者が業務に関し前条の違反行為をしたとき、行為者のほか法人又は人にも同条の刑を科す。選任監督に過失がなければ免責される。
Q · 社員が保険業法違反をしたら、会社も必ず罰金を取られるんですか?
必ずではない。監督に過失がなければ免責の余地がある
保険業法332条の3は両罰規定で、従業者が業務に関し前条の違反行為をしたとき、行為者に加えて法人又は人にも同条の刑を科します。ただし最高裁は同型の両罰規定について、事業主が選任監督につき過失がなかったことを立証すれば免責される過失推定規定と解してきました。争点は三つ、①その行為が「業務に関し」なされたか、②行為者が「使用人その他の従業者」に当たるか、③法人に選任監督上の過失がなかったか。免責の証拠は平時の研修記録・内部監査記録でしか作れません。
解説
「行為者を罰するほか」。この一句が、従業者一人の違反を、会社そのものの刑事事件に変える。ただし多くの経営者が誤解しているのはその先だ。両罰規定は連座制ではない。最高裁は昭和32年の大法廷判決以来、この型の条文を、事業主が従業者の選任・監督について過失がなかったことを立証すれば免責される過失推定規定と解してきた。立証責任が逆転しているだけで、会社が反証する扉は開いている。あなたが握るべき鍵は三つ。第一に「業務に関し」という限定があり、従業者の純粋な私的行為は射程外である。第二に「使用人その他の従業者」は雇用契約の有無ではなく、実質的な指揮監督関係で判断される。第三に、免責の証拠は事件が起きてからでは作れない。研修記録、内部監査、是正の履歴、その平時の積み重ねだけが、法廷で会社を行為者から切り離す。
法的な位置づけ
保険業法332条の3は両罰規定であり、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し同法332条の2の違反行為をした場合に、行為者の処罰に加えて事業主である法人又は人にも同条の刑を科す旨を定める。判例上、事業主の選任監督上の過失を推定した規定と解される。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
行為者本人だけでなく、その事業主である法人又は人にも刑罰を科す規定です。保険業法332条の3がその一例で、行為者処罰と法人処罰は並列の関係にあります。
Q2両罰規定で会社が免責されることはありますか?
あります。判例は同型の両罰規定を過失推定規定と解しており、事業主が選任監督につき過失がなかったことを立証できれば法人は免責されます。立証責任が転換されているだけです。
Q3「業務に関し」とはどこまでを指しますか?
従業者の行為が事業主の業務の遂行と客観的に関連する範囲を指します。純粋な私的行為は射程外ですが、外形上業務の一環と見える行為は含まれうる点が争点になります。
Q4業務委託の個人事業主も「従業者」に入りますか?
契約の名称では決まりません。報酬の決め方、指示の出し方、業務時間の管理など、実質的な指揮監督関係の有無で判断され、委託契約でも従業者と評価されることがあります。
Q5法人に科される刑は罰金だけですか?
本条は「同条の刑を科する」と定めるため前条の法定刑が基準になります。法人には性質上、自由刑を科せず財産刑が科されます。具体的な上限は前条の規定によります。
Q6会社が罰金を払えば従業者は処罰されませんか?
されます。条文は「行為者を罰するほか」と定め、行為者と事業主の処罰は並列です。法人が納付しても行為者の刑事責任は消えず、前科も残ります。
Q7両罰規定の公訴時効はいつまでですか?
前条の法定刑を基準に刑事訴訟法250条で算定され、罰金刑にとどまる罪は3年です。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)です。
Q8罰金前科がつくと会社にどんな影響がありますか?
業法上の登録・許可の欠格事由、官公庁の入札参加資格停止、金融機関の与信審査、取引先のコンプライアンス審査に波及します。罰金額より資格面の影響が長く続きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの社員が勝手にやったことなのに、なんで会社まで罰金を取られるんですか?
本条が「その法人又は人に対しても、同条の刑を科する」と定めているためです。ただし判例上これは結果責任ではなく、法人の選任監督上の過失を推定した規定と解されており、無過失を立証できれば免責されます。実務のポイント:検察官が法人を起訴するか迷う典型的な材料が、違反発覚前に作られた研修・内部監査の記録です。事件後に整備した規程は日付で見抜かれる。平時の記録が薄い会社ほど、争えるはずの論点を捨てて略式命令を受け入れている
Q2会社がまとめて罰金を払えば、本人は処罰されずに済みますか?
済みません。条文は「行為者を罰するほか」と書いており、行為者個人と法人の双方に刑が科されます。法人が罰金を納めても行為者の刑事責任は消えず、前科も残ります。実務のポイント:会社が個人の罰金相当額を補填する扱いは実務に存在しますが、その事実が「会社ぐるみだった」という心証に直結することがあります。補填の可否を決める前に、法人自身の免責主張と矛盾しないかを弁護人に確認する順序が逆になっている会社が多い
Q3業務委託でお願いしている個人事業主も「従業者」に入るんでしょうか?
契約の名称では決まりません。実質的に事業主の指揮監督のもとで業務に従事していたかで判断され、委託契約でも従業者と評価される例があります。派遣・出向・再委託先も同様に検討対象です。実務のポイント:この論点は法人側の有力な防御線になりますが、報酬体系・指示メール・業務マニュアルの配布実態がすべて逆方向の証拠になりえます。外部人材を使う会社ほど、指揮命令の形跡を平時からどう残すかが刑事リスクの分岐点になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「従業者が有罪になれば会社も自動的に有罪」と思われているが、両罰規定は結果責任ではない。判例上、事業主・法人の選任監督上の過失が推定されているにすぎず、無過失の立証に成功すれば法人は免責される。連座制と過失推定では、弁護方針も証拠収集の方向もまったく別物になる
- 「会社が罰金を払えば従業者本人は助かるのか」という問いの立て方そのものが誤っている。条文は「行為者を罰するほか」と書いており、これは二択ではなく並列である。法人が罰金を納めても行為者の刑事責任は消えず、前科も残る。会社が個人の罰金相当額を補填する慣行はあるが、それは刑の消滅とは無関係
- 罰金額の上限を気にする経営者は多いが、深刻度を取り違えている。本体の損失は罰金そのものではなく、法人に罰金前科が付いた後の波及にある。業法上の登録・許可の欠格事由、官公庁の入札参加資格停止、金融機関の与信審査、取引先のコンプライアンス審査。数年にわたって効く資格の穴のほうが、罰金の数十倍の機会損失を生む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 保険業法332条の3:前条(332条の2)違反について行為者のほか法人・人を処罰する両罰規定 | 保険業法332条の2:処罰対象となる違反行為そのものを定める罰則 金融商品取引法207条:金商法違反についての同型の両罰規定 |
| 責任の性質 | 刑事責任(選任監督上の過失が推定される) | 刑事責任(行為者本人の故意・過失) 刑事責任(事業主の選任監督上の過失推定) |
| 免責の可否 | 選任監督に過失がなかったことを立証すれば免責の余地 | 構成要件該当性・故意の否認で争う 同じく無過失立証で免責の余地 |
| 防御に必要な証拠 | 研修記録、内部監査報告、是正指示履歴、募集管理態勢規程 | 行為時の認識に関する供述・客観証拠 内部管理態勢に関する記録 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は法人処罰を刑事罰より行政罰(行政罰法15條の併罰)で処理する場面が多く、日本の両罰規定ほど刑事罰則としての運用が前面に出ない
韓国は日本型の両罰規定を継受しているが、憲法裁判所の違憲決定を受け、免責の但書(相当の注意と監督を怠らなかった場合は免責)を条文上明記する改正が各業法で行われた点が日本と異なる
ドイツは法人自体を刑事犯の主体とせず、秩序違反法上の過料(Geldbuße)と監督義務違反(Aufsichtspflichtverletzung)で捕捉する。刑罰か過料かという構成の違いが最大の相違点
フランスは1994年新刑法典で法人の刑事責任を一般原則として認め、機関または代表者が法人のために行った罪について法人が責任を負う。個別業法ごとに両罰規定を置く日本とは立法形式が根本的に異なる
米国は respondeat superior により、従業員が職務範囲内で会社に利益をもたらす意図で行った犯罪について会社が刑事責任を負う。無過失立証による免責の枠組みがなく、代わりにコンプライアンス・プログラムが量刑ガイドライン上の減軽要素として機能する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし明日の朝に金融庁の立入検査が入り、募集人の一人が顧客へ虚偽の説明をしていた記録が出てきたとしたら、会社は何を出せるだろうか。検査から捜査への引き継ぎは早く、監督体制の記録を整える猶予は事実上その場にある分だけ。事後に作った書類はファイルのタイムスタンプで見抜かれる
- 代理店の営業担当が、数字のために書類を作り替えた。本人だけの問題だと思っていた。呼び出されたのは社長だった
- 外部委託の個人事業主に募集業務を任せている代理店経営者として、その人物が違反したとき「使用人その他の従業者」に含まれるのか。雇用契約書がないことは決め手にならない。報酬の決め方、指示の出し方、業務時間の管理、そこが判断材料になる
- 検察官から法人としての弁解録取を求められた。残された時間は1週間。過去3年分の研修記録と内部監査報告を揃えて監督を尽くしたと主張するか、それとも量刑で勝負するか。この選択を、行為者となった従業者と同じ弁護人に相談してよいのかという問題が、先に立ちはだかる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 募集人や代理店担当者の違法行為で損害を受けたなら、相手を個人に絞らない。本条により法人自身が刑事責任の主体になりうる2. 金融庁・財務局への申出や苦情申立ては、担当者名だけでなく法人名を明記して出す3. 民事は並行して組む。民法715条の使用者責任と、保険業法283条(所属保険会社等の賠償責任)を検討し、資力のある法人を相手取る4. 説明を受けた日時、担当者名、交付書面、録音を今夜のうちに保全する
訴えられた側:1. 法人と行為者で弁護人を分ける。これを最初に決めないと後で方針変更できない2. 争点を三つに分解する。当該行為が「業務に関し」なされたか、行為者が「使用人その他の従業者」か、法人に選任監督上の過失がなかったか3. 過去3年分の研修記録、内部監査報告、是正指示の履歴、募集管理態勢の規程を日付付きで確保する。後から作成したものは逆効果4. 起訴前の段階で無過失の資料を検察官に提出し、法人の起訴自体を回避する道を優先する
時効(請求できる期限):本条は前条(第332条の2)の刑をそのまま法人または人に科す構造のため、公訴時効は前条の法定刑を基準に算定される(刑事訴訟法250条)。罰金刑にとどまる罪であれば3年、起算点は犯罪行為が終わった時(同253条)。ただし両罰規定で法人を処罰する場合に、行為者の法定刑と法人に科される刑のどちらを基準とするかは、実務上、解釈が分かれている
学説
通説(過失推定説):両罰規定による事業主処罰の根拠を、従業者の選任監督についての事業主自身の過失に求める見解。判例もこの立場に立つとされ、無過失の立証により免責される点で責任主義との整合性が保たれると説明される
無過失責任説(少数説):両罰規定は行政取締の実効性確保のための政策的な無過失責任であるとする見解。現在は責任主義との緊張から支持を失い、過失推定説が通説・判例の地位を占めている
- 保険業法 第332条の2本条が処罰を拡張する対象の違反行為
- 保険業法 第321条同法の主たる両罰規定、対象条文が異なる(現行効力を要確認)
- 保険業法 第283条募集人の行為に対する保険会社の民事責任(現行効力を要確認)
- 刑法 第8条特別法の罪への刑法総則の適用
- 刑事訴訟法 第250条公訴時効期間の算定根拠
- 金融商品取引法 第207条同型の両罰規定、金融業法の比較軸
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