保険業法 第338条
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第二十一条において準用する会社法第八条第一項の規定に違反して、相互会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した者は、百万円以下の過料に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第338条は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第338条の条文原文は「第二十一条において準用する会社法第八条第一項の規定に違反して、相互会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した者は、百万円以下の過料に処する。」で始まります。
- 保険業法第338条は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第338条の前の条は保険業法第337条の3です。
- 保険業法第338条の次の条は保険業法第339条です。
- 保険業法第338条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第338条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第338条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/338
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法338条は、同法21条が準用する会社法8条1項に違反し、相互会社であると誤認されるおそれのある名称や商号を使用した者に百万円以下の過料を科す規定である。過料は刑罰ではなく秩序罰であり、前科はつかない。
Q · 会社名やサービス名に「相互」と入れたら、本当に罰金を取られるんですか?
刑罰の罰金ではなく、百万円以下の過料の対象になり得ます
保険業法338条は、同法21条が準用する会社法8条1項に違反して相互会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した者に、百万円以下の過料を科します。要件は①不正の目的があること、②相互会社と誤認されるおそれがあること、の両方です。過料は行政上の秩序罰であり刑罰ではないため前科はつきませんが、裁判所が非訟事件手続法により決定で科します。名宛人は「使用した者」であり、法人のほか名称を現に使用した個人が対象になる場合もあります。
解説
日本に現存する保険相互会社は、生命保険の大手を中心にごく少数しかない。だからこそ、その名称は強い信用を帯びる。保険業法338条は、その信用の借用を過料で封じる条文である。構造は二段になっている。禁止の本体は保険業法21条が準用する会社法8条1項、読み替えれば「不正の目的をもって、相互会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない」。338条はその違反に百万円以下の過料を科す。ここで押さえるべきは、過料が刑罰ではないという点だ。前科はつかず、犯罪人名簿にも載らない。その代わり、科すのは検察官ではなく裁判所、手続は刑事訴訟法ではなく非訟事件手続法(裁判所が当事者の争いを判決ではなく決定で処理する手続)による。そして名宛人は「使用した者」であり、法人だけでなく名称を現に使用した個人が名宛人になる場合がある。命名会議で一語を足した人間が、自分の財布から払う可能性があるということだ。
法的な位置づけ
保険業法338条は、同法21条が準用する会社法8条1項の違反、すなわち不正の目的をもって相互会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用した行為に対し、百万円以下の過料を科す秩序罰規定である。刑罰ではなく、裁判所が非訟事件手続法に基づく決定により科す。
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法338条とは何ですか?
相互会社であると誤認されるおそれのある名称・商号を不正の目的で使用した者に、百万円以下の過料を科す秩序罰規定です。実体の禁止規定は同法21条が準用する会社法8条1項にあります。
Q2過料と罰金の違いは何ですか?
過料は行政上の秩序罰で刑罰ではなく、前科になりません。罰金は刑罰で刑事訴訟手続により科されます。過料は裁判所が非訟事件手続法に基づく決定で科します。
Q3社名に「相互」を入れると違法ですか?
二文字そのものが一律禁止ではありません。①不正の目的、②相互会社と誤認されるおそれ、の両方が必要です。金融・保障・共済を想起させる語と並ぶと誤認のおそれが濃くなります。
Q4商号登記が通れば問題ないのでは?
登記官は商号の適否を形式的に審査するのみで、会社法8条1項の「不正の目的」までは審査しません。登記が通っても、後から裁判所が独立に過料を判断します。
Q5過料の裁判に不服がある場合はどうしますか?
即時抗告ができ、過料の裁判に対する即時抗告には執行停止の効力があります(非訟事件手続法120条)。不変期間は原則1週間のため、告知後すぐ動く必要があります。
Q6相互会社とは何ですか?
保険業法上の特殊な会社形態で、保険契約者が社員(構成員)となる相互扶助型の法人です。日本では生命保険の大手を中心にごく少数しか存在しません。
Q7紛らわしい社名を使われた側は過料でお金を取り戻せますか?
取り戻せません。過料は国と違反者の間の関係で、納付金は国庫に入ります。金銭回復は不正競争防止法3条・4条や民法709条で別途請求する必要があります。
Q8アプリ名やドメイン名も「名称の使用」に当たりますか?
当たり得ます。商号として登記していなくても、サービス名・アプリ名・ドメイン・SNS アカウント名・看板の表示は名称又は商号の「使用」と評価される可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社名に「相互」って入れたらダメなんですか?
二文字そのものが一律禁止というわけではない。保険業法21条が準用する会社法8条1項の要件は、①不正の目的があること、②相互会社であると誤認されるおそれがあること、の両方だ。実務のポイント:危険度は語そのものより組み合わせで跳ね上がる。「◯◯相互建設」と「◯◯相互保障」では、同じ二文字でも見え方がまったく違う。金融・保障・共済を想起させる語と並べた瞬間、誤認のおそれは一気に濃くなる
Q2過料の通知が来たら、もう払うしかないんですか?
そんなことはない。過料の裁判に対しては即時抗告ができ、しかもその即時抗告には執行停止の効力がある(非訟事件手続法120条)。期間は原則1週間の不変期間なので、動き出しが遅れると争う道自体が閉じる。実務のポイント:過料の裁判の前には意見を述べる機会が与えられるのが通例で、そこで「すでに名称変更を完了した」証拠を出せるかどうかで金額が動く。通知が来てからではなく、来る前の準備が効く場面である
Q3過料って罰金と何が違うんですか。前科になりますか?
過料は行政上の秩序罰であり刑罰ではないので、前科にならず犯罪人名簿にも載らない。手続も刑事訴訟ではなく非訟事件手続法による裁判所の決定で、株式会社側にも同趣旨の過料規定がある(会社法978条)。実務のポイント:最高裁は過料の裁判に憲法82条の裁判公開の原則は及ばないとしており、手続は非公開で進む。刑事事件のように公開法廷で争う前提を持ち込むと、そもそも土俵を読み違える
間違えやすい点 AI による整理
- 「この社名は登記できますか」という問いの立て方そのものが誤っている。法務局の登記官は商号の適否を形式的に審査するが、会社法8条1項が要求する「不正の目的」の有無までは審査しない。登記が通った=適法のお墨付き、ではない。過料を科すかどうかは、後から裁判所が独立に判断する
- 百万円以下の過料を「軽い刑罰」だと捉えている人が多い。実際は行政上の秩序罰であって刑罰ではなく、前科にならない。ただし刑罰でないがゆえに、起訴猶予も公訴時効も働かず、国選弁護人も付かない。軽いのではなく、守るための道具立てがまるごと違う
- あなたから見れば「紛らわしい名前をつけられた被害」だが、法律から見れば過料は国と違反者の間の話でしかない。相手が百万円を納めても、あなたの口座には1円も入らない。この落差を知らずに過料だけを追いかけると、金銭回復の手段(不正競争防止法3条・4条、民法709条)を動かすタイミングを失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 保険業法338条:違反への過料(秩序罰) | 保険業法21条:会社法8条を準用する根拠規定 会社法8条1項:使用禁止の実体規定 |
| 名宛人 | 誤認されるおそれのある名称を使用した者(法人・個人) | 相互会社一般(準用のルール自体に名宛人はない) 不正の目的で他の会社と誤認される名称を使用した者 |
| 効果 | 百万円以下の過料、前科なし | 効果なし(準用技術規定) 使用の禁止、差止請求(会社法8条2項) |
| 手続 | 裁判所の決定(非訟事件手続法、即時抗告可) | — 民事訴訟(差止請求) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も非保険業者による「保險」字樣の使用を禁じるが、制裁は行政罰鍰(過料に相当)であり、主管機関は金融監督管理委員会である点が日本と異なる
韓国も商法23条で誤認商号の使用を禁じ、保険業法で過料を定める。日本の構造と極めて近い
ドイツは相互保険社団(VVaG)の名称保護を保険監督法で規律し、監督官庁 BaFin の行政的手段と秩序違反金(Bußgeld)で対応する
米国は州ごとの保険法典で無免許者による保険関連名称の使用を禁じ、州保険局の排除命令や民事制裁金で対応する。連邦統一法はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入者どうしで保険料を出し合う割り勘型のサービスを立ち上げ、アプリ名に「相互」の二文字を入れたとしたら、何が起きる? 保険業の免許が要るかという議論とは完全に別軸で、名称そのものが338条の射程に入る。会議室では免許の話ばかりが続き、名前の方は誰も止めない
- 地域の共済団体が「◯◯相互会」を名乗り、会員募集のチラシを1万枚配った。問題になったのは事業内容ではなく、名称中の二文字だけだった。刷り直しとロゴ差し替えの費用は、過料の上限を軽く超えた
- 裁判所から過料の裁判の告知書が届いた。即時抗告の不変期間は原則1週間、しかも土日を挟む。この7日で、名称使用を停止した証拠と命名経緯の記録を揃えられるかが、金額と結論の両方を動かす
- 大手相互会社の法務担当が、検索結果に自社と一字違いの金融サービスを見つけた。検察官に情報を上げて過料を求める道と、不正競争防止法で差止仮処分を打つ道がある。前者で相手が払った百万円は国庫に入るだけで、自社の損害は一銭も回復しない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の名称使用を日付入りで保全する(ウェブ魚拓、登記事項証明書、チラシ現物、ドメイン登録情報、看板の写真) 2. 自社表示の周知性・著名性を裏づける資料(広告費、売上、報道)を整理し、不正競争防止法2条1項1号・2号での構成を検討3. 金銭回復と使用停止の主軸は差止仮処分+民法709条に置く4. 過料は国庫に入るだけで自社の回復にはならないため、監督官庁や検察官への情報提供はあくまで並行策と位置づける
訴えられた側:1. まず名称使用を止め、変更に着手する。是正済みという事実は裁判所の判断に効く2. 「不正の目的」がなかったことを示す資料を時系列で束ねる(命名経緯の議事録、商標・商号調査の記録、事業内容が保険と近接しないことの説明) 3. 過料の裁判の前に与えられる意見陳述の機会で、その束をそのまま提出する4. 過料の裁判が告知されたら、不変期間内に即時抗告する。過料の裁判に対する即時抗告には執行停止の効力がある(非訟事件手続法120条)
時効(請求できる期限):過料は刑罰ではないため公訴時効の適用がない。実務上の期限は、過料の裁判の告知を受けた日から即時抗告をするまでの不変期間で、原則1週間(非訟事件手続法。最新の改正状況をご確認ください)。また名称の使用を続けている限り違反状態も継続するため、起算点は「止めた日」から考える
学説
通説:保険業法338条の過料は行政上の秩序罰であり刑罰ではないため、刑法総則の適用や公訴時効はなく、責任主義の要請も刑罰ほど厳格には及ばないと解される。ただし科罰には会社法8条1項の「不正の目的」という主観的要件の充足が必要である。
実務通説:「名称又は商号の使用」は商号登記に限られず、サービス名、屋号、看板、広告表示など取引上の表示行為全般を含むと解されている。したがって未登記のブランド名であっても射程に入り得る。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正(平成7年法律第105号)により、相互会社に関する規律と一体で罰則・過料規定が整備された。具体的な条番号の変遷は e-Gov の改正沿革で要確認。
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