保険業法 第53条の27(執行役の解任等)
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- 執行役は、いつでも、取締役会の決議によって解任することができる。
- 2.前項の規定により解任された執行役は、その解任について正当な理由がある場合を除き、指名委員会等設置会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
- 3.第五十三条の二十五第二項において準用する会社法第四百一条第二項から第四項までの規定並びに同法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百七十条第一項(第一号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十一条(理由の付記)、第八百七十二条(第四号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十四条(第一号に係る部分に限る。)(不服申立ての制限)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)、第八百七十六条(最高裁判所規則)及び第九百三十七条第一項(第二号イ及びハに係る部分に限る。)(裁判による登記の嘱託)の規定は、執行役が欠けた場合又は定款で定めた執行役の員数が欠けた場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
執行役の解任等とは何ですか?
定義執行役の解任等とは、保険業法第53条の27に定められた規定で、「執行役は、いつでも、取締役会の決議によって解任することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第53条の27(執行役の解任等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第53条の27の条文原文は「執行役は、いつでも、取締役会の決議によって解任することができる。」で始まります。
- 保険業法第53条の27は第九目 指名委員会等及び執行役に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第53条の27の前の条は保険業法第53条の26です。
- 保険業法第53条の27の次の条は保険業法第53条の28です。
- 保険業法第53条の27には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の27 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の27(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/53_27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法53条の29は、相互会社の執行役を取締役会の決議でいつでも解任できると定める。ただし正当な理由がなければ、解任された執行役は会社に損害賠償を請求できる。
Q · 相互会社の執行役って、取締役会だけでクビにできるんですか?
できます。取締役会決議だけで即日、理由も不要です
保険業法53条の29第1項により、執行役は取締役会の決議によっていつでも解任できます。社員総会・総代会の承認は不要で、理由の説明も要件ではありません。解任の効力は決議成立と同時に生じます。ただし第2項は、正当な理由なく解任された執行役に対し、会社への損害賠償請求権を与えています。執行役の任期は原則1年周期であるため、賠償の射程は残任期分の報酬相当額に収まりやすく、決議日が期首直後か期末直前かで金額が大きく動きます。
解説
相互会社の執行役という肩書には、任期の保障がついていない。保険業法53条の29第1項は、取締役会が「いつでも」決議一本で執行役を解任できると定める。社員総会も総代会も要らない。理由の説明も要らない。決議が成立した瞬間、あなたの業務執行権は消える。ただし条文は、切られた側に反撃の口を一つだけ残した。第2項、正当な理由がなければ、会社に損害賠償を請求できる。ここで効いてくるのが任期だ。執行役の任期は原則として選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時総会後の取締役会終結時まで(株式会社では会社法402条7項、相互会社でも同じ1年周期の枠組みが引き継がれている)。つまり賠償の射程は残り任期分に収まりやすく、期末直前に切られれば数か月分、期首直後なら1年分に近づく。切る側も切られる側も、カレンダーを見ているかどうかで交渉の重みが変わる
法的な位置づけ
保険業法53条の29は、指名委員会等設置会社である相互会社の執行役の解任を定める規定である。第1項は取締役会決議による無条件の解任権を認め、第2項は正当な理由なく解任された執行役に損害賠償請求権を与える。第3項は執行役が欠けた場合の一時執行役の職務を行うべき者の選任等について会社法の規定を準用する。株式会社における会社法403条に対応する規定である。
手順
- 1.解任理由を決議の前に書面化する 会社側はまず、解任理由を取締役会決議の前に書面へ落とす。法令違反、内部統制上の重大な不備、健康上の職務遂行不能など客観化できる事実と時系列を整理し、業績不振や方針対立のみを理由にしない
- 2.取締役会で解任決議を成立させる 招集通知と議題を整え、取締役会の決議により解任する(保険業法53条の29第1項)。社員総会・総代会の承認は不要。代表執行役の解職と執行役の解任は別個の決議として整理し、議事録にどちらを決議したか明記する
- 3.登記と取引先通知でリスクを閉じる 決議後ただちに執行役および代表執行役の変更登記を進め、主要取引先・社内決裁ラインへ通知する。登記と通知が完了するまでは表見代表執行役(会社法421条)により会社が責任を負う余地が残るため、日単位で処理する
- 4.被解任者側は議事録を確保し残任期を計算する 解任された側は感情的な反論より先に、取締役会議事録の閲覧・謄写を請求して記録を確保する。あわせて残任期の月数と月額報酬から賠償の射程を計算し、復職ではなく金銭解決を軸に交渉を設計する
よくある質問 AI による整理
Q1執行役とは何ですか?
指名委員会等設置会社で業務執行を担う役職です。取締役会から委任された範囲で意思決定と執行を行い、取締役とは別個の地位として扱われます。相互会社にも保険業法により導入されています。
Q2執行役の解任に社員総会は必要ですか?
不要です。保険業法53条の29第1項により取締役会の決議のみで解任でき、社員総会・総代会の承認は要件ではありません。決議成立と同時に業務執行権が消滅します。
Q3解任と解職の違いは何ですか?
解任は執行役の地位そのものを失わせる処分、解職は代表執行役などの役職から外すだけの処分です。別個の決議として処理されるため、議事録のどちらの記載かを確認する必要があります。
Q4執行役を解任したら登記は必要ですか?
必要です。執行役および代表執行役は登記事項であり、解任後は変更登記を行います。登記と取引先通知が終わるまでは、表見代表執行役(会社法421条)による会社の責任が残ります。
Q5執行役の解任は無効だと争えますか?
原則として効力は争えません。第1項は理由のない解任も有効としており、争点は地位の回復ではなく、正当な理由の不存在を前提とした損害賠償の金額に移ります。
Q6執行役の任期は何年ですか?
原則として選任後1年以内に終了する事業年度に関する定時総会後の最初の取締役会終結時までです。任期が短いため、損害賠償の射程も構造的に1年以内に収まりやすくなります。
Q7会社法403条と保険業法53条の29の違いは何ですか?
規定内容はほぼ同一で、適用対象が異なります。会社法403条は株式会社の執行役、保険業法53条の29は相互会社の執行役に適用されます。解釈も共通の枠組みで論じられます。
Q8相互会社とは何ですか?
保険業法上の保険会社の組織形態の一つで、保険契約者が社員(構成員)となる社団です。株主はおらず、社員総会または総代会が最高意思決定機関となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1解任って、本人が会議室に呼ばれてその場で言い渡されるものなんですか?
取締役会の決議が成立した時点で効力が生じる(保険業法53条の29第1項)ため、本人が同席していなくても、通知が届く前でも解任は完了している。実務のポイント:実務では決議の直前に辞任を促す打診が入ることが多い。辞任なら第2項の賠償請求権は原則として生じず、会社にとって最も安い決着になる。打診を受けた側は、その場で即答しないというだけで交渉の余地が残る
Q2正当な理由って、具体的にどこまでなら認められるんですか?
取締役の解任をめぐり、持病により職務執行に支障がある場合に正当な理由を認めた最高裁判例(最判昭和57.1.21)があり、執行役でも同じ枠組みで考えられている。単なる経営方針の対立や業績不振では足りないとされる一方、法令違反や職務上の重大な非違は認められやすい。実務上、境界線の判断は分かれている。実務のポイント:会社は事後に理由を追加したがるが、決議時の議事録に痕跡のない理由は説得力を大きく落とす
Q3執行役がいなくなったら、会社の決裁は誰が動かすんですか?
本条3項が会社法401条2項から4項までを準用し、任期満了または辞任で退任した者は後任就任まで権利義務を持ち続け、それでも足りなければ裁判所が一時執行役の職務を行うべき者を選任する。注意すべきは、解任された執行役はこの権利義務の承継から外れる点である。実務のポイント:この選任は裁判による登記の嘱託対象で、空席を裁判所に埋めてもらった事実は登記簿から外部に見える
Q4損害賠償って、実際いくらぐらい取れるものなんですか?
実務上は残任期中に受け取れたはずの報酬相当額が基準とされることが多い。執行役の任期は原則1年周期のため、取締役の解任事案に比べて上限が構造的に低くなりやすい。賞与や退職慰労金を含めるかは見解が分かれている(算定の実務は事案によって幅があるため最新の裁判例を確認されたい)。実務のポイント:同じ理不尽な解任でも、決議日が期首直後か期末直前かで請求できる金額は数倍動く
間違えやすい点 AI による整理
- 解任に理由が要らないことは知っていても、その即時性の破壊力を軽く見ている人が多い。決議成立の瞬間に業務執行権が消えるため、その後に本人が動かした案件は原則として会社に効力が及ばない。ところが取引の相手方が善意であれば表見代表執行役の規定(会社法421条)によって会社が責任を負う場面が残り、登記と取引先への通知が終わるまで、切った側の危険はむしろ続く
- 「この解任は無効だと争えるか」という問いの立て方自体がずれている。第1項は解任の効力を無条件に認めており、原則として争える余地は効力ではなく金銭の側にある。問うべきは「地位を取り戻せるか」ではなく「正当な理由の不存在をどう立証し、いくらに換算するか」である
- あなたから見れば、長年の貢献を無視した理不尽な首切りに見える。だが法から見れば、執行役と会社の関係は委任であり、委任はいつでも解除できるのが原則(民法651条1項)。この落差を埋めるために置かれたのが第2項の損害賠償であって、地位の回復手段ではない。復職を軸に交渉を始めると、時間だけを失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 決議機関と手続 | 保険業法53条の29:取締役会の決議のみで解任(社員総会不要) | 保険業法53条の25:執行役の選任・任期・職務等の枠組みを定める 会社法403条:株式会社の執行役を取締役会決議で解任 |
| 理由の要否 | 解任自体に理由は不要(第1項は無条件) | 選任時は資格制限と員数・定款の枠内で決定 同じく理由不要(解釈も共通の枠組み) |
| 切られた側の救済 | 正当な理由がなければ損害賠償請求のみ(地位の回復不可) | 任期満了・辞任の場合は後任就任まで権利義務が残る場面がある 同じく損害賠償のみ(会社法403条2項) |
| 適用対象 | 相互会社(指名委員会等設置会社)の執行役 | 相互会社の執行役全般の設置・運営 株式会社(指名委員会等設置会社)の執行役 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では執行役に相当する固有の機関はなく、経理人の選任・解任を董事会決議に委ねる構成。正当事由なき解任に対する法定の賠償請求権は明文化されていない
韓国は2011年商法改正で집행임원制度を導入し、解任と正当な理由なき解任の損害賠償について取締役の規定を準用する。日本と最も近い構造
ドイツは Vorstand の Bestellung の Widerruf に wichtiger Grund(重大な理由)を要求する。理由なき解任を許さない点で日本と設計思想が逆方向
米国は officer の removal を取締役会の裁量に委ね、救済は雇用契約上の severance で処理する。法定の損害賠償請求権ではなく契約設計が中心
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは相互会社の社外取締役。当局の立入検査で、担当執行役が主導したシステム統合の遅延と顧客データ管理の不備が指摘された。取締役会は解任決議に向かう。ここで事務局が議事録に何をどう書くかが、半年後の損害賠償訴訟の主戦場になる。「業績不振」の一行だけで済ませると、正当な理由の立証は空中戦に転落する
- もし、解任の翌週にあなたが同業他社へ移籍したとしたら、賠償額はどうなる? 損害の算定において他社で得た収入を控除すべきかは、実務上、解釈が分かれている。移籍の公表を数週間ずらすかどうかが、そのまま交渉カードの厚みになる
- 代表執行役を解職された。だが執行役の地位そのものは残っている場合がある。取締役会がその二つを別個の決議として処理したのか、議事録を今日中に確認する
- 執行役が相次いで辞任し、定款で定めた員数を割った。あと数日で保険金支払いに関する重要決裁のラインが止まる。本条3項が用意しているのがこの局面の出口で、裁判所に一時執行役の職務を行うべき者を選任させる道が非訟事件として開かれている。管轄、陳述の聴取、理由の付記、即時抗告の可否まで条文で手当てされている
- 解任通知を受け取った執行役として、あなたが最初に打つべき手は怒りの反論ではなく、取締役会議事録の閲覧・謄写請求である。正当な理由の存在は会社側が主張立証すべきものと解されており、会社が事後に理由を組み立て直す余地を潰せるのは、記録がまだ固まっていない最初の数日しかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 解任決議の日付と議事録を確保する。閲覧・謄写請求は感情的な反論より先に出す2. 残任期を計算する。執行役の任期は原則1年周期のため、期首直後か期末直前かで賠償の射程が大きく変わる3. 正当な理由の存在は会社側が主張立証すべきと解されており、こちらが不存在を証明し尽くす必要はない4. 報酬相当額と退職慰労金は別枠で整理する5. 復職ではなく金銭解決を軸に交渉を設計する
訴えられた側:1. 解任理由を決議前に書面化し、事実と時系列を議事録に残す2. 業績不振だけを理由にすると正当な理由の立証は難しい。法令違反、内部統制上の重大な不備、健康上の職務遂行不能など、客観化できる事実に落とし込む3. 決議直後に登記と取引先への通知を進め、表見代表執行役(会社法421条)によるリスクを閉じる4. 残任期分の報酬を試算し、和解の枠を先に確保しておく
時効(請求できる期限):解任の効力は取締役会決議の成立と同時に生じ、通知の到達を待たない。第2項の損害賠償請求権に本条固有の時効はなく、一般の消滅時効(民法166条1項、権利行使できることを知った時から5年、または権利行使できる時から10年)が適用される。一時執行役の職務を行うべき者の選任申立てに期限はないが、員数の欠缺が続く間は登記と当局対応が滞る
学説
通説:第1項の解任の効力は無条件に生じ、解任の無効を争う余地は原則としてない。救済は第2項の損害賠償に限られ、その範囲は残任期中の報酬相当額を基準とする。正当な理由の存在は会社側が主張立証すべきものと解されている。
算定をめぐる分岐:損害の算定に賞与や退職慰労金を含めるか、他社就任により得た収入を控除するかについては見解が分かれており、事案ごとの幅が大きい。最新の裁判例の確認が必要な領域である。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)会社法改正に伴う整備(平成27年施行) 「委員会設置会社」から「指名委員会等設置会社」への名称変更が保険業法の相互会社規定にも反映され、本条の文言が現行の表記に改められた。改正の全履歴および新設時期は未検証のため、人的確認が必要
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 改正:会社法改正に伴う整備により、「委員会設置会社」から「指名委員会等設置会社」への名称変更が保険業法の相互会社規定にも反映され、本条の文言が現行の表記に改められた。新設時期および全改正履歴は未検証のため人的確認が必要。
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