保険業法 第53条の28(指名委員会等の権限等)
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- 指名委員会は、社員総会に提出する取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の選任及び解任に関する議案の内容を決定する。
- 2.監査委員会は、次に掲げる職務を行う。
- 一執行役等(執行役及び取締役をいい、会計参与設置会社にあっては、執行役、取締役及び会計参与をいう。以下この目において同じ。)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
- 二社員総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定
- 3.報酬委員会は、第五十三条の十五において読み替えて準用する会社法第三百六十一条第一項(第三号から第五号までを除く。)の規定並びに第五十三条の十七において準用する同法第三百七十九条第一項及び第二項の規定にかかわらず、執行役等の個人別の報酬等(報酬、賞与その他の職務執行の対価として相互会社から受ける財産上の利益をいう。以下この項において同じ。)の内容を決定する。執行役が指名委員会等設置会社の支配人その他の使用人を兼ねているときは、当該支配人その他の使用人の報酬等の内容についても、同様とする。
- 4.委員がその職務の執行(当該委員が所属する指名委員会等の職務の執行に関するものに限る。以下この項において同じ。)について指名委員会等設置会社に対して次に掲げる請求をしたときは、当該指名委員会等設置会社は、当該請求に係る費用又は債務が当該委員の職務の執行に必要でないことを証明した場合を除き、これを拒むことができない。
- 一費用の前払の請求
- 二支出をした費用及び支出の日以後におけるその利息の償還の請求
- 三負担した債務の債権者に対する弁済(当該債務が弁済期にない場合にあっては、相当の担保の提供)の請求
- 5.会社法第四百五条から第四百七条まで(監査委員会による調査、取締役会への報告義務、監査委員による執行役等の行為の差止め)、第四百八条(第三項、第四項並びに第五項第三号及び第四号を除く。)(指名委員会等設置会社と執行役又は取締役との間の訴えにおける会社の代表等)及び第四百九条(第三項第三号から第五号までを除く。)(報酬委員会による報酬の決定の方法等)の規定は、指名委員会等設置会社の指名委員会等又は委員について準用する。この場合において、同法第四百五条第一項中「指名委員会等設置会社」とあるのは「指名委員会等設置会社(保険業法第三十条の十第九項に規定する指名委員会等設置会社をいう。以下同じ。)」と、同法第四百八条第一項中「第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項の規定並びに第三百五十三条及び第三百六十四条」とあるのは「保険業法第五十三条の三十二において読み替えて準用する第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項」と、同条第五項中「第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項」とあるのは「保険業法第五十三条の三十二において読み替えて準用する第四百二十条第三項において準用する第三百四十九条第四項」と、同項第一号中「第八百四十七条第一項、第八百四十七条の二第一項若しくは第三項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)又は第八百四十七条の三第一項」とあるのは「保険業法第五十三条の三十七において読み替えて準用する第八百四十七条第一項」と、同項第二号中「第八百四十九条第四項」とあるのは「保険業法第五十三条の三十七において読み替えて準用する第八百四十九条第四項」と、「第八百五十条第二項」とあるのは「同法第五十三条の三十七において読み替えて準用する第八百五十条第二項」と、同法第四百九条第二項中「第四百四条第三項」とあるのは「保険業法第五十三条の二十八第三項」と、同条第三項第六号中「金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)」とあるのは「金銭でないもの」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
- 6.会社法第二編第四章第十節第三款(指名委員会等の運営)の規定は指名委員会等設置会社の指名委員会等の運営について、同法第八百六十八条第一項(非訟事件の管轄)、第八百六十九条(疎明)、第八百七十条第二項(第一号に係る部分に限る。)(陳述の聴取)、第八百七十条の二(申立書の写しの送付等)、第八百七十一条本文(理由の付記)、第八百七十二条(第五号に係る部分に限る。)(即時抗告)、第八百七十二条の二(抗告状の写しの送付等)、第八百七十三条本文(原裁判の執行停止)、第八百七十五条(非訟事件手続法の規定の適用除外)及び第八百七十六条(最高裁判所規則)の規定はこの項において準用する同法第四百十三条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による許可の申立てについて、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項(議事録)中「株主」とあるのは「社員(総代会を設けているときは、総代)」と、同条第四項中「委員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるとき」とあるのは「委員の責任を追及するため必要があるとき」と、同条第五項中「又はその親会社若しくは子会社」とあるのは「又はその保険業法第三十三条の二第一項に規定する実質子会社」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
この条文の基本情報
指名委員会等の権限等とは何ですか?
定義指名委員会等の権限等とは、保険業法第53条の28に定められた規定で、「指名委員会は、社員総会に提出する取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の選任及び解任に関する議案の内容を決定する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第53条の28(指名委員会等の権限等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第53条の28の条文原文は「指名委員会は、社員総会に提出する取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の選任及び解任に関する議案の内容を決定する。」で始まります。
- 保険業法第53条の28は第九目 指名委員会等及び執行役に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第53条の28の前の条は保険業法第53条の27です。
- 保険業法第53条の28の次の条は保険業法第53条の29です。
- 保険業法第53条の28には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の28 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の28(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/53_28
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法53条の30は、相互会社の指名委員会が取締役の選解任議案を、監査委員会が執行役等の監査を、報酬委員会が執行役等の個人別報酬を決定すると定める。
Q · 入っている生命保険会社の役員報酬って、契約者の総代会で下げられるんですか?
下げられない。決定権は報酬委員会にある
指名委員会等設置会社である相互会社では、保険業法53条の30第3項により、執行役等の個人別の報酬等を決定するのは報酬委員会です。同項は「第53条の15において読み替えて準用する会社法361条1項の規定にかかわらず」と明記しており、社員総会・総代会の決議事項から外れています。したがって報酬額そのものが議案として上程されません。社員(総代)にできるのは、報酬委員を務める取締役の選任議案に賛否を示すこと、および報酬決定の方針(5項が準用する会社法409条1項)の内容を問うことです。
解説
生命保険の契約書にサインしたとき、あなたが手にしたのは保障だけではない。加入先が相互会社であれば、あなたは同時にその会社の「社員」、つまり構成員になっている。株式会社でいう株主に当たる立場だ。ところが本条を読むと、その立場の中身が見えてくる。取締役の選任・解任議案の中身を決めるのは社員総会ではなく指名委員会、三人以上(過半数は社外取締役)の委員だけで完結する。役員一人ひとりの報酬額を決めるのも報酬委員会であって、社員総会の決議は要らない。あなたに残されているのは、委員会が出してきた候補者名簿に賛成か反対かを示す権利だけである。しかも多くの相互会社は社員総会に代わる総代会を置いており、実際に票を投じるのは数百人の総代だ。本条は、あなたが払った保険料が誰の報酬になるかを決める権限が、どこに置かれているかの見取り図である。
法的な位置づけ
保険業法第53条の30は、指名委員会等設置会社である相互会社の指名委員会・監査委員会・報酬委員会の職務権限を定める規定である。指名委員会は取締役の選任及び解任に関する議案の内容を、監査委員会は執行役等の職務執行の監査と会計監査人の選解任議案の内容を、報酬委員会は執行役等の個人別の報酬等の内容をそれぞれ決定する。あわせて委員の費用請求権と、会社法405条以下の準用関係を規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.職務執行に必要な調査項目と費用を特定する 監査委員・指名委員・報酬委員として何を調べる必要があるかを書面で整理し、外部会計専門家・弁護士への委託費、資料複写費、出張費などの見積りを取る。「所属する委員会の職務執行に関するもの」に限られる点(4項柱書)を意識して範囲を切る
- 2.費用の前払を書面で請求する 支出前に前払請求を出す(4項1号)。支出後の償還請求だと会社が事後的に必要性を争う余地が広がるが、前払を拒むには会社側が先に「職務執行に必要でないこと」を証明しなければならない。請求書面には委員会名・職務内容・金額・支出時期を明記する
- 3.会社側の回答と証明の有無を記録に残す 事務局が口頭で渋る場合も、拒否理由を必ず書面またはメールで回答させる。4項は会社に証明責任を課しているため、証明を伴わない不払いの記録はそのまま後の責任追及・検査対応の材料になる
- 4.支出済み分は利息とともに償還を請求する やむを得ず立替払いした分は、支出をした費用および支出の日以後の利息の償還を請求する(4項2号)。債務を負担した場合は、債権者への弁済(弁済期前なら相当の担保の提供)を請求する(4項3号)
- 5.拒否が続くときは調査権・報告義務・差止めへ接続する 費用が出ないこと自体が監査の障害になっている場合、5項が準用する会社法405条(監査委員会による調査)、406条(取締役会への報告義務)、407条(差止め)のラインに乗せる。取締役会への報告は議事録に残り、外部からの牽制が働く
よくある質問 AI による整理
Q1指名委員会等設置会社とは何ですか?
指名委員会・監査委員会・報酬委員会の三委員会を置き、業務執行を執行役に委ねる機関設計です。各委員会は取締役3人以上で構成され、過半数は社外取締役でなければなりません。相互会社にも採用できます。
Q2加入している保険会社が相互会社かどうか調べる方法は?
会社名に「相互会社」の表記があるかを確認し、次に約款の社員に関する章を読みます。相互会社でも一定範囲で社員とならない保険契約があるため、自分が社員かどうかは約款の記載で判断します。
Q3総代会とは何ですか?
社員数が膨大な相互会社で、社員総会に代わって置かれる機関です。数百人規模の総代が社員全体に代わって議決権を行使します。議事録閲覧請求などの権利も、総代会設置会社では総代に絞られます。
Q4監査委員会の職務は何ですか?
本条2項により、執行役等(執行役・取締役、会計参与設置会社では会計参与を含む)の職務執行の監査と監査報告の作成、および会計監査人の選任・解任・不再任に関する議案の内容の決定を行います。
Q5執行役が支店長を兼ねている場合、その給与は誰が決める?
報酬委員会です。本条3項後段は、執行役が支配人その他の使用人を兼ねているときは、その使用人分の報酬等の内容も報酬委員会が決定すると定めます。人事部が給与規程で独自に決めることはできません。
Q6保険会社の取締役を解任したいときはどうする?
解任議案の内容を決定するのは指名委員会(1項)です。社員や総代の側から別の解任議案を組み立てる余地は本条の建て付け上狭く、実務では出された選任議案への反対票と事前質問が主な手段になります。
Q7監査委員は執行役の行為を差し止められますか?
本条5項が準用する会社法407条により、執行役等が目的の範囲外の行為その他法令・定款違反行為をし、会社に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、監査委員はその行為の差止めを請求できます。
Q8相互会社にも株主代表訴訟のような制度はありますか?
あります。保険業法53条の37が会社法847条以下を読み替えて準用し、社員による責任追及の訴え(社員代表訴訟)を認めています。本条5項の訴訟代表の読替えもこの制度と連動しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険に入っただけで会社の「社員」って、従業員になるってことですか?
従業員ではない。相互会社の社員は株式会社の株主に当たる構成員で、保険契約者が原則としてその地位に就き、社員総会や総代会の議決権を持つ。ただし1項により取締役選任議案の中身を作るのは指名委員会であり、社員側は出された議案に賛否を示す立場になる。実務のポイント:相互会社でも一定範囲で社員とならない保険契約が引き受けられている。自分が社員かどうかは約款の社員に関する章に書いてあるが、そこを読んだ契約者はほとんどいない
Q2役員報酬が高すぎると思ったら、総代会で否決できますか?
指名委員会等設置会社では報酬は総会の決議事項ではない。3項が「第53条の15において読み替えて準用する会社法361条1項の規定にかかわらず」と明記するとおり、決定権は報酬委員会へ移っている。総代にできるのは、報酬委員を務める取締役の選任議案に反対することだ。実務のポイント:報酬決定の方針は準用される会社法409条1項で定めることになっている。金額を直接叩くより、方針の文言と適用の整合性を突く方が実務では刺さる
Q3委員会の議事録って、契約者でも見られるんですか?
原則として見られない。6項の読替えにより請求できるのは社員、総代会を設けているときは総代に限られ、しかも権利行使に必要であることを示して裁判所の許可を得る必要がある(準用会社法413条3項)。親会社社員に関する部分は相互会社では読替えで外されている。実務のポイント:この許可申立ては非訟事件で、6項が引く会社法868条以下の手続に乗る。会社法だけを見て保険業法の読替えを追わず、手続を誤る例がある
Q4社外取締役が調査を求めたのに、会社が費用を出さない場合はどうなりますか?
4項が正面から答えている。委員が職務執行について費用の前払、支出済費用と支出日以後の利息の償還、負担した債務の弁済を請求したとき、会社は当該費用や債務が職務執行に必要でないことを証明した場合を除き拒めない。実務のポイント:構造は会社法404条4項と同じで、監査役の費用請求(会社法388条)と並ぶ。事務局と揉めたら口頭で終わらせず請求書面を残す。拒否の記録が、そのまま後の責任追及の材料になる
間違えやすい点 AI による整理
- あなたから見れば保険は「買った商品」だが、相互会社の法律構成から見ればあなたは「会社の構成員」である。この落差が契約者を無関心にさせる。株主なら年に一度は招集通知を開くのに、社員である契約者は総代選出の案内が届いても中身を見ずに捨てる。権限が委員会に集まっている理由の半分は、この無関心が支えている
- 報酬委員会が役員報酬を決めることは、近年それなりに知られてきた。だが深刻なのはその射程だ。3項は「個人別の報酬等」とし、賞与その他、職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益まで含む。さらに執行役が支配人その他の使用人を兼ねるときは、その使用人分の報酬にも及ぶ。社内の給与規程や人事権では上書きできない
- 「総代会で役員報酬を否決すれば下げられるのでは」という問いそのものが成り立たない。指名委員会等設置会社では報酬決定権が総会から報酬委員会へ移っており、そもそも議案として上程されない。問うべきは「報酬委員会の委員は誰で、どう選ばれたか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 保険業法53条の30:指名・監査・報酬の三委員会の職務権限 | 保険業法53条の15:取締役の報酬等に関する一般原則(会社法361条の準用) 保険業法53条の32:執行役の権限・代表執行役に関する準用 |
| 報酬の決定権者 | 報酬委員会が執行役等の個人別の報酬等を決定(3項) | 本来は社員総会・総代会の決議事項だが、本条3項により排除される 執行役自身に決定権はなく、報酬委員会の決定に服する |
| 適用の前提 | 相互会社が指名委員会等設置会社であること | 指名委員会等設置会社でない相互会社(原則形態) 指名委員会等設置会社であること(執行役が置かれる) |
| 費用請求の扱い | 委員の前払・償還・弁済請求を会社は原則拒めない(4項、証明責任は会社) | 本条のような費用請求の特則なし 本条のような費用請求の特則なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の保険業は株式有限公司または合作社に限られ、日本型の相互会社は存在しない。委員会は審計委員會・薪資報酬委員會として証券取引法側に置かれ、保険業法本体ではなくガバナンス法制側で規律される点が日本と異なる
韓国は保険業法に相互会社の規定を置きつつ、委員会制度は商法の理事会内委員会・監査委員会を準用する構造をとる。日本と同様に準用の重ね書きであり、独立社外理事の比率規制が併走する
ドイツの相互保険会社(VVaG)は監査役会・取締役会の二層構造を基本とし、委員会は監査役会の内部機関として置かれる。米国型の三委員会を移植した日本とは出発点が異なる
米国では相互保険会社も株式会社と同様に nominating / audit / compensation の三委員会実務が定着しており、本条の母法系統にあたる。ただし成文の準用ではなく州法と取引所規則・実務慣行の組合せで形成される点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが加入している相互会社の総代に選ばれたとしたら? 送られてくる議案書には取締役候補の名前が並んでいる。だがその名簿を作ったのは指名委員会(1項)であり、総代の側から別の候補を差し込む余地は本条の建て付け上ほぼない。総代にできるのは否決だけだと理解して臨むかどうかで、事前質問の質が変わる
- あなたが社外取締役として監査委員に就任し、疑わしい取引を追うため外部の会計専門家を雇いたいと申し出た。事務局は「予算枠がない」と渋る。ここで効くのが4項だ。費用の前払を請求すれば、会社側が「その支出は職務執行に必要でない」と証明しない限り拒めない。立証責任は会社に置かれている
- 監査委員会が執行役の暴走を止めたい。5項が準用する会社法407条の差止請求が使える。訴訟の前に、まず一通の書面が効く
- 議事録を見たい契約者がいる。だが6項の読替えで、閲覧を請求できるのは社員、総代会を設けている会社では総代に絞られ、さらに裁判所の許可が要る。総代の任期は定款で定まっており、改選で総代でなくなれば請求適格そのものを失う。動くなら在任中の残り数か月が勝負になる
- グループ再編で執行役が子会社や本社の使用人を兼務することになった。その使用人分の給与まで報酬委員会が決めなければならない(3項後段)。人事部が給与規程どおりに独自決定していたら、後の検査や責任追及で本条違反を突かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加入先が相互会社か株式会社かを確認、会社名の「相互会社」表記と約款の社員に関する章で判別できる2. 相互会社なら総代会資料と各社が備え置く説明書類で機関設計を確認、指名委員会等設置会社であれば委員の氏名と社外取締役比率を見る3. 疑問は総代会の事前質問として文書で提出、口頭より記録に残る4. 議事録の閲覧まで踏み込むなら、総代の地位と裁判所の許可が必要(6項、準用会社法413条3項)
訴えられた側:1. 委員会の議事録を準用会社法413条の要件どおり作成、責任追及の場面で最初に開示を求められる2. 報酬は3項の射程を再点検、執行役の使用人兼務分を人事ラインで決めていないか確認3. 委員から費用請求が来たら、拒めるのは職務執行に必要でないことを会社が証明した場合だけ(4項)、安易な不払いは後の責任問題へ転化する4. 5項が準用する調査権・差止め・訴訟代表の範囲を委員と事前に共有しておく
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。委員や執行役の任務懈怠に基づく責任追及は一般消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)に服する。議事録閲覧の裁判所への許可申立ては、総代会設置会社では総代の地位にある間しか行えない。総代会の事前質問は各社が定める提出期限で締め切られる(最新の運用は各社の案内をご確認ください)
学説
通説:相互会社の社員たる地位は、保険契約上の地位と社団の構成員たる地位が結合したものと理解される。株主のような持分の譲渡・換金ができない一方、議決権は保有する保険金額にかかわらず頭数で扱われるのが原則であり、この構造が社員自治の希薄化と表裏をなす。
通説:本条は会社法404条以下の準用構造をとるため、解釈は原則として株式会社の指名委員会等に関する議論に従う。もっとも、株主が存在せず総代会が介在する相互会社では、社員の監督機能が構造的に弱いため、委員会の独立性と議事録開示の運用が株式会社以上に重要になると説かれる。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)会社法改正関連 会社法改正により「委員会設置会社」が「指名委員会等設置会社」へ改称され、保険業法側の相互会社に関する規定も同じ用語・引用条文へ整理された(保険業法側の対応改正の時期と範囲は要確認)
- 令和元年(2019年)会社法改正関連 本条5項が準用する会社法409条をめぐり、報酬決定方針の内容や開示の枠組みが整備された。準用構造を通じて相互会社の報酬委員会実務にも影響する(保険業法側の反映時期は要確認)
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 新設:商法特例法による「委員会等設置会社」制度の導入に合わせ、相互会社にも委員会型の機関設計が認められ、各委員会の権限に関する規定が置かれた(保険業法側の条番号の変遷は要確認)
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法制定に伴う整備により、準用先が旧商法特例法から会社法404条以下・413条へ置き換えられた(保険業法側の施行時期は要確認)
- 3.平成26年(2014年) 改正:会社法改正で「委員会設置会社」が「指名委員会等設置会社」へ改称され、本条の用語および引用条文も同じ体系へ整理された(保険業法側の対応改正の範囲は要確認)
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