保険業法 第55条の2(剰余金の分配)
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- 剰余金の分配は、公正かつ衡平な分配をするための基準として内閣府令で定める基準に従い、行わなければならない。
- 2.相互会社は、その定款において第二十三条第一項第七号に掲げる事項として、毎決算期に剰余金の処分を行う場合には、その対象となる金額として内閣府令で定める金額のうち、当該金額に一定の比率を乗じた額以上の額を、社員に対する剰余金の分配をするための準備金として内閣府令で定めるものに積み立てるべき旨を定めなければならない。
- 3.前項に規定する一定の比率は、内閣府令で定める比率を下回ってはならない。
- 4.相互会社は、その決算の状況に照らしてやむを得ない事情がある場合には、前二項の規定にかかわらず、定款において、当該決算期における剰余金の処分に限り、第二項の内閣府令で定める金額に前項の内閣府令で定める比率を下回る比率を乗じた額を第二項の内閣府令で定める準備金に積み立てる旨を定めることができる。
- 5.前項の定款の定めは、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
この条文の基本情報
剰余金の分配とは何ですか?
定義剰余金の分配とは、保険業法第55条の2に定められた規定で、「剰余金の分配は、公正かつ衡平な分配をするための基準として内閣府令で定める基準に従い、行わなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第55条の2(剰余金の分配)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第55条の2の条文原文は「剰余金の分配は、公正かつ衡平な分配をするための基準として内閣府令で定める基準に従い、行わなければならない。」で始まります。
- 保険業法第55条の2は第三目 基金利息の支払、基金の償却及び剰余金の分配に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第55条の2の前の条は保険業法第55条です。
- 保険業法第55条の2の次の条は保険業法第55条の3です。
- 保険業法第55条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第55条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第55条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/55_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法55条の2は、相互会社の剰余金分配を府令の公正かつ衡平な基準に従わせ、社員配当準備金の積立比率の下限を定める。下限割れには定款の定めと内閣総理大臣の認可が必要。
Q · 生命保険の配当って、結局は会社の気分で決まるんじゃないんですか?
配当の床は法律側が握っていて、会社の裁量だけでは下げられません。
保険業法55条の2により、相互会社の剰余金分配は内閣府令が定める公正かつ衡平な基準に従う必要があり、毎決算期の剰余金処分では府令所定の金額に一定比率を乗じた額以上を社員配当準備金に積み立てる旨を定款に定めなければなりません。その比率は府令の下限を下回れず(3項)、決算状況に照らしやむを得ない事情がある場合に限り、当該決算期限りの定款の定めで下回ることができますが(4項)、内閣総理大臣の認可がなければ効力を生じません(5項)。
解説
日本生命、明治安田生命、住友生命、富国生命、朝日生命。これらに保険料を払っている人は、法律上「顧客」ではなく「社員」である。相互会社に株主はいない。剰余金の行き先はあなたたち契約者しかない。ではその取り分は誰が決めるのか。ここで55条の2が効いてくる。第一に、分配は「公正かつ衡平」な基準(内閣府令)に従わねばならず、経営陣の裁量で特定の層を厚遇することは許されない。第二に、毎決算期の剰余金処分では、内閣府令で定める金額に一定比率を乗じた額以上を、社員への分配のための準備金として積み立てる旨を定款に定める義務がある。その比率の下限もまた府令が握る。第三に、業績が苦しい期に下限を割るには、当該決算期限りの定款の定めを置いたうえで内閣総理大臣(実務の窓口は金融庁)の認可が要る。つまり「今年は配当を絞ります」の一言では済まない。あなたの配当は経営判断の余りものではなく、法が床を打った取り分である。
法的な位置づけ
保険業法55条の2は、相互会社の剰余金分配に関する規律であり、分配は内閣府令が定める公正かつ衡平な基準に従うものとし、毎決算期の剰余金処分において府令所定の金額に一定比率を乗じた額以上を社員配当準備金に積み立てる旨を定款に定めることを義務づける。当該比率は府令の定める比率を下回ってはならず、例外には定款の定めと内閣総理大臣の認可を要する。
手順
- 1.自分の契約が有配当契約かを確認する 保険証券と約款で、有配当契約か無配当契約か、配当の計算区分(契約種類・加入年度)と受取方法(現金・据置・保険料相殺・買増)がどれになっているかを確認する
- 2.ディスクロージャー誌で剰余金処分案を読む 加入先の相互会社のディスクロージャー誌・決算資料から「剰余金処分案」と社員配当準備金の繰入額を抜き出し、前期・前々期と並べて増減を確認する
- 3.繰入比率が下がっていれば定款と認可の痕跡を探す 繰入比率の低下が見えたら、当該決算期限りの定款の定め(4項)が総代会議案に上程されているか、内閣総理大臣の認可(5項)を経ているかを、総代会議案書と公表資料で確認する
- 4.会社窓口へ書面で照会し、回答を保存する 確認しきれない点は保険会社の相談窓口へ書面またはメールで照会し、回答を保存する。納得できない場合は生命保険協会の相談所や金融庁の相談窓口も利用できる
よくある質問 AI による整理
Q1社員配当準備金とは何ですか?
相互会社が社員(契約者)への剰余金分配のために積み立てる準備金です。保険業法55条の2第2項により、毎決算期の剰余金処分で府令所定額に一定比率を乗じた額以上の積立を定款で義務づけます。
Q2保険会社の剰余金の分配基準は誰が決めるのですか?
公正かつ衡平な分配をするための基準は内閣府令が定め、各社はこれに従います(55条の2第1項)。会社が独自の裁量で特定の契約群だけを厚遇することは許されません。
Q3相互会社の配当準備金の積立比率は引き下げられますか?
決算の状況に照らしてやむを得ない事情がある場合に限り、当該決算期の処分に限って定款で下限未満の比率を定められます(4項)。ただし内閣総理大臣の認可がなければ効力を生じません(5項)。
Q4保険業法55条の2の認可権者は誰ですか?
内閣総理大臣です(5項)。実務上の窓口は金融庁となり、下限割れの定款の定めは認可を受けて初めて効力を生じるため、密室で処理することはできません。
Q5相互会社の社員と株主は違いますか?
違います。相互会社に株主はおらず、保険契約者が社員として社員総会(実務上は総代会)で議決権を行使します。剰余金の帰属先も社員のみです。
Q6配当がゼロでも違法ではないのですか?
違法ではありません。55条の2は剰余金を処分する場合の積立比率の下限を定める規定であり、配当額そのものを保証していないためです。剰余が出なければ分配の原資がありません。
Q7積立配当金はいつ受け取れますか?
受取方法は約款と契約時の選択によります。据置(積立)を選ぶと会社に留保され利息が付きます。受取時期や課税関係は約款と保険証券で確認してください。
Q8保険業法55条の2は株式会社の生保にも適用されますか?
適用されません。本条は相互会社の規定で、株式会社形態の保険会社の契約者配当は保険業法114条が公正かつ衡平な基準による分配を規律します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1生命保険の配当って、会社が儲かったら勝手に増えるものじゃないんですか?
増減の原資は決算の結果ですが、配り方は自由ではありません。本条第1項は、公正かつ衡平な分配のための基準として内閣府令が定める基準に従うことを義務づけています。実務では契約の種類や加入年度ごとの区分で、剰余への寄与に応じて配分されます。実務のポイント:同じ会社でも、古い予定利率の契約と最近の契約では配当が全く違います。自分の契約がどの区分かは証券と約款、分からなければコールセンターで確認できます
Q2配当がゼロの年ってあるんですか? それは違法じゃないんですか?
違法ではありません。本条は剰余金を処分する場合の積立比率の下限を定めるもので、配当額そのものを保証していないからです。剰余が出なければ分配の原資がありません。第4項でやむを得ない事情があれば下限を下回れますが、定款の定めと内閣総理大臣の認可(第5項)が必要です。実務のポイント:認可事項である以上、床割れは必ず当局の目に触れ、定款や公表資料に痕跡が残ります。過去の対応履歴は、その会社の姿勢を読む材料になります
Q3相互会社の「社員」って、株主みたいに何かできるんですか?
できます。社員は社員総会、実務上は定款で置かれる総代会(保険業法42条)を通じて議決権を行使します。第4項の下限割れに必要な定款変更も、その決議事項です。実務のポイント:数千万件の契約に対し総代は200名前後という規模感です。各社は総代候補者の選考手続を公表し、契約者からの意見を受け付ける枠を設けています。この人数を知っていると、意見を一通出す価値の相場観が変わります
Q4株式会社の生保と相互会社の生保、契約者としてはどっちが得なんですか?
形態だけでは決まりません。相互会社は剰余金の帰属先が社員のみですが、株式会社の契約者配当にも公正かつ衡平な基準の規制(保険業法114条)がかかります。実際の差は、有配当か無配当か、予定率と実績の差の方が大きく出ます。実務のポイント:営業現場で「相互会社だから配当が手厚い」と言われたら、その場で直近の剰余金処分案の数字を尋ねてください。答えられるかどうかで、担当者の練度も分かります
間違えやすい点 AI による整理
- 「配当が出る保険はお得か」という問いの立て方自体がずれている。契約者配当や社員への剰余金分配は、運用で儲かった分のボーナスというより、あらかじめ余裕をみて集めた保険料の事後精算という性格が強い。比べるべきは配当の有無ではなく、保険料と配当を通算した実質負担である
- 相互会社に株主がいないことは多くの人が知っている。だがその帰結の重さまでは知られていない。株主配当と契約者配当を配分する必要がない反面、株式発行による資本調達ができず、基金と内部留保が支払能力の生命線になる。だから毎期「積みすぎ」と「配りすぎ」の綱引きが起き、本条の比率の下限は、その綱引きの床板として置かれている
- 「比率の下限は府令で決まっているのだから、どの相互会社も同じ」ではない。下限は床であって上限ではなく、各社は定款でそれを上回る比率を定められる。同じ床の上でどこまで高く積むかは会社ごとの方針であり、定款と決算資料を突き合わせれば、その差は数字で見える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される会社形態 | 55条の2:相互会社(社員=保険契約者) | 55条:相互会社の準備金積立と分配の制限 114条:株式会社形態の保険会社の契約者配当 |
| 規律の中身 | 公正かつ衡平な分配基準+社員配当準備金の積立比率の下限 | 分配の前提となる準備金積立義務と分配可能額の制限 契約者配当を公正かつ衡平な基準により行う義務 |
| 下限を割るための手続 | 当該決算期限りの定款の定め(4項)+内閣総理大臣の認可(5項) | 条文所定の積立要件を満たさない分配は不可 府令の基準適合性が監督上審査される |
| 契約者が確認する場所 | 定款・総代会議案・剰余金処分案 | 貸借対照表の準備金項目 ディスクロージャー誌の契約者配当準備金 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には相互会社制度がなく、株式会社形態の保険会社が発行する参加保単紅利保険の紅利分配規制が最も近い。社員配当準備金の積立比率を法定するという発想は置かれていない
韓国法は日本の保険業法を強く参照しており、相互会社制度および配当保険契約の区分経理という枠組みを共有する。具体的な積立比率の規律は下位法令に委ねられている
ドイツは契約者の余剰参加(Überschussbeteiligung)を契約法側で正面から権利化する構成を採る。日本は組織法(定款と準備金積立義務)側から床を打つ構成で、規律の入り口が異なる
米国は州法レベルで相互生命保険会社の剰余分配を規律し、分配の公平性と剰余留保の上限規制を組み合わせる州がある。連邦統一法はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし加入している生保が「今期は社員配当準備金の繰入比率を下げたい」と判断したら、あなたはそれをどこで知るのか。答えは総代会の議案と決算資料である。第4項の例外は定款の定めを要し、第5項で内閣総理大臣の認可がなければ効力を生じない。つまり密室で完結できない構造になっており、痕跡は必ず表に出る
- あなたが保険会社の経理・企画の担当者で、決算が想定より悪化した。社内で「今期だけ準備金の積立を薄くしたい」という案が出る。ここで第4項と第5項を知らないままスケジュールを組むと、定款の定めと認可という二段階が日程に乗らず、期末の処分に間に合わない。逆算して動き出す日が、案の可否そのものを決める
- 親の生命保険を整理していた友人から、配当金が「積立配当金」として会社に置かれたままだと相談される。相互会社では、その原資が社員への分配のための準備金であり、積立の下限は法律側が握っている。据置のままか受け取るか、利息と課税の扱いを含めて説明できるかどうかで、その家の判断は変わる
- あなたが総代に選ばれている場合、議案書が届いてから総代会までは数週間しかない。定款一部変更の議案に、剰余金処分と準備金の繰入比率に触れる条項が紛れていることがある。読み飛ばして賛成すれば、数百万人の社員の取り分の床を下げる決議に、無言で加わったのと同じになる
- 保険の見直しを勧められ、「配当が出るからこちらがお得です」と言われた。相互会社の有配当契約なら、配当の金額そのものは不確実でも、剰余金を処分する際の積立の下限は法定である。この構造を知っている契約者は、営業トークではなく直近の決算資料で比較を始める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保険証券と約款で、有配当契約か、配当の計算区分と受取方法はどれかを確認する2. ディスクロージャー誌と決算資料で「剰余金処分案」と準備金の繰入額を前期と比較する3. 繰入比率が下がっていれば、当該決算期限りの定款の定め(第4項)と内閣総理大臣の認可(第5項)の有無を総代会議案と公表資料で確認する4. 疑問は会社の相談窓口へ書面で照会し回答を保存、納得できなければ生命保険協会の相談所や金融庁の窓口も使える
訴えられた側:1. 期末の剰余金処分案を組む前に、自社定款の該当条項と府令の比率を突き合わせる2. 下限を下回る案は、当該決算期限りの定款の定め、総代会(社員総会)の決議、内閣総理大臣の認可という三段構えになるため、逆算した日程を先に確定させる3.「決算の状況に照らしてやむを得ない事情」は説明責任を伴うので、根拠資料を同時進行で整える4. 第1項の公正かつ衡平な基準への適合も見られるため、契約群団ごとの寄与分の説明を用意しておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はないが、具体的な配当金の支払請求権が発生した後は一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年)が適用される。ただし約款が配当金の請求について独自の期間を定めている例があるため、自分の約款を確認すること(最新の改正状況をご確認ください)。実務で効くのは時効よりも手続の期限であり、第4項の定款の定めは当該決算期の剰余金処分に限って効力を持ち、認可もその処分に間に合う日程で取る必要がある
学説
通説的理解:相互会社には株主がなく株式による資本調達もできないため、支払能力の確保と契約者還元が同一の原資を奪い合う。本条2項・3項の積立比率の下限は、この綱引きにおける社員取り分の床板として機能し、4項・5項は例外を可視化する仕組みだと理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 改正:保険業法が全部改正され(平成7年法律第105号)、相互会社に関する組織法規定が現行の体系に整備された。本条が属する剰余金分配規制もこの体系の中に位置づけられている
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