保険業法 第96条(出資の履行)
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- 組織変更時発行株式の引受人(第九十二条第三号の財産(以下この款において「現物出資財産」という。)を給付する者を除く。)は、同条第四号の期日に、第九十三条第一項第三号の払込みの取扱いの場所において、それぞれの組織変更時発行株式の払込金額の全額を払い込まなければならない。
- 2.組織変更時発行株式の引受人(現物出資財産を給付する者に限る。)は、第九十二条第四号の期日に、それぞれの組織変更時発行株式の払込金額の全額に相当する現物出資財産を給付しなければならない。
- 3.組織変更時発行株式の引受人は、第一項の規定による払込み又は前項の規定による給付(以下この款において「出資の履行」という。)をする債務と組織変更をする相互会社に対する債権とを相殺することができない。
- 4.出資の履行をすることにより組織変更時発行株式の株主となる権利の譲渡は、組織変更後株式会社に対抗することができない。
- 5.組織変更時発行株式の引受人は、出資の履行をしないときは、当該出資の履行をすることにより組織変更時発行株式の株主となる権利を失う。
この条文の基本情報
出資の履行とは何ですか?
定義出資の履行とは、保険業法第96条に定められた規定で、「組織変更時発行株式の引受人(第九十二条第三号の財産(以下この款において「現物出資財産」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第96条(出資の履行)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第96条の条文原文は「組織変更時発行株式の引受人(第九十二条第三号の財産(以下この款において「現物出資財産」という。」で始まります。
- 保険業法第96条は第二款 相互会社から株式会社への組織変更に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第96条の前の条は保険業法第95条です。
- 保険業法第96条の次の条は保険業法第96条の2です。
- 保険業法第96条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第96条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第96条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/96
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法96条は、組織変更時発行株式の引受人が期日に払込金額の全額を払い込むべきことを定める。引受人からの相殺は禁止され、履行しなければ催告なく株主となる権利を失う。
Q · 保険業法96条の払込期日に間に合わなかったら、どうなるんですか?
期日に全額払い込まなければ、催告なく権利を失います
保険業法96条1項は、組織変更時発行株式の引受人が第92条第4号の期日に、第93条第1項第3号で通知された払込取扱場所において払込金額の全額を払い込むことを求めます。現物出資者は同額相当の財産を給付します(2項)。引受人からの相殺は禁止され(3項)、払込前の株主となる権利の譲渡は組織変更後株式会社に対抗できません(4項)。そして出資の履行をしないときは、催告も猶予期間もなく、株主となる権利を当然に失います(5項)。会社法208条とほぼ同じ設計で、狙いは資本の空洞化防止です。
解説
相互会社が株式会社へ姿を変えるとき、新しく発行される株式を引き受けた者には、逃げ道のない縛りが三重にかかる。第一に、第92条第4号の期日に、第93条第1項第3号で通知された払込取扱場所(指定された金融機関など)で、払込金額の全額を払い込む。分割払いも一部払いも履行にならない。第二に、あなたがその相互会社に対して貸付金などの債権を持っていても、払込債務と相殺することはできない(3項)。現金または財産が実際に動かない限り、払ったことにはならない。第三に、期日までに履行しなければ、催告も猶予もなく、株主となる権利そのものを失う(5項)。おまけに払込前の「株主となる権利」を第三者に売っても、組織変更後の株式会社には主張できない(4項)。会社法208条とほぼ同じ設計であり、狙いは一点、資本の空洞化を防ぐことである。
法的な位置づけ
保険業法96条は、相互会社の株式会社への組織変更に際して発行される組織変更時発行株式の出資の履行について定める規定である。金銭出資者は指定された払込取扱場所で払込金額の全額を払い込み、現物出資者は同額相当の財産を給付する。引受人からの相殺は禁止され、権利株の譲渡は会社に対抗できず、履行がなければ株主となる権利は当然に失われる。
手順
- 1.引受契約書を受け取った日に期日を特定する 契約書と第93条第1項第3号の通知書面から、第92条第4号の払込期日と払込取扱場所(金融機関・口座)を抜き出す。期日は唯一の期限であり、催告も猶予も条文上存在しないことを前提に日付を確定する
- 2.期日からの逆算スケジュール表を作る 期日を起点に、資金手当ての実行日、金融機関の大口振込受付締切時刻、現物出資であれば財産の移転手続と検査役の調査の所要期間を逆算して並べる。期日当日の午後に資金を動かす設計は、それ自体が失権リスクとして扱う
- 3.相殺による決済案を条文番号で断り、二本の資金移動に組み替える 相互会社に対する貸付金を払込債務と相殺する提案が出たら、96条3項を挙げて断る。貸付金の返済を受けてから払い込む二本の資金移動に分け、返済の理由と時期を独立に記録して短期間の資金往復が仮装払込と評価されないようにする
- 4.期日までに全額を払い込み、着金の証拠を残す 通知された払込取扱場所へ払込金額の全額を払い込む。一部払込は履行にならないため、分割での送金は行わない。着金日時が記録された振込明細や取引履歴を保存し、期日内の着金を後から立証できる状態にする
- 5.期日に届かない見込みなら期日前に条件を交渉する 全額をそろえられない見込みが立った時点で、期日前に引受株数の減少、引受契約の合意解除、募集事項の変更が可能か会社と協議する。失権後は交渉の土台自体が消えるため、動くのは必ず期日到来前とする
よくある質問 AI による整理
Q1組織変更時発行株式とは何ですか?
相互会社が株式会社へ組織変更する際に、新たに募集して発行される株式です。保険業法92条で募集事項が決定され、96条が引受人の出資の履行を規律します。契約者への割当てとは別の線です。
Q2保険業法の「出資の履行」とは何を指しますか?
96条3項の定義により、1項の払込み(金銭)と2項の給付(現物出資財産)の両方を指します。どちらも期日に全額でなければ履行と認められず、5項の失権につながります。
Q3保険業法96条と会社法208条の違いは何ですか?
規律内容はほぼ同一で、全額払込み・相殺禁止・権利株譲渡の対抗不能・失権の四点を共通して置きます。違いは適用場面で、96条は相互会社の組織変更時に限り、根拠条文を会社法で探しても見つかりません。
Q4現物出資で参加する場合、期日はいつですか?
金銭出資と同じ第92条第4号の期日です(96条2項)。所有権移転手続や検査役の調査が期日に間に合わなければ給付未了と判断される余地があり、他人のスケジュールが自分の失権リスクになります。
Q5相互会社が株式会社になる手続の流れは?
組織変更の決議、募集事項の決定(92条)、申込者への通知(93条)、割当て、出資の履行(96条)、組織変更の効力発生という順に進みます。社員(契約者)への割当ては別ルートで定められます。
Q6払込取扱場所とはどこですか?
会社が定め、第93条第1項第3号により申込者へ通知される金融機関などの場所です。指定外の口座へ振り込んでも履行と認められない可能性が高く、通知書面の口座情報の確認が必須です。
Q7組織変更時発行株式の株主になるのはいつですか?
出資の履行をした引受人が、組織変更の効力発生により株主となります。払込前の段階は「株主となる権利」にとどまり、その譲渡は組織変更後株式会社に対抗できません(96条4項)。
Q8保険業法96条に違反すると罰則はありますか?
96条自体は引受人への刑罰規定ではなく、制裁は5項の失権という私法上の効果です。ただし払込みを仮装する行為は、会社法上の預合い・見せ金の問題として別途責任が問われ得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1払込期日に、ほんの少しだけ足りなかったらどうなるんですか?
1項は全額の払込みを求めているため、一部払込では履行になりません。5項により引受株式の全部について株主となる権利を失います。払い込んだ分は返ってきますが、株式は一株も取得できません。実務のポイント:大口振込は金融機関の受付締切時刻を過ぎると翌営業日扱いになります。期日当日の午後に動かす設計は、それ自体が失権リスクです
Q2会社にお金を貸しているので、それで払込みを済ませられませんか?
3項が明文で禁じています。引受人からの相殺は会社に対抗できません。資本が実際には入っていないのに株式が発行される状態を防ぐ趣旨です。実務のポイント:会社側から相殺できるかは実務上、解釈が分かれています。現場では貸付金の返済を受けて別途払い込む二本の資金移動に組み替えますが、短期間の資金往復が見せ金と評価されないよう返済の根拠を残します
Q3払込前に、この引受権を他人に譲ってもいいんですか?
当事者間の譲渡が当然に無効というわけではありませんが、4項により組織変更後の株式会社に対抗できません。会社は譲受人を株主として扱う義務を負わず、株主名簿には引受人の名が載ります。実務のポイント:この場面で譲受人が実際に使う手段は、株式発行後の名義書換を前提にした譲渡予約か、払込資金の貸付と株式への担保設定です。権利株の売買として組むと必ず後で揉めます
Q4相互会社が株式会社になると、保険契約者の私はどうなるんですか?
組織変更の手続では社員(保険契約者)への割当てが別のルートで定められ、96条が規律するのは新たに株式を引き受ける者の払込みです。契約者の地位と外部投資家の払込みは、同じ組織変更の中の別の線です。実務のポイント:契約者への割当ては一定の基準日時点の契約状況で決まります。株式会社化のアナウンス後に解約すると割当ての対象から外れる可能性があるため、送られてくる手続書類の基準日は必ず確認してください
間違えやすい点 AI による整理
- 「払込みが遅れたら会社から催告が来るだろう」という前提でスケジュールを組む者がいるが、その問いの立て方そのものが誤っている。5項は期日の経過という事実だけで失権を発生させる。会社側に催告義務はなく、他に引受希望者がいる局面では会社が失権を歓迎することさえある。待つべき通知は存在しない
- 相殺禁止という結論は知られているが、その射程の深刻さが理解されていない。3項が明文で封じるのは引受人の側からの相殺であり、会社側から相殺できるかは実務上、解釈が分かれている。したがって「会社が同意してくれれば相殺で済む」という抜け道を前提に資金計画を立てるのは危険である
- 引受人から見れば払込みは「会社への支払」だが、法から見れば「将来の債権者と保険契約者に対する担保の拠出」である。この視点の落差が、期日に一切の融通がきかない理由を説明している。融通を認めれば、傷むのは会社ではなく保険金を待つ他人である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文が決めること | 保険業法96条:引受人の出資の履行(払込み・給付)と失権 | 保険業法92条:募集事項(払込期日・現物出資財産)の決定 保険業法93条:申込者への通知(払込取扱場所を含む) |
| 義務を負う主体 | 組織変更時発行株式の引受人 | 組織変更をする相互会社(意思決定側) 組織変更をする相互会社(通知義務者) |
| 期日との関係 | 期日に全額の履行を要求し、経過で当然に失権 | 期日そのものを設定する 期日と払込先を申込者に知らせる |
| 違反・不履行の効果 | 株主となる権利の喪失(5項)、相殺の対抗不能(3項) | 募集手続の瑕疵として組織変更手続の効力の問題 通知の欠缺により履行遅滞の帰責が争われる余地 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も株款の全額払込みを求めるが、失権には発起人による1か月以上の催告を要する点が日本と決定的に異なる。日本の96条5項は催告不要で当然失権
韓国商法も新株引受人の払込みを定め、会社の同意がない相殺を制限する。会社の同意という例外を明文で置く点が、日本の96条3項より柔軟
ドイツも出資義務の免除と相殺を禁じるが、失権(Kaduzierung)には期間を定めた催告手続を要する。日本の自動失権はドイツより引受人に厳しい設計
米国は州法ベースで、相互保険会社の株式会社化は州保険当局の認可と契約者への対価配分の審査が中心。払込みの相殺禁止は契約条項と州会社法に委ねられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 払込期日は明後日、しかし予定していた融資の実行が期日に届かない。相互会社への貸付金と相殺すれば足りると考えたなら、3項がその道を塞いでいる。現金が動かないまま期日を越えれば、引受人の地位は消える
- もし期日に払込金額の9割だけを振り込んだら、9割分の株式はもらえるのか。答えは否である。1項は全額の払込みを求めており、一部履行では5項の失権を免れない。振り込んだ9割は返ってくるが、株式は一株も残らない
- 所有する不動産を現物出資して株式を得る約束をした。だが2項が要求するのは期日における給付である。所有権移転の手続や検査役の調査が期日に間に合わなければ、給付未了と判断される余地がある。金銭出資者は振込一本で終わるのに、現物出資者は他人のスケジュールまで自分の失権リスクとして抱え込む
- 知人に「この引受権を譲る」と約束し、代金を先に受け取った。当事者間の合意としては成立しうるが、4項により組織変更後の株式会社には対抗できない。株主名簿にはあなたの名が載り、知人は会社に何も請求できない。揉めたとき矢面に立つのはあなたである
取るべき行動
被害を受けた側:失権を告げられたら、期日と実際の着金時刻を突き合わせる。第93条第1項第3号で通知された払込取扱場所に振り込んだか、着金日が期日内かを金融機関の記録で確認する。指定外の口座への入金は履行と認められない可能性が高い。一部払込で失権した場合、払い込んだ金銭は不当利得(民法703条)として返還を請求できる。返還が滞るなら遅延損害金も併せて請求する
訴えられた側:期日に全額をそろえられない見込みが立った時点で、期日前に引受株数の減少や引受契約の合意解除を交渉する。失権後は交渉の土台自体が消える。相殺を持ち出しても3項で封じられるため、会社に対する債権があるなら期日前に返済を受けて資金化する。現物出資の給付が間に合わない場合は、募集事項の変更手続が可能か会社と早期に協議する
時効(請求できる期限):第92条第4号の期日が唯一の期限であり、経過した瞬間に第5項で権利を失う。催告も猶予期間も条文上存在しない。失権後の払込金返還請求権に特定の時効はなく、一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:96条3項が明文で封じるのは引受人の側からの相殺であり、会社側からの相殺が可能かは解釈が分かれる。実務上は会社の同意による相殺決済を前提とした資金計画を立てるべきでないと理解されている
通説:96条は会社法208条に対応する規律を保険業法内に独立して置いたものであり、全額払込主義・相殺禁止・権利株譲渡の対抗不能・失権の四点は同一趣旨(資本充実)で解釈される
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