仲裁法 第20条(解任の申立て)
クイックジャンプ
- 当事者は、次に掲げる事由があるときは、裁判所に対し、仲裁人の解任の申立てをすることができる。この場合において、裁判所は、当該仲裁人にその申立てに係る事由があると認めるときは、当該仲裁人を解任する決定をしなければならない。
- 一仲裁人が法律上又は事実上その任務を遂行することができなくなったとき。
- 二前号の場合を除くほか、仲裁人がその任務の遂行を不当に遅滞させたとき。
この条文の基本情報
解任の申立てとは何ですか?
定義解任の申立てとは、仲裁法第20条に定められた規定で、「当事者は、次に掲げる事由があるときは、裁判所に対し、仲裁人の解任の申立てをすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第20条(解任の申立て)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第20条の条文原文は「当事者は、次に掲げる事由があるときは、裁判所に対し、仲裁人の解任の申立てをすることができる。」で始まります。
- 仲裁法第20条は第三章 仲裁人に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第20条の前の条は仲裁法第19条です。
- 仲裁法第20条の次の条は仲裁法第21条です。
- 仲裁法第20条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第20条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第20条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法20条は、仲裁人が任務を遂行できなくなったとき又は任務の遂行を不当に遅滞させたとき、当事者の申立てにより裁判所が仲裁人を解任する決定をしなければならないと定める。
Q · 仲裁人がいつまでも判断を出さないとき、裁判所に交代させてもらえるの?
不当な遅滞なら裁判所は必ず解任する。遅さだけでは不十分
仲裁法20条により、仲裁人が任務を遂行できなくなったとき(1号)、又は任務の遂行を不当に遅滞させたとき(2号)、当事者は裁判所に解任を申し立てられます。裁判所は事由を認めれば解任決定をしなければなりません。ただし2号は「不当」な遅滞が要件で、争点の複雑さや相手方の引延ばしが原因の遅れは不当と評価されにくいため、照会への無回答などの記録が重要です。解任後は22条により後任を選任します。
解説
仲裁を選んだ瞬間に裁判所とは縁が切れる、と信じている経営者は多い。だが仲裁法は、裁判所に「最後の監督役」の席を残している。そのひとつが本条だ。対象は二つの場合である。一つめは、仲裁人が法律上または事実上、任務を果たせなくなったとき(例:重い病気で長期間動けない)。二つめは、仲裁人が任務を不当に遅らせているとき(例:審問期日を入れない、判断書を何か月も書かない)。このどちらかなら、あなたは裁判所に仲裁人の解任を申し立てられる。しかも裁判所は、その事由があると認めれば解任「しなければならない」。裁判所の裁量で見逃す余地はない。ただし、遅いというだけでは足りない。争点が複雑だったり、相手方が引き延ばしたりして遅れた場合は「不当」と評価されにくい。だからこそ、遅れの原因が仲裁人自身にあると示せる記録を、今のうちから積み上げておく必要がある。
法的な位置づけ
仲裁法20条は仲裁人の解任を定める規定であり、仲裁人が法律上又は事実上その任務を遂行できなくなった場合、又は任務の遂行を不当に遅滞させた場合に、当事者の申立てにより裁判所が当該仲裁人を解任する決定をしなければならない旨を規定する。公正性・独立性を問う忌避(18条・19条)とは別の、職務遂行に関する是正手続である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.遅れの経過を時系列表にまとめる 最終書面の提出日、審問期日、仲裁人への照会日、回答の有無と期間を一覧にし、遅れの原因が仲裁人側にあることを示せる形に整理する
- 2.仲裁人と仲裁機関に書面で照会する 期日指定や判断書の見込み時期を書面で照会し、仲裁機関規則に交代手続があるか確認する。回答がなかった事実自体が証拠になる
- 3.辞任・合意解任の可能性を探る 仲裁人に辞任の機会を示し、相手方とは合意による解任(21条)と、後任選任後も既存記録を引き継ぐ旨の合意を協議する
- 4.管轄裁判所に解任を申し立てる それでも進まなければ、仲裁法5条の管轄裁判所に本条1号又は2号の事由を主張して解任を申し立てる。後任選任(22条)にかかる期間も見積もっておく
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁人の解任とは何ですか?
仲裁人が任務を遂行できない、又は任務を不当に遅らせている場合に、当事者の申立てを受けて裁判所が仲裁人をその地位から外す手続です(仲裁法20条)。
Q2仲裁人の解任申立てはどこの裁判所にすればいい?
仲裁法5条が定める管轄裁判所に申し立てます。仲裁地を管轄する地方裁判所が典型で、仲裁地が東京なら東京地方裁判所が監督役になります。
Q3仲裁人が病気で入院したら解任できる?
病気で事実上任務を遂行できない状態が続くなら、1号の事由に当たりうる。回復見込みや代わりの措置の有無も含めて裁判所が判断します。
Q4仲裁人の解任申立てに期限はある?
本条に申立て期限の定めはありません。ただし遅れを長く黙認すると、不当な遅滞ではなかったと評価されやすくなるため、早めの照会と記録が重要です。
Q5仲裁人を解任すると仲裁はどうなる?
仲裁人の任務が終了し(21条)、22条に従い後任を選任します。既存の審理をどこまで引き継ぐかは当事者の合意や仲裁廷の判断によります。
Q6仲裁人の解任は当事者の合意だけでもできる?
できます。当事者双方の合意による解任や仲裁人の辞任でも任務は終了します(21条)。裁判所への申立ては合意が得られないときの手段です。
Q7仲裁機関の規則で仲裁人を交代させられる?
多くの仲裁機関規則に独自の交代手続があります。機関の手続と仲裁法20条の裁判所による解任は別ルートで、どちらを先に使うかも戦略になります。
Q8仲裁人の解任申立ては違法な引き延ばしにならない?
本条は正当な是正手段です。ただし事由がないのに仕切り直しを狙って申し立てても、裁判所が事由を認めなければ解任されません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁人が全然判断を出してくれません。何か月遅れたら「不当な遅滞」になるんですか?
仲裁法20条2号は月数の基準を定めていない。裁判所は、争点の複雑さ、当事者の手続での態度、仲裁人の説明の有無などを総合して判断すると考えられ、実務上の目安はまだ確立していない。実務のポイント:決め手になるのは期間の長さより、照会したのに応答がなかったという記録だ。照会状を一通も出していない当事者は、何年待っていても「放置を容認していた」と見られかねない
Q2仲裁人を解任したら、それまでの審理は全部やり直しですか?
当然に全部が無効になるわけではない。後任の選び方は、22条により原則として当事者の合意で決まり、合意がなければ元の仲裁人と同じ選び方による。それまでの審理をどこまで引き継ぐかは、当事者の合意や仲裁廷の判断に委ねられる部分が大きい。実務のポイント:申し立てる前に相手方と「後任が決まった後も、既存の記録と証人尋問の結果をそのまま使う」と合意しておけば、交代のコストを大きく抑えられる
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁人が遅いなら、仲裁機関に苦情を言えば済む」という発想は、問いの立て方がずれている。多くの機関規則にある仲裁人の交代手続と、本条による裁判所の解任は別のルートだ。機関が動かないときに最後に残るのは本条である。どちらを先に使うかも戦略の一部になる
- 忌避(18条、19条)と解任(本条)は同じものだと思われがちだが、扱う問題が違う。忌避は公正さや独立性への疑いを扱い、解任は任務を果たせない、または遅らせているという職務遂行の問題を扱う。利益相反を理由に本条で申し立てても、筋違いになる
- 裁判所は事由を認めれば必ず解任する、という強さは知られている。だが、その代償の重さは知られていない。解任されれば後任の選任(22条)からやり直しになり、審理の一部を繰り返す時間と費用がかかりうる。解任は勝つための手段ではなく、損失を止めるための手段である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象とする問題 | 20条 解任:任務遂行不能・不当な遅滞(職務遂行の問題) | 18条・19条 忌避:公正性・独立性への疑い 21条 任務終了:辞任・合意解任・決定など終了事由の整理 |
| 誰が判断するか | 裁判所(事由があれば解任義務) | まず仲裁廷、次に裁判所への申立て 仲裁人本人の辞任や当事者の合意で足りる |
| 典型例 | 長期入院、判断書を何か月も出さない | 一方当事者との利害関係の不開示 自主的な辞任、当事者双方の合意 |
| 終了後の手当て | 22条により後任選任 | 22条により後任選任 22条により後任選任 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は裁判所による解任ではなく、仲裁判断の作成期間(原則6か月、延長3か月)を法定し、徒過すれば当事者が訴訟に移行できる仕組みで遅滞に対処する
モデル法を受容し、仲裁人が職務を遂行できない又は遅滞する場合に当事者が裁判所に権限終了を求められる点で日本と類似
モデル法14条を受容。仲裁人の辞任や当事者合意で終了しない場合、裁判所が任務終了を判断する構造で日本と同型
仲裁人の支障・不作為は当事者の合意、なければ支援裁判官(juge d'appui)が処理する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外メーカーとの代理店契約をめぐる紛争で、最終審問から14か月たった。単独仲裁人からは判断書の予定日すら示されない。契約の残り期間はあと6か月で、その間に相手方は後継の代理店と話を進めている。待つほど失うものが増えるこの局面で、本条2号の申立てが現実の選択肢になる
- 三人構成の仲裁廷で、相手方が選んだ仲裁人が重い病気で長期入院したら、どうなる? 本人が辞任しない限り、手続は宙に浮く。1号の「事実上任務を遂行できない」に当たるかどうかを、裁判所に判断させる道がある
- あなたの会社は被申立人で、仲裁は有利に進んでいる。そこへ相手方が「仲裁人が遅すぎる」として解任を申し立ててきた。狙いは仲裁人を交代させて仕切り直すことかもしれない。遅れの原因が相手方の度重なる書面提出の延期にあったなら、その経過表を出すことで「不当な遅滞」という主張は崩せる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 最終書面の提出日、照会した日、回答のない期間を時系列表にまとめる2. 仲裁人と仲裁機関に書面で進行の見込みを照会し、機関規則に交代手続があるか確認する3. 仲裁人の辞任や、当事者双方の合意による解任(21条)ができないか相手方と協議する4. それでも動かなければ、仲裁法5条の管轄裁判所に本条の申立てを行う。後任の選任(22条)にかかる時間も事前に見積もっておく
訴えられた側:1. 相手方の申立てが、仕切り直しや引き延ばしを狙ったものではないか見極める2. 遅れの原因が相手方による書面提出の延期や追加主張にあったことを、期日の記録とメールで立証する3. 争点の複雑さ、証拠の量、鑑定の必要性など、遅れの合理的な理由を整理する4. 仲裁人の病気が理由とされている場合は、回復の見込みと代わりの措置を確認し、任務を果たせない状態ではないことを示す
時効(請求できる期限):本条の申立てに特定の期限はない。ただし遅れを長く黙認すると、後になって「不当」ではなかったと評価されやすくなる。争っている請求権そのものには特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。なお、仲裁手続での請求には時効の完成猶予と更新の効力が認められている(仲裁法29条2項。最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年) 旧「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」に代わる仲裁法の制定に伴い新設された。UNCITRAL国際商事仲裁モデル法14条を参考にした規定とされる。令和5年(2023年)改正を含め、その後に本条の文言が変わったかどうかは人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律に代わる仲裁法の制定に伴い新設。UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法14条を参考にした規定とされる
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める