仲裁法 第18条(忌避の原因等)
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- 当事者は、仲裁人に次に掲げる事由があるときは、当該仲裁人を忌避することができる。
- 一当事者の合意により定められた仲裁人の要件を具備しないとき。
- 二仲裁人の公正性又は独立性を疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 2.仲裁人を選任し、又は当該仲裁人の選任について推薦その他これに類する関与をした当事者は、当該選任後に知った事由を忌避の原因とする場合に限り、当該仲裁人を忌避することができる。
- 3.仲裁人への就任の依頼を受けてその交渉に応じようとする者は、当該依頼をした者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実の全部を開示しなければならない。
- 4.仲裁人は、仲裁手続の進行中、当事者に対し、自己の公正性又は独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実(既に開示したものを除く。)の全部を遅滞なく開示しなければならない。
この条文の基本情報
忌避の原因等とは何ですか?
定義忌避の原因等とは、仲裁法第18条に定められた規定で、「当事者は、仲裁人に次に掲げる事由があるときは、当該仲裁人を忌避することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第18条(忌避の原因等)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第18条の条文原文は「当事者は、仲裁人に次に掲げる事由があるときは、当該仲裁人を忌避することができる。」で始まります。
- 仲裁法第18条は第三章 仲裁人に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第18条の前の条は仲裁法第17条です。
- 仲裁法第18条の次の条は仲裁法第19条です。
- 仲裁法第18条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第18条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第18条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/18
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法18条は、仲裁人に合意した要件の欠如や公正性・独立性を疑う相当な理由があるとき当事者が忌避できると定め、仲裁人に就任前から手続終了まで事実の開示義務を課す。
Q · 仲裁人が相手方と利害関係を持っていそうなとき、外してもらうことはできる?
相当な理由があれば、期限内の忌避申立てで外せる
仲裁法18条1項により、仲裁人の公正性または独立性を疑うに足りる相当な理由があれば、当事者は忌避できます。偏った判断が実際にあったことまでの証明は不要です。ただし、自分で選任した仲裁人については選任後に知った事由に限られます(同条2項)。当事者間に別段の合意がなければ、事由を知った日などから15日以内に仲裁廷へ申し立てる必要があり(19条)、仲裁人の開示義務違反は仲裁判断の取消事由にもなりえます。
解説
裁く人を自分たちで選べる。これが仲裁の最大の魅力であり、最大の弱点でもある。裁判官であれば国家が身分を保障し、民事訴訟法の除斥・忌避の仕組みで中立性を担保している。仲裁人は事情が違う。多くは弁護士や業界の専門家で、相手方やその代理人事務所と過去に仕事をしていても、外からは見えない。仲裁法18条は、この見えないつながりに二つの安全装置を付けた。一つは忌避(不公平な仲裁人を外すよう求める手続)で、当事者が合意した資格要件を欠くとき、または公正性・独立性を疑うに足りる相当な理由があるときに使える。もう一つは開示義務で、仲裁人候補は就任前に、就任後も手続が続く間ずっと、疑いを招くおそれのある事実を全部明かさなければならない。最高裁は平成29年、この開示を怠ったことが仲裁判断の取消事由になりうると判断した。だから、あなたが問うべきなのは「この仲裁人は公平か」ではない。「この仲裁人は何を開示し、何を開示していないか」である。
法的な位置づけ
仲裁法18条は、仲裁人の忌避事由と開示義務を定める規定である。当事者は、仲裁人が当事者の合意した要件を具備しないとき、または公正性・独立性を疑うに足りる相当な理由があるときに忌避できる。仲裁人を選任した当事者は選任後に知った事由に限られる。就任交渉に応じる者と仲裁人には、疑いを生じさせるおそれのある事実の全部の開示義務が課される。
手順
- 1.開示書面を受領当日に精査する 仲裁人候補・仲裁人から届いた開示書面と経歴を確認し、所属事務所、過去の選任歴、相手方やその関連会社・代理人との接点を検索する
- 2.書面で追加開示を照会する 疑わしい接点が見つかったら、仲裁人に対して具体的な事実関係を書面で照会し、回答と照会日時を記録に残す。後に未開示が判明した場合の重要な証拠になる
- 3.期限を確定させる 仲裁廷の構成を知った日と忌避事由を知った日のいずれか遅い日を起算点として15日の期限を算出する。機関仲裁の場合は、その機関規則上の期限と手続を優先して確認する
- 4.仲裁廷へ忌避申立書を提出する 忌避の原因となる事実と、18条1項1号または2号のどちらに当たるかを記載した申立書を仲裁廷へ提出する。自ら選任した仲裁人なら、選任後に知った事由であることも疎明する
- 5.不服なら30日以内に裁判所へ 仲裁廷が忌避を理由なしとした場合は、その通知を受けた日から30日以内に裁判所へ忌避の申立てを行う。仲裁手続は並行して進みうるため、異議は遅滞なく記録に残す
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁人の忌避とは何ですか?
不公平が疑われる仲裁人を手続から外すよう当事者が求める制度です。仲裁法18条が事由を、19条が申立ての手続と期限を定めています。
Q2仲裁人を忌避できるのはどんな場合?
当事者が合意した仲裁人の要件を欠くとき、または公正性・独立性を疑うに足りる相当な理由があるときの二つです(仲裁法18条1項)。
Q3仲裁人の忌避申立て いつまで?
別段の合意がなければ、仲裁廷の構成を知った日と忌避事由を知った日のいずれか遅い日から15日以内に仲裁廷へ申し立てます(19条2項)。
Q4仲裁人の開示義務の範囲はどこまで?
公正性・独立性に疑いを生じさせるおそれのある事実の全部です。最高裁は、合理的な調査で通常判明する事実も対象になりうるとしています。
Q5仲裁人の開示義務違反は違法?
仲裁法18条3項・4項の法定義務違反です。最決平成29年12月12日は、開示義務違反が仲裁判断の取消事由になりうると判断しました。
Q6忌避が仲裁廷に認められなかったらどうする?
忌避を理由なしとする決定の通知を受けた日から30日以内に、裁判所へ忌避の申立てをすることができます(仲裁法19条4項)。
Q7仲裁判断が出た後でも開示漏れを争える?
仲裁判断の取消しの申立てで争う余地があります。期限は仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内です(44条2項)。
Q8自分で選んだ仲裁人は忌避できる?
選任後に知った事由を原因とする場合に限り忌避できます(18条2項)。選任前から知っていた事情を後から持ち出すことはできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が選んだ仲裁人、相手の会社の元顧問弁護士だったんです。外せますか?
外せる可能性は高い。元顧問という関係は、18条1項2号の「公正性又は独立性を疑うに足りる相当な理由」の典型例である。ただし期限があり、合意がなければ知った日から15日以内に仲裁廷へ申し立てる必要がある(19条2項)。実務のポイント:国際実務では、IBA の利益相反ガイドラインが事実上の物差しとして参照され、関係の古さや深さによって赤・橙・緑に分類されている。申立書でこの分類を引くと説得力が増す
Q2自分で選んだ仲裁人なのに、途中から相手寄りに見えてきました。忌避できますか?
18条2項により、選任した当事者が忌避できるのは選任後に知った事由がある場合に限られる。判断の傾向が相手寄りに見えるというだけでは「相当な理由」にはなりにくく、新たに判明した利害関係などの事実が必要だ。実務のポイント:審理中の進め方への不満は、忌避ではなく、取消事由(44条)を見据えた異議として遅滞なく記録に残すのが定石である。黙っていると27条で異議権を失いかねない
Q3仲裁人が開示していなかったことが、判断が出た後で分かりました。もう手遅れですか?
手遅れとは限らない。最決平成29.12.12は、18条4項の開示義務違反が、仲裁廷の構成または仲裁手続が日本の法令に違反するものとして取消事由(44条1項6号)になりうると判断した。ただし、取消しの申立ては通知から3か月以内に限られる。実務のポイント:同決定は、仲裁人本人が認識していなくても、通常の調査で判明する事実であれば開示義務違反になりうるとした。相手方仲裁人の事務所の案件履歴を洗う価値は、ここにある
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁人は中立のプロだから、こちらが心配することはない」と思いがちだが、実際は違う。当事者が指名する仲裁人には、指名した側の主張に理解を示しそうな人物が選ばれやすいと実務では指摘されている。18条が求めているのは完全な無色ではない。疑いを生む事実を開示させ、相当な理由があれば排除する、という手続である。中立は自然に生まれるものではなく、手続で確保するものだ
- 「仲裁人が実際に偏った判断をしたこと」を証明しようとする人がいるが、問いの立て方がそもそも誤っている。18条1項2号の基準は「疑うに足りる相当な理由」であり、偏りが現実にあったことの証明までは求められていない。客観的に見て疑いを生む関係があれば足りる。偏向の心証を探すより、利害関係の事実を集める方が早い
- 開示義務の存在は知っていても、その範囲の広さを知る人は少ない。最決平成29.12.12は、仲裁人が自分で認識していた事実に限らず、合理的な範囲の調査で通常判明する事実も開示の対象になりうるとした。所属事務所のコンフリクトチェック(利益相反の確認)を怠ったうえでの「知らなかった」は、言い訳にならないおそれがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 仲裁法18条:公正性・独立性を欠く仲裁人の排除と開示義務 | 仲裁法19条:忌避の申立て手続と期限 仲裁法20条:任務を遂行できない仲裁人の解任 |
| 発動の要件 | 合意した要件の不具備、または公正性・独立性を疑うに足りる相当な理由 | 18条の忌避事由があることが前提 法律上・事実上任務を遂行できない、または任務遂行を不当に遅滞したこと |
| 申立先と期限 | 期限は定めず、19条に委ねる | 仲裁廷へ15日以内、却下されたら裁判所へ30日以内(別段の合意がない場合) 裁判所への解任の申立て |
| 仲裁判断後の受け皿 | 開示義務違反は44条1項6号の取消事由になりうる | 期限徒過は27条の異議権喪失につながるおそれ 手続の不当な遅滞は解任で対処し、取消しとは別系統 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も仲裁人に利害関係の告知義務を課し、当事者に迴避請求を認める。日本と同じく開示と排除の二段構えである。
韓国もモデル法を継受し、公正性・独立性を疑う事由の高知義務と、合意要件を欠く場合等の기피を定める。
ドイツもモデル法12条をほぼそのまま採用し、開示義務(Offenlegungspflicht)と忌避事由を定める。
米国は事前の忌避よりも、仲裁判断後に evident partiality を理由とする取消しで争う構造が中心である。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- JCAA の仲裁で、相手方が選んだ仲裁人の経歴を調べたところ、相手の代理人事務所に十年前まで在籍していたと分かった。開示書面には一言も書かれていない。当事者間で手続を別に定めていなければ、知った日から15日以内に忌避申立書を出さなければならない(19条2項)。迷っているうちに、争う機会は日ごとに細っていく
- 業界の専門家として仲裁人への就任を打診された。三年前、申立人の子会社から技術顧問料を一度だけ受け取っている。「昔の小さな話」として黙って就任すれば、後でそれが発覚したとき、あなたの下した判断そのものが取り消されかねない。開示するかどうか選べる話ではない。全部開示するのが18条3項の義務である
- 自分で選んだ仲裁人が、審理の途中から相手方に有利な発言ばかりするようになったら、忌避できるのか? 18条2項は、選任した当事者自身による忌避を「選任後に知った事由」に限っている。選ぶ前から知っていた人脈を、後になって持ち出すことはできない
- 仲裁人が手続の途中で、相手方の親会社と新たに顧問契約を結んだ。開示はない。4項違反の典型である
- 海外企業との契約に仲裁条項があり、仲裁地は東京。相手が指名した外国人仲裁人が、相手国の業界団体の理事を務めていると判明した。仲裁地が日本なら日本の仲裁法が適用されるので、外国人仲裁人にも同じ開示義務がかかる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方が指名した仲裁人と第三仲裁人の開示書面を精査し、経歴、所属事務所、過去の選任歴を検索する2. 疑わしい関係が見つかったら、まず書面で追加開示を求め、やり取りを記録に残す3. 当事者間に別段の合意がなければ、忌避の原因を記載した申立書を期限内に仲裁廷へ提出する(19条) 4. 認められなかった場合は、通知から30日以内に裁判所へ申し立てる5. 機関仲裁なら、その機関の規則上の期限を最優先で確認する
訴えられた側:仲裁人候補の立場なら、打診を受けた段階で所属組織全体のコンフリクトチェックを行い、疑いを招くおそれのある事実は軽重を問わず全部書面で開示する。迷う事実ほど開示する方が安全だ。就任後に新たな関係が生じたら、遅滞なく追加で開示する(4項)。仲裁人を選任した当事者の立場なら、事由が「相当な理由」に当たらないこと、申立人が期限を過ぎていること、申立人自身が選任に関与し選任前から事由を知っていたこと(2項)を反論の軸にする
時効(請求できる期限):当事者間に別段の合意がない場合、仲裁廷が構成されたことを知った日と忌避事由を知った日のいずれか遅い日から15日以内に、仲裁廷へ申し立てる(19条2項)。仲裁廷が忌避を理由なしとしたときは、その通知を受けた日から30日以内に裁判所へ申し立てることができる(同条4項)。仲裁判断の後に未開示の事実を理由に争う場合、取消しの申立ては仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内(44条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:18条1項2号の「相当な理由」は、仲裁人の内心の偏りではなく、合理的な第三者から見て公正性・独立性に疑いを抱かせる客観的事情の有無で判断される。国際実務では IBA の利益相反ガイドラインが参照されることが多い。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年) 旧「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」に代わる仲裁法の制定により新設された。UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法12条を下敷きに、忌避事由と開示義務を明文化した
- 令和5年(2023年)改正 暫定保全措置の執行などを整備する仲裁法の改正が行われた。本条の文言に変更があったかは人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:旧「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」に代わる仲裁法の制定により新設された。UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法12条にならい、忌避事由と開示義務を明文化した。
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