仲裁法 第27条(異議権の放棄)
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仲裁手続においては、当事者は、この法律の規定又は当事者間の合意により定められた仲裁手続の準則(いずれも公の秩序に関しないものに限る。)が遵守されていないことを知りながら、遅滞なく(異議を述べるべき期限についての定めがある場合にあっては、当該期限までに)異議を述べないときは、当事者間に別段の合意がない限り、異議を述べる権利を放棄したものとみなす。
この条文の基本情報
異議権の放棄とは何ですか?
定義異議権の放棄とは、仲裁法第27条に定められた規定で、「仲裁手続においては、当事者は、この法律の規定又は当事者間の合意により定められた仲裁手続の準則(いずれも公の秩序に関しないものに限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第27条(異議権の放棄)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第27条の条文原文は「仲裁手続においては、当事者は、この法律の規定又は当事者間の合意により定められた仲裁手続の準則(いずれも公の秩序に関しないものに限る。」で始まります。
- 仲裁法第27条は第五章 仲裁手続の開始及び仲裁手続における審理に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第27条の前の条は仲裁法第26条です。
- 仲裁法第27条の次の条は仲裁法第28条です。
- 仲裁法第27条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第27条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第27条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法27条は、公の秩序に関しない手続準則の違反を知りながら遅滞なく異議を述べない当事者は、別段の合意がない限り異議権を放棄したものとみなすと定める。
Q · 仲裁で手続違反に気付いたのに黙っていたら、あとで仲裁判断の取消しを求められる?
原則できない。知りながら黙っていれば異議権は放棄とみなされる
仲裁法27条により、公の秩序に関しない手続規定や合意された準則の違反を知りながら、遅滞なく(期限の定めがあればその期限までに)異議を述べなかった当事者は、異議を述べる権利を放棄したものとみなされます。そのため仲裁判断の取消し(44条)の段階で同じ違反を持ち出しても、原則として通りません。ただし当事者の平等や十分な防御機会(25条)など公の秩序に関する規律の違反は放棄の対象外です。
解説
仲裁で手続違反に気付きながら黙っていると、その黙っていたこと自体が「異議権の放棄」とみなされる。仲裁法27条の中身はこれである。仲裁人が合意と違う言語で審理を進めた、約束した期限より短い期限で書面を出させられた、合意した証拠開示の方法が守られなかった。違反に気付いたのに「あとで仲裁判断が不利だったら取消しを申し立てればいい」と様子を見るのが、いちばん危ない選択になる。違反を知りながら遅滞なく異議を述べなければ、その違反は後から持ち出せない。実務上、仲裁判断の取消し(44条)や執行決定への反論の場面でも、原則として主張できないと解されている。救いもある。当事者の平等な取扱いや、主張を説明する十分な機会(25条)のような「公の秩序に関する」ルールは、黙っていても放棄したことにはならない。つまり手続違反は二種類ある。黙っていると消える違反と、黙っていても消えない違反だ。その線引きを知っているかどうかで、仲裁の終盤に使える手札の枚数が変わる。
法的な位置づけ
仲裁法27条は異議権の放棄を定める規定であり、当事者が仲裁法の任意規定または当事者間で合意された仲裁手続の準則の違反を知りながら、遅滞なく、または定められた期限までに異議を述べない場合、当事者間に別段の合意がない限り、異議を述べる権利を放棄したものとみなす。公の秩序に関する規定の違反は対象外とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.違反の種類と異議期限を確認する 違和感を覚えた進行が、仲裁合意・仲裁規則・仲裁法の任意規定のどれに反するかを特定し、仲裁規則や合意に異議の期限が定められていないかを確認する。公の秩序に関する違反(25条)かどうかもあわせて判断する
- 2.その場で議事録に異議を残す 審問期日中に違反が生じた場合は、その場で異議を述べ、議事録または調書に記載するよう仲裁廷に求める
- 3.書面で異議を提出する 当日中を目安に、違反の内容、根拠となる合意または条文、異議を留保する旨を明記した書面を仲裁廷と相手方に送付する。「異議を留保した上で手続に協力する」と書き添え、対立姿勢を避ける
- 4.記録を保管し取消し申立てに備える 仲裁廷が是正しなくても手続には参加を続け、異議書面・送付記録・議事録を保管する。不利な仲裁判断が出た場合、判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内に取消し申立て(44条)を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1異議権の放棄とは何ですか?
仲裁手続の違反を知りながら遅滞なく異議を述べない当事者が、その違反を後から争う権利を失う制度です。仲裁法27条が根拠です。
Q2仲裁 手続違反 異議 いつまでに出す?
仲裁規則や合意に期限があればその期限まで、なければ違反を知ってから「遅滞なく」です。日数の定めはなく、次の期日を待たずに出すのが安全です。
Q3仲裁判断の取消しで手続違反を主張できる?
違反を知りながら異議を述べていなければ、27条により放棄とみなされ、取消し申立て(44条)で主張しても原則として認められません。
Q4異議権の放棄が適用されない違反はある?
あります。公の秩序に関する規定、たとえば当事者の平等な取扱いや主張を説明する十分な機会(25条)の違反は、黙っていても放棄されません。
Q5異議を述べたあと仲裁手続に参加を続けても大丈夫?
大丈夫です。異議を留保した旨を書面に残しておけば、手続に協力して参加を続けても、27条の放棄とはみなされにくくなります。
Q6異議権の放棄を合意で排除できる?
できます。27条は「当事者間に別段の合意がない限り」と定めているため、当事者が合意すれば放棄みなしの扱いを変えることが可能です。
Q7手続違反に気付かなかった場合も放棄になる?
27条は違反を「知りながら」異議を述べない場合に限るため、違反を知らなかった当事者には原則として適用されません。
Q8仲裁の異議は口頭でもいい?
条文上は方式の定めはありませんが、後の取消し申立てで立証できるよう、議事録への記載や書面での提出が実務上の基本です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「遅滞なく」って、具体的に何日以内なんですか?
仲裁法27条は日数を定めていない。仲裁規則や合意で期限が決まっていればそれに従い、なければ事案ごとに判断される。実務上は、次の書面提出や期日まで待たずに異議を出すのが安全とされている。実務のポイント:仲裁人は異議が出たタイミングも見ている。違反の直後に出された異議は真剣な主張と受け取られ、不利な判断が出たあとに持ち出された主張は後付けとみなされやすい
Q2異議を出したら仲裁人の心証が悪くなりませんか?
丁寧な文面で根拠を示せば、心証を損ねることはまずない。むしろ仲裁人は、手続の瑕疵を理由に仲裁判断が取り消される事態を避けたいので(44条)、早い段階の指摘はありがたい面もある。実務のポイント:経験のある仲裁代理人は「異議を留保した上で手続に協力する」と書き添える。仲裁人と対立する姿勢を見せずに、27条による放棄だけを防ぐ定番の書き方である
間違えやすい点 AI による整理
- 「手続違反があれば、仲裁判断が出たあとでまとめて取消しを申し立てればいい」と考えがちだが、順番が逆である。違反を知りながら遅滞なく異議を述べなかった時点で27条により放棄とみなされ、取消し段階で持ち出しても原則として通らない。異議は「その場で」出すものであって、あとから取り出す保険ではない
- 「黙っていたら全部放棄になる」と怖がりすぎるのも誤りである。27条の対象は「公の秩序に関しない」規定や準則に限られる。当事者を平等に扱うことや、主張を説明する十分な機会を与えること(25条)のような根本ルールは、黙っていても放棄されない。何でも即座に異議を出すべきか、と悩む前に、その違反がどちらの種類なのかを先に問うべきである
- 当事者から見ると、異議を出すのは仲裁人に盾突くようで気まずい。だが法律から見ると、黙っていることは「この手続でかまわない」という同意の意思表示に近い扱いを受ける。気まずさを避けたつもりの沈黙が、後で書面上の「同意」として相手方に使われる。この落差が致命傷になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 仲裁法27条:任意規定・合意準則の違反に異議を述べないと異議権を放棄したとみなす | 仲裁法25条:当事者の平等な取扱いと十分な防御機会の保障 仲裁法44条:裁判所による仲裁判断の取消し |
| 沈黙による失権 | あり(知りながら遅滞なく異議を述べない場合) | なし(公の秩序に関する規律で放棄の対象外) 27条で放棄された違反は原則として取消し事由として主張できない |
| 時間的制限 | 遅滞なく、または定められた期限まで | 固有の期限なし 判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も、当事者が手続違反を知りまたは知り得たのに手続を続けた場合は異議を述べられないとする。異議は仲裁廷が判断する
韓国もモデル法4条に倣い、違反を知りながら遅滞なく異議を述べない当事者の異議申立権の喪失を定める
ドイツも、任意規定または合意された手続要件の違反を遅滞なく異議しなければ、後に主張できないとする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 仲裁合意では審理を日本語で行うと決めていたのに、仲裁廷が英語の書面提出を指示してきた。翻訳費用はかさむが、相手方とも揉めたくないので黙って従った。半年後に不利な仲裁判断が出てから「言語の合意違反だった」と取消しを申し立てても、27条の放棄が立ちはだかる
- 相手方の代理人として審問に出ていたら、仲裁人が合意済みの準則と違う順番で証人尋問を進めた。こちらに不利な進行だったので、その場で議事録に異議を残させた。この一言がなければ、のちの取消し申立てで武器にならなかった
- 期日の通知が届いたのは期日の3日前。異議を出すなら今日中である。仲裁規則に異議の期限が定められていれば、その期限を一日でも過ぎた時点で27条の「放棄」が成立しうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手続違反に気付いたら、まず仲裁合意と仲裁規則で異議の期限が定められていないか確認する2. 違反が合意の準則や仲裁法の任意規定に関するものなら、当日中に書面で異議を出し、仲裁廷と相手方に送付する3. 異議の文面に「違反の内容」「根拠となる合意または条文」「異議を留保する旨」を明記する4. 仲裁廷が是正しなくても手続には参加を続け、記録を保管する。取消し申立て(44条)の材料になる
訴えられた側:1. 相手方が仲裁判断後に手続違反を理由に取消しを求めてきたら、まず相手方が違反を知った時期と、異議を出していたかを記録で確認する2. 異議の記録がなければ、27条による放棄を主張する3. ただし相手方が主張する違反が当事者平等や防御機会(25条)のような公の秩序に関するものなら、放棄の主張は通りにくい。その場合は違反の事実自体を争う4. 審理中から、相手方の異議の有無を議事録で確認しておく
時効(請求できる期限):異議は違反を知ってから「遅滞なく」述べる必要がある。仲裁規則や当事者の合意で異議の期限が定められている場合は、その期限まで。仲裁判断の取消し申立ては、仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内(44条2項)。仲裁人の忌避は、仲裁廷の構成または忌避事由を知った日のいずれか遅い日から15日以内(19条3項)。いずれも最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:27条は、不利な結果が出てから手続違反を持ち出す後出しの主張を封じ、仲裁の迅速性と終局性を確保する趣旨の規定とされる。公の秩序に関する規律は当事者の処分になじまないため、放棄の対象から除外される
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法4条を参考に、異議権の放棄規定として仲裁法の制定とともに設けられた(平成16年3月1日施行)。令和5年(2023年)の仲裁法改正が本条の文言や条番号に影響したかは人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法4条を参考に、仲裁法の制定とともに異議権の放棄規定として新設(平成16年3月1日施行)
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