仲裁法 第45条(仲裁判断の承認)
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- 仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。以下この章において同じ。)は、確定判決と同一の効力を有する。ただし、当該仲裁判断に基づく民事執行をするには、次条の規定による執行決定がなければならない。
- 2.前項の規定は、次に掲げる事由のいずれかがある場合(第一号から第七号までに掲げる事由にあっては、当事者のいずれかが当該事由の存在を証明した場合に限る。)には、適用しない。
- 一仲裁合意が、当事者の行為能力の制限により、その効力を有しないこと。
- 二仲裁合意が、当事者が合意により仲裁合意に適用すべきものとして指定した法令(当該指定がないときは、仲裁地が属する国の法令)によれば、当事者の行為能力の制限以外の事由により、その効力を有しないこと。
- 三当事者が、仲裁人の選任手続又は仲裁手続において、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)により必要とされる通知を受けなかったこと。
- 四当事者が、仲裁手続において防御することが不可能であったこと。
- 五仲裁判断が、仲裁合意又は仲裁手続における申立ての範囲を超える事項に関する判断を含むものであること。
- 六仲裁廷の構成又は仲裁手続が、仲裁地が属する国の法令の規定(その法令の公の秩序に関しない規定に関する事項について当事者間に合意があるときは、当該合意)に違反するものであったこと。
- 七仲裁地が属する国(仲裁手続に適用された法令が仲裁地が属する国以外の国の法令である場合にあっては、当該国)の法令によれば、仲裁判断が確定していないこと、又は仲裁判断がその国の裁判機関により取り消され、若しくは効力を停止されたこと。
- 八仲裁手続における申立てが、日本の法令によれば、仲裁合意の対象とすることができない紛争に関するものであること。
- 九仲裁判断の内容が、日本における公の秩序又は善良の風俗に反すること。
- 3.前項第五号に掲げる事由がある場合において、当該仲裁判断から同号に規定する事項に関する部分を区分することができるときは、当該部分及び当該仲裁判断のその他の部分をそれぞれ独立した仲裁判断とみなして、同項の規定を適用する。
この条文の基本情報
仲裁判断の承認とは何ですか?
定義仲裁判断の承認とは、仲裁法第45条に定められた規定で、「仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第45条(仲裁判断の承認)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第45条の条文原文は「仲裁判断(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。」で始まります。
- 仲裁法第45条は第八章 仲裁判断の承認及び執行決定等に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第45条の前の条は仲裁法第44条です。
- 仲裁法第45条の次の条は仲裁法第46条です。
- 仲裁法第45条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第45条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第45条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/45
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法45条は、仲裁地が国内外を問わず仲裁判断に確定判決と同一の効力を認める。ただし民事執行には次条の執行決定が必要で、九つの事由があれば効力は否定される。
Q · 仲裁で負けたら、日本の裁判所で判断の中身をやり直してもらえる?
原則できない。争えるのは手続違反と公序など九つの事由だけ
仲裁法45条1項により、仲裁判断は仲裁地が国内か外国かを問わず確定判決と同一の効力を持ちます。日本の裁判所は判断内容の当否を審査し直しません。効力を否定できるのは、同条2項の九つの事由(仲裁合意の無効、通知の欠如、防御不能、申立範囲の逸脱、手続違反、未確定・取消し、仲裁不能な紛争、公序良俗違反)がある場合に限られ、一号から七号は拒む側が証明しなければなりません。強制執行には46条の執行決定が別途必要です。
解説
裁判所の判決には控訴がある。仲裁判断には、それがない。仲裁法45条1項は、仲裁判断に「確定判決と同一の効力」を与える。仲裁地がシンガポールでもロンドンでも扱いは同じだ。契約書の片隅にある仲裁条項にサインした時点で、あなたは三審制を自分から手放している。負けた側には、判断の中身を争う道がない。争えるのは2項が並べる九つの事由に限られる。たとえば、仲裁人の選任について通知が届かなかった、防御の機会がなかった、申し立てていない事項まで判断された、日本の公序良俗に反する、といったものだ。しかも一号から七号は、承認を拒みたい側が自分で証明しなければならない。「仲裁人の事実認定がおかしい」という主張は、日本の裁判所では理由にならない。逆に、勝った側も安心はできない。判断書を手にしただけでは相手の預金を一円も差し押さえられない。次条の執行決定(強制執行してよいと裁判所が認める決定)を得て、初めて相手の財産に手が届く。
法的な位置づけ
仲裁法45条は仲裁判断の承認を定める規定であり、仲裁地の内外を問わず仲裁判断に確定判決と同一の効力を付与する。民事執行には46条の執行決定を要し、仲裁合意の無効、通知の欠如、防御不能、申立範囲の逸脱、手続違反、未確定・取消し、仲裁不能性、公序良俗違反の九事由がある場合には効力が否定される。
手順
- 1.仲裁判断書の受領日を記録し期限を管理する 仲裁判断書の写しを受け取った日を記録する。仲裁地が日本なら、取消申立ての3か月期限(44条2項)を直ちに社内カレンダーに登録する。勝訴側は執行の準備を同時に始める
- 2.仲裁記録から手続の経緯を洗い出す 仲裁人選任の通知、審問期日の通知、主張・証拠提出の機会、仲裁人の開示内容を時系列で整理し、45条2項各号に該当しうる事実を特定する
- 3.主張を手続の欠陥と公序に絞り込む 損害額や事実認定の当否は審査されないため主張から外す。2項各号の事由ごとに立証材料を対応させ、一号から七号は自ら証明する前提で書証を準備する
- 4.勝訴側は保全と執行決定を並行して進める 相手方の日本国内資産を調査し、資産逃避の恐れがあれば仮差押えを先行させる(15条)。そのうえで地方裁判所に執行決定を申し立てる(46条)
- 5.執行決定確定後に強制執行を申し立てる 執行決定が確定したら債務名義(民事執行法22条6号の2)として、預金・売掛金などの差押えを申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁判断の承認とは何ですか?
仲裁判断に国家が確定判決と同じ効力を認めることです。仲裁法45条が根拠で、仲裁地が外国でも同じ扱いになります。
Q2外国の仲裁判断は日本で強制執行できる?
できます。仲裁法45条で効力が認められ、46条の執行決定を得れば、債務名義として日本国内の財産を差し押さえられます。
Q3仲裁判断の承認拒絶事由はいくつある?
仲裁法45条2項に九つ列挙されています。仲裁合意の無効、通知の欠如、防御不能、申立範囲の逸脱、手続違反、未確定、仲裁不能性、公序違反などです。
Q4仲裁判断の公序良俗違反はどんなとき認められる?
日本法なら結論が違うというだけでは足りず、日本の法秩序の基本原則に反する程度が必要と一般に解されています。認められるハードルは高めです。
Q5仲裁判断の一部だけ承認を拒否できる?
できます。申立範囲を超えた部分(2項5号)を区分できるときは、その部分だけを独立した仲裁判断とみなして承認を拒めます(45条3項)。
Q6仲裁判断に既判力はある?
あります。仲裁法45条1項が確定判決と同一の効力を認めるため、同じ紛争を裁判所で蒸し返すことは原則としてできません。
Q7仲裁判断の承認拒絶事由は誰が証明する?
一号から七号は承認を拒みたい当事者が証明する必要があります。八号(仲裁不能性)と九号(公序良俗)は裁判所が職権でも判断できます。
Q8仲裁判断の執行決定の申立てに期限はある?
執行決定の申立て自体に法定期限はありません。ただし資産移転のリスクや権利の消滅時効を考えると、早めの申立てが実務上は重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁で負けたんですけど、日本の裁判所でもう一回争えますか?
中身をやり直すことはできない。争えるのは、45条2項の九つの事由による承認の拒否と、仲裁地が日本の場合の取消し(44条)だけである。実務のポイント:現実に最も効くのは、仲裁人の利益相反を事後に掘ることだ。開示されなかった関係が見つかれば手続違反として争える(最決平成29.12.12)。仲裁人の経歴と所属事務所の案件の洗い出しは、真っ先に手を付ける価値がある
Q2海外で勝った仲裁判断を、日本の相手の財産に執行するには何が要りますか?
裁判所の執行決定(46条)が必要である。それが確定すると債務名義になり、差押えができる(民事執行法22条6号の2)。実務のポイント:執行決定の審理には時間がかかり、その間に相手が預金を移すことがある。仲裁合意があっても保全処分は申し立てられる(15条)。相手の口座を特定したうえで、仮差押えを先に打つのが回収の分かれ目になる
Q3ネット通販の利用規約に仲裁条項があったら、もう裁判できないんですか?
消費者と事業者との間の仲裁合意なら、消費者は原則として解除できる(仲裁法附則3条)。解除すれば、通常の裁判所で争う道が戻る。実務のポイント:この附則の存在は、約款を作る事業者側の担当者ですら知らないことが多い。仲裁を持ち出されたら、まず解除の意思表示を書面で残す。それだけで交渉の力関係が変わる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 仲裁は裁判より柔らかい「話し合いの延長」だと思われがちだが、実態は逆である。結論は確定判決と同じ拘束力を持ち、上訴は一切できない。一回勝負という意味では、裁判よりはるかに厳しい
- 「この仲裁判断は間違っているのではないか」という問いは、立て方そのものが的外れである。日本の裁判所は判断の中身が正しいかどうかを審査し直さない(実質的再審査の禁止)。問うべきは「九つの事由のどれかに当たる手続上の欠陥があったか」の一点だ
- あなたから見れば、海外子会社が海外で負けた仲裁は「外国の話」にすぎない。だが法律から見れば、仲裁地がどこであっても日本の確定判決と同じ効力を持つ。執行決定を経れば、日本の本社の預金差押えに直結しうる。この落差が、経営判断を一気に狂わせる
- 公序良俗違反(9号)が最後の切り札であることは知られているが、そのハードルの高さは知られていない。「日本法なら別の結論になる」というだけでは足りない。日本の法秩序の基本原則に反する程度が求められる、というのが一般的な理解である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 役割 | 仲裁法45条:仲裁判断の効力(承認)と拒絶事由 | 仲裁法44条:日本が仲裁地の仲裁判断の取消し 仲裁法46条:執行決定の手続 |
| 対象となる仲裁判断 | 仲裁地を問わない(国内・外国とも) | 仲裁地が日本国内のものに限る 仲裁地を問わない |
| 期限 | 承認自体に期限なし | 判断書写しの通知受領から3か月以内かつ執行決定確定前 申立てに法定期限なし |
| 効果 | 事由がなければ確定判決と同一の効力 | 取消しにより仲裁判断の効力が失われる 確定すると債務名義となり強制執行が可能 |
他国ではどう定めているか 6 か国
国内仲裁判断に確定判決と同一の効力を認め、外国仲裁判断は裁判所の承認を経て執行する二元構造。日本は仲裁地を問わず一元的に扱う点が異なる
国内判断と外国判断(ニューヨーク条約適用)で承認・執行の規定を分けている
国内裁決は作成日から効力を生じ、外国仲裁判断はニューヨーク条約に基づき人民法院が承認する
モデル法採用国として日本と構造が近い。外国仲裁判断は§1061でニューヨーク条約に従う
国際仲裁ではexequaturの付与が緩やかで、承認を争う事由も限定的な仲裁友好的な制度
ニューヨーク条約を連邦法で実施し、拒絶事由は条約5条に限定される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの会社がシンガポールの仲裁で敗れ、相手方が東京地裁に執行決定を申し立ててきた。社内では「損害額の算定が明らかに過大だ」という声が上がっている。だがその主張は45条2項のどの号にも当たらない。戦えるのは手続の瑕疵(欠陥)と公序だけである。弁護士との初回の打合せでは、まず仲裁記録から通知と審問の経緯を洗い出すことになる
- 仲裁人の一人が、相手方の親会社の案件を扱う法律事務所に所属していたと後から知ったら、どうなる? 開示されなかった利益相反は、仲裁廷の構成または手続の違反(2項6号)として争う余地がある。最高裁も、仲裁人の開示義務違反が取消事由になりうることを認めた(最決平成29.12.12、44条の取消事案)
- 受け取った仲裁判断が、申し立ててもいない損害項目まで認めていた。その超えた部分だけを切り離して、承認を拒むことができる(3項)。全部の無効を狙う必要はない
- 日本を仲裁地とする仲裁で敗れ、仲裁判断書の写しが届いた。取消しを申し立てられるのは、その通知を受けた日から3か月以内に限られる(44条2項)。しかも相手方が先に執行決定を確定させれば、その時点で取消しの道は閉じる。締切は今日のうちにカレンダーに書き込むべきだ
- 中国の取引先に代金8,000万円を踏み倒された。契約書の紛争条項は日本商事仲裁協会(JCAA)での仲裁。日中ともにニューヨーク条約の加盟国なので、東京で得た仲裁判断は中国でも承認と執行を求められる。もし条項が「東京地方裁判所」だったら、相互保証の壁があるため、中国での執行は極めて難しいとされる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仲裁判断書の正本または写しを確保する。外国語の判断書は、令和5年改正により、裁判所の判断で翻訳文の提出を省略できる場合がある(46条) 2. 相手の財産がどこにあるかを調べ、日本にあれば地方裁判所に執行決定を申し立てる。国際仲裁は東京地裁・大阪地裁にも申し立てられるようになった(最新の改正状況をご確認ください) 3. 審理中の資産逃がしに備え、仮差押えを並行して検討する(15条) 4. 執行決定が確定したら、それを債務名義(強制執行の根拠となる公文書)として差し押さえる(民事執行法22条6号の2)
訴えられた側:1. 判断書を受け取った日を記録する。日本が仲裁地なら、取消申立ての3か月期限(44条2項)を即座に管理する2. 仲裁記録から通知・審問・仲裁人の開示の経緯を洗い、2項各号に当たる事実を特定する3. 判断の中身の当否を争う主張は通らないと割り切り、手続の欠陥と公序に絞る4. 仲裁地で取消しを申し立てているなら、日本の執行決定手続の中止を求める(46条)
時効(請求できる期限):取消しの申立ては、仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内、かつ執行決定が確定する前に限られる(44条2項)。執行決定の申立て自体に法定期限はない。仲裁判断で確定した権利の消滅時効は、「確定判決と同一の効力を有するもの」として10年(民法169条1項)と解されている(実務上要確認)
学説
通説(実質的再審査禁止):45条2項は限定列挙であり、裁判所は仲裁判断の事実認定・法適用の誤りを理由に承認を拒めない。ニューヨーク条約5条と同旨に解される。
公序の二分論:9号の公序は、判断内容が基本原則に反する実体的公序と、判断に至る手続が基本的手続保障に反する手続的公序に分けて検討されるのが一般的である。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した新法として仲裁法が制定され(平成15年法律第138号、平成16年3月1日施行)、旧「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」の仲裁規定を置き換えた。本条は仲裁地を問わない承認ルールとして設けられた
- 令和5年(2023年)改正 暫定保全措置の執行制度の新設、執行決定事件の管轄拡大、翻訳文提出の省略などが整備された(令和6年4月1日施行)。本条の文言に変更があったかは人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRALモデル法に準拠した仲裁法の制定により、仲裁地を問わない承認規定として新設(平成16年3月1日施行)。旧法の仲裁規定を置き換えた。
- 仲裁法 第44条仲裁判断の取消し、事由と3か月期限
- 仲裁法 第46条執行決定の手続と却下事由
- 仲裁法 第13条仲裁合意の効力と仲裁可能な紛争の範囲
- 仲裁法 第27条異議権の放棄、手続瑕疵主張の遮断
- 仲裁法 第15条仲裁合意下でも保全処分は可能
- 民事執行法 第22条執行決定付き仲裁判断を債務名義化(6号の2)
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