仲裁法 第15条(仲裁合意と裁判所の保全処分)
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仲裁合意は、その当事者が、当該仲裁合意の対象となる民事上の紛争に関して、仲裁手続の開始前又は進行中に、裁判所に対して保全処分の申立てをすること、及びその申立てを受けた裁判所が保全処分を命ずることを妨げない。
この条文の基本情報
仲裁合意と裁判所の保全処分とは何ですか?
定義仲裁合意と裁判所の保全処分とは、仲裁法第15条に定められた規定で、「仲裁合意は、その当事者が、当該仲裁合意の対象となる民事上の紛争に関して、仲裁手続の開始前又は進行中に、裁判所に対して保全処分の申立てをすること、及びその申立てを…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第15条(仲裁合意と裁判所の保全処分)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第15条の条文原文は「仲裁合意は、その当事者が、当該仲裁合意の対象となる民事上の紛争に関して、仲裁手続の開始前又は進行中に、裁判所に対して保全処分の申立てをすること、及びその申立てを…」で始まります。
- 仲裁法第15条は第二章 仲裁合意に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第15条の前の条は仲裁法第14条です。
- 仲裁法第15条の次の条は仲裁法第16条です。
- 仲裁法第15条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第15条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第15条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/15
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法15条は、仲裁合意があっても、仲裁手続の開始前又は進行中に裁判所へ保全処分を申し立て、裁判所が発令できると定める。紛争の本案は引き続き仲裁で判断される。
Q · 仲裁条項がある契約でも、裁判所に相手の口座の仮差押えを頼めるの?
頼める。仲裁合意は裁判所の保全処分を妨げない
仲裁法15条により、仲裁合意があっても、仲裁手続の開始前でも進行中でも、裁判所に仮差押えや仮処分などの保全処分を申し立てることができ、裁判所もこれを発令できます。申し立てても仲裁合意を放棄したことにはならず、紛争の中身は引き続き仲裁で判断されます。仲裁地が海外や未定の場合も本条は適用されます(同法3条2項)。ただし担保の提供や、送達から2週間以内の執行(民事保全法43条2項)などの制約があります。
解説
仲裁条項にサインしたら、もう裁判所には頼れない。多くの経営者も法務担当者もそう信じているが、それは半分しか正しくない。誰がいくら払うかという紛争の中身を決めるのは仲裁廷である。しかし、相手が預金を引き出し、在庫を売り払って会社を空にしようとしている時点で、仲裁廷はまだ存在すらしていないかもしれない。仲裁人を選ぶだけで数週間から数か月かかる。本条は、その空白を裁判所が埋めることを認めている。仲裁合意があっても、あなたは裁判所に仮差押えや仮処分(判断が出るまで相手の財産や現状を凍結しておく暫定的な命令)を申し立てられる。申し立てても仲裁合意を放棄したことにはならない。仲裁地が海外でも、日本にある相手の財産についてはこの扉が開いている(仲裁法3条2項)。本案は仲裁で争い、財産の凍結は裁判所に頼む。この二本立てを知っているかどうかで、勝ち取った仲裁判断が紙切れになるかどうかが決まる
法的な位置づけ
仲裁法15条は、仲裁合意と裁判所の保全処分の関係を定める規定であり、仲裁合意の当事者が仲裁手続の開始前又は進行中に裁判所へ保全処分を申し立てること、及び裁判所がこれを命ずることは仲裁合意によって妨げられない旨を規定する。UNCITRAL国際商事仲裁モデル法9条に対応し、本案を仲裁、暫定的な保全を裁判所に配分する。
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁法15条とは?
仲裁合意があっても、裁判所に仮差押えや仮処分などの保全処分を申し立て、裁判所が発令できることを定めた規定です。本案は仲裁で争います。
Q2仲裁合意 仮差押え できる?
できます。仲裁法15条は、仲裁合意が裁判所への保全処分の申立てと発令を妨げないと明記しています。仲裁手続の開始前でも進行中でも可能です。
Q3仲裁中に仮処分を申し立てる方法は?
差止めなどを求める仮処分は、民事保全法に従い管轄の地方裁判所へ申立書を提出します。被保全権利と保全の必要性を疎明し、担保を提供します。
Q4保全命令の執行期間はいつまで?
保全命令は債権者に送達された日から2週間を経過すると執行できなくなります(民事保全法43条2項)。発令後すぐに執行に着手する必要があります。
Q5海外仲裁でも日本の裁判所で保全できる?
できます。仲裁法3条2項により、15条は仲裁地が日本国外や未定の場合にも適用されます。日本国内の預金や不動産などが対象になります。
Q6仮差押えの担保金はいくら?
裁判所が事案ごとに決めます。預金の仮差押えでは請求額の一〜三割程度になることが多いといわれますが、確定的な基準はありません。
Q7仲裁条項があるのに裁判を起こしたらどうなる?
本案の訴えは、被告の申立てにより原則却下されます(仲裁法14条)。ただし保全処分の申立ては本条によりこの対象外です。
Q8不当な仮差押えで損害賠償を請求できる?
できる場合があります。債権者が本案で敗訴すると過失が推定されるとする最高裁判例があり、凍結による損害の賠償責任を負いうるためです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁条項があるのに裁判所に仮差押えを申し立てたら、契約違反になりませんか?
ならない。仲裁法15条は、仲裁合意があっても保全処分の申立てと発令は妨げられないと明記している。保全はあくまで暫定的な凍結であり、紛争の中身は仲裁で決まる。実務のポイント:起訴命令が出た場合、仲裁手続を開始すれば本案の訴えを起こしたものとみなされる(民事保全法37条5項)。わざわざ裁判所に本訴を起こす必要はない
Q2仲裁地が海外なんですが、日本の裁判所で保全してもらえるんですか?
してもらえる。仲裁法3条2項により、15条は仲裁地が日本国外にある場合や、まだ決まっていない場合にも適用される。申立先は、差し押さえる物の所在地を管轄する地方裁判所などである(民事保全法12条)。実務のポイント:海外仲裁機関の緊急仲裁人の命令は、日本で執行できたとしても裁判所の手続を挟むことになる。日本の銀行預金を即座に止めたいなら、日本の裁判所に直接申し立てるのが最短である
Q3仲裁廷にも仮の措置を頼めると聞きました。裁判所とどっちを使えばいいですか?
仲裁廷も仲裁法24条に基づいて暫定保全措置を命じられる。ただし、仲裁廷が成立するまでは使えず、効力も当事者の間に限られる。一方、裁判所の保全は仲裁廷の成立前から使え、銀行などの第三債務者も拘束する。実務のポイント:担保金の額は裁判所が決め、預金の仮差押えでは請求額の一〜三割程度になることが多いといわれる。申し立てる前に資金を確保しておかないと、発令されても執行まで進めない
間違えやすい点 AI による整理
- 裁判所に仮差押えを申し立てると、仲裁合意を捨てたことになり、紛争全体が裁判に移ってしまう。そう恐れて申立てを控える人がいるが、実際は逆である。本条は、保全の申立てと発令が仲裁合意と両立することを明文で認めている。紛争の中身は、引き続き仲裁で争われる
- 「仲裁廷の暫定保全措置と裁判所の保全処分、どちらが強いか」という問い自体がずれている。両者は役割が違う。令和5年(2023年)の改正で、仲裁廷の措置にも裁判所の認可を経て執行する道が開かれた(最新の改正状況をご確認ください)。それでも仲裁廷が成立する前は使えず、銀行のような第三者を直接縛ることもできない。速さと第三者への効力が必要な場面は裁判所、事案を熟知した判断が必要な場面は仲裁廷、という使い分けの問題である
- 保全命令さえ取れれば勝ちだと思っているなら、そのリスクの重さを見誤っている。発令には通常、担保(保証金)の提供が必要になる(民事保全法14条)。そのうえ仲裁で負ければ、凍結によって相手に生じた損害を賠償する責任を負いうる。判例は、本案で敗訴した債権者には過失があったと推定している(最判昭和43.12.24)。凍結は相手だけでなく、自分にも刃を向ける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 仲裁法15条:裁判所による保全処分(仮差押え・仮処分) | 仲裁法14条:仲裁合意の対象紛争に関する本案訴訟 仲裁法24条:仲裁廷による暫定保全措置 |
| 仲裁合意との関係 | 仲裁合意があっても申立て・発令は妨げられない | 被告の申立てにより訴えは原則却下 仲裁合意を前提に仲裁廷が命ずる |
| 使える時期 | 仲裁手続の開始前・進行中のいずれも可 | 本案訴訟提起後、被告の申立てがあるとき 仲裁廷の成立後に限られる |
| 第三者への効力 | 裁判所の命令として第三債務者(銀行など)も拘束 | 該当なし 当事者間に限られ、執行には裁判所の手続を要する |
他国ではどう定めているか 4 か国
仲裁協議の当事者が仮差押え・仮処分を申し立てた場合、未だ仲裁に付していなければ、裁判所は相手方の申立てにより一定期間内の仲裁提起を命じる。日本の起訴命令と仲裁開始のみなし規定に近い構造
仲裁合意の当事者は仲裁手続の開始前又は進行中に法院へ保全処分を申し立てられると定め、日本と同じくモデル法9条型
仲裁合意は、仲裁手続の開始前・開始後の裁判所による仮の措置を排除しないと定める。モデル法9条をほぼそのまま受容
連邦仲裁法(FAA)に明文はなく、州法や判例に委ねられる。カリフォルニア州は仲裁合意があっても裁判所に暫定的救済を求められる旨を明文化
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外の取引先との契約に「シンガポールで仲裁する」と書いてある。代金3,000万円は未払いのままで、相手は日本の銀行口座から資金を引き揚げ始めた。この場合、仲裁廷ができるまで待つしかないのか? 待つ必要はない。仲裁地が海外でも、日本の地方裁判所に預金の仮差押えを申し立てられる(仲裁法3条2項、15条)
- ある朝、あなたの会社のメインバンク口座が突然凍結された。銀行から届いたのは仮差押命令の通知である。相手とは仲裁条項付きの契約を結んでいたのに、なぜ裁判所が出てくるのか。本条がある限り、仲裁条項は保全処分に対する盾にならない。あなたが争う道は、保全異議(民事保全法26条)と起訴命令の申立て(同37条)である
- 請負代金をめぐる仲裁が進行中、相手方が唯一のめぼしい財産である自社ビルを売りに出した。仲裁の途中でも、不動産の仮差押えは申し立てられる
- 仮差押命令が出たからといって、喜ぶのはまだ早い。命令の送達を受けてから2週間以内に執行しなければ、その命令は使えなくなる(民事保全法43条2項)。さらに相手が起訴命令を申し立てれば、裁判所が定める期間内に仲裁手続を開始しないと保全命令は取り消される。カレンダーの数字が二つ同時に動き出している
- 共同開発先が、契約で禁じられている技術資料を競合他社に渡そうとしている。仲裁条項があるのだから差止めも仲裁廷で、と構えていると、仲裁人が決まる前に情報は流出し、二度と戻らない。差止めを求める仮処分は、裁判所にいますぐ申し立てられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約の仲裁条項と仲裁地を確認しつつ、並行して相手の日本国内の財産(取引銀行と支店、不動産、売掛先)を洗い出す2. 被保全債権と保全の必要性(財産の隠匿・散逸のおそれ)を示す資料をそろえ、財産所在地の地方裁判所などに仮差押えを申し立てる3. 担保金を前もって準備しておく4. 発令後は2週間以内に執行し、速やかに仲裁を申し立てる。保全を申し立てても仲裁合意は失われない
訴えられた側:1. 保全命令が届いたら、被保全債権と保全の必要性の疎明が足りているかを弁護士と精査し、保全異議(民事保全法26条)を検討する2. 相手が仲裁を始めない場合は起訴命令(同37条)を申し立て、期間内に仲裁が開始されなければ命令の取消しを求める3. 事業継続を優先するなら、仮差押解放金(同22条)を供託して凍結を解く4. 仲裁で勝ったら、不当な保全で受けた損害の賠償を請求する
時効(請求できる期限):本条自体に期間制限はなく、仲裁手続の開始前でも進行中でも申し立てられる。ただし保全命令は、債権者に送達された日から2週間を過ぎると執行できなくなる(民事保全法43条2項)。起訴命令が出た場合は、裁判所の定める2週間以上の期間内に仲裁手続を開始しなければならない(同37条1項・2項・5項)。被保全債権自体には一般消滅時効(民法166条:知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:本条はモデル法9条と同旨で、裁判所への保全申立ては仲裁合意と両立し、仲裁合意の放棄とはみなされない。裁判所の関与は保全の範囲に限られ、本案判断権は仲裁廷に留保される(仲裁法4条参照)。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い新設され、平成16年(2004年)3月1日に施行された。モデル法9条に対応する規定である。令和5年(2023年)改正による文言変更の有無は要検証
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い新設。平成16年(2004年)3月1日施行。モデル法9条に対応する。
- 仲裁法 第3条仲裁地が国外・未定でも本条を適用
- 仲裁法 第4条裁判所の関与を法定の場面に限定
- 仲裁法 第14条仲裁合意がある本案訴訟の却下
- 仲裁法 第24条仲裁廷による暫定保全措置(現行効力を要確認)
- 民事保全法 第20条仮差押命令の発令要件
- 民事保全法 第37条起訴命令、仲裁開始を本案提起とみなす
- 民事保全法 第43条保全執行の2週間の期間制限
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