仲裁法 第46条(仲裁判断の執行決定)
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- 仲裁判断に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(仲裁判断に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。以下同じ。)を求める申立てをすることができる。
- 2.前項の申立てをするときは、仲裁判断書の写し、当該写しの内容が仲裁判断書と同一であることを証明する文書及び仲裁判断書(日本語で作成されたものを除く。以下この項において同じ。)の日本語による翻訳文を提出しなければならない。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、被申立人の意見を聴いて、仲裁判断書の全部又は一部について日本語による翻訳文を提出することを要しないものとすることができる。
- 3.第一項の申立てを受けた裁判所は、前条第二項第七号に規定する裁判機関に対して仲裁判断の取消し又はその効力の停止を求める申立てがあった場合において、必要があると認めるときは、第一項の申立てに係る手続を中止することができる。この場合において、裁判所は、同項の申立てをした者の申立てにより、被申立人に対し、担保を立てるべきことを命ずることができる。
- 4.第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。
- 一第五条第一項各号に掲げる裁判所
- 二請求の目的又は差し押さえることができる被申立人の財産の所在地を管轄する地方裁判所
- 三東京地方裁判所及び大阪地方裁判所(仲裁地、被申立人の普通裁判籍の所在地又は請求の目的若しくは差し押さえることができる被申立人の財産の所在地が日本国内にある場合に限る。)
- 5.第一項の申立てに係る事件についての第五条第四項又は第五項の規定による決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 6.裁判所は、次項又は第八項の規定により第一項の申立てを却下する場合を除き、執行決定をしなければならない。
- 7.裁判所は、第一項の申立てがあった場合において、前条第二項各号に掲げる事由のいずれかがあると認める場合(同項第一号から第七号までに掲げる事由にあっては、被申立人が当該事由の存在を証明した場合に限る。)に限り、当該申立てを却下することができる。
- 8.前条第三項の規定は、同条第二項第五号に掲げる事由がある場合における前項の規定の適用について準用する。
- 9.第四十四条第四項及び第七項の規定は、第一項の申立てについての決定について準用する。
この条文の基本情報
仲裁判断の執行決定とは何ですか?
定義仲裁判断の執行決定とは、仲裁法第46条に定められた規定で、「仲裁判断に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(仲裁判断に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第46条(仲裁判断の執行決定)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第46条の条文原文は「仲裁判断に基づいて民事執行をしようとする当事者は、債務者を被申立人として、裁判所に対し、執行決定(仲裁判断に基づく民事執行を許す旨の決定をいう。」で始まります。
- 仲裁法第46条は第八章 仲裁判断の承認及び執行決定等に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第46条の前の条は仲裁法第45条です。
- 仲裁法第46条の次の条は仲裁法第47条です。
- 仲裁法第46条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第46条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第46条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/46
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法46条は、仲裁判断で強制執行するには裁判所の執行決定が必要と定める。裁判所は45条2項の事由がない限り執行決定をしなければならない。
Q · 仲裁で勝ったのに相手が払わない。判断書があればすぐ差し押さえできる?
できない。まず裁判所の執行決定が確定する必要がある
仲裁判断は確定判決と同一の効力を持ちますが(仲裁法45条1項)、強制執行に使える債務名義となるのは、裁判所の執行決定が確定した後です。仲裁法46条は、その申立ての方法、提出書類、管轄裁判所、却下事由を定めています。裁判所は仲裁の結論が正しいかを審理し直さず、45条2項の事由がない限り執行決定をしなければなりません。
解説
仲裁で勝った。判断書の上では、相手に8,000万円の支払義務がある。ところが、その判断書を持って相手の銀行口座を差し押さえようとしても、裁判所も執行官も動かない。仲裁判断には確定判決と同じ効力がある(45条1項)。それでも、強制執行に使える書面(債務名義:差押えを始めるための公的な切符)になるのは、裁判所の「執行決定」が確定した後である(民事執行法22条6号の2)。本条は、その切符を発行してもらう手続を定めている。読み飛ばせないのが6項の「しなければならない」という言い回しだ。裁判所は、仲裁の結論が正しかったかどうかを審査し直さない。申立てを却下できるのは45条2項に並ぶ九つの事由がある場合に限られ、しかもそのうち七つは相手方が証明しなければならない。勝った側は中身の再戦を恐れなくてよく、負けた側は「結論に納得できない」というだけでは執行を止められない。さらに2024年4月からは、外国語の判断書について翻訳文の提出を省略してもらえる場合があり、東京地裁と大阪地裁にも申し立てられるようになった。
法的な位置づけ
仲裁法46条は、仲裁判断に基づく民事執行の前提となる執行決定の手続を定める規定である。申立人は判断書の写し、同一性証明文書、日本語訳を提出し、専属管轄裁判所に申し立てる。裁判所は45条2項所定の事由がある場合に限り申立てを却下でき、それ以外は執行決定をする義務を負う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.申立書類をそろえる 仲裁判断書の写し、写しが原本と同一であることを証明する文書を用意する。外国語の判断書なら日本語訳を準備し、分量が多い場合は翻訳の全部または一部の省略を申立書で求める(46条2項ただし書)
- 2.相手の財産を調べ管轄裁判所を選ぶ 相手の預金・不動産・在庫など差押え可能な財産の所在地を調べ、46条4項の専属管轄裁判所から、執行に最も有利な裁判所を選ぶ
- 3.必要なら仮差押えを並行して申し立てる 資産を移されるおそれがある場合、執行決定の申立てと並行して民事保全法に基づく仮差押えを検討し、財産を先に凍結する
- 4.執行決定を申し立てる 債務者を被申立人として、選んだ裁判所に執行決定を申し立てる。相手が外国で取消しを申し立てて手続中止を求めてきたら、担保を立てさせる申立てを行う(46条3項)
- 5.確定後に強制執行を申し立てる 執行決定が確定したら、それを債務名義として、財産所在地の裁判所・執行官に強制執行を申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1執行決定とは何ですか?
仲裁判断に基づく民事執行を許す旨の裁判所の決定です(仲裁法46条1項)。これが確定して初めて、仲裁判断が強制執行の債務名義になります。
Q2執行決定の申立てに必要な書類は?
仲裁判断書の写し、その写しが原本と同一であることの証明文書、外国語の判断書であれば日本語訳です(46条2項)。翻訳は裁判所の判断で省略できる場合があります。
Q3執行決定はどこの裁判所に申し立てる?
仲裁法5条1項の裁判所、相手の差押え可能な財産の所在地の地裁、一定の場合は東京地裁・大阪地裁の専属管轄です(46条4項)。
Q4執行決定が却下されるのはどんな場合?
仲裁合意の無効、通知の欠如、防御の機会の欠如、付託範囲の逸脱、仲裁廷構成の違反、仲裁適格の欠如、公序良俗違反など、45条2項の事由がある場合に限られます。
Q5外国の仲裁判断も日本で執行できる?
できます。45条・46条は仲裁地が国内か国外かを問わず適用されます。日本はニューヨーク条約の締約国でもあります。
Q6執行決定の申立てに期限はある?
申立て自体に法定期限はありません。ただし時効の問題があり、また相手の資産移転を防ぐためにも早期申立てが実務上重要です。
Q7仲裁判断の翻訳文は省略できる?
2024年4月施行の改正で、裁判所が相当と認めるときは、被申立人の意見を聴いたうえで全部または一部の翻訳文提出を省略できるようになりました。
Q8執行決定の手続は中止されることがある?
仲裁地の裁判所で取消し・効力停止の申立てがあれば、裁判所は手続を中止できます。申立人の申立てにより、相手方に担保を立てさせることもできます(46条3項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1海外の仲裁で勝ったんですが、日本にある相手の財産も差し押さえられますか?
できる。45条は仲裁地が国内か国外かを問わずに適用され、本条の執行決定を得れば日本国内の財産を差し押さえられる。日本はニューヨーク条約の締約国でもある。実務のポイント:以前は判断書全文の翻訳が必須で、数百ページになると翻訳費用だけで数百万円かかることもあった。2024年4月以降は、裁判所が相手方の意見を聴いたうえで翻訳の一部を省略できる。申立ての段階で省略を求めると、コストは大きく変わる
Q2仲裁人の判断が明らかに間違ってるのに、裁判所で執行決定を止められないんですか?
判断の中身の誤りだけでは止められない。裁判所が却下できるのは45条2項の九つの事由がある場合に限られ(46条7項)、そのうち1号から7号は申し立てられた側が証明しなければならない。実務のポイント:敗訴した側の代理人がまず見るのは判断の理由ではなく、手続の記録である。期日の通知が届いていたか、反論書面を出す機会があったか。勝負が決まるのは、たいていそこである
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁判断は確定判決と同じ効力がある。だから判決と同じく、すぐに差し押さえられる」と思われがちだが、実際はそうではない。判断書だけでは強制執行は始められない。執行決定が確定して初めて債務名義になる。この一段階を知らずに数か月待ち、その間に相手が資産を移してしまうのが、典型的な失敗パターンである
- 負けた側は「執行決定の審理で、仲裁のやり直しができる」と期待しがちだが、その問い自体がずれている。裁判所が見るのは結論の当否ではなく、手続と最低限の公序だけである。公序良俗違反(45条2項9号)が認められる例はごく少ない。争う材料を探すなら、仲裁手続の記録(通知、期日、証拠提出の機会)を洗い直すほうが現実的である
- 相手が取消しを申し立てたことは知っていても、その申立てが勝者に有利に働く場面があることまでは知られていない。執行決定が確定すると、相手はもう取消しを申し立てられなくなる(44条2項)。勝者が早く動くほど、相手の反撃の窓は早く閉じる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 仲裁法46条:執行決定の申立て手続と却下事由 | 仲裁法45条:仲裁判断の効力と承認拒否事由 仲裁法44条:仲裁判断の取消し申立て |
| 申し立てる人 | 仲裁で勝ち、執行したい当事者 | 申立て手続ではなく効力の規定 仲裁で負けた当事者 |
| 裁判所の審査範囲 | 45条2項の事由のみ、内容の当否は審査しない | 45条2項各号の事由があれば承認されない 44条1項の取消事由のみ |
| 時間的制約 | 申立て期限の定めなし | — 通知受領から3か月以内、かつ執行決定確定前まで |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも仲裁判断は確定判決と同一の効力を持つが、強制執行には法院の執行裁定が必要とされ、日本と同じ二段階構造をとる
韓国は2016年改正で執行判決(訴訟)から執行決定(決定手続)に移行し、日本と同様の簡易な手続となった
ドイツでは Vollstreckbarerklärung(執行可能宣言)を高等地方裁判所(OLG)に申し立てる。国内判断と外国判断で規定を分ける点が日本と異なる
米国では連邦裁判所での confirmation 手続による。国内判断は判断後1年以内の申立てが規定されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- シンガポールの SIAC 仲裁で、東南アジアの取引先に勝った。相手は日本に子会社を持たないが、横浜港の倉庫に在庫を置いている。在庫の所在地を管轄する横浜地裁に執行決定を申し立てられる(4項2号)。外国で出た判断でも、手続は本条と同じである
- あなたの会社が仲裁で負け、相手から執行決定の申立書が届いた。仲裁人の判断は事実認定がずさんだと社内は憤っている。しかし「判断の中身が間違っている」は却下事由にならない。争えるのは、仲裁人の選び方に違反があった、反論の機会を与えられなかった、といった手続の傷か、公序良俗違反に限られる。答弁書の締切まで残り2週間しかない
- もし相手が海外の仲裁地の裁判所に仲裁判断の取消しを申し立て、それを理由に日本の執行手続を止めようとしてきたら、どうなるか? 裁判所は手続を中止できる。ただし、あなたが申し立てれば、相手に担保を立てさせることもできる(3項)。時間稼ぎには値段が付く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仲裁判断書の写し、写しが原本と同一であることを証明する文書、日本語訳をそろえる。翻訳の負担が大きい場合は、一部または全部の省略を求める(2項ただし書) 2. 相手の預金、不動産、在庫の所在地を調べ、管轄裁判所を選ぶ(4項) 3. 資産を移されるおそれがあれば、仮差押えを並行して申し立てる4. 執行決定が確定したら、それを債務名義として強制執行を申し立てる
訴えられた側:1. 結論への不満ではなく、45条2項の各号に当たる事実(通知の欠如、防御の機会の欠如、仲裁廷の構成の違反、判断が付託の範囲を超えていること等)を、仲裁手続の記録から拾い出して立証する2. 仲裁地の裁判所に取消しを申し立て、3項による手続の中止を求める。ただし担保を命じられる可能性があることを計算に入れておく3. 勝ち目が薄い場合は、執行決定が確定する前に分割払いなどの和解を提案する。確定後は交渉力がほぼなくなる
時効(請求できる期限):執行決定の申立て自体に法定の期限はない。仲裁判断で確定した権利の消滅時効は、確定判決と同一の効力を有するものとして10年(民法169条)と解するのが一般的である(実務上要確認)。仲裁判断の取消し申立ては、判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内、かつ執行決定の確定前に限られる(44条2項)。決定に対する即時抗告は、告知から1週間と解される(仲裁法10条による民事訴訟法332条の準用。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:執行決定手続では仲裁判断の実質的再審査は許されず、裁判所の審査は45条2項の事由に限定される。1号から7号の立証責任は被申立人が負い、8号・9号は裁判所が職権で判断する。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定、平成16年(2004年)3月1日施行 旧公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律のもとで必要だった執行判決(訴訟)に代えて、決定手続である執行決定を導入した
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)4月1日施行 翻訳文の提出の省略(2項ただし書)、東京地裁・大阪地裁の競合管轄(4項3号)、移送決定に対する即時抗告(5項)などを追加した。条項番号の繰下げも生じた(人的検証が必要)
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法制定(平成16年3月1日施行)。旧法の執行判決(訴訟手続)に代え、決定手続である執行決定を導入した
- 2.令和5年(2023年) 改正:翻訳文提出の省略、東京地裁・大阪地裁の競合管轄、移送決定に対する即時抗告を追加(令和6年4月1日施行)
- 仲裁法 第45条仲裁判断の効力と承認拒否事由
- 仲裁法 第44条取消し申立てと期間制限
- 仲裁法 第5条仲裁関係事件の基本管轄
- 仲裁法 第15条仲裁合意と裁判所の保全処分
- 仲裁法 第47条暫定保全措置の執行等認可決定(現行効力を要確認)
- 民事執行法 第22条執行決定のある仲裁判断を債務名義化
- 民事執行法 第24条外国判決の執行判決、訴訟手続で対比
- 民事保全法 第20条執行決定前の仮差押えの要件
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