仲裁法 第28条(仲裁地)
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- 仲裁地は、当事者が合意により定めるところによる。
- 2.前項の合意がないときは、仲裁廷は、当事者の利便その他の紛争に関する事情を考慮して、仲裁地を定める。
- 3.仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、前二項の規定による仲裁地にかかわらず、適当と認めるいかなる場所においても、次に掲げる手続を行うことができる。
- 一合議体である仲裁廷の評議
- 二当事者、鑑定人又は第三者の陳述の聴取
- 三物又は文書の見分
この条文の基本情報
仲裁地とは何ですか?
定義仲裁地とは、仲裁法第28条に定められた規定で、「仲裁地は、当事者が合意により定めるところによる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第28条(仲裁地)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第28条の条文原文は「仲裁地は、当事者が合意により定めるところによる。」で始まります。
- 仲裁法第28条は第五章 仲裁手続の開始及び仲裁手続における審理に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第28条の前の条は仲裁法第27条です。
- 仲裁法第28条の次の条は仲裁法第29条です。
- 仲裁法第28条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第28条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第28条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/28
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法28条は、仲裁地を当事者の合意で定め、合意がなければ仲裁廷が当事者の利便等を考慮して定めると規定する。評議や証人の聴取は仲裁地以外の場所でも行える。
Q · 仲裁地って、実際に審理が開かれる場所のことですか?
違います。審理の場所と仲裁地は法律上別物です
仲裁法28条1項・2項により、仲裁地は当事者の合意で、合意がなければ仲裁廷が当事者の利便などを考慮して定めます。一方で同条3項により、仲裁廷は別段の合意がない限り、仲裁地にかかわらず評議、当事者や証人の陳述の聴取、物や文書の見分をどこででも行えます。仲裁地は手続に適用される仲裁法や判断の取消しを扱う裁判所を決める法的な基準点であり、会場の住所とは切り離されています。
解説
仲裁地は、審理をする会議室の住所ではない。その仲裁がどの国の法律に属するかを決める「法律上の本籍地」である。仲裁法28条1項は、まず当事者の合意で仲裁地を決めるとし、2項で、合意がなければ仲裁廷(事件を判断するために選ばれた仲裁人の合議体)が当事者の利便などを考えて決めるとする。3項で、物理的にどこで集まるかは仲裁地とは切り離される。仲裁地がシンガポールでも、仲裁人の評議、証人の話を聞く手続、書類の確認は東京でもオンラインでも行える。ここで知っておくべき非対称がある。仲裁判断を取り消せる裁判所、手続を縛る仲裁法、判断の「国籍」は、すべて仲裁地で決まる。審理が毎回東京で開かれていても、仲裁地がシンガポールなら、判断に不服があるときの取消しの舞台はシンガポールの裁判所になる。契約書の仲裁条項で都市名を一つ書く行為が、紛争が起きた後にどの国の裁判所に最後の判断を委ねるかを決めているのである。
法的な位置づけ
仲裁法第28条は仲裁地の決定方法を定める規定である。仲裁地は第一に当事者の合意により定まり、合意がない場合は仲裁廷が当事者の利便その他の紛争に関する事情を考慮して定める。また仲裁廷は、別段の合意がない限り、仲裁地とは別の場所で評議、陳述の聴取、物又は文書の見分を行うことができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仲裁条項の仲裁地記載を確認する 契約書の仲裁条項で、仲裁地(seat / place of arbitration)の記載があるかを確認する。「venue」「hearing place」など審理会場を指す語と混同していないかも点検する
- 2.記載がなければ仲裁規則を確認する 仲裁地の合意がない場合、仲裁条項で採用した仲裁機関の規則が仲裁地の決め方を定めていないかを確認する。定めがなければ仲裁法28条2項により仲裁廷が決定する
- 3.仲裁廷の決定前に意見書を出す 仲裁廷が仲裁地を定める段階では、証拠・証人の所在、当事者の移動負担、適用される仲裁法の内容など、28条2項の「当事者の利便その他の紛争に関する事情」に沿った具体的な材料を書面で提出する
- 4.審問・見分の場所や方法を提案する 仲裁地が遠方に決まっても、28条3項に基づき、評議・証人尋問・物や文書の見分を自社に近い場所やオンラインで行うよう仲裁廷に提案し、実際の負担を減らす
- 5.手続違反には遅滞なく異議を述べる 仲裁地の決定や手続に違反があると考えた場合は、遅滞なく異議を述べる。異議を述べずに手続を進めると、仲裁法27条により異議権を失うおそれがある
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁地とは何ですか?
仲裁手続がどの国の仲裁法に属し、どの国の裁判所が取消しなどを扱うかを決める法的な基準地です。仲裁法28条が決め方を定めています。
Q2仲裁地を契約で決めていないとどうなる?
仲裁法28条2項により、仲裁廷が当事者の利便その他の紛争に関する事情を考慮して定めます。採用した仲裁規則に定めがあればそれも影響します。
Q3仲裁地は後から変更できる?
仲裁地は当事者の合意で定まるため、当事者全員が新たに合意すれば変更の余地があります。紛争発生後は相手方の同意を得るのが難しくなります。
Q4仲裁地はどこにすべき?
自社が仲裁法と裁判所の運用を理解でき、ニューヨーク条約の締約国である場所が基本です。取消し手続を自国で争えるかが大きな判断材料になります。
Q5仲裁判断の取消しはどこの裁判所に申し立てる?
原則として仲裁地の国の裁判所です。仲裁地が日本なら日本の裁判所に、仲裁法44条に基づき期間内に申し立てます。
Q6仲裁法28条3項とはどんな規定?
仲裁廷が別段の合意がない限り、仲裁地にかかわらず評議、当事者・鑑定人・第三者の陳述の聴取、物や文書の見分を適当な場所で行えるとする規定です。
Q7仲裁条項に仲裁機関名だけで仲裁地がない場合は有効?
仲裁地の記載がなくても仲裁合意自体が直ちに無効になるわけではありません。仲裁規則または仲裁廷の決定(28条2項)で仲裁地が定まります。
Q8仲裁地が外国でも日本の仲裁法は適用される?
仲裁法は原則として仲裁地が日本の場合に適用されます(3条1項)。仲裁地が外国なら、手続は主にその国の仲裁法に服します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁地が東京なら、審問も絶対に東京でやらないといけないんですか?
その必要はない。仲裁法28条3項により、当事者間に別の合意がない限り、仲裁廷は評議、当事者や証人の陳述の聴取、物や文書の見分を適当と認める場所で行える。オンライン審問もこの柔軟性の延長で運用されている。実務のポイント:会場とオンラインの扱いを手続初期の打合せで決めておくと、移動費と日程調整のコストは大きく変わる
Q2仲裁地を日本にしておくと、何が得なんですか?
仲裁法3条により、仲裁地が日本なら日本の仲裁法が手続に適用され、仲裁判断の取消し(44条)も日本の裁判所で争える。証拠調べで日本の裁判所の支援を求める道もある(35条)。実務のポイント:日本の会社が言語や会場より先に仲裁地にこだわるのは、負けたときに救済を求める場所を自分の土俵に置くためである
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁地=審問を開く場所」と思われがちだが、28条3項は両者を明確に切り離している。仲裁地を東京としながら、証人尋問をソウルで、評議をオンラインで行うことも適法である。会場の便利さだけで仲裁地を選ぶのは、論点を取り違えている
- 仲裁地が取消しの裁判所を決めることは知っていても、その重みまでは知られていない。仲裁地の裁判所で判断が取り消されると、外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)5条1項(e)により、他の締約国でも執行を拒否されうる。つまり仲裁地の裁判所が、事実上、世界中での判断の効力を左右する
- 「どの国で仲裁をするか」は国の好き嫌いで決めるものではない。あなたから見れば移動の手間の問題でも、法律から見れば、どの国の仲裁法が手続を縛り、どの国の裁判所が介入できるかという管轄の問題である。この落差を見落とした側が、紛争になってから外国の裁判所で不慣れな戦いを強いられる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 仲裁法28条:仲裁地の決定方法と審理場所の柔軟性 | 仲裁法3条:仲裁法の適用範囲(仲裁地が日本の場合を基準) 仲裁法44条:仲裁判断の取消しの申立て |
| 仲裁地との関係 | 仲裁地そのものを決める | 仲裁地が日本かどうかで本法の適用が決まる 仲裁地が日本の判断について日本の裁判所が取消しを扱う |
| 期限 | 条文上の期限なし | 期限の定めなし 判断書の写しの通知を受けた日から3か月以内(最新の改正状況を要確認) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も仲裁地は当事者の約定を優先し、約定がなければ仲裁廷が定める構造をとる。台湾企業と日本企業の契約では、双方の仲裁法の構造が近いため、仲裁地の選択が取消し管轄の差として直接表れる
モデル法20条に準拠し、当事者合意優先・仲裁廷決定・仲裁地外での審理を認める点で日本とほぼ同構造
ドイツもモデル法を採用し、仲裁地(Ort des schiedsrichterlichen Verfahrens)の決定と、仲裁地外での審理・評議を認める。日本の28条と同系統
米国はモデル法非採用で連邦法と州法が併存する。ニューヨーク条約適用事案では、裁判所が合意された場所での仲裁を命じることができる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外の部品メーカーとの売買契約に「仲裁地:香港」とある。品質トラブルで負けた判断を不当だと考えても、取消しを求める先は日本の裁判所ではなく香港の裁判所になる。日本で戦うつもりで弁護士を探しても、まず香港法の弁護士が必要になる
- 仲裁条項に仲裁機関の名前だけ書いて、仲裁地を書き忘れていたらどうなる? 採用した仲裁規則が仲裁地の決め方を定めていればそれに従い、そうでなければ仲裁廷が決める。相手方に有利な都市が選ばれても、あなたはそれに口を出す決定権を手放している
- あなたは相手方の代理人として、仲裁地を東京としたまま、相手方の工場がある大阪で現物の検査をしたいと考えている。28条3項により、当事者が別の合意をしていない限り、仲裁廷は仲裁地以外での見分を決められる。現場への移動を理由にした仲裁地変更の申立ては不要である
- 仲裁判断書が届いた。中身に重大な手続違反がある。仲裁地が日本なら、日本の裁判所への取消しの申立ては判断書の写しを受け取ってから3か月以内。週末をはさんで迷っている間にも期限は減っていく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書の仲裁条項で仲裁地の記載の有無を確認する。「place」「venue」「seat」の書き分けにも注意2. 記載がなければ、採用している仲裁規則が仲裁地の決め方を定めていないかを確認する3. 仲裁廷が決める段階なら、証拠や証人の所在、当事者の移動負担など具体的な事情を書面で出す4. 仲裁地の決定や手続に違反があると考えたら遅滞なく異議を述べる。黙っていると異議を述べる権利を失いうる(仲裁法27条)
訴えられた側:1. 相手方が仲裁地を自社に有利な場所に誘導しようとしていないか、合意内容と規則を照らし合わせる2. 遠方の仲裁地が決まっても、審問や見分を自社の近くやオンラインで行うよう28条3項に基づき提案し、実際の負担を減らす3. 仲裁地の裁判所での取消し手続に備え、その国の仲裁法に詳しい弁護士の候補を早めに確保する
時効(請求できる期限):28条自体に期限はない。ただし手続違反を知りながら遅滞なく異議を述べないと異議権を失いうる(仲裁法27条)。仲裁地が日本の場合、仲裁判断の取消しの申立ては仲裁判断書の写しの通知を受けた日から3か月以内(同法44条2項、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:仲裁地は物理的な審理場所ではなく法的な帰属点であり、仲裁法の適用範囲、裁判所の関与、仲裁判断の取消し管轄の基準となる。28条3項はこの区別を明文化し、国際仲裁における手続の柔軟性を確保するものと理解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定時に置かれた規定。仲裁地の決定と審理場所の柔軟性を定める。令和5年(2023年)改正の主な対象は暫定保全措置などで、本条の文言は改正されていないとみられる
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い新設。仲裁地の決定方法と、仲裁地にかかわらず審理等を行える柔軟性を定めた
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