仲裁法 第26条(仲裁手続の準則)
クイックジャンプ
- 仲裁廷が従うべき仲裁手続の準則は、当事者が合意により定めるところによる。ただし、この法律の公の秩序に関する規定に反してはならない。
- 2.前項の合意がないときは、仲裁廷は、この法律の規定に反しない限り、適当と認める方法によって仲裁手続を実施することができる。
- 3.第一項の合意がない場合における仲裁廷の権限には、証拠に関し、証拠としての許容性、取調べの必要性及びその証明力についての判断をする権限が含まれる。
この条文の基本情報
仲裁手続の準則とは何ですか?
定義仲裁手続の準則とは、仲裁法第26条に定められた規定で、「仲裁廷が従うべき仲裁手続の準則は、当事者が合意により定めるところによる。ただし、この法律の公の秩序に関する規定に反してはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第26条(仲裁手続の準則)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第26条の条文原文は「仲裁廷が従うべき仲裁手続の準則は、当事者が合意により定めるところによる。ただし、この法律の公の秩序に関する規定に反してはならない。」で始まります。
- 仲裁法第26条は第五章 仲裁手続の開始及び仲裁手続における審理に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第26条の前の条は仲裁法第25条です。
- 仲裁法第26条の次の条は仲裁法第27条です。
- 仲裁法第26条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第26条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第26条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/26
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法26条は、仲裁手続の準則をまず当事者の合意で定め、合意がなければ仲裁廷が適当と認める方法で進めると定める。公の秩序に関する規定に反することはできない。
Q · 仲裁の手続って、民事訴訟法のルールで進むんじゃないの?
まず当事者の合意で、合意がなければ仲裁廷の裁量で決まる
仲裁法26条1項により、仲裁手続の準則は当事者の合意で決まります。JCAA や ICC など仲裁機関の規則を選べば、その規則が手続の基本になります。合意がない部分は、仲裁廷が仲裁法に反しない範囲で適当と認める方法により進めます(2項)。証拠の採否と証明力の判断も仲裁廷の権限です(3項)。民事訴訟法が当然に適用されるわけではありません。ただし、当事者の平等や十分な説明の機会(25条)のような公の秩序に関する規定は、合意でも外せません。
解説
裁判所の法廷では、民事訴訟法という分厚い交通規則が全員に同じように適用される。仲裁の部屋には、その規則集が最初から置かれているわけではない。仲裁法26条によれば、手続のルールを決めるのはまず当事者の合意である。合意がなければ仲裁廷(事件を判断する仲裁人の合議体)が「適当と認める方法」で手続を進める。書面を何回出せるか、証人を呼ぶか陳述書だけで済ませるか、どの証拠を採用してどれだけ重く見るか。これらを決める権限まで、3項は明文で仲裁廷に与えている。契約書に「JCAA の商事仲裁規則による仲裁」と一行あれば、その規則が民事訴訟法の代わりになる。何も書いていなければ、仲裁法の枠の中で、手続の設計図は相手方と仲裁人の前でほぼ白紙から描かれる。合意でも越えられないのは、当事者の平等や十分な主張の機会のような「公の秩序に関する規定」だけである。ルールの決まり方を知っている側が、仲裁では最初の一手から主導権を握る。
法的な位置づけ
仲裁法26条は、仲裁手続の準則の決め方を定める規定である。第一に当事者の合意を優先し、合意がない場合は仲裁廷が同法に反しない限り適当と認める方法で手続を実施する。この場合の仲裁廷の権限には、証拠の許容性、取調べの必要性、証明力の判断が含まれる。当事者自治の限界は、同法の公の秩序に関する規定に置かれている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.適用される手続準則を特定する 契約書の仲裁条項から、仲裁機関名、規則名、規則の版、仲裁地、言語を洗い出す。合意時の版と申立時の版のどちらが適用されるかも機関規則で確認する
- 2.最初の手続協議に具体案を出す 書面の提出回数、文書開示の範囲と方式、陳述書と証人尋問の扱い、スケジュールについて自社案を作る。仲裁廷が最初の手続命令を出す前に提示する
- 3.証拠の採否と重みを意識して立証計画を組む 合意がなければ、証拠の許容性、必要性、証明力は仲裁廷が判断する(26条3項)。証拠ごとに提出の目的と信用性を支える資料を整理する。必要なら仲裁廷の同意を得て裁判所の証拠調べ(35条)を検討する
- 4.手続違反には遅滞なく書面で異議を述べる 合意や手続命令に反する進行を見つけたら、その場で書面により異議を記録する。黙っていると27条により異議権を放棄したとみなされうる
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁手続のルールは誰が決めるの?
まず当事者の合意で決まります(仲裁法26条1項)。合意がない部分は、仲裁廷が仲裁法に反しない範囲で適当と認める方法を選びます(同条2項)。
Q2仲裁に民事訴訟法は適用される?
当然には適用されません。手続は合意した仲裁規則と仲裁廷の判断で進みます。民事訴訟法の考え方を参考にするかどうかも仲裁廷の裁量です。
Q3仲裁規則とは何?
JCAA、ICC、SIAC などの仲裁機関が定める手続ルールです。契約の仲裁条項でこれを選ぶと、仲裁法26条1項の「合意」として手続を支配します。
Q4仲裁で証人尋問はできる?
合意か仲裁廷の判断で決まります。陳述書だけで済ませることもあれば、尋問期日を設けることもあります。強制的に証人を呼ぶには裁判所の証拠調べ(35条)が必要です。
Q5仲裁の証拠はどんなものでも出せる?
合意がなければ、証拠として許すか、取り調べる必要があるか、どれだけ信用するかは仲裁廷が判断します(26条3項)。提出すれば必ず採用されるわけではありません。
Q6仲裁手続の合意は途中で変えられる?
当事者双方が合意すれば変えられます。ただし紛争中は相手の同意を得にくいので、実務では仲裁廷の手続命令で調整するのが一般的です。
Q7仲裁の「公の秩序に関する規定」とは?
合意でも外せない仲裁法の規定です。当事者の平等や事案を説明する十分な機会を保障する25条が代表例とされます。これに反する手続は取消しの対象になりえます。
Q8仲裁条項に規則を書かなかったらどうなる?
当事者の合意がない部分は、仲裁廷が仲裁法の範囲内で手続を設計します(26条2項)。進め方の予測可能性が下がり、最初の手続協議の重要性が増します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁って、相手の会社に社内資料を全部出させることはできるんですか?
裁判のような文書提出命令が当然に使えるわけではありません。開示の範囲は合意で決まり、合意がなければ仲裁廷が判断します(26条2項、3項)。仲裁廷の同意を得て裁判所の証拠調べを使う道もあります(35条)。実務のポイント:国際仲裁では IBA 証拠規則を「指針とする」と手続命令に書くことが多い。開示要求の一覧表の様式を最初の手続協議で決めておくと、開示合戦の主導権を握れる
Q2相手が出した陳述書、本人に質問できないまま採用されたら不公平じゃないですか?
陳述書をどれだけ信用するかは仲裁廷の証明力判断に委ねられています(26条3項)。ただし反論の機会が実質的に与えられなかったなら、25条の説明機会の問題になり、防御不能として取消事由にもなりえます(44条1項)。実務のポイント:国際仲裁では、陳述書を出した証人が尋問に出頭しないときは陳述書を考慮しないか証明力を下げる、という一文を手続命令に入れることが多い。最初に入れさせた側が有利になる
間違えやすい点 AI による整理
- 仲裁も裁判所の手続と同じように民事訴訟法の証拠ルールで進むと思われがちだが、民事訴訟法は仲裁手続に当然には適用されない。文書提出命令のような強制力のある証拠収集も当然には使えず、証拠の採否と重みは合意か仲裁廷の判断で決まる(26条3項)。必要な証拠を取るには、仲裁廷の同意を得て裁判所に証拠調べを申し立てる35条の回り道がいる
- 「手続ルールを合意で自由に決められるなら、相手に反論させない手続も合意すれば有効か」という問いは、そもそも立て方が誤っている。当事者の平等や事案を説明する十分な機会(25条)は公の秩序に関する規定で、合意でも外せない。そうした手続で出た仲裁判断は、取消し(44条)や承認執行拒否(45条)の対象になりうる
- 手続違反があれば後で仲裁判断を覆せる、とは知っていても、その権利が手続中の沈黙で消えることまでは知られていない。27条により、公の秩序に関しない手続ルールへの違反は、知りながら遅滞なく異議を述べないと異議権を放棄したものとみなされる。違反は見つけた日が勝負である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 26条:手続準則の決め方(合意優先、なければ仲裁廷) | 25条:当事者の平等待遇と十分な説明の機会 27条:手続違反に対する異議権の放棄 |
| 合意で変更できるか | 原則可能(公の秩序に関する規定を除く) | 不可(公の秩序に関する規定と解される) 公の秩序に関しない規定への違反が対象 |
| 実務上の機能 | 手続全体の設計図を誰が描くかを決める | 設計の自由に越えられない下限を引く 違反を知ったら遅滞なく争わせ、後出しを封じる |
| 違反時の帰結 | 合意に反する手続は取消事由になりうる(44条) | 防御不能として取消し・承認執行拒否の対象になりうる(44条・45条) 異議を述べなければ後で争えなくなる |
他国ではどう定めているか 4 か国
当事者の約定を優先する点は日本と同じ。約定がない場合に、本法の次に民事訴訟法の準用を明示的に選択肢として挙げる点が日本との違いである。
モデル法19条に準拠し、当事者合意を優先して、合意がなければ仲裁廷が適切な方法で手続を進め、証拠の許容性・関連性・証明力も判断するという日本とほぼ同じ構造を持つ。
強行規定の範囲内で当事者が手続を定め、合意がなければ仲裁廷が裁量で定める。証拠の許容性の判断と自由な証拠評価の権限も明記されている。
仲裁人が適切と考える方法で手続を進められると定める。連邦仲裁法自体には手続準則の詳細な規定がなく、州法と当事者合意に委ねられる部分が大きい。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外の取引先から英文の仲裁申立書が届いた。あなたの会社は被申立人だ。契約書の仲裁条項を読み返すと「ICC 仲裁規則による」とある。この時点で、答弁期限も仲裁人の選び方も証拠開示の範囲も、民事訴訟法ではなく ICC 規則と仲裁廷の手続命令が決める。日本の裁判の感覚で答弁を組み始めると、最初の一週間を丸ごと無駄にする
- 相手方が提出した重要証人の陳述書について、反対尋問の機会がないまま審理が終わりそうだとしたら、どうなる? 陳述書をどれだけ信用するかは仲裁廷の判断(26条3項)だが、反論の機会を実質的に奪うことは25条の問題になる。ただし黙っていれば、その主張自体が弱くなる
- 手続命令に合意違反を見つけた。異議は「遅滞なく」述べなければならない。次回期日で黙っていれば、27条により異議権を放棄したとみなされうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約書の仲裁条項から、適用される仲裁機関の規則とその版を特定する(合意時の版か申立時の版かも確認) 2. 手続命令や相手方の証拠提出に問題があれば、その場で書面により異議を述べ記録に残す(27条) 3. 相手が必要な文書を出さないなら、仲裁廷に開示命令を求めるか、仲裁廷の同意を得て裁判所の証拠調べを申し立てる(35条) 4. 説明の機会を実質的に奪われたら、取消事由(44条)になりうることを意識して記録を整える
訴えられた側:1. 申立書を受け取ったら、機関規則が定める答弁期限と仲裁人選任期限を最優先で確認する2. 最初の手続協議で、書面回数・文書開示の範囲・証人尋問の方式について自社の体制に合った案を出す3. 仲裁廷が合意と異なる手続を進めたら、遅滞なく異議を記録する4. 不利な仲裁判断が出たら、取消申立て(44条)または執行段階での拒否事由(45条)を弁護士と検討する
時効(請求できる期限):特定の時効はない。ただし手続違反への異議は知った後「遅滞なく」(期限の定めがあればその期限まで、27条)。仲裁判断の取消申立ては、仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内で、かつ執行決定の確定前に限られる(44条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:26条1項の合意には、仲裁機関規則の援用による間接的な合意も含まれる。合意の限界となる公の秩序に関する規定には、少なくとも当事者の平等待遇と十分な説明の機会を定める25条が含まれると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した新仲裁法の制定に伴い、仲裁手続の準則を当事者の合意に委ね、合意がない場合は仲裁廷の裁量によるとする規定が設けられた。令和5年(2023年)改正による影響の有無は要確認
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い新設された。手続準則を当事者の合意に委ね、合意がなければ仲裁廷の裁量によるとし、証拠判断の権限を明記した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める