仲裁法 第35条(裁判所により実施する証拠調べ)
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- 仲裁廷又は当事者は、民事訴訟法の規定による調査の嘱託、証人尋問、鑑定、書証(当事者が文書を提出してするものを除く。)及び検証(当事者が検証の目的を提示してするものを除く。)であって仲裁廷が必要と認めるものにつき、裁判所に対し、その実施を求める申立てをすることができる。ただし、当事者間にこれらの全部又は一部についてその実施を求める申立てをしない旨の合意がある場合は、この限りでない。
- 2.当事者が前項の申立てをするには、仲裁廷の同意を得なければならない。
- 3.第一項の申立てに係る事件は、第五条第一項及び第二項の規定にかかわらず、次に掲げる裁判所の管轄に専属する。
- 一第五条第一項第二号に掲げる裁判所
- 二尋問を受けるべき者若しくは文書を所持する者の住所若しくは居所又は検証の目的の所在地を管轄する地方裁判所
- 三申立人又は被申立人の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所(前二号に掲げる裁判所がない場合に限る。)
- 四東京地方裁判所及び大阪地方裁判所
- 4.第一項の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
- 5.第一項の申立てにより裁判所が当該証拠調べを実施するに当たり、仲裁人は、文書を閲読し、検証の目的を検証し、又は裁判長の許可を得て証人若しくは鑑定人(民事訴訟法第二百十三条に規定する鑑定人をいう。)に対して質問をすることができる。
- 6.裁判所書記官は、第一項の申立てにより裁判所が実施する証拠調べについて、調書を作成しなければならない。
この条文の基本情報
裁判所により実施する証拠調べとは何ですか?
定義裁判所により実施する証拠調べとは、仲裁法第35条に定められた規定で、「仲裁廷又は当事者は、民事訴訟法の規定による調査の嘱託、証人尋問、鑑定、書証(当事者が文書を提出してするものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第35条(裁判所により実施する証拠調べ)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第35条の条文原文は「仲裁廷又は当事者は、民事訴訟法の規定による調査の嘱託、証人尋問、鑑定、書証(当事者が文書を提出してするものを除く。」で始まります。
- 仲裁法第35条は第五章 仲裁手続の開始及び仲裁手続における審理に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第35条の前の条は仲裁法第34条です。
- 仲裁法第35条の次の条は仲裁法第36条です。
- 仲裁法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法35条は、仲裁廷が必要と認める証人尋問・鑑定・調査の嘱託・書証・検証を、仲裁廷または当事者の申立てにより裁判所が実施する制度を定める。当事者の申立てには仲裁廷の同意が必要。
Q · 仲裁で証人が出てこないとき、裁判所に助けてもらえるの?
仲裁廷の同意があれば裁判所に証拠調べを申し立てられる
仲裁法35条により、仲裁廷が必要と認める証人尋問・鑑定・調査の嘱託・書証・検証は、裁判所に実施を求めることができます。当事者が申し立てるには仲裁廷の同意が必要です(同条2項)。裁判所は民事訴訟法の規定に従って実施するため、正当な理由なく出頭しない証人には過料などの制裁がありえます。ただし契約で申立てをしない旨を合意していれば利用できません(1項ただし書)。
解説
仲裁人には強制力がない。相手方の取引先が証言を断っても、銀行が取引記録を出さなくても、仲裁廷(仲裁人で構成する私設の判断機関)は命令ひとつ出せない。仲裁は当事者どうしの合意で成り立つ紛争解決であり、その合意の外にいる第三者を縛る根拠を持たないからだ。そこで仲裁法35条は、国の裁判所に証拠調べを代わりに実施してもらう通路を開いた。対象は証人尋問、鑑定、調査の嘱託(官公署や企業への照会)、第三者が持つ文書の取り寄せ、検証(現場や物を直接確かめること)である。仲裁廷が必要と認めれば、裁判所が民事訴訟法のルールに従って実施する。正当な理由なく出頭しない証人には過料などの制裁がありうる(民事訴訟法192条以下)。ただし当事者が申し立てるには仲裁廷の同意が必要で、契約で「申し立てない」と合意していれば通路は閉じる。尋問の場では、仲裁人自身も文書を読み、裁判長の許可を得て証人に質問できる。勝敗を決める証拠が相手陣営の外にあるなら、最初に確認すべきはこの一条である。
法的な位置づけ
仲裁法35条は、仲裁手続における裁判所の証拠調べ援助を定める規定であり、仲裁廷が必要と認める調査の嘱託、証人尋問、鑑定、書証および検証について、仲裁廷または仲裁廷の同意を得た当事者が裁判所に実施を申し立てることを認める。証拠の評価は仲裁廷に留保され、当事者は合意により本制度の利用を排除できる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仲裁条項の排除合意を確認する 契約書の仲裁条項や付属規則に、裁判所への証拠調べ申立てをしない旨の合意(35条1項ただし書)が含まれていないかを確認する。仲裁機関規則の準用条項もあわせて読む
- 2.必要な証拠を特定し仲裁廷に同意を求める 証人、第三者所持文書、検証対象などを特定し、その必要性と手続日程への影響を説明した書面で仲裁廷に同意を求める。手続会議の早い段階で予告しておくと同意を得やすい
- 3.管轄裁判所を選んで申し立てる 35条3項の専属管轄から申立先を選ぶ。仲裁地の地方裁判所、証人や文書所持者の住所地等の地方裁判所、東京地裁・大阪地裁などが候補となる
- 4.期日に仲裁人の同席と質問を準備する 尋問期日に仲裁人が同席し、裁判長の許可を得て質問できるよう、聞くべき事項を事前に仲裁廷と共有する。作成された調書(35条6項)を仲裁手続に提出する
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁における裁判所の証拠調べとは?
仲裁廷が必要と認めた証人尋問や鑑定などを、仲裁廷または当事者の申立てにより国の裁判所が民事訴訟法の規定に従って実施する制度です(仲裁法35条)。
Q2仲裁廷の同意なしに当事者だけで申し立てできる?
できません。当事者が申し立てるには仲裁廷の同意が必要です(仲裁法35条2項)。仲裁廷自身が申し立てる場合は当事者の同意は要件ではありません。
Q3仲裁の証拠調べはどこの裁判所に申し立てる?
35条3項に列挙された裁判所の専属管轄です。仲裁地の地方裁判所、証人の住所地や文書所持者の所在地の地方裁判所、東京地裁・大阪地裁などから選びます。
Q4仲裁で第三者の文書を取り寄せることはできる?
できます。当事者自身が提出する文書は対象外ですが、第三者が持つ文書については裁判所を通じた書証の取調べを求めることができます(35条1項括弧書)。
Q5仲裁の証拠調べ 申立てが却下されたら争える?
申立てについての決定には即時抗告ができます(仲裁法35条4項)。期間は民事訴訟法の例により告知から1週間とされるため、速やかな対応が必要です。
Q6仲裁人は裁判所の尋問に参加できる?
できます。仲裁人は文書を閲読し、検証の目的を検証し、裁判長の許可を得て証人や鑑定人に質問できます(仲裁法35条5項)。
Q7仲裁条項で証拠調べを排除できる?
できます。当事者間に裁判所への実施申立てをしない旨の合意があれば、全部または一部について申立てはできません(35条1項ただし書)。
Q8海外仲裁でも日本の裁判所に証拠調べを頼める?
仲裁法は原則として仲裁地が日本国内にある場合に適用されます(仲裁法3条)。仲裁地が外国なら、原則として本条は使えないと考えるべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁で相手の元社員に証言してほしいんだけど、来てくれなかったらどうしようもないの?
どうしようもなくはない。仲裁廷の同意を得て、裁判所に証人尋問を申し立てられる(仲裁法35条1項・2項)。裁判所が呼び出せば、正当な理由のない不出頭には過料などの制裁がありうる(民事訴訟法192条以下)。実務のポイント:実際には、申し立てる構えを見せただけで証人が任意の陳述書作成に応じることが多い。裁判所の呼出状が届くかもしれないという見通しそのものが、交渉材料として効く
Q2裁判所を使ったら、せっかく非公開の仲裁なのに中身が外に漏れませんか?
本条の証拠調べは公開の法廷で行う口頭弁論とは違い、事件記録の閲覧も当事者と利害関係を疎明した第三者に限られる(仲裁法9条、現行規定をご確認ください)。ただし証人や文書の所持者という第三者が手続に加わる以上、情報の広がりはゼロではない。実務のポイント:経験のある代理人は、証人の側にも秘密保持の誓約を求めるかどうかを、申立て前に仲裁廷と調整しておく
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁では第三者に証言や書類提出を強制できないから、相手の取引先が協力しなければ終わりだ」と考えがちだが、それは半分しか正しくない。仲裁廷自身には強制力がないが、本条を使えば裁判所が民事訴訟法の手続で証拠調べを実施し、出頭しない証人には過料などの制裁もありうる
- 制度があることは知っていても、その重さまで知る人は少ない。当事者の申立てには仲裁廷の同意が必要であり(35条2項)、契約にある一行の排除合意(1項ただし書)があれば、この通路は最初から閉じている。紛争が起きてから契約書を読み返しても、もう書き換えられない
- 「裁判所を使えば、裁判官が勝ち負けに口を出してくる」という問いの立て方自体が誤っている。裁判所が担うのは証拠調べの実施だけで、その結果をどう評価して仲裁判断に結びつけるかは仲裁廷に残る。だからこそ仲裁人は尋問に同席し、自ら質問できる(35条5項)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が証拠を扱うか | 仲裁法35条:国の裁判所が民事訴訟法に従い実施 | 仲裁法34条:仲裁廷が自ら鑑定人を選任 仲裁法26条:仲裁廷が手続を定め証拠を評価 |
| 第三者への強制力 | あり(不出頭証人に過料等の制裁がありうる) | なし(鑑定人は任意の協力) なし(当事者間の合意の範囲内) |
| 当事者による排除 | 排除合意があれば申立て不可(1項ただし書) | 当事者の別段の合意で排除可能 当事者の合意が優先 |
他国ではどう定めているか 4 か国
仲裁廷が必要に応じて法院その他の機関に協助を請求できるとする。日本のような詳細な管轄列挙や排除合意の明文はない
仲裁廷または当事者が仲裁廷の同意を得て法院に証拠調べを申請できる構造で、日本と近い
仲裁廷または仲裁廷の同意を得た当事者が裁判所に証拠調べ等の援助を求められる。仲裁人の立会い・質問も認められる
仲裁人自身が証人召喚状を発し、従わない場合に連邦地方裁判所が強制する方式で、日本とは仕組みが異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 建設工事をめぐる仲裁で、唯一の目撃者は下請業者の現場監督だ。審理終結まであと2か月なのに、彼は「関わりたくない」と電話を切った。仲裁廷の同意を取りつけ、裁判所に証人尋問を申し立てる。裁判所の手続には数か月かかることもあるため、今週中に動かなければ間に合わない
- あなたが被申立人の立場で、申立人が仲裁廷の同意を得て、あなたの取引銀行への調査嘱託を裁判所に申し立ててきたら、どうなるか? 裁判所の決定に不服があれば即時抗告(決定に対する短期の不服申立て)で争える(35条4項)。ただしその前に、契約の仲裁条項に証拠調べを排除する合意が入っていないかを確認するのが先だ
- 海外企業との仲裁で、仲裁地は東京。カギを握る元役員は大阪に住んでいる。申立先は東京地裁でも大阪地裁でもよい
- 退職して3年たったある日、元同僚のもとに裁判所から呼出状が届いた。自分は当事者でもない、他社どうしの仲裁の証人としてである。断れば制裁がありうることを、彼はまだ知らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証拠を集めたい側は、まず契約の仲裁条項に証拠調べを排除する合意(35条1項ただし書)がないかを確認する2. 必要な証拠(証人、第三者が持つ文書、現場)を特定し、仲裁廷に同意を求める書面を早めに出す3. 同意を得たら、35条3項に列挙された管轄裁判所から申立先を選ぶ(証人の住所地や東京地裁・大阪地裁など) 4. 尋問期日には仲裁人の同席を要請し、聞くべき事項を事前に共有しておく
訴えられた側:1. 相手方から裁判所での証拠調べを求められたら、まず排除合意の有無と、その証拠が本当に必要かを仲裁廷に争う2. 営業秘密を含む文書なら、範囲の限定や秘密保持の措置を求める3. 裁判所が申立てを認める決定を出し不服があれば、即時抗告を期限内に申し立てる(35条4項) 4. 尋問の場では反対尋問の準備を怠らない。調書は記録として残る(35条6項)
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。ただし仲裁手続での請求には時効の完成猶予と更新の効力がある(仲裁法29条2項)。申立てについての決定に対する即時抗告は、告知を受けた日から1週間以内(民事訴訟法332条の例による。最新の改正状況をご確認ください)。実務上の期限は仲裁廷の審理終結であり、それより前に申し立てる必要がある
学説
条文構造からの一般的理解:裁判所が担うのは証拠調べの実施に限られ、得られた証拠の評価と仲裁判断は仲裁廷に留保される。仲裁廷の同意要件と当事者の排除合意が、裁判所関与による仲裁の自律性侵食を防ぐ二重の歯止めとして機能する。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)4月1日施行(要検証) 仲裁関係事件の管轄に東京地方裁判所と大阪地方裁判所を加える改正に伴い、本条3項にも両地裁が列挙されたとみられる。改正の有無と施行日は人による検証が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法(平成15年法律第138号)の制定により、UNCITRAL モデル法を基礎とした裁判所による証拠調べの規定として設けられた
- 仲裁法 第5条裁判所の管轄の原則、3項はその特則
- 仲裁法 第26条仲裁手続の準則、証拠評価権限は仲裁廷
- 仲裁法 第34条仲裁廷による鑑定人の選任
- 仲裁法 第9条裁判所事件記録の閲覧制限(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第3条仲裁地が日本国内の場合の適用範囲
- 民事訴訟法 第190条証人義務、裁判所実施の尋問の前提
- 民事訴訟法 第192条不出頭証人への過料等の制裁
- 民事訴訟法 第220条文書提出義務の範囲
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