仲裁法 第36条(仲裁判断において準拠すべき法)
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- 仲裁廷が仲裁判断において準拠すべき法は、当事者が合意により定めるところによる。この場合において、一の国の法令が定められたときは、反対の意思が明示された場合を除き、当該定めは、抵触する内外の法令の適用関係を定めるその国の法令ではなく、事案に直接適用されるその国の法令を定めたものとみなす。
- 2.前項の合意がないときは、仲裁廷は、仲裁手続に付された民事上の紛争に最も密接な関係がある国の法令であって事案に直接適用されるべきものを適用しなければならない。
- 3.仲裁廷は、当事者双方の明示された求めがあるときは、前二項の規定にかかわらず、衡平と善により判断するものとする。
- 4.仲裁廷は、仲裁手続に付された民事上の紛争に係る契約があるときはこれに定められたところに従って判断し、当該民事上の紛争に適用することができる慣習があるときはこれを考慮しなければならない。
この条文の基本情報
仲裁判断において準拠すべき法とは何ですか?
定義仲裁判断において準拠すべき法とは、仲裁法第36条に定められた規定で、「仲裁廷が仲裁判断において準拠すべき法は、当事者が合意により定めるところによる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第36条(仲裁判断において準拠すべき法)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第36条の条文原文は「仲裁廷が仲裁判断において準拠すべき法は、当事者が合意により定めるところによる。」で始まります。
- 仲裁法第36条は第六章 仲裁判断及び仲裁手続の終了に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第36条の前の条は仲裁法第35条です。
- 仲裁法第36条の次の条は仲裁法第37条です。
- 仲裁法第36条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第36条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第36条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/36
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法36条は、仲裁判断の準拠法を当事者が合意で定めると規定する。合意がなければ、仲裁廷が紛争に最も密接な関係がある国の実質法を適用する。
Q · 仲裁になったら、どこの国の法律で判断されるの?
当事者の合意が最優先、なければ最密接関係国の法
仲裁法36条により、仲裁判断の準拠法はまず当事者の合意で決まり、一国の法令を選んだ場合は反致を経ずにその国の実質法(民法・商法など)が直接適用されます。合意がなければ、仲裁廷が紛争に最も密接な関係がある国の実質法を選んで適用します。当事者双方が明示的に求めれば、法令を離れて衡平と善で判断することもできます。いずれの場合も、契約の定めに従い、適用可能な慣習は考慮されます。
解説
国際契約の末尾にある「本契約は日本法に準拠する」という一行は、仲裁の場では裁判所とは違う読まれ方をする。仲裁法36条1項によれば、当事者が一国の法令を選んだ場合、その指定は「どの国の法を使うかを決めるルール(法の適用に関する通則法のような抵触法)」ではなく、「事案に直接当てはめる中身の法(民法や商法など)」を指したものとみなされる。いわゆる反致(相手国の抵触法を経由して別の国の法に飛ぶこと)で予想外の法に連れて行かれる道は、最初から塞がれているのである。合意がなければ、仲裁廷は紛争に最も密接な関係がある国の法を自ら選ぶ。どこまで予測できるかは、仲裁人の判断にかかる。さらに当事者双方が明示的に求めれば、仲裁廷は法律を離れ「衡平と善」、つまり条文ではなく公平の感覚で判断できる。どの場合でも、契約の文言と業界の慣習は判断材料から外れない。契約交渉のテーブルで「準拠法なんてどこでも同じ」と言われたら、ここで手を止めるべきだ。仲裁判断は法の適用を間違えても、それだけでは原則として取り消せないからである。
法的な位置づけ
仲裁法36条は、仲裁判断の準拠法を定める規定である。当事者の合意による法の選択を最優先し、一国の法令の指定は反致を排除した実質法の指定とみなす。合意がない場合は紛争に最も密接な関係がある国の実質法を適用し、当事者双方の明示の求めがあるときは衡平と善による判断を認める。契約の定めに従う義務と慣習の考慮義務もあわせて規定する。
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁の準拠法とは何ですか?
仲裁廷が紛争の中身を判断するときに使う法律のことです。仲裁法36条により、当事者が合意で選べ、合意がなければ仲裁廷が最も密接な関係がある国の法を適用します。
Q2仲裁で反致は起きますか?
当事者が一国の法令を選んだ場合は起きません。仲裁法36条1項が、その指定は抵触法ではなく実質法の指定とみなすと定めているためです。反対の意思を明示した場合は例外です。
Q3仲裁廷は通則法を使って準拠法を決めますか?
合意がない場合でも、仲裁廷は通則法8条の推定規定に拘束されず、仲裁法36条2項に基づき最も密接な関係がある国の実質法を直接選びます。裁判所の判断枠組みとは異なります。
Q4仲裁で業界の慣習は考慮されますか?
考慮されます。仲裁法36条4項は、紛争に適用できる慣習があるときはこれを考慮しなければならないと定めています。衡平と善で判断する場合も同様です。
Q5衡平と善で判断するには何が必要ですか?
当事者双方の明示された求めが必要です(仲裁法36条3項)。一方だけの希望や黙示の了解では足りず、仲裁廷が独自に衡平と善で判断することもできません。
Q6準拠法に外国の州法を指定できますか?
できます。仲裁法36条1項の「一の国の法令」には連邦国家の州法の指定も含まれると解されるのが一般的で、指定された州の実質法が適用されます。
Q7仲裁の準拠法は途中で変更できますか?
当事者双方が新たに合意すれば変更は可能と考えられます。ただし紛争発生後は有利な側が応じにくく、実務上は契約締結時の指定が決定的になります。
Q8日本法を選ぶとウィーン売買条約も適用されますか?
日本は締約国のため、国際物品売買で日本法を選んでも、条約の適用を明示的に排除しなければ条約が適用されうると解されています。排除するには契約書への明記が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1契約書に準拠法を書き忘れました。仲裁になったら日本法になりますよね?
そうとは限らない。合意がない場合、仲裁廷は紛争に最も密接な関係がある国の法令を適用する(仲裁法36条2項)。履行地、当事者の本拠、契約交渉の経緯などが総合的に評価され、相手国法が選ばれることもある。実務のポイント:仲裁人は手続の初期に準拠法について当事者の意見を聞くことが多い。この段階で密接関係の根拠を具体的な証拠付きで出した側が、議論の土俵を握る
Q2仲裁判断が日本の法律を明らかに間違えて適用していました。裁判所で取り消せますか?
法の適用の誤りそのものは、仲裁法44条1項の取消事由に含まれていないため、原則として取り消せない。裁判所は仲裁判断の中身を審査し直さないという考え方が採られている。実務のポイント:準拠法の合意を無視して全く別の法や衡平と善で判断した場合は、手続違反や権限踰越として争える余地があると論じられているが、実務上、解釈は分かれている。ここが争点になりうるかを期限内に見極めることが勝負になる
Q3「衡平と善で判断する」って、結局どういう意味なんですか?
法令の規定に縛られず、当事者間の公平の観点から結論を出す方式である。仲裁法36条3項により、当事者双方の明示された求めがある場合に限って使える。ただし同条4項により、契約に定められたことと慣習は引き続き判断の基礎になる。実務のポイント:長期の取引関係を壊したくない当事者同士では、法的勝敗より関係維持を優先してこの方式を選ぶことがある。法律上明らかに有利な側にとっては、得になることが少ない選択肢である
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本法を準拠法にしておけば、日本の裁判所と同じ判断が出る」と考えがちだが、前提が違う。仲裁廷は日本の判例に拘束されず、仲裁人が外国籍の実務家であることも多い。さらに仲裁判断に法の適用の誤りがあっても、それだけでは原則として取消し(仲裁法44条)の対象にならない。同じ日本法でも、判例による補正が効かない場で使われることになる
- 準拠法が契約書にないことは「よくある抜け」程度に思われているが、その深刻さは見過ごされている。2項の「最も密接な関係」には、法の適用に関する通則法8条のような特徴的給付の推定規定が明文で置かれていない。どの国の法になるかが仲裁人の評価に委ねられる幅は、裁判よりも広いと考えておくべきだ
- あなたから見れば「衡平と善」は柔軟で話の分かる解決方法に見える。だが法律から見れば、それは時効、過失相殺、損害賠償の範囲といった法律上の防御線を一度外すことを意味する。法的に有利な立場にいる側がこれに同意するのは、自分の持ち札を自ら場に捨てるのに近い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 仲裁法36条:紛争の中身(実体)に適用する法 | 仲裁法26条:仲裁手続の進め方(手続準則) 通則法7・8条:裁判所が契約の準拠法を決める規則 |
| 合意がない場合 | 仲裁廷が最も密接な関係がある国の実質法を直接適用 | 仲裁廷が適当と認める方法で手続を実施 最密接関係地法、特徴的給付の推定規定あり(8条2項) |
| 法律を離れた判断 | 当事者双方の明示の求めがあれば衡平と善で判断可 | 該当なし(手続の公正・平等は維持) 該当なし(裁判所は法に基づき判断) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾仲裁法は当事者の明示の合意がある場合に衡平原則による判断を認める。準拠法選択の一般則は明文が乏しく、涉外民事法律適用法の契約準拠法規定が参照される。
韓国もモデル法を継受し、当事者指定の法を優先、合意がなければ最密接関係国法を適用し、明示の授権があれば衡平と善による判断を認める。日本と構造が近い。
ドイツは当事者指定を実質法の指定とみなし、合意がなければ最密接関係国法を適用する。日本36条と最も近い構造を持つ。
フランスの国際仲裁では、合意がなければ仲裁廷が適当と認める法規範で判断でき、取引慣行を考慮する。国家法に限らない点で日本より広い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- シンガポールの部品メーカーとの供給契約に仲裁条項はあるが、準拠法の欄が空白のまま締結されていた。納期遅延で損害が出たとき、何法で裁かれるかは仲裁人が「最も密接な関係」を見て決める。日本法だと思い込んで組んだ損害額の計算が、根元から崩れる可能性がある
- 準拠法を「日本法」と定めた国際物品売買で、相手方の代理人が国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)を根拠に契約解除を主張してきた。日本はこの条約の締約国であり、契約で適用を排除していなければ、日本法の指定の中にこの条約が入り込んでくる。民法だけを見ていたあなたの反論書面は、前提から組み直しになる
- もし相手方から「細かい法律論はやめて、衡平と善で決めてもらおう」と持ちかけられたら、どうなる? 双方が明示的に求めた瞬間、仲裁人は条文に縛られない判断ができる。あなたに有利な契約条項は残るが、有利な法律上の推定や時効の主張は武器として弱まりうる
- あなたは発注側の法務担当で、仲裁判断が出たが、日本の民法の解釈を明らかに誤っていると感じている。取消しの申立期限は判断書の写しを受け取ってから3か月。ただし「法の適用の誤り」そのものは取消事由に入っていない。残り時間で探すべきは、法解釈の誤りではなく手続違反や公序違反の有無である
- 海外の建設案件で、相手方が「この地域では追加工事の口頭指示に対価を払うのが慣行だ」と主張してきた。36条4項により、仲裁廷はその慣習を考慮しなければならない。契約書に書いていないから払わなくてよい、とは限らない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方の違反で損害を受けたら、まず契約書の準拠法条項と仲裁条項の有無を確認する2. 準拠法が空白なら、紛争との密接な関係(履行地、当事者の本拠、交渉言語、通貨)を示す証拠を整理し、自社に有利な国の法を主張する材料にする3. 準拠国がウィーン売買条約の締約国なら、条約の適用の有無を先に確認する4. 相手から衡平と善による判断を提案されても、法律上の主張が有利なら同意しない5. 業界慣習で補強できる主張は、取引の実例資料を集めておく
訴えられた側:1. 仲裁を申し立てられたら、相手が前提とする準拠法が契約上の合意と一致しているかを最初に検証する2. 合意がない場合、自社に有利な法を「最も密接な関係」の論証で提示する3. 相手が慣習を持ち出してきたら、その慣習が当該取引の当事者間で実際に通用していたかを争う4. 判断が出た後は、取消事由(仲裁法44条)が手続違反や公序違反に限られることを踏まえ、判断前にすべての主張を出し切る
時効(請求できる期限):仲裁判断の取消しの申立ては、仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内、かつ執行決定が確定する前に限られる(仲裁法44条2項)。請求権自体には準拠法上の消滅時効が適用され、日本法が準拠法なら一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が基準になる。仲裁手続の開始には時効の完成猶予の効果がある(仲裁法29条2項)
学説
通説:36条1項の「反対の意思が明示された場合を除き」との文言から、当事者が明示すれば抵触法を含めた指定も可能だが、明示がない限り実質法の指定と扱われ、反致は生じないと解されている。
通説:仲裁廷による準拠法の解釈・適用の誤りは、仲裁法44条1項の取消事由に含まれず、原則として取消しの理由にならない。ただし合意された準拠法を無視した判断の扱いについては議論がある。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法を基礎とする仲裁法の制定により、仲裁判断の準拠法に関する規定として設けられた。モデル法と異なり、合意がない場合に最密接関係国の実質法を直接適用する方式を採用した
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法を基礎とする仲裁法の制定に伴い新設。合意がない場合に最密接関係国の実質法を直接適用する方式を採用した。
- 仲裁法 第26条仲裁手続の準則、手続面の当事者自治
- 仲裁法 第39条仲裁判断書の作成と理由の記載
- 仲裁法 第44条仲裁判断の取消事由と申立期間
- 仲裁法 第45条仲裁判断の承認と拒絶事由
- 法の適用に関する通則法 第7条裁判における準拠法の当事者選択
- 法の適用に関する通則法 第8条選択がない場合の最密接関係地法と推定
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