仲裁法 第54条(第三者供賄)
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仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
この条文の基本情報
第三者供賄とは何ですか?
定義第三者供賄とは、仲裁法第54条に定められた規定で、「仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第54条(第三者供賄)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第54条の条文原文は「仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。」で始まります。
- 仲裁法第54条は第十章 罰則に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第54条の前の条は仲裁法第53条です。
- 仲裁法第54条の次の条は仲裁法第55条です。
- 仲裁法第54条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第54条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第54条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/54
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法54条は、仲裁人が職務に関し請託を受けて第三者に賄賂を供与させ、又はその要求・約束をしたとき、五年以下の拘禁刑に処すると定める。本人が受け取らなくても成立する。
Q · 仲裁人が自分では受け取らず、家族の会社にお金を入れさせたら犯罪になるの?
請託があれば成立し、五年以下の拘禁刑の対象
仲裁法54条により、仲裁人が職務に関して当事者から請託を受け、親族の会社や関係団体など第三者に賄賂を供与させた場合、又はその供与を要求・約束した場合は、五年以下の拘禁刑に処されます。仲裁人本人の口座に一円も入っていなくても成立します。ただし、請託がない第三者への供与は本条の対象外であり、成立の分かれ目は受取人の名義ではなく請託の有無にあります。
解説
仲裁人は裁判官ではない。民間の弁護士や大学教授、業界の専門家が当事者に選ばれてその役につくことが多い。それでも、仲裁判断(仲裁人が下す最終的な結論で、確定判決と同じ効力をもつ)を出すという点では、裁判官に近い力を握る。だから仲裁法は、公務員でもない仲裁人に刑法の賄賂罪と同じ型の罰則を用意した。本条が狙うのは、わいろを本人が受け取らない抜け道である。仲裁人が当事者から「うちに有利に頼む」と頼まれ(請託)、その見返りを自分ではなく、親族の会社や関係の深い団体など第三者に渡させた場合、または渡すよう要求・約束した場合も、五年以下の拘禁刑となる。仲裁人の口座に一円も入っていなくても成立する。あなたが仲裁の当事者なら、相手方と仲裁人の周辺にお金の流れがないかという視点をもつだけで、仲裁人の忌避(不公正のおそれを理由に外すよう求める手続)や仲裁判断の取消しに向けた道筋が見えてくる。
法的な位置づけ
仲裁法第54条は仲裁人の第三者供賄罪を定める規定であり、仲裁人が職務に関して請託を受け、自己以外の第三者に賄賂を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をした場合に五年以下の拘禁刑を科す。公務員の第三者供賄罪(刑法197条の2)と同じ構造をもち、受取人の名義を変える脱法を防ぐ趣旨である。
よくある質問 AI による整理
Q1第三者供賄罪とは何ですか?
請託を受けた者が、自分ではなく第三者に賄賂を渡させる行為を罰する罪です。仲裁人については仲裁法54条が、公務員については刑法197条の2が定めています。
Q2仲裁人の賄賂の罰則は何年ですか?
第三者供賄の場合、仲裁法54条により五年以下の拘禁刑です。2025年6月1日の刑法改正施行に伴い、従来の「懲役」が「拘禁刑」に改められています。
Q3賄賂を要求しただけでも犯罪になりますか?
なります。仲裁法54条は第三者に供与させる行為だけでなく、その供与の要求や約束も処罰対象としています。実際の送金がなくても、請託を受けたうえでの要求で成立します。
Q4請託とはどういう意味ですか?
職務に関して一定の行為をするよう依頼を受け、それを引き受けることです。刑法の解釈では、依頼される行為が不正なものに限られないとされ、仲裁法でも同様に考えられる可能性があります。
Q5仲裁人の第三者供賄の時効はいつまでですか?
法定刑の上限が五年の拘禁刑であるため、公訴時効は5年です(刑事訴訟法250条2項5号)。犯罪行為が終わった時から起算します。
Q6団体への寄付も賄賂になりますか?
仲裁人の職務に関する請託と対価関係にあれば、寄付やスポンサー料という名目でも賄賂にあたりえます。名目ではなく、請託との結びつきが判断の中心です。
Q7第三者には会社や団体も含まれますか?
含まれると解されています。刑法の第三者供賄罪の解釈では、自然人だけでなく法人や法人格のない団体も第三者にあたるとされ、仲裁法でも同様に考えられます。
Q8仲裁判断の取消しはいつまで申し立てられますか?
仲裁判断書の写しの送付を受けた日から三か月以内、又は執行決定が確定するまでです(仲裁法44条2項)。刑事手続の進み具合とは関係なく期限が来ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁人って公務員じゃないのに、なんで賄賂で捕まるんですか?
仲裁判断は確定判決と同じ効力をもち(仲裁法45条)、裁判所の執行決定を得れば強制執行もできる。裁判官並みの力を民間人に与える以上、廉潔さも刑事罰で担保するという考え方であり、本条と収賄規定はその表れである。実務のポイント:刑法の公務員贈収賄の条文を読み比べると、構造も法定刑もほぼ同じである。刑法の判例や学説(請託の意味、職務関連性)が解釈の参考にされうるため、刑法197条の2の論点を知る弁護士が強い
Q2仲裁人の事務所に顧問料を払うのも第三者への供与になるんですか?
所属事務所への支払いが、実質的に仲裁人本人が受け取ったものと評価されれば本人の収賄の問題になり、別人格の第三者への供与と評価されれば本条の問題になる。どちらの場合も、職務に関する請託との結びつきが要件の中心にある。実務のポイント:国際仲裁の実務では、IBA利益相反ガイドラインで事務所の取引関係も開示対象とする扱いが広く使われている。法的拘束力はないが、開示を求める際の物差しとして持ち出す価値がある
Q3仲裁人が有罪になったら、仲裁判断は自動的に無効になりますか?
自動的には無効にならない。裁判所に取消しを申し立て、仲裁手続の法令違反や公序良俗違反(仲裁法44条1項)として認めてもらう必要がある。実務のポイント:取消申立ての期限は判断書の写しを受け取ってから三か月と短い。有罪判決を待っていては間に合わないことが多いため、疑いの段階で申立てを出し、刑事記録は後から補強証拠として出すのが現実的な順番である
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁人は民間人だから、刑法の賄賂罪とは無縁」と思われがちである。たしかに刑法197条以下は公務員が対象だが、仲裁法が独自に同じ型の罰則を置いている。民間人でも、仲裁人として職務についた時点で刑事罰の網に入る
- 「本人が一円も受け取っていなければセーフ」という考えは、まさに本条がふさいだ抜け道である。第三者に供与させること、それを要求・約束することまで処罰対象になる。ただし、職務に関する「請託」(具体的な職務行為を頼まれて引き受けること)がない第三者への供与は本条では処罰されない。成立のポイントは受取人の名義ではなく請託があったかどうかにある
- 当事者から見れば「怪しいお金が動いたなら仲裁判断はすぐ無効」と考えたくなる。だが法律上、刑事責任と仲裁判断の効力は別の手続である。判断を覆すには、裁判所に取消しを申し立て(仲裁法44条)、期間内に手続違反や公序良俗違反を示す必要がある。刑事事件の結論を待っているうちに申立期間が過ぎる、という落とし穴がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 賄賂の受取人 | 仲裁法54条:仲裁人以外の第三者(親族・関係会社・団体など) | 仲裁法53条:仲裁人本人(現行条番号は要確認) 刑法197条の2:公務員以外の第三者 |
| 請託の要否 | 必要(請託がない第三者への供与は本条の対象外) | 単純収賄は不要、受託収賄は必要 必要 |
| 主体 | 仲裁人(民間人を含む) | 仲裁人(民間人を含む) 公務員 |
| 法定刑 | 五年以下の拘禁刑 | 類型により異なる(仲裁法の条文で要確認) 五年以下の拘禁刑 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は特別法ではなく刑法本体で「公務員又は仲裁人」を収賄罪の主体と定める。日本のような独立した第三者供賄の類型はなく、第三者経由の収受は解釈で対応する
韓国刑法は第三者賄賂提供罪の主体に仲裁人を明記し、「不正な請託」を要件とする。日本より請託の要件が絞られている
ドイツは裁判官と並べて仲裁人(Schiedsrichter)を主体とし、自己又は第三者のための利益(Drittvorteil)を同じ条文で処罰する
フランスは司法官や仲裁人の収賄を一つの条文で規律し、「pour autrui(他人のため)」の利益も明文で対象に含める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外の取引先との仲裁で、相手方が選んだ仲裁人が理事を務める財団に、相手方の関連会社から多額の寄付が入っていたと後から分かった。寄付が「判断をよろしく」という頼みとセットなら、本条の構造に当てはまる
- もし、仲裁人の配偶者が経営するコンサル会社に、相手方当事者から審理中に顧問契約の申し込みが入っていたとしたら? 偶然なのか見返りなのか、請託の有無と時期が分かれ目になる
- あなたは建設紛争の当事者企業の担当者で、上司から「仲裁人の息子さんの事業に出資しておけ、判断が出る前に」と指示された。断らなければ、仲裁人だけでなくあなたの会社側も贈賄罪の対象になりうる
- 仲裁判断の取消しの申立期間が、判断書の写しを受け取ってから三か月で切れようとしている。第三者経由の資金の流れを示す資料が手元に届いたのは、残り二週間の時点だった
- 送金はしていない。仲裁人が「この団体に寄付してくれれば」と口にしただけである。要求だけで成立するため、その発言の録音が残っていれば、それが証拠の中心になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仲裁人の開示書面、関係団体の寄付者名簿、登記簿など、公開資料で資金の流れを確認する2. 審理中なら、忌避の原因を知った日から十五日以内に忌避を申し立てる(仲裁法19条、当事者間で別の合意があればそれに従う)3. 判断が出た後なら、取消申立ての期限(判断書の写しを受け取ってから三か月)を最優先で押さえる4. 刑事告発は弁護士と相談し、民事側の期限と並行して進める
訴えられた側:1. 仲裁人として、第三者への支払いの話が当事者側から出た時点ではっきり断り、記録を残す2. 関係先と当事者の取引が判明したら、すぐ両当事者に開示する(仲裁法18条4項)3. 当事者企業側の担当者であれば、上司からの指示でも従わない。贈賄罪(仲裁法の贈賄規定)は渡す側も処罰対象である4. 捜査を受けたら黙秘権を確認し、すぐに弁護人を選任する
時効(請求できる期限):本条の罪の公訴時効は5年(法定刑の上限が10年未満の拘禁刑、刑事訴訟法250条2項5号)、犯罪行為が終わった時から起算する(同253条)。民事側では、仲裁判断の取消申立ては判断書の写しを受け取った日から三か月以内、または執行決定が確定するまで(仲裁法44条2項)。忌避申立ては原因を知った日から十五日以内(同19条3項)
学説
刑法197条の2の解釈論の参照:本条は刑法の第三者供賄罪と同じ構造であるため、請託の意味や職務関連性、第三者の範囲(法人・団体を含む)について刑法の判例・学説が解釈の参考にされうる。仲裁法独自の判例の蓄積は乏しい
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)仲裁法制定 新法の制定に伴い第三者供賄の罰則が置かれた。制定時の条番号は第51条とされる(要確認)
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う整理で「懲役」が「拘禁刑」に改められた
- 令和5年(2023年)改正 暫定保全措置の執行等に関する規定の新設に伴い、罰則の条番号が繰り下がり、現行第54条となったとみられる(人的検証が必要)
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法の制定に伴い、仲裁人の収賄・第三者供賄・贈賄等の罰則が置かれた(制定時の条番号は現行と異なるとされる)
- 2.令和7年(2025年) 改正:刑法等の一部改正の施行(2025年6月1日)に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
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