仲裁法 第57条(贈賄)
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第五十三条から第五十五条までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
贈賄とは何ですか?
定義贈賄とは、仲裁法第57条に定められた規定で、「第五十三条から第五十五条までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第57条(贈賄)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第57条の条文原文は「第五十三条から第五十五条までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 仲裁法第57条は第十章 罰則に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第57条の前の条は仲裁法第56条です。
- 仲裁法第57条の次の条は仲裁法第58条です。
- 仲裁法第57条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第57条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第57条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/57
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法57条は、仲裁人への賄賂の供与・申込み・約束を処罰する規定。三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金で、相手が断っても申込みの時点で罪が成立する。
Q · 仲裁人に謝礼を持ちかけて断られたら、罪にはならないの?
断られても、申込みの時点で犯罪が成立する
仲裁法57条は、仲裁人に対する賄賂の「供与」だけでなく「申込み」と「約束」も処罰対象としています。そのため、仲裁人がきっぱり断っても、金銭が一円も動かなくても、持ちかけた時点で三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金の対象になります。最大の争点は、その利益が仲裁人の「職務に関し」て提供されたかどうかです。
解説
仲裁人は裁判官ではない。民間人であり、公務員でもない。だから刑法の贈賄罪(198条)は原則として届かない。その空白を埋めるために置かれたのが本条である。仲裁人に賄賂を「渡した」者だけでなく、「渡そうと申し込んだ」者、「渡すと約束した」者まで、三年以下の拘禁刑または二百五十万円以下の罰金に処される。要注意なのは、申込みの時点で犯罪が完成するという点だ。仲裁人がきっぱり断っても、成功報酬の話が「冗談」で終わっても、それを持ちかけた事実だけで処罰の対象になる。仲裁は非公開で、上訴もなく一回で決着する。その閉じた空間で唯一の判断者を買収されれば、負けた側には事実上ひっくり返す手段がない。だから法律は、受け取る側(53条から55条)と渡す側(本条)の両方を刑罰で縛った。接待、顧問契約の提案、次の事件で仲裁人に選ぶという約束。どれも「職務に関する対価」と評価されれば賄賂になりうる。
法的な位置づけ
仲裁法57条は仲裁人に対する贈賄罪を定める規定であり、同法53条から55条に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者を、三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処する。収賄側を処罰する53条から55条と対をなし、公務員を対象とする刑法198条が及ばない民間の仲裁人について、判断者の廉潔性を刑罰で担保する。
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁法57条とは?
仲裁人に対する贈賄を処罰する規定です。53条から55条の賄賂を供与・申込み・約束した者を、三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金に処します。
Q2仲裁人に賄賂を渡すと罰則は?
三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金です。法定刑は公務員への贈賄を処罰する刑法198条と同じ水準です。
Q3仲裁人への賄賂は未遂でも罪になる?
本条は「申込み」と「約束」も独立の犯罪として処罰しています。仲裁人が拒否して受け渡しが起きなくても、持ちかけた時点で罪が成立します。
Q4仲裁人を次の案件で選ぶと約束するのは賄賂?
賄賂は金銭に限らず、人の需要や欲望を満たす利益一般を含むと解されています。有利な判断の見返りとして将来の選任を約束すれば、賄賂と評価される余地があります。
Q5賄賂を受け取った仲裁人はどうなる?
受け取った側は仲裁法53条から55条の収賄罪で処罰されます。請託の有無や不正な判断をしたかどうかによって刑が重くなる構造です。
Q6仲裁人への贈賄の時効はいつまで?
公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は犯罪行為が終わった時で、申込みだけなら申込みをした時点から数えます。
Q7海外の仲裁で仲裁人に贈賄したら日本法で処罰される?
国外犯の処罰範囲は仲裁法58条が定めています。仲裁地や行為地によって扱いが変わり、外国公務員への贈賄は不正競争防止法18条で別途規制されています。
Q8仲裁人が買収されたら仲裁判断を取り消せる?
仲裁法44条の取消し申立てで争います。期限は仲裁判断の通知を受けた日から3か月と短いため、刑事手続の結論を待たずに並行して準備する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁人にお中元を送っただけでも捕まるんですか?
金額の大小ではなく、仲裁人の職務に関する対価かどうかが問題になる。係属中の事件の仲裁人に当事者が贈り物をすれば、職務関連性が強く疑われる。社交上の儀礼として許される範囲がどこまでかは、実務上、解釈が分かれる。実務のポイント:刑事罰より先に問題になるのは、仲裁人がこれを開示しなかった場合の忌避や取消しである。審理中の贈答はそもそもしない、が実務の常識
Q2相手が仲裁人を買収していたら、出た判断はどうなりますか?
仲裁には上訴がないので、争う手段は裁判所への取消しの申立て(44条)になる。どの取消事由で構成するかについては、手続違反や公序良俗違反(同条1項8号など)が考えられ、実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:申立期間は通知を受けてから3か月しかない。刑事事件の結論を待っていると期限が過ぎてしまう。刑事と取消しは並行して進めるのが鉄則
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁人は民間人だから、謝礼を渡しても刑法の贈賄にはならない」と考える人がいる。半分は正しい。刑法198条は公務員が対象である。しかしまさにその抜け穴を塞ぐために仲裁法自身が罰則を持っている。民間人だから安全、ではなく、民間人だからこそ別の法律が用意されている
- 賄賂は金銭の受け渡しが完了して初めて罪になると思われがちだが、問題はそこではない。本条は「申込み」と「約束」まで処罰する。仲裁人が拒否しても、一円も動かなくても、持ちかけた時点で犯罪は完成している。成功しなかったから大丈夫、という理屈は通らない
- 当事者から見れば、仲裁人を接待するのは「関係づくり」にすぎない。しかし法律から見れば、係属中の事件の判断者に対して職務に関連して利益を与える行為である。この認識のずれが、刑事責任と仲裁判断の取消しの両方を同時に呼び込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される者 | 仲裁法57条:賄賂を供与・申込み・約束した者(贈る側) | 仲裁法53条:賄賂を収受・要求・約束した仲裁人(受け取る側) 刑法198条:公務員に賄賂を供与・申込み・約束した者 |
| 対象となる判断者 | 仲裁人(民間人) | 仲裁人(仲裁人になろうとする者を含む類型あり) 公務員(裁判官を含む) |
| 法定刑 | 三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金 | 収賄の類型に応じて定められ、贈賄より重い 三年以下の拘禁刑又は二百五十万円以下の罰金 |
| 成立時点 | 申込み・約束の時点で既遂 | 要求・約束の時点で既遂 申込み・約束の時点で既遂 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は刑法典の中で公務員と仲裁人を並べて賄賂罪の対象としている。日本のように仲裁法の中に別立ての罰則を置く方式とは異なる。
韓国も刑法典の賄賂罪の章で「공무원 또는 중재인」を並記し、贈賄側は133条で処罰する。
ドイツは公務員犯罪の章の中で Schiedsrichter(仲裁人)を明示し、収賄・贈賄の双方を処罰する。
フランスは司法作用を害する罪として、国内仲裁法のもとで職務を行う仲裁人への能動的・受動的贈収賄を処罰する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相手方の代理人が、審理中の仲裁人と同じゴルフコンペに顔を出し、終わったあと高級料亭に誘っていた。それを知ったのは仲裁判断の通知が届いた後だった。取消しの申立期間は通知を受けてから3か月しかない。証拠集めは今週から始めないと間に合わない
- 海外の取引先との仲裁で劣勢になった。社長が「仲裁人に顧問料という形で何か払えないか」と言い出したら、どうなる? 法務担当者のあなたが止めなければ、申込みの段階で会社の役員が刑事責任を負いかねない
- 仲裁人から「この件が終わったら、うちの事務所と顧問契約を結んでもらえるとありがたい」とほのめかされた。うなずいた瞬間、あなたは約束をした側になる
- あなたは仲裁人選任を任された当事者側の担当者。「有利に判断してくれたら次の案件でも必ず指名する」と仲裁人候補に伝えたいと思った。その一言が、金銭のやり取りがなくても「利益の約束」と評価される余地がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手方と仲裁人の接触を示す証拠(写真、SNS投稿、会食の目撃情報、送金の痕跡)を日付つきで保全する2. 仲裁判断が出る前なら、知った日から15日以内に忌避の申立てを検討する(19条、合意で別段の定めがある場合を除く) 3. 判断が出た後なら、取消しの申立て(44条)を急いで準備する4. 刑事告発は取消しとは別ルートで、弁護士と同時に進める
訴えられた側:1. 仲裁人とのやり取り(会食、贈答、仕事の依頼)をすべて時系列で洗い出し、仲裁手続との時間的な関係を整理する2. 「職務に関し」と言えるかどうかが最大の争点になるため、事件と無関係な既存の付き合いかどうかを示す客観資料を集める3. 捜査機関への供述より前に、刑事弁護人に相談する4. 会社が関与している場合は、社内調査を弁護士主導で進める
時効(請求できる期限):本条の罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)で、行為が終わった時から起算する。仲裁判断の取消し申立ては、仲裁判断書の写しの送付による通知を受けた日から3か月以内で、執行決定が確定した後はできない(44条2項)。忌避申立ては、原則として忌避の原因を知った日から15日以内(19条3項、当事者の合意で別の定めがある場合を除く)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
刑法準拠的理解:本条は刑法198条と同じ構造と法定刑を持つため、賄賂の意義、職務関連性、申込み・約束の成立時期は、刑法上の賄賂罪の解釈に準じて考えるのが自然とされる。
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)仲裁法改正 暫定保全措置の執行等に関する規定が新設されたことに伴い条番号が繰り下がり、旧54条が現行57条になった。引用先も旧50条から52条が、53条から55条に改められた(施行日を要確認)
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正による懲役・禁錮の統合に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法の制定により、仲裁人の収賄と対になる贈賄罪が旧54条として新設された。
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法改正による懲役と禁錮の一本化に伴い、法定刑が「拘禁刑」に改められた(2025年6月1日施行)。
- 3.令和5年(2023年) 改正:暫定保全措置に関する規定の整備に伴い条番号が繰り下がり、旧54条が現行57条となり、引用条文も53条から55条に改められた。
- 仲裁法 第53条仲裁人の収賄・受託収賄・事前収賄(収賄側)
- 仲裁法 第54条第三者供賄、本条の賄賂の範囲を画定
- 仲裁法 第55条加重収賄・事後収賄、本条の賄賂の範囲
- 仲裁法 第58条国外犯の処罰範囲(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第44条仲裁判断の取消し、買収された判断の救済路
- 刑法 第198条公務員贈賄罪、法定刑が同じ並行類型
- 不正競争防止法 第18条外国公務員等への贈賄禁止、国際取引の隣接規制
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