仲裁法 第55条(加重収賄及び事後収賄)
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- 仲裁人が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期拘禁刑に処する。
- 2.仲裁人が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
- 3.仲裁人であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
この条文の基本情報
加重収賄及び事後収賄とは何ですか?
定義加重収賄及び事後収賄とは、仲裁法第55条に定められた規定で、「仲裁人が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期拘禁刑に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第55条(加重収賄及び事後収賄)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第55条の条文原文は「仲裁人が前二条の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期拘禁刑に処する。」で始まります。
- 仲裁法第55条は第十章 罰則に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第55条の前の条は仲裁法第54条です。
- 仲裁法第55条の次の条は仲裁法第56条です。
- 仲裁法第55条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第55条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第55条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/55
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法55条は、仲裁人が収賄して不正な行為をし又は相当の行為をしなかった場合に一年以上の有期拘禁刑を科し、退任後の事後収賄にも五年以下の拘禁刑を定める。
Q · 仲裁人が賄賂をもらって判断を曲げたら、どれくらいの刑になるの?
罰金なしで一年以上二十年以下の拘禁刑になる
仲裁法55条1項により、仲裁人が収賄罪(同法53条・54条)を犯し、それによって不正な行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、一年以上の有期拘禁刑に処されます。罰金刑の選択肢はありません。先に不正をして後から賄賂を受け取った場合も2項で同じ刑です。さらに3項は、仲裁人であった者が在職中に請託を受けて不正をし、退任後に賄賂を受け取った場合を五年以下の拘禁刑で処罰します。
解説
裁判官でもない民間人が、なぜ公務員と同じ重さで罰せられるのか。仲裁人の多くは、当事者が選んだ弁護士や業界の専門家である。それでも仲裁法は、仲裁人が賄賂を受け取ったうえで実際に判断を曲げた場合や、すべき行為をわざとしなかった場合に、刑法の公務員の加重収賄(197条の3)と同じ「一年以上の有期拘禁刑」を科す。罰金で済ませる選択肢はなく、上限は20年である。順番が逆でも同じ扱いになる。先に判断を曲げ、後から金を受け取っても第2項で同じ刑になる。これほど重い理由は、仲裁判断が確定判決と同じ効力を持ち(仲裁法45条1項)、控訴で覆す道がほぼないからだ。第3項は退任後の仲裁人も対象にする。在職中に頼まれて判断を曲げ、辞めてから謝礼を受け取る「後払い型」も、5年以下の拘禁刑の対象になる。あなたが仲裁の当事者なら、判断が出た後も、仲裁人と相手方の間の金の流れには注意を払う価値がある。
法的な位置づけ
仲裁法55条は、仲裁人の加重収賄罪および事後収賄罪を定める規定である。収賄罪を犯した仲裁人が不正な行為をし又は相当の行為をしなかった場合、及び職務上の不正に関して賄賂を収受等した場合に一年以上の有期拘禁刑を科し、退任後に在職中の請託・不正に関して賄賂を収受等した者には五年以下の拘禁刑を科す。
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁人の加重収賄罪とは?
収賄罪を犯した仲裁人が、それによって判断を曲げる等の不正をしたときに成立する罪です。仲裁法55条1項が一年以上の有期拘禁刑を定めています。
Q2仲裁人の収賄罪の刑罰はどのくらい?
加重収賄(55条1項・2項)は一年以上二十年以下の有期拘禁刑で、罰金刑はありません。事後収賄(同条3項)は五年以下の拘禁刑です。
Q3仲裁人は公務員ではないのに収賄罪になる?
なります。仲裁法は罰則章に独自の収賄罪を置き、民間人である仲裁人にも刑法の公務員収賄とほぼ同じ構造の処罰を及ぼしています。
Q4仲裁人の事後収賄とは?
仲裁人であった者が、在職中に請託を受けて不正をしたことに関し、退任後に賄賂を受け取る等した場合の罪です。仲裁法55条3項、五年以下の拘禁刑です。
Q5仲裁人の収賄 時効は何年?
55条1項・2項は公訴時効10年、3項は5年です(刑事訴訟法250条2項)。犯罪行為が終わった時から起算します。
Q6仲裁人の収賄を告発するにはどこに?
警察または検察庁に告訴・告発します。送金記録や接触の証拠を時系列で整理し、弁護士を通じて提出するのが一般的です。
Q7仲裁人に賄賂を渡した側も処罰される?
処罰されます。仲裁法の罰則章には贈賄罪の規定があり、賄賂を供与・申込み・約束した者も刑事責任を問われます。
Q8仲裁人の収賄は判断の取消理由になる?
収賄自体は取消事由に列挙されていませんが、手続の法令違反や公序良俗違反(仲裁法44条1項)として取消を申し立てる構成が考えられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁人が賄賂をもらってたら、仲裁判断ってなかったことにできるんですか?
自動的に無効にはならない。裁判所に仲裁判断の取消しを申し立てる必要がある(仲裁法44条)。収賄そのものは取消事由として列挙されておらず、仲裁手続の法令違反や公序良俗違反(44条1項)として組み立てるのが一般的と考えられるが、実務上の解釈は分かれうる。期限は判断書の写しを受け取ってから3か月である。実務のポイント:刑事判決を待っていると、まず期限に間に合わない。告発と取消申立ては最初から並行して進めるものである
Q2仲裁人にお中元を送ったり、ゴルフに誘ったりするのはアウトですか?
職務の見返りといえれば、金額の大小にかかわらず賄賂になりうる(仲裁法の収賄罪の規定)。刑法の収賄罪の判例では、賄賂は現金に限らず、人の需要や欲望を満たす一切の利益とされている。審理中の接待は特に危険で、そのうえで判断が曲げられれば本条により1年以上の拘禁刑となる。実務のポイント:主要な仲裁機関の多くは、当事者が仲裁人と一方的に接触することを規則で制限している。刑事事件になる前に、忌避の材料として使われるのが現実である
Q3仲裁人を辞めた後にお金を受け取るのもダメなんですか?
在職中に頼まれて(請託を受けて)不正な判断をした、またはすべき行為をしなかったのであれば、退任後に受け取っても第3項により5年以下の拘禁刑となる。逆に、請託がなく判断も公正であれば、本項は成立しない。贈った側も、同じ章の贈賄罪で処罰の対象になる。実務のポイント:第3項の公訴時効は5年で、起算点は判断の時ではなく受け取った時である。後払いが遅いほど、時効の満了も遅くなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁人は民間人だから、贈収賄罪とは無縁だ」という問いの立て方そのものがずれている。仲裁法は第10章に独自の収賄罪の体系を置き、刑法の公務員収賄(197条以下)とほぼ同じ構造を民間の仲裁人に当てはめている。処罰の根拠は身分ではなく、確定判決と同じ効力を生む職務にある
- 賄賂が違法なことは誰でも知っている。知られていないのは、その重さである。前二条の基本的な収賄罪から、実際に判断を曲げた時点で、下限1年・上限20年の拘禁刑に跳ね上がる。しかも罰金刑の選択肢はない。「金はもらったが判断は公正だった」と「金をもらって判断を曲げた」の間には、これほど大きな差がある
- 当事者から見れば、仲裁人が判断後に勝った側の企業の顧問に就くのは「業界でよくある転職」に映るかもしれない。法律から見れば、在職中の請託と不正な職務があれば、事後収賄(第3項)の構図そのものである。ただし第3項が成立するには請託と不正の両方の立証が必要で、顧問に就いたという事実だけでは成立しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 成立要件 | 55条1項:収賄罪+その結果としての不正な行為・相当の行為の不作為 | 53条:職務に関する賄賂の収受・要求・約束(不正の有無を問わない基本類型) 55条3項:退任後の収受等+在職中の請託+在職中の不正 |
| 行為の時間的順序 | 1項は賄賂が先・不正が後、2項は不正が先・賄賂が後(いずれも同じ刑) | 53条:職務と賄賂の対価関係があれば足り、順序は問題にならない 55条3項:不正は在職中、賄賂の収受等は退任後 |
| 法定刑 | 一年以上の有期拘禁刑(上限20年、罰金なし) | 本条より軽い(具体的な法定刑は同条を参照) 五年以下の拘禁刑 |
| 刑法上の同型規定 | 刑法197条の3第1項・第2項(公務員の加重収賄) | 刑法197条(公務員の収賄・受託収賄・事前収賄) 刑法197条の3第3項(公務員の事後収賄) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は特別法ではなく刑法の収賄罪の主体に「公務員又は仲裁人」と明記しており、仲裁人を公務員と同列に扱う点で日本と趣旨が共通する
韓国も刑法の収賄罪の主体に仲裁人を含め、収賄後の不正処事と事後収賄を加重処罰する。日本の刑法197条の3と近い構造
ドイツ刑法は裁判官と並べて仲裁人(Schiedsrichter)の収賄を加重処罰する。仲裁人を裁判官に準じる地位として扱う
フランス刑法は司法作用に対する罪として、裁判官等と並んで仲裁人の収賄を処罰する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは業界団体の推薦で建設紛争の仲裁人に選ばれた技術士である。審理中、一方の当事者の役員から「良い判断が出たら顧問料を」と持ちかけられ、黙ってうなずいた。この時点で、賄賂を約束した罪の入口に立っている。そのうえで相手方の主張を無視した判断書を書けば、第1項の加重収賄に格上げされる
- 仲裁で負けた後、仲裁人が相手方の社長と海外旅行に行っていた写真がSNSに出てきたら、どうなる? 旅行代金を誰が負担したか、それが判断とどう結びつくかを立証できれば、本条の問題になる。民事の側でも、仲裁判断の取消事由(仲裁法44条1項)を主張する材料になる
- 仲裁判断書が届いてから2か月半が過ぎた。仲裁人への不審な送金の情報が入った。取消申立ての期限まで、残りはおよそ2週間しかない
- 仲裁が終わって1年後、元仲裁人が勝った側の会社から「コンサル料」の名目で毎月振込みを受けていることが分かった。在職中に頼まれていたこと(請託)と判断の不正を立証できれば、第3項の事後収賄になる。名目を変えても、職務の見返りかどうかは実態で判断される
- 知り合いの経営者から「海外の取引先と揉めていて、相手が選んだ仲裁人が怪しい」と相談された。仲裁地が日本なら、外国人の仲裁人でも日本国内での収賄には本条が適用されうる。ここを知っているかどうかで、相談への答え方が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 送金記録、SNSの投稿、会食の目撃情報など、仲裁人と相手方の利害関係を示す証拠を時系列で保存する2. 判断書の写しを受け取った日を確定させ、3か月の取消期限(仲裁法44条2項)を逆算する3. 期限内に裁判所へ取消を申し立て、刑事告発と並行して進める4. 相手方が執行決定(46条)を求めてきたら、同じ事由で執行を拒むよう争う
訴えられた側:1. 捜査機関や相手方と接触する前に刑事弁護人に相談し、供述は弁護人を通して整理する2. 受け取った利益が職務と関係なかったこと、請託がなかったこと、判断に不正がなかったことの三点を、審理記録と判断書の論理で示す準備をする3. 第3項の事後収賄では、在職中の請託と不正の両方が要件になる。どちらが欠けても成立しないことを争点の軸にする
時効(請求できる期限):公訴時効は第1項・第2項(上限20年の拘禁刑)が10年(刑事訴訟法250条2項3号)、第3項(5年以下の拘禁刑)が5年(同5号)で、いずれも犯罪行為が終わった時から起算する。仲裁判断の取消申立ては判断書の写しを受け取ってから3か月(仲裁法44条2項)。仲裁人への損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年(民法724条)。最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:仲裁法の収賄罪の保護法益は、仲裁人の職務の公正とそれに対する社会の信頼にあると解される。刑法の公務員収賄と同様の構造で解釈され、賄賂の意義や職務関連性の判断も刑法の判例・学説が参照される
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)仲裁法制定 仲裁法の制定とともに、仲裁人の加重収賄と事後収賄の規定が新設された。当時の法定刑は懲役で、条番号は現行と異なる(要確認)
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等一部改正に伴う整理により、「懲役」が「拘禁刑」に改められた
- 令和5年(2023年)仲裁法改正 暫定保全措置の執行等に関する規定の新設に伴い、罰則章の条番号が繰り下がったとみられる(人的検証が必要)
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法(平成15年法律第138号)の制定に伴い、仲裁人の加重収賄・事後収賄の規定が設けられた。制定当時の法定刑は懲役
- 2.令和7年(2025年) 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により、令和7年6月1日施行で「懲役」が「拘禁刑」に改められた
- 仲裁法 第53条収賄・受託収賄・事前収賄の基本類型(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第54条第三者供賄、本条第1項の前提(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第18条仲裁人の忌避事由と開示義務
- 仲裁法 第44条仲裁判断の取消しと3か月の申立期間
- 仲裁法 第45条仲裁判断の確定判決と同一の効力
- 刑法 第197条の3公務員の加重収賄・事後収賄の同型規定
- 刑事訴訟法 第250条公訴時効の期間(10年・5年)
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