仲裁法 第56条(没収及び追徴)
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犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
この条文の基本情報
没収及び追徴とは何ですか?
定義没収及び追徴とは、仲裁法第56条に定められた規定で、「犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第56条(没収及び追徴)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第56条の条文原文は「犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。」で始まります。
- 仲裁法第56条は第十章 罰則に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第56条の前の条は仲裁法第55条です。
- 仲裁法第56条の次の条は仲裁法第57条です。
- 仲裁法第56条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第56条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第56条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/56
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法56条は、仲裁人の収賄罪で犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂を必ず没収し、没収できないときはその価額を追徴すると定める必要的没収の規定である。
Q · 仲裁人が受け取った賄賂を使い切っていたら、もう取り上げられないの?
取り上げられる。価額を追徴されるため逃げ道はない
仲裁法56条は、犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂を必ず没収すると定め、その全部又は一部を没収できないときは価額を追徴するとしています。現金を使い切った場合や物を転売した場合でも、相当額を国に納めさせられます。親族名義の口座に入れても、受け取った親族が賄賂の趣旨を知っていれば対象になります。ただし追徴金は国庫に入るため、被害当事者の損害回復は民法709条の損害賠償で別途請求する必要があります。
解説
仲裁人は裁判官ではない。弁護士や大学教授、業界の専門家など、民間人が務めることが多い。それでも、当事者から金を受け取って判断を曲げれば、公務員の汚職とほぼ同じ構造で処罰される。本条はその最後の仕上げを担う。犯人の仲裁人本人、あるいは事情を知ったうえで受け取った第三者の手元にある賄賂は、必ず没収される。刑法19条の没収は裁判所が「没収することができる」任意のものだが、本条は「没収する」と言い切っている。裁判官に裁量はない(必要的没収)。さらに、受け取った現金を使い切っていても、高級時計を転売していても、その価額は「追徴」(物の代わりに相当額のお金を国に納めさせる処分)で取り立てられる。仲裁人の妻が経営する会社の口座に入金させる手口も、妻がその趣旨を知っていれば同じ網にかかる。仲裁の公正さを金で買っても、買われた側の手元には一円も残らない設計である。
法的な位置づけ
仲裁法56条は、仲裁人の収賄等の罪に付随する没収・追徴の規定である。犯人又は賄賂の趣旨を知った第三者が収受した賄賂を必要的に没収し、費消・譲渡・混同等によりその全部又は一部を没収できないときは、その価額を追徴する。公務員の賄賂について定める刑法197条の5と同型の構造をとる。
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁人の収賄罪とは?
仲裁人がその職務に関して賄賂を収受・要求・約束したときに成立する、仲裁法の罰則章に置かれた犯罪です。民間人の仲裁人でも、公務員の収賄罪に近い構造で処罰されます。
Q2必要的没収とは何ですか?
裁判所に裁量がなく、有罪判決の際に必ず没収しなければならない没収です。仲裁法56条は「没収する」と規定しており、刑法19条の「没収することができる」とは異なります。
Q3追徴とはどういう意味ですか?
没収すべき物が費消・譲渡などで手元にないとき、その物の価額に相当する金額を国に納付させる処分です。仲裁法56条後段が根拠になります。
Q4仲裁人の賄賂 時効は何年?
没収・追徴に独自の期限はなく、収賄罪本体の公訴時効に従います。公訴時効は法定刑の長期で決まるため(刑事訴訟法250条)、最新の法定刑を確認してください。
Q5仲裁人に謝礼を渡すのは違法?
職務に関する利益の供与であれば贈賄罪に当たる可能性があります。仲裁法の定める報酬や正規の費用とは区別され、名目が「謝礼」でも実質で判断されます。
Q6第三者名義の賄賂も没収できる?
受け取った第三者が賄賂の趣旨を知っていれば没収・追徴の対象です。ただし第三者に告知と弁解・防御の機会を与える手続を経る必要があります。
Q7追徴金は被害者に返ってくる?
返ってきません。没収・追徴された財産は国庫に帰属します。被害を受けた当事者は、民法709条に基づく損害賠償請求を別途行う必要があります。
Q8仲裁法56条は何を定めている?
仲裁人の収賄等の罪で収受された賄賂を必ず没収し、没収できない部分は価額を追徴すると定める、罰則章の付随処分規定です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁人がもらったお金をもう使っちゃってたら、取り返せないんですか?
取り返されます。本条後段は、没収できないときはその価額を追徴すると定めています。現金を使い切っても、物を転売しても、相当額を国に納めさせる仕組みです。ただし、追徴されたお金は被害を受けた当事者ではなく国庫に入ります。実務のポイント:自分の損害を取り戻したいなら、刑事の追徴とは別に民法709条の損害賠償を動かす必要がある。刑事事件が進めば救われると思って待つと、民事の時効が過ぎていることがある
Q2仲裁人じゃなくて奥さんが受け取ってたら、奥さんの分も没収されるんですか?
奥さんが賄賂の趣旨を知って受け取っていたなら、没収・追徴の対象になります。本条は「犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂」と明記しています。逆に、本当に何も知らなかった第三者からは、本条では取れません。実務のポイント:第三者の財産を没収するには、その第三者に告知と弁解・防御の機会を与える手続が必要とされている(最大判昭和37.11.28を受けた刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法)。「知っていたか」は、その手続の中で争うことになる
Q3賄賂を後から返したら、没収されずに済みますか?
収賄罪の成立は消えません。没収・追徴については、刑法197条の5の判例で、収賄者が返還した賄賂は贈賄者側から没収・追徴するという扱いがされてきました。仲裁法56条も同じ構造の条文なので、同様に解される可能性が高いところです(実務上、解釈が分かれうる)。実務のポイント:返還は情状としては多少考慮されるが、受け取ったあとで返すより、最初から受け取らずに記録を残す方がはるかに強い防御になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「仲裁は私的な手続だから、仲裁人がお金をもらっても民事の問題にすぎない」と思われがちだが、仲裁法は第10章に収賄・贈賄の罰則を置き、公務員の汚職に近い形で刑事罰を科している。本条の没収・追徴はその刑事罰に付随する処分である
- 賄賂を返せば帳消しになると考える人は多い。だが返しても収賄罪の成立は揺るがない。しかも刑法の賄賂罪をめぐる判例では、収賄者が贈賄者に返還した場合、贈賄者の側から没収・追徴するという扱いがされてきた。返還は罪を消す行為ではなく、没収される場所を移す行為にすぎない(仲裁法への当てはめは、実務上解釈が分かれうる)
- 名義の問題だと思っているなら、問いの立て方がずれている。法律が見ているのは「誰の口座か」ではなく「事情を知っていたか」である。親族名義や会社名義に移しても、受け取った側が賄賂の趣旨を知っていれば、そのまま没収・追徴の対象になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる賄賂 | 仲裁法56条:仲裁人の収賄等の罪で犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂 | 刑法197条の5:公務員の収賄罪で犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂 刑法19条:犯罪行為を組成した物、犯罪によって得た物など一般 |
| 没収の性質 | 必要的没収(「没収する」) | 必要的没収(「没収する」) 任意的没収(「没収することができる」) |
| 没収不能時の扱い | 価額を追徴(必要的) | 価額を追徴(必要的) 刑法19条の2により追徴できる(任意的) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は仲裁人の収賄を刑法本体で公務員と並べて処罰する。没収は2016年改正後、総則の犯罪所得没収規定で一元的に処理される。
韓国も刑法の収賄罪に仲裁人を含め、賄賂の必要的没収・追徴を規定する。日本のように仲裁法に別置する構造ではない。
ドイツは刑法の職務犯罪の中で仲裁人(Schiedsrichter)を処罰対象に含め、没収は総則のEinziehung規定による。
フランスは司法に対する罪として仲裁人の収賄を処罰し、没収は付加刑として科される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外企業との建設紛争で負けた。後になって、相手方が仲裁人の親族名義の会社に「コンサル料」を払っていたと知ったら、どうなる? 刑事事件になれば、その親族が事情を知っていた限り、受け取ったコンサル料は親族の手元からも没収・追徴の対象になる。並行して、仲裁判断の取消しを申し立てられないか検討する価値がある
- 仲裁人を務めているあなたに、一方当事者の担当者から「お礼」として商品券が届いた。返送しなかった。数か月後に捜査が入れば、使った分も含めて額面相当額を追徴され、しかも収賄罪本体の刑事責任は別に残る
- 配偶者が「仕事の謝礼」として振り込まれたお金を受け取った。中身が仲裁人である夫への賄賂だと知っていたなら、配偶者自身の口座にあるお金も没収されうる。「自分は仲裁人じゃない」という理屈は通らない
- 告訴の相談から1週間。相手方は既に賄賂の現金を海外口座へ移し始めている。物そのものが手元から消えても追徴で価額は取れるが、実際に回収するには刑事手続の中で早めに財産保全(没収保全・追徴保全)が動かないと、判決が出たときには何も残っていない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仲裁人と相手方の不自然な金銭関係(送金記録、名義会社、接待)の証拠を、相手に気付かれる前に保全する2. 仲裁手続中なら忌避の申立てを検討、判断後なら取消申立ての期限(通知から3か月、仲裁法44条2項)を最優先で押さえる3. 刑事告訴を弁護士と検討し、捜査段階での財産保全を促す4. 民事上の損害賠償は別途、民法709条で請求を組み立てる
訴えられた側:1. 収受した金品を勝手に処分・名義移転しない。隠匿は事態を悪化させ、追徴を免れることもできない2. 直ちに刑事弁護人に相談し、受け取った金品が「職務に関する」賄賂に当たるか、単なる謝礼や正当な報酬かを精査する3. 第三者名義で受け取ったとされる場合、その第三者が事情を知っていたかが没収の分かれ目になる4. 追徴額の算定基準(収受時の価額か)も争点になりうる
時効(請求できる期限):本条の没収・追徴に独自の請求期限はなく、収賄罪本体の有罪判決に付随して科される。収賄罪の公訴時効は法定刑の長期に応じて決まる(刑事訴訟法250条、単純収賄・受託収賄は5年が目安。最新の改正状況をご確認ください)。民事側では、仲裁判断の取消申立ては判断書の写しの通知を受けた日から3か月以内(仲裁法44条2項)
学説
通説:賄賂の必要的没収・追徴は、犯罪による不正な利益を犯人の手元に残さないことを目的とする。仲裁法の罰則は仲裁判断の公正さとそれに対する社会の信頼を保護法益とし、刑法の賄賂罪と同型の解釈がとられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 仲裁法制定時に、罰則章の没収・追徴規定として設けられた(制定時は第53条と理解されている)
- 令和5年(2023年)改正 暫定保全措置の執行等に関する規定の整備に伴い、条番号が繰り下がったとみられる。改正年・条番号の移動・文言変更の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:仲裁法制定時に、罰則章の賄賂の没収・追徴規定として設けられた。
- 2.令和5年(2023年) 改正:暫定保全措置に関する規定の整備等に伴い、条番号が繰り下がったとみられる。改正法番号・文言変更の有無は要検証。
- 仲裁法 第53条仲裁人の収賄・受託収賄・事前収賄(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第54条第三者供賄、第三者の収受を処罰(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第55条加重収賄・事後収賄(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第57条贈賄罪、賄賂を渡す側の処罰(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第44条仲裁判断の取消し、民事側の救済経路
- 刑法 第197条公務員の賄賂没収・追徴の同型規定(197条の5)
- 刑法 第19条任意的没収の一般規定、本条が必要的に修正
- 刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法 第2条第三者没収の告知・参加手続
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