民法 第232条
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前条の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第232条は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第232条の条文原文は「前条の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。」で始まります。
- 民法第232条は第二款に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第232条の前の条は民法第231条です。
- 民法第232条の次の条は民法第233条です。
- 民法第232条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第232条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第232条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/232
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法232条は、隣人が共有の障壁を高くする適法な工事で損害を受けたとき、相手に過失がなくても償金を請求できると定める。立証すべきは損害の事実と因果関係であり、過失は不要である。
Q · 隣が共有の塀を勝手に高くして庭が日陰になった。工事は適法らしいけど、泣き寝入りしかないの?
適法な工事でも、損した分は無過失で償金請求できる
民法232条により、前条(231条)の適法な工事で隣人が損害を受けたときは、その償金を請求できます。償金は相手の故意・過失を要件としない無過失補償なので、709条の損害賠償のように落ち度を立証する必要がありません。立証すべきは「損害の事実」と「工事との因果関係」です。工事自体を止めることはできませんが、採光の低下や庭木の枯死など金銭評価できる損害を、相手の落ち度抜きで請求する回路が残されています。
解説
隣の家との境にあるブロック塀。あなたと隣人の共有物だったとして、ある日隣人が「もう少し高くしたい」と勝手に積み増した。日当たりが悪くなり、庭の植木が枯れ始めた。あなたは「勝手なことをするな」と怒鳴りたくなる。だが民法231条は、共有の障壁を高くする工事自体を隣人の権利として認めている。ここで効いてくるのが232条だ。隣人の工事が適法でも、それであなたが損害を受けたなら、あなたは償金(故意や過失を問わず、適法な行為で生じた損害を金銭で埋め合わせる調整金)を請求できる。709条の損害賠償と違い、相手に落ち度があったかを立証する必要がない。「適法だから我慢しろ」ではなく「適法だからこそ、損した分は払え」。この一条が、泣き寝入りと正当な請求の分かれ目になる。
法的な位置づけ
民法232条は、相隣関係における償金請求権を定める規定である。前条により隣人が共有の障壁の高さを増す等の適法な工事を行い、これによって他方の当事者が損害を受けた場合に、その損害を金銭で填補する償金の請求を認める。相手方の過失を要件としない無過失の補償として機能し、所有権相互の調整を差止めではなく金銭給付に誘導する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.その塀が共有物かを確認する 境界線上にあり所有が不明な障壁は民法229条で共有と推定される。登記・測量図・設置の経緯を確認し、共有か単独所有かを切り分ける。共有であれば232条の償金請求権が発生する前提が整う
- 2.損害を日付入りで記録する 工事前後の日当たり・庭木・換気の状態を日付入りの写真で残す。庭木が弱り始めたなら、枯死を待たず週単位で時系列の証拠を固める。後から「工事と無関係」と反論されない状態をつくる
- 3.損害額を金銭評価する 枯死した植木の評価額、採光低下による不動産価値の下落などを、見積書や鑑定資料で金銭化する。数字の根拠を相手より先に握ることで、交渉や調停の基準を自分の側でつくれる
- 4.内容証明で償金を請求する 232条を根拠に、損害の内容・金額・支払期限を内容証明郵便で請求する。無過失補償なので相手の落ち度を主張する必要はなく、損害と因果関係を淡々と示す
- 5.応じなければ民事調停を申し立てる 相手が支払いに応じない場合、簡易裁判所に民事調停を申し立てる。相隣関係の紛争は調停が向き、決裂したときは通常訴訟へ進む
よくある質問 AI による整理
Q1民法の償金とはいくら請求できますか?
損害を金銭評価した額です。採光低下による不動産価値の下落、枯死した庭木の評価額など、客観的な資料で裏づけた実損が基準になります。慰謝料的な上乗せは原則含みません。
Q2共有の塀かどうかはどう判断しますか?
境界線上にあり所有が不明な障壁は、民法229条で共有と推定されます。共有であれば隣人は高さを増せる一方、あなたも232条の償金請求権を持つ立場になります。
Q3隣の工事で庭木が枯れたら償金を請求できますか?
工事との因果関係を示せれば請求できます。枯死してからでは「工事と無関係」と反論されやすいため、弱り始めた段階から週単位の写真で時系列の証拠を残すことが重要です。
Q4償金請求に時効はありますか?
232条に固有の期間はありませんが、一般の消滅時効(民法166条)が適用され、権利行使できると知った時から5年、または行使できる時から10年です。起算点は損害が現実化した時です。
Q5償金を払ってもらえないときはどうすればいいですか?
まず内容証明郵便で232条に基づき請求し、応じなければ簡易裁判所の民事調停を申し立てます。相隣関係の紛争は調停に向き、決裂すれば通常訴訟に進みます。
Q6塀を高くする前に隣人の同意は必要ですか?
共有の障壁を高くする工事自体は231条で認められ、同意は必須ではありません。ただし損害が出れば232条の償金義務を負うため、着工前に書面で取り決めておくのが安全です。
Q7採光が悪くなった損害も償金の対象ですか?
対象になり得ます。ただし「日陰になった」を客観的な数字で示す必要があり、日照シミュレーションなどで採光低下を定量化できるかが争点になります。
Q8償金は内容証明で請求できますか?
請求できます。内容証明郵便で損害の内容・金額・232条という根拠を明示すれば、時効の更新(催告)や後の調停・訴訟での証拠としても機能します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1隣が勝手に塀を高くしたんですが、これって違法じゃないんですか?
違法ではありません。共有の障壁を高くする工事は民法231条で認められた権利です。ただし、その工事であなたが損害を受けたなら、232条で償金を請求できます。違法かどうかではなく、損害があるかどうかが争点です。実務のポイント:多くの人は「違法だ、やめさせる」と止める方向で考えますが、適法な工事は止められません。発想を「止める」から「損した分を取り返す」に切り替えた人だけが、現実的な解決にたどり着きます
Q2償金と損害賠償って、何が違うんですか?
損害賠償(民法709条)は相手の故意・過失という落ち度が前提です。償金(232条)は、相手に落ち度がなくても、適法な行為で損害が出たときに支払われる調整金で、過失の立証が要りません。実務のポイント:相隣関係のトラブルで弁護士が真っ先に見るのは「709条か、償金条項か」の振り分けです。適法な工事に709条で挑むと『過失なし』で門前払い。最初から232条の償金で組み立てた側だけが、立証の壁を越えずに請求を通せます
間違えやすい点 AI による整理
- 適法な工事なら文句を言えないと思いがちだが、適法であることと無補償であることは別物だ。231条が工事を認めても、232条があなたの償金請求権を保証している
- 償金を請求できること自体は知っていても、それが「無過失補償」であるという重みを知らない人は多い。相手の不注意や悪意を一切立証せず、損害の事実と因果関係だけで請求できる。709条なら何か月もかかる過失立証が、ここでは丸ごと不要だ
- 「塀を高くされた、損害賠償だ」と709条で攻めようとする人がいるが、問いの立て方そのものが違う。適法な工事に対しては709条(不法行為)は原則使えない。使うべきは232条の償金。武器を取り違えると、相手の弁護士に「過失がない」の一言で跳ね返される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 232条:適法工事による損害の償金(無過失補償) | 231条:共有の障壁の高さを増す工事を認める権利 709条:故意・過失による不法行為の損害賠償 |
| 相手の落ち度 | 不要(無過失でも請求可) | —(権利行使の規定) 必要(故意または過失の立証が前提) |
| 立証すべき事項 | 損害の事実と工事との因果関係 | 工事が共有障壁の高さを増すものであること 故意・過失、違法性、損害、因果関係 |
| 効果 | 金銭による償金請求(工事は止められない) | 適法に工事を実施できる 損害賠償、場合により差止め |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も相隣関係における適法な利用に伴う損害を償金で調整する。条文の位置づけは異なるが、無過失補償の発想は共通する
韓国も相隣関係として境界設置や工作物に関する規律を置き、損害調整の枠組みを設ける。日本民法を継受した構造を残す
ドイツは共有境界設備(Grenzeinrichtung)を § 921以下で規律し、適法だが受忍限度を超える侵害には近隣補償請求権(nachbarrechtlicher Ausgleichsanspruch)で金銭調整する
フランスは共有壁(mur mitoyen)の嵩上げを認め、費用負担と相隣調整を定める。日本の231・232条に近い構造をもつ
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、隣人が共有の塀を一方的に30cm高くして、あなたの一階の居間がほぼ終日日陰になったら? 工事自体は231条で適法。でも採光の損害は232条で償金を請求できる。問題は「日陰になった」を客観的な数字で示せるかどうかだ
- あなたが防犯のために共有の境界塀を高くしたい側だとする。工事は適法だが、隣家の家庭菜園が日照不足で全滅したら、あなたは償金を払う立場になる。着工前に隣人と書面で取り決めておかなかったツケが、後から回ってくる
- 共有の塀を高くしたら、隣の物置の換気口が塞がれてカビが発生した。これも232条の償金の対象だ
- 隣人の工事で庭木が弱り始めた。枯死してから請求すると因果関係の立証が難しくなる。弱り始めた今のうちに、週単位で写真を撮り、損害が広がる前に証拠を固めないと、後で「工事と無関係」と反論される
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず塀が共有物か確認。境界上にあり所有が不明なら229条で共有と推定される2. 損害を記録:工事前後の日当たり・庭木・採光を日付入りの写真で。庭木が弱ったなら時系列の証拠を残す3. 損害額を金銭化(植木の価値、採光低下による不動産価値の下落など)し、内容証明で232条に基づき償金を請求4. 応じなければ簡易裁判所の民事調停へ。相隣関係の紛争は調停が向く。それでも決裂なら通常訴訟へ進む
訴えられた側:あなたが塀を高くした側なら:1. 231条で工事自体は適法だが、232条の償金義務は免れないと理解する2. 隣人が主張する損害が本当に工事と因果関係があるか精査。庭木の枯死が工事と無関係なら争える3. 損害額が過大なら客観的な評価資料で反論4. 着工前に書面で隣人の了解と損害の取り決めを交わしておけば、後の紛争を大幅に減らせる。着工前の合意書一枚が最大の防御になる
時効(請求できる期限):232条に特定の時効はないが、償金請求権には一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年)が適用される。起算点は損害が現実化した時
学説
通説:232条の償金は、231条による適法な工事を前提とする無過失補償と解されている。相手の過失を要件とせず、損害の事実と因果関係があれば請求できる点で、709条の不法行為に基づく損害賠償とは性質を異にする。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体「前条ノ場合ニ於テ隣人カ損害ヲ受ケタルトキハ其償金ヲ請求スルコトヲ得」を現行のひらがな口語体に改めた。実質的な内容の変更はない
改正の年表
- 1.明治29年(1896年) 新設:民法(明治29年法律第89号)制定時に相隣関係の規定として設けられ、共有障壁の嵩上げ等の適法工事による損害を償金で填補する仕組みを定めた
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体を現行のひらがな口語体に改めたもので、実質的な内容の変更はない
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