民法 第263条(共有の性質を有する入会権)
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共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。
この条文の基本情報
共有の性質を有する入会権とは何ですか?
定義共有の性質を有する入会権とは、民法第263条に定められた規定で、「共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第263条(共有の性質を有する入会権)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第263条の条文原文は「共有の性質を有する入会権については、各地方の慣習に従うほか、この節の規定を適用する。」で始まります。
- 民法第263条は第三節に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第263条の前の条は民法第262条の3です。
- 民法第263条の次の条は民法第264条です。
- 民法第263条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第263条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第263条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/263
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法263条は、共有の性質を有する入会権について各地方の慣習を優先し、不足部分に共有規定を適用すると定める。入会権は登記できない総有である。
Q · 登記簿に何も載っていない田舎の山を買ったのに、村の人が「ここは入会地だ」と来た。本当に縛られるの?
はい。入会権は登記されず、買主も負担を負います。
民法263条により、共有の性質を有する入会権は各地方の慣習が優先され、登記できない総有として土地に付着します。登記簿が真っ白でも入会権は存在しうるため、買主は村落共同体の権利負担を負うことがあります。入会権は構成員全員の総有で個人の持分がなく、全員の同意なしに開発や処分はできません。購入前に市町村役場・森林組合・古老へ入会慣行の有無を確認することが、唯一にして最も確実な防御策です。
解説
地方の山林を相場よりずっと安く買えた、と喜んでいたある日、近隣の集落の人たちが「ここは昔から我々が薪や山菜を採ってきた山だ」と現れる。これが入会権だ。263条は、共有の性質を持つ入会権について「まず各地方の慣習に従い、足りないところに共有の規定を適用する」と定める。つまり全国一律の法律より先に、その土地の村のしきたりが効く。さらに恐ろしいのは、入会権は登記できない権利だという点。登記簿をいくら調べても出てこないのに、その土地に張り付いている。あなたが手に入れたのは、村全体が総有する権利の付いた土地かもしれない。しかも入会権は個人の持分がない総有だから、構成員一人が「自分の取り分を分けてくれ」と分割請求することもできない。普通の共有とは別物だと、まず頭を切り替える必要がある。
法的な位置づけ
民法263条は、共有の性質を有する入会権の準拠規範を定める規定である。入会権とは、一定の地域共同体の構成員が山林原野等を総有的に支配・利用する慣習上の物権をいう。本条は各地方の慣習を第一次の準拠規範とし、慣習に欠ける部分についてのみ共有に関する民法の規定を補充的に適用する。
手順
- 1.山林・原野は登記簿より先に入会慣行を調べる 登記簿だけで「きれいな土地」と判断せず、現地の市町村役場、地元の森林組合、古老への聞き取りで入会慣行の有無を確認する。登記に出ない情報を契約前に押さえられるかが分かれ目になる
- 2.入会権の存否と消滅の可能性を確認する 入会権が現存するか、入会林野近代化法による権利整理が済んでいるか、長年の不行使で慣習が廃れていないかを調べる。既に消滅・整理済みなら負担なしと判断できる
- 3.契約に錯誤・契約不適合への手当てを入れる 入会権付きと判明した場合、契約前なら撤退、進める場合は錯誤(民法95条)や契約不適合責任(同562条以下)に基づく解除・減額の余地を残す条項を入れ、売主の説明義務違反も追及できるよう証拠化する
- 4.紛争時は固有必要的共同訴訟を前提に動く 入会権をめぐる争いは権利者全員が当事者になる固有必要的共同訴訟。誰が構成員かの特定を弁護士と詰め、団体全体での和解を目指す。相手が制度を理解していれば個別の切り崩しを諦める
よくある質問 AI による整理
Q1入会権とは何ですか?
一定の地域共同体の構成員が山林原野等を総有的に支配・利用する慣習上の物権です。民法263条・294条が規律し、共有の性質を有するものと有しないものに分かれます。
Q2入会権は登記できますか?
できません。入会権は不動産登記法上の登記事項ではないため、登記簿が真っ白でも土地に付着していることがあります。これが取引上の最大の落とし穴です。
Q3総有と共有はどう違いますか?
共有には個人の持分があり売却や分割請求ができますが、総有には個人の持分がなく、構成員一人の判断で持分処分も分割請求もできません。入会権は総有です。
Q4入会権は時効で消滅しますか?
入会権は所有権に類する物権で、それ自体は消滅時効にかかりません。ただし長期間まったく行使されず慣習が廃れた場合、入会権の消滅が争われることがあります。
Q5入会地の固定資産税は誰が払いますか?
登記簿上の所有者に課税されます。入会権付きで自由に処分できなくても、名義人として税金だけ払い続ける土地になりかねない点に注意が必要です。
Q6入会権確認の訴えとは何ですか?
入会権の存否や権利者の範囲を確定する訴えです。権利者全員が当事者となる固有必要的共同訴訟で、一人でも欠けると訴え自体が不適法になります。
Q7メガソーラー用地で入会権が問題になるのはなぜですか?
地方の原野を安く取得しても、登記に出ない入会権があると総有権者全員の同意なしに開発できず、着工直前に工事差止めを求められ計画が頓挫する事例が各地で起きています。
Q8入会林野近代化法とは何ですか?
入会権を所有権や地上権などの近代的権利へ整理・組み替える手続を定めた法律です。整理を経て初めて、安心して土地の処分や開発ができるようになります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記簿に何も書いていない山なら、入会権の心配はないですよね?
残念ながら逆です。入会権はそもそも登記できない権利(不動産登記法上の登記事項ではない)なので、登記簿が真っ白でも入会権が付いていることがあります(民法263条)。実務のポイント:山林や原野の取引に慣れた専門家は、登記簿より先に市町村役場、地元の森林組合、古老への聞き取りで入会慣行の有無を確かめます。登記だけ見て「きれいな土地だ」と判断するのが、入会地では最も危険な勘違いです
Q2入会権って、自分の持分だけ売ったり、分けてもらったりできないんですか?
できません。入会権は「総有」という形態で、普通の共有と違って構成員に個別の持分がありません(民法263条が慣習を優先しつつ共有規定を適用するため)。だから持分の売却も、共有物分割請求(民法256条)も原則として認められません。実務のポイント:「共有」という同じ言葉でも、総有と狭義の共有では「できること」がまったく違う。入会権を普通の共有だと思って持分売買の契約を結ぶと、その契約自体が無効になりかねません
Q3村の入会権、昔から男の世帯主しか入れないんですが、これって今でも有効ですか?
無効になる可能性が高いです。263条は慣習を最優先しますが、その慣習が男女平等に反するなど公序良俗(民法90条)に違反すれば効力を否定されます。最高裁は世帯主である男性のみを構成員とする慣習を無効と判断しました(最判平成18.3.17)。実務のポイント:慣習最優先という建前の裏で、近年は裁判所が公序良俗のフィルターを強めています。除外された女性や分家が争えば覆る余地は十分にある。「昔からこうだった」は、もう万能の盾ではありません
Q4もう誰も使っていない入会地、勝手に売っても大丈夫ですか?
危険です。長年使われていなくても入会権が消滅したとは限らず、権利者全員の合意なしに処分すると後から無効を主張されます。入会権関係の訴訟は権利者全員が当事者になる固有必要的共同訴訟です。実務のポイント:実務では「入会林野近代化法」による権利整理(入会権を所有権や地上権に組み替える手続)を経て初めて、安心して処分や開発ができるようになります。整理を飛ばして売買すると、後から権利者が現れて取引が崩れます
間違えやすい点 AI による整理
- 「登記簿を確認したから権利関係は把握できた」という前提が、山林や原野では根本から崩れる。入会権はそもそも登記事項にならない権利。あなたが立てた「登記を見れば安全」という問いそのものが、入会地では成り立たない
- 入会権が「共有の一種」であることは知っていても、その総有という性質の深刻さを知らない人が多い。普通の共有なら持分を売れるし分割請求もできるが、総有には個人の持分がなく、構成員は自分一人の判断で持分処分も分割請求もできない。同じ「共有」の語でも、できることが根本的に違う
- 「慣習が最優先なら、村のしきたりは何でも通る」と思われがちだが、慣習が公序良俗(民法90条)に反すれば無効になる。男性世帯主のみを構成員とする慣習を最高裁が無効とした例がある(最判平成18.3.17)。慣習の上には、まだ一線が引かれている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 263条:共有の性質を有する入会権(総有) | 294条:共有の性質を有しない入会権(地役権類似) 249条以下:通常の共有(持分あり) |
| 準用される規定 | 各地方の慣習が優先、不足部分に共有規定を適用 | 各地方の慣習が優先、不足部分に地役権規定を準用 民法の共有規定がそのまま適用 |
| 持分処分・分割請求 | 個人の持分がなく、持分処分も分割請求も不可 | 個人の持分がなく、原則として処分・分割不可 持分の自由処分・共有物分割請求(256条)が可能 |
| 登記の可否 | 登記できない(登記事項でない) | 登記できない(登記事項でない) 持分・共有の登記が可能 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には入会権という名称はないが、構成員に持分がない共同所有(公同共有)や、祭祀公業・神明会といった共同体的総有財産が機能的に近い。
韓国民法は『총유(総有)』を明文で規定し、法人格なき社団の構成員による共同所有として整理する。日本の入会権・総有概念と最も近い。
ドイツの共同体的入会地(Allmende)や合手的共同所有(Gesamthandseigentum)の理論が、日本の総有概念の学説的源流となった。
米国には総有に直接対応する制度はないが、ニューイングランドの town commons など共同体が共同利用する土地慣行が機能的に対応する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- メガソーラーを建てようと地方の原野を安く取得したら、着工直前に近隣集落が「ここは入会地だ」と工事差止めを求めてきた。入会権は登記に出ないため、購入前の調査で見抜けなかった。総有権者全員の同意がないと開発できず、数億円の計画が頓挫する
- 相続した田舎の山に、突然「うちの入会権を確認する裁判を起こす」と通知が来たら、どうなる。入会権確認の訴えは権利者全員が当事者になる固有必要的共同訴訟。一人でも欠ければ訴え自体が不適法になる。あなたが構成員に含まれるかどうかで、立場が一八〇度変わる
- あなたの集落の入会団体が、世帯主の男性だけを構成員とし、女性や分家を長年除外してきた。最高裁はこうした慣習を公序良俗違反で無効とした(最判平成18.3.17)。慣習が最優先される263条のもとでも、男女平等という一線は越えられない
- ゴルフ場やスキー場の跡地を再開発したい。だが登記名義の所有者と話がついても、入会権者の同意がなければ更地にできない。眠っていた村の権利が、再開発を止める
- 親が亡くなり、固定資産税の通知で初めて存在を知った田舎の山林。実はその山には集落の入会権が付いていた。あなたは登記簿上の所有者であって、自由に処分できる所有者ではない。売ろうとしても入会権付きでは買い手がつかず、税金だけ払い続ける土地になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の立場を確定する。土地の買主なら入会権の負担を負う側、集落の構成員なら入会権を持つ側だ。2. 買主側なら、契約前後で錯誤(民法95条)や契約不適合責任(同562条以下)による解除・減額を検討、売主の説明義務違反も追及できる。3. 構成員側で不当に除外されたなら、入会権確認の訴えを起こし、慣習が男女差別等で公序良俗違反(民法90条)にあたれば無効を主張する。4. 入会権関係の訴訟は権利者全員が当事者になる固有必要的共同訴訟。誰が構成員かの特定から弁護士と詰める
訴えられた側:1. 売主や開発者の立場なら、その土地に入会慣行が現存するかをまず調査。既に消滅、または入会林野近代化法で権利整理が済んでいれば負担なしと反論できる。2. 入会団体として開発者から同意を求められた場合、総有財産の処分は構成員全員の同意が原則。一部の同意だけで進めると、後で無効を主張される。3. 慣習の内容(誰が構成員か、どう利用するか)を文書化しておくと、紛争時の立証で圧倒的に有利になる
時効(請求できる期限):入会権は所有権に類する物権的権利で、それ自体は消滅時効にかからない(民法166条2項の趣旨)。ただし長期間まったく行使されず慣習が廃れた場合、入会権の消滅が争われる。確認の訴えに出訴期間はないが、古老の証言や利用の記録は時とともに失われるため、早期の証拠保全が実質的な期限となる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(総有説):共有の性質を有する入会権は、構成員に個別の持分がない『総有』であると解する。したがって持分の処分(民法206条的処分)も共有物分割請求(256条)も原則として認められず、管理処分には構成員全員または規約所定の意思決定が必要となる。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。「共有ノ性質ヲ有スル入會權ニ付テハ各地方ノ慣習ニ従フ外本節ノ規定ヲ適用ス」というカタカナ文語体を、現在のひらがな口語体へ改めた。内容に実質的変更はない
改正の年表
- 1.明治29年(1896年) 新設:民法物権編の制定により、明治以前から各地に存在した入会慣行を否定せず法に取り込み、共有の性質を有する入会権につき慣習優先・共有規定補充の枠組みを定めた。
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体(共有ノ性質ヲ有スル入會權…)をひらがな口語体へ改めたもので、内容に実質的変更はない。
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