要点健康保険法7条の37は、協会けんぽの役職員や元役職員が、職務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らすことを禁じる。運営委員会の委員にも準用され、退職後も義務は続く。
Q · 協会けんぽの職員が私の病名を漏らしたら、何の法律で責任を問えるの?
健康保険法7条の37違反。義務は退職後も続く
健康保険法7条の37により、協会けんぽの役員・職員、そしてこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはなりません。第2項で運営委員会の委員及び委員であった者にも準用されます。条文に期間の上限はなく、退職・退任後も義務は続きます。ただし全面的な開示禁止ではなく、法令に基づく照会など「正当な理由」がある場合は漏示に当たりません。名宛人は協会側に限られるため、勤務先の総務担当者による漏えいは本条の射程外です。
協会けんぽ(全国健康保険協会)には、およそ4,000万人分のレセプト、つまり誰がいつどの医療機関にかかり、何の傷病名で何の薬を出されたかという記録が集まっている。中小企業で働くあなたが加入者なら、あなたの精神科通院も不妊治療もその中にある。7条の37は、その部屋の扉にかけられた錠前だ。縛られるのは現役の役員・職員だけではない。条文は「これらの職にあった者」と書いている。定年から20年経った元職員も同じ義務の中にいる。2項では、事業主代表や被保険者代表が入る運営委員会の委員にも準用される。非常勤の外部委員でも鎖は同じだ。押さえるべきは「正当な理由がなく」という一句である。捜査機関からの照会、弁護士会照会、裁判所の嘱託。これらは正当な理由に当たりうる。つまりこの錠前は、あなたの情報が絶対に外へ出ない保証ではなく、出る経路を法令の側だけに限定する仕組みである。
健康保険法7条の37は、全国健康保険協会の役員、職員及びこれらの職にあった者について、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密の漏示を、正当な理由がある場合を除いて禁止する規定である。第2項は同一の義務を協会の運営委員会の委員及び委員であった者に準用する。義務の存続期間に条文上の上限は定められていない。
協会けんぽの役員・職員・元役職員に、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密の漏示を禁じる規定です。第2項で運営委員会の委員にも準用されます。
あります。7条の37第2項が委員及び委員であった者に準用しています。事業主代表や被保険者代表として入る非常勤の外部委員でも義務の内容は同じです。
条文に期間の上限はなく、退職・退任後も無期限に続きます。「これらの職にあった者」と明記されているため、在職期間の長短も関係ありません。
特定の個人を識別できない集計値であれば、そもそも本条の「秘密」に当たらない余地があります。協会が疾病統計や医療費分析を公表できるのはこのためです。
本人であれば個人情報保護法に基づく保有個人データの開示請求が可能です。7条の37は第三者への漏示を禁じる規定で、本人への開示を封じるものではありません。
個人情報保護法は取扱事業者の管理体制を規律し、7条の37は個人としての役職員を名宛人に漏示を禁じます。同じ事案に重畳的に適用されます。
公務員ではありませんが、健康保険法には役職員を罰則の適用について公務員とみなす規定が置かれています。金品が絡めば収賄罪の対象にもなり得ます。
7条の37の名宛人は協会けんぽ側です。組合健保の役職員は健康保険法の別の規定や個人情報保護法、就業規則で規律されるため、根拠条文が変わります。
業務上必要な範囲では見えている。協会はレセプト点検や高額療養費の支給決定を行う立場なので、傷病名や診療内容にアクセスできる。だからこそ7条の37が置かれ、現役だけでなく「これらの職にあった者」まで縛る。業界裏話ヒント:自分の受診履歴はマイナポータルで本人が確認できる。見られている前提で先に自分の記録を押さえておくと、漏えいが起きたとき「いつ時点の情報か」が特定でき、経路の切り分けが一気に速くなる
「正当な理由」があれば漏示に当たらない。刑事訴訟法197条2項の捜査関係事項照会や弁護士法23条の2の弁護士会照会は、その代表例である。ただし応じる義務の強さと拒否できる範囲は実務上、解釈が分かれている。業界裏話ヒント:弁護士会照会は個人が直接使えないが、依頼した弁護士を通せば使える。交通事故や離婚で相手方の状況を争うとき、この経路を使う代理人とそうでない代理人では集まる資料の量が違う
刑事罰がある。健康保険法の罰則章に、7条の37違反として拘禁刑を含む罰則が置かれている(条番号と法定刑は最新の改正状況をご確認ください)。2025年6月1日施行の刑法改正で懲役と禁錮は拘禁刑に統合されたので、古い解説書の「懲役」表記はすでに現行と一致しない。業界裏話ヒント:協会の役職員は罰則の適用について公務員とみなす規定があり、収賄罪の対象にもなる。情報の見返りに金品が動けば、守秘義務違反と収賄が同時に立つ
本条の名宛人は協会の役員・職員・元職員と運営委員会の委員だけなので、勤務先の総務には適用されない。追及するならプライバシー侵害(民法709条)や就業規則違反の線になる。業界裏話ヒント:傷病手当金の申請書は事業主記入用と療養担当者記入用でページが分かれており、傷病名が書かれるのは医師が記入するページである。本人が協会へ直接送れば、会社に病名の記載ページを見せずに済む場合がある。提出方法は加入する支部に事前確認を
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|---|---|---|
| 規律の内容 | 7条の37:職務上知り得た秘密の漏示禁止(正当な理由があれば除外) | — |
| 名宛人 | 協会の役員・職員・元役職員/運営委員会の委員・元委員(2項準用) | — |
| 違反した場合の効果 | 義務違反の成立(それ自体は行為規範) | — |
| 退職・退任後の扱い | 「これらの職にあった者」を明記し、期間の上限なく存続 | — |
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