要点手形法 14 条は、裏書が手形上の一切の権利を移転すると定める。白地式裏書なら所持人は白地補充・再裏書・無記載のままの交付譲渡を選べる。
Q · 手形の裏に名前を書いて次の人に渡すと、権利や責任はどうなるの?
裏書で手形の全権利が移転し、白地式なら名前を残さず渡せます
手形法 14 条により、裏書をすると手形から生ずる一切の権利(満期に金を受け取る権利など)が丸ごと被裏書人へ移転します(権利移転的効力)。さらに白地式裏書を受け取った所持人には三つの道があります。白地に自己または他人の名称を補充して権利者を確定する、白地式または記名式で更に裏書して回す、何も記載せず手から手へ第三者に交付譲渡する、です。最後の「ただ渡すだけ」を選ぶと自分の名は連鎖に残らず、不渡りでも遡求される側に立ちません。
商売の現場で取引先から手形を受け取ったとき、その紙の裏に名前を書いて次の仕入先へ回す。この何気ない行為が「裏書」であり、本条はそれに二つの強烈な効果を与える。第一に、裏書をすれば手形から生ずる一切の権利、つまり満期に金を受け取る権利が丸ごと次の人へ移る(権利移転的効力)。第二に、相手の名前を書かない「白地式裏書」を受け取った所持人には三つの道が開く。自分や他人の名前を白地に書き込んで権利者として確定する、白地のまま更に裏書して回す、あるいは何も書かず手から手へ渡すだけで第三者に譲渡する。最後の「ただ渡すだけ」が曲者だ。あなたの名前は裏書の連鎖に一切残らない。後でその手形が不渡りになっても、名前がない以上あなたは遡求される側に立たない。紙一枚の処理の仕方が、あなたを債務者にも傍観者にも変える。
手形法 14 条は裏書の権利移転的効力を定める規定であり、裏書により手形上の一切の権利が被裏書人へ移転する旨を規定する。あわせて白地式裏書を受けた所持人の処分方法(白地補充・再裏書・無記載のままの交付譲渡)を明らかにする規定である。
手形の裏面に署名して次の人へ権利を譲渡する行為です。手形法 14 条により、裏書をすると手形上の一切の権利が被裏書人へ移転します(権利移転的効力)。
被裏書人の名称を記載しない裏書です。受け取った所持人は白地を補充する、更に裏書する、何も書かず第三者へ交付譲渡する、の三つを選べます(手形法 14 条 2 項)。
記名式は被裏書人名を記載し連鎖が明確に残ります。白地式は名を記載せず、無記載のまま交付譲渡すれば譲渡人の名が連鎖に残らない点が決定的に異なります。
手形の裏面、または裏面が足りない場合は補箋(補充紙)に記載します。署名と被裏書人の記載(白地式なら省略可)で行います。
「無担保」と記載してする裏書で、権利は移転しますが裏書人は担保責任(遡求責任)を負いません。手形法 15 条の担保的効力を排除する記載です。
受取人から最後の所持人まで、各裏書の被裏書人と次の裏書人が途切れなく一致している状態です。連続があると所持人は適法な権利者と推定されます(手形法 16 条)。
裏書の連鎖をさかのぼり、振出人と各裏書人へ遡求できます。ただし白地式で名を残さず手放した者は連鎖から抜けており遡求対象になりません。
適用されます。手形法 77 条が約束手形に裏書の規定を準用しており、14 条の権利移転的効力と白地式裏書の処分方法は約束手形にも及びます。
いいえ、逆です。裏書で権利を移転しても(14 条)、あなたは裏書人として担保責任を負い、その手形が不渡りになれば後の所持人から額面の支払いを遡求されます(手形法 15 条)。業界裏話ヒント:これを避けたいなら「無担保」と記載する無担保裏書という手がある。権利は移すが自分は遡求されない。ただし相手は警戒するので力関係次第で、銀行はまず自分から教えてくれない
立場で正反対になります。手放す側なら白地のまま交付譲渡すれば名前が残らず遡求リスクを断てます(14 条 2 項)。受け取る側なら、前の人に記名式で裏書させ連鎖を明確にした方が、不渡り時の請求先を確保できます。業界裏話ヒント:白地式は便利だが、紛失や盗難のとき拾った第三者が善意取得(16 条)してしまい、ほぼ取り戻せない。金額の大きい手形は、受け取ったらすぐ自分の名で白地を補充するのが鉄則
紙の約束手形は全国銀行協会の方針で 2026 年度末を目処に利用廃止へ向かっています。ただし既存の手形債権が即座に無効になるわけではなく、本条の裏書ルールは電子記録債権(でんさい)の譲渡記録に引き継がれます。業界裏話ヒント:移行期は紙とでんさいが混在し、でんさいの譲渡は裏書ではなく「譲渡記録」で行うため、紙の感覚で処理すると権利移転が未完了のまま放置されやすい(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発生する効力 | 14 条:権利移転的効力(手形上の一切の権利が移転) | — |
| 規律の対象 | 権利の移転範囲と白地式裏書の処分方法 | — |
| 白地式との関係 | 白地補充・再裏書・無記載交付譲渡の三択を明示 | — |
| 前提となる規定 | 13 条(裏書の方式・白地式裏書の定義) | — |
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