要点手形法18条の取立委任裏書では、所持人は手形上の一切の権利を行使できるが所有権は移転せず代理人にすぎない。債務者は裏書人に対抗できた抗弁をそのまま所持人に主張できる。
Q · 手形を銀行に取立てに出したら、もう手形は銀行のものになるの?
いいえ。取立委任裏書では銀行は代理人で、所有権は移りません。
手形法18条により、裏書に「取立ノ為」「代理ノ為」等の委任文言があるとき、所持人(銀行など)は手形上の一切の権利を行使できますが、それは代理人としての行使にすぎず、手形の所有権はあなたに残ります。したがって不渡りになれば手形はあなたに戻り、損失もあなたが負います。さらに同条2項により、債務者は裏書人に対抗できた抗弁を、請求してきた取立代理人にそのまま主張できます。手形を買い取る『割引』とは法的構造が全く異なります。
取引先から受け取った手形を、あなたは支払期日に銀行へ持ち込み「取り立てておいてください」と頼む。この瞬間、銀行の帳簿には手形が記載されるが、法律上その手形は一秒たりとも銀行のものになっていない。手形法18条が定める取立委任裏書、つまり「代理のための裏書」だからだ。銀行はあなたの代理人として権利を行使するだけで、もし手形が不渡りになれば、損をかぶるのは最後まであなたである。さらに効くのが2項。普通の裏書(譲渡裏書)なら、債務者が元の持ち主に持っていた「文句」(人的抗弁、例:品物が欠陥品だった、すでに相殺済みだ)は、次の持ち主には言えなくなる(17条)。ところが取立委任裏書では、その文句がそっくり生き残る。だから「抗弁を消すために第三者に渡したフリをする」というロンダリングは、この裏書では通用しない。あなたが手形を受け取る側なら、裏書欄の数文字を読むだけで、相手が本当の権利者なのか使い走りなのかが透けて見える。
取立委任裏書とは、裏書に「取立ノ為」「代理ノ為」その他単なる委任を示す文言を付した裏書をいう。所持人は手形上の一切の権利を行使できるが、権利は移転せず代理人として行使するにとどまる。債務者は裏書人に対抗しえた抗弁を所持人に対抗でき、委任は委任者の死亡又は行為能力の制限によっては終了しない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
裏書に「取立ノ為」「代理ノ為」等の委任文言を付した裏書です。所持人は手形上の権利を行使できますが、所有権は移転せず代理人として行使するにとどまります(手形法18条)。
割引は銀行が手形を買い取り所有権が移りますが、取立委任は代理人として回収するだけで所有権は移りません。不渡りなら割引でも買戻特約で、取立では当然に手形があなたに戻ります。
できません。18条1項但書により、取立委任裏書の所持人は代理のための裏書のみができ、譲渡裏書はできません。権利は本人に残ったままだからです。
形式は譲渡裏書だが当事者の実質的合意は取立委任である裏書を指します。通説・判例上、当事者間では委任の効力で扱われ、抗弁の切断も生じないと解されています。
裏書人(委任した本人)です。所持人は代理人にすぎず所有権を持たないため、損失リスクは最後まで裏書人に残ります。
切断されません。18条2項により、債務者は裏書人に対抗できた抗弁をそのまま所持人に主張できます。譲渡裏書の抗弁切断(17条)とは正反対です。
適用されます。手形法77条1項1号により、為替手形の裏書に関する規定が約束手形に準用されるため、取立委任裏書も同様に成立します。
あります。小切手法23条が取立委任裏書を定めており、手形法18条とほぼ同じ構造です。集金代理や銀行取立で広く用いられます。
いいえ。取立委任裏書(18条)では、銀行はあなたの代理人として取り立てるだけで、手形の所有者は最後まであなた。不渡りなら手形は戻り、損失も負います。業界裏話ヒント:混同されがちなのが『手形割引』。割引は銀行が買い取りますが、買戻特約付きが多く、結局あなたの負担になるケースが大半。預けるとき『取立か割引か』を必ず確認する
裏書欄に『取立ノ為』等があれば言えます。取立委任裏書では、債務者は元の裏書人に対抗できた抗弁を、請求してきた代理人にそのまま主張できます(18条2項)。業界裏話ヒント:普通の譲渡裏書だと善意の第三者に人的抗弁が切断され(17条)言えなくなる。請求された瞬間に裏書の種類を見分けるのが分水嶺。慌てて払う前に裏書文言を撮影する
なりません。18条3項は、取立委任裏書による委任は委任者の死亡や行為能力の制限では終了しないと定めます。普通の委任が委任者の死亡で終わる(民法653条)のとは正反対です。業界裏話ヒント:手形決済を止めないための特則で、相続人が『委任は終わったはず』と取り立てを止めようとしても法的根拠はない。相続が絡む手形は、この3項を知っているかで紛争の長さが変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利の移転 | 18条 取立委任裏書:移転せず、代理人が行使するのみ | — |
| 人的抗弁 | 18条2項:裏書人への抗弁が切断されず生き残る | — |
| 所持人ができる再裏書 | 代理のための裏書のみ可(18条1項但書) | — |
| 不渡りリスクの帰属 | 裏書人(委任した本人)に残る | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。