要点手形法 76 条は、満期の記載がない約束手形を一覧払とみなし、支払地・振出地の欠落も推定で補充する。ただし振出日・受取人・署名の欠落は救済されず、手形は無効となる。
Q · 約束手形の満期欄が空白だったら、その手形は無効になってしまうの?
無効ではなく、一覧払の手形とみなされます
手形法 76 条 1 項は、必要的記載事項(手形法 75 条)を欠く証券を原則無効としますが、2 項以下が例外を定めます。満期の記載がなければ一覧払(呈示すれば即時に支払を請求できる手形)とみなされ、支払地や振出地の欠落も推定で補われます。ただし救済されるのは満期・支払地・振出地の三つだけ。振出日・受取人・支払約束の文言・振出人の署名のいずれかが欠ければ手形は無効です。
取引先から受け取った約束手形の満期欄が空白だった。多くの人は「記載漏れだから無効、紙くずだ」と早合点する。手形法76条はその真逆を定める。満期の記載がない約束手形は無効ではなく、一覧払(呈示すれば即座に支払を請求できる手形)とみなされる(2項)。支払地が抜けていても振出地が支払地として補われ(3項)、振出地が抜けていても振出人の名称に附記した地で振り出されたものとみなされる(4項)。つまり、ある種の空欄は法が自動的に埋めてくれる。だが、ここに落とし穴がある。埋めてくれるのは満期・支払地・振出地の三つだけ。振出日・受取人・支払約束の文言・振出人の署名、この四つのどれかが欠ければ、76条は救済せず手形は無効になる。あなたが手にした手形が生きているか死んでいるかは、どの欄が空白かで決まる。
手形法 76 条は、約束手形の要件補充に関する規定である。約束手形の必要的記載事項を欠く証券は原則として手形たる効力を有しないが、満期の記載なきものは一覧払とみなされ、支払地・振出地の記載なきものは一定の推定により補充される。形式的厳格性の例外として、流通の安全を害さない範囲で当事者の意思を救済する。
支払呈示をすれば即座に支払を請求できる手形です。満期欄が空白の約束手形は手形法 76 条 2 項により一覧払とみなされ、呈示した日が事実上の満期になります。
支払約束の文言、手形金額、満期、支払地、受取人、振出日・振出地、振出人の署名です(手形法 75 条)。このうち満期・支払地・振出地は 76 条で補充されます。
記載事項の一部をわざと空欄にし、後で補充させる前提で振り出す手形です。補充権の合意があるかが鍵で、空欄イコール即無効ではありません。
受取人は 76 条の補充対象外です。空欄のままでは手形は無効ですが、白地手形として補充権の合意があれば、補充後に有効な手形となります。
約束手形の振出人に対する請求権の消滅時効は、満期の日から 3 年です(手形法 77 条 1 項・70 条 1 項)。一覧払なら呈示日が満期の起算点になります。
6 か月以内に 2 回不渡りを出すと銀行取引停止処分となり、事実上の倒産に至ります。受け取った側も連鎖して資金繰りが悪化する恐れがあります。
原則として振出日から 1 年以内に支払のため呈示する必要があります(手形法 77 条 1 項・34 条 1 項)。期間を過ぎると遡求権を失います。
手形法 76 条 3 項により、振出地が支払地かつ振出人の住所地と推定されます。さらに振出地もなければ 4 項で振出人名称の附記地が振出地とみなされます。
無効ではありません。手形法76条2項により、満期の記載がない約束手形は「一覧払」とみなされます。呈示すれば即座に支払を請求できる手形です。業界裏話ヒント:振り出した側は「満期を書いていないから、まだ払わなくていい」と勘違いしがちですが、実は真逆で、いつでも取り立てられる状態。受け取った側は、むしろ早く現金化できる立場にあります
されません。76条が救うのは満期・支払地・振出地の三つだけ。振出日の欠落は致命傷で、その手形は無効です(手形法75条・76条1項)。業界裏話ヒント:実務には「白地手形」といって、振出日などをわざと空欄にして相手に補充させる慣行があります。これは後で正しく補充されることを前提に流通させるもので、補充の合意があるかが鍵。空欄イコール即無効、と単純には言えません
政府と全国銀行協会は紙の約束手形を2026年度末を目処に廃止する方針を示しており、電子記録債権(でんさい)への移行が進んでいます(最新の状況をご確認ください)。業界裏話ヒント:廃止が進む一方、既に振り出された手形や移行期の取引では76条の知識が依然として効きます。さらに「でんさい」にも記載事項のルールがあり、形式不備で効力が問題になる構造は手形と地続きです
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 補充の対象 | 76 条:約束手形の満期・支払地・振出地を補充 | — |
| 適用される手形の種類 | 約束手形(振出人が自ら支払を約束) | — |
| 救済されない致命的欠缺 | 振出日・受取人・支払約束の文言・振出人の署名 | — |
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