要点労働者災害補償保険法 16 条の 9 は、労働者や先順位の遺族を故意に死亡させた者を遺族補償給付の対象から外す。過失の場合は対象外で、故意のみが失権事由となる。
Q · 夫の労災死に妻が関与していたら、遺族補償年金はもらえないの?
故意に死亡させた者は給付を受けられません
労働者災害補償保険法 16 条の 9 により、労働者を故意に死亡させた者は遺族補償給付を受ける遺族から外れます。さらに自分より先順位・同順位の遺族を故意に死亡させて順位を繰り上げようとした者も資格を失い、すでに受給権があればその権利は消滅します。対象はあくまで「故意」に限られ、過失(不注意)による死亡はこの失権事由に当たりません。刑事と労災は別軌道で、刑事が不起訴でも労働基準監督署が独自に故意を認定し給付を拒むことがあります。
夫が工場の事故で命を落とした。あなたは妻として遺族補償年金を受け取る立場にある。だが、もしその死にあなたが関与していたら、法律はあなたの手から給付をすべて取り上げる。労働者災害補償保険法 16条の9 は、労働者を故意に死亡させた者を遺族から外す。本当に恐ろしいのは第2項から第4項だ。あなたより先順位の遺族、または同順位の遺族を故意に殺せば、たとえ本来は受給資格者でも、その資格は消滅する。つまり法律は「順番を繰り上げるための殺人」をあらかじめ想定し、封じている。給付の取り合いの中で誰かを手にかければ、手にするはずだった年金は永久に消える。これは民法891条の相続欠格と同じ法理が、労災給付の世界に持ち込まれたものだ。戸籍上の地位は、故意の前では何の盾にもならない。
労働者災害補償保険法 16 条の 9 は、遺族補償給付の欠格事由を定める規定である。労働者を故意に死亡させた者、および死亡によって遺族補償年金を受けるべき先順位・同順位の遺族を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受ける遺族とならない。受給権の発生後に他の遺族を故意に死亡させた場合は、その受給権が消滅する。
労働者が業務上または通勤による事由で死亡した場合に、生計を維持されていた遺族に支給される労災保険の年金給付です。配偶者・子・父母などが一定の順位で受給します。
労働者の死亡当時にその収入で生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹が対象です。最優先は配偶者で、年齢や障害の要件によって受給範囲が変わります。
もらえます。労災保険の遺族には、婚姻の届出をしていなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者(内縁配偶者)が含まれます。実態の立証が必要です。
あります。遺族補償年金・一時金の請求権は、労働者の死亡日の翌日から 5 年で時効消滅します(労災保険法 42 条)。早めの請求が安全です。
年金は受給資格のある遺族に継続的に支給されます。一時金は、年金を受ける遺族がいない場合などに一括で支給される給付です。順位や要件で支給形態が分かれます。
労働基準監督署が判断します。刑事裁判の有罪立証とは基準が異なり、刑事で不起訴・無罪でも監督署が独自に故意ありと認定して給付を拒むことがあります。
失権者は給付から外れ、次順位の遺族へ権利が移る転給が行われます。ただし故意で先順位者を死亡させて繰り上がろうとした者は、転給の列からも除外されます。
条文は「故意に」と限定しますが、死亡の結果を認識・認容していた未必の故意も含まれ得ます。純然たる過失との線引きが争点になるため、専門家の判断が重要です。
あり得ます。労働者災害補償保険法16条の9の「故意に死亡させた」の認定は、刑事の有罪立証(合理的な疑いを超える証明)とは基準が違い、労働基準監督署が独自に判断します。刑事で不起訴・無罪でも、給付の世界で故意ありと判断されれば年金は下りません。業界裏話ヒント:刑事と労災は完全に別軌道です。だからこそ不起訴になったら必ず「不起訴処分理由告知書」を検察庁に請求し、「嫌疑なし」か「嫌疑不十分」かを確認する。この一枚が監督署との交渉で効きます
押しのけ方が問題です。先順位や同順位の遺族を「故意に死亡させた」場合、16条の9第4項であなた自身の受給資格が消滅します。先順位者の死亡や失権による正当な繰り上がりは問題ありませんが、その死にあなたの故意があれば話は別です。業界裏話ヒント:労災の遺族年金には「転給」があり、先順位者が失権すると次順位者へ自動で権利が移ります。だが故意死亡で繰り上がろうとした者は、転給の列からも外される。法律はこの抜け道を16条の9で塞いでいます
16条の9が遺族から外すのは「故意」に死亡させた者だけです。過失(不注意)による場合は、この条文の失格事由には当たりません。条文は一貫して「故意に」と限定しており、過失致死はここに含まれません。業界裏話ヒント:ただし「故意」には未必の故意(死ぬかもしれないと認識しながら放置した等)も含まれ得るため、純然たる過失との線引きが争点になります。実務上、解釈が分かれる場面なので、不作為が絡むケースは早めに専門家へ
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|---|---|---|
| 規定の役割 | 16 条の 9:故意死亡による遺族の欠格・失権 | — |
| 発動の原因 | 労働者または他の遺族を故意に死亡させた事実 | — |
| 効果 | 遺族から除外、受給権発生後は権利消滅 | — |
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