要点独占禁止法46条は、公正取引委員会が独占的状態への措置をとる際、所管の主務大臣への通知を義務づけ、大臣に意見陳述権を認める手続規定である。
Q · 独占禁止法46条があると、公正取引委員会は自由に独占企業へ措置をとれないのですか?
公取委が単独では動けず、主務大臣への通知と意見聴取が前置きされます
独占禁止法8条の4は独占的状態にある事業者に事業の一部譲渡など競争回復措置を命じうると定めますが、46条により公正取引委員会は措置をとると決めたとき当該事業を所管する主務大臣へ通知しなければなりません。主務大臣は独占的状態の有無や代替措置について意見を述べられ、この省庁間協議が事実上の重しとなります。1977年の制度導入以来、競争回復措置命令は一度も発動されていません。
スマホ料金がいつまでも高い、ある業界が事実上一社に握られて価格も品質も止まっている、そう感じたとき、公正取引委員会がその会社を分割してくれると期待するかもしれない。法律上、その武器は確かに存在する。独占的状態に対する競争回復措置命令、つまり事業の一部譲渡まで命じうる権限だ。ところが引き金を引く前に公取委が必ず通らねばならない関門が、この46条である。措置をとると決めたら、その業界を所管する主務大臣(製造業なら経済産業大臣のように、その産業を監督する国の責任者)に通知し、大臣は「本当に独占的状態か」「分割以外に手はないか」と意見を述べることができる。省庁間の綱引きが一段挟まる構造だ。日本で競争回復措置命令が制度導入以来一度も発動されていない背景には、この合議の壁がある。地味な手続条文に見えて、実は最強の構造規制を眠らせ続けている安全装置である。
独占禁止法第46条は、独占的状態への競争回復措置に関する主務大臣協議を定める手続規定である。公正取引委員会が第8条の4の措置をとることとした場合、当該事業を所管する主務大臣への通知を義務づけ、大臣に独占的状態の有無および代替措置に関する意見陳述権を保障する。競争政策と産業政策の調整を制度化した規定である。
市場が事実上一社に握られ価格や品質が停滞している状態に対し、公取委が事業の一部譲渡など競争回復措置を命じうる制度です。独占禁止法8条の4が根拠で、46条の大臣協議が前置きされます。
当該事業を所管する国の大臣を指します。例えば製造業なら経済産業大臣など、その産業を監督する官庁の責任者で、公取委からの通知を受けて意見を述べられます。
一度もありません。1977年(昭和52年)の制度導入以来、独占的状態への競争回復措置命令が実際に出された例はゼロで、46条の大臣協議や弊害要件が壁になっています。
拘束力はありません。46条は大臣に『意見を述べることができる』と定めるにとどまります。ただし産業政策を所管する官庁の反対を押し切るのは政治的に難しく、事実上の抑止力があります。
排除措置命令は違反行為をやめさせる行為規制ですが、独占的状態への措置は違反がなくても市場構造そのものを是正する構造規制で、事業の一部譲渡まで命じうる劇薬です。
含まれます。8条の4は競争を回復するために必要な措置として事業の一部譲渡を命じうると定めており、いわゆる企業分割がその中核です。ただし発動例はありません。
独占的状態への措置は昭和52年(1977年)の独占禁止法改正で導入され、主務大臣への通知・意見聴取の枠組みが設けられました。以後の改正で条番号が移動した可能性は要確認です。
厳しい弊害要件に加え、46条が公取委単独での発動を許さず主務大臣協議を義務づけているためです。競争政策と産業政策の綱引きが制度内に組み込まれ、刀が抜かれないまま眠っています。
独占禁止法2条7項が数値基準を定めており、一定の事業分野で年間の国内供給額が1000億円を超え、かつ1社のシェアが2分の1超、または上位2社の合計で4分の3超などの要件があります。ただし基準に該当しても自動的に措置されるわけではありません。業界裏話ヒント:実は基準を満たす企業は複数存在しますが、46条の大臣協議や弊害要件の壁で、措置に至った例はゼロ。『基準該当イコール分割』ではなく、その後の手続こそが本丸です(最新の改正状況をご確認ください)。
措置をとる権限自体は公取委にありますが、独占的状態への競争回復措置命令の場合、46条で主務大臣への通知と意見聴取が前置きされています。大臣は独占的状態の有無や、第8条の4第1項ただし書がいう代替手段について意見を述べられ、これが事実上の重しになります。業界裏話ヒント:法律上、大臣の意見に拘束力はありません。しかし産業政策を所管する官庁が反対する案件を公取委が押し切るのは政治的に極めて困難。『意見を述べることができる』という柔らかい表現の裏に、強い抑止力が隠れています。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 46条:措置決定時の主務大臣への通知・意見聴取 | — |
| 規制の性質 | 省庁間調整の手続規定 | — |
| 誰が動くか | 公取委が通知、主務大臣が意見 | — |
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