金融商品取引法 第161条の2(信用取引等における金銭の預託)
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- 信用取引その他の内閣府令で定める取引については、金融商品取引業者は、内閣府令で定めるところにより、顧客から、当該取引に係る有価証券の時価に内閣総理大臣が有価証券の売買その他の取引の公正を確保することを考慮して定める率を乗じた額を下らない額の金銭の預託を受けなければならない。
- 2.前項の金銭は、内閣府令で定めるところにより、有価証券をもつて充てることができる。
この条文の基本情報
信用取引等における金銭の預託とは何ですか?
定義信用取引等における金銭の預託とは、金融商品取引法第161条の2に定められた規定で、「信用取引その他の内閣府令で定める取引については、金融商品取引業者は、内閣府令で定めるところにより、顧客から、当該取引に係る有価証券の時価に内閣総理大臣が有価証券…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第161条の2(信用取引等における金銭の預託)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第161条の2の条文原文は「信用取引その他の内閣府令で定める取引については、金融商品取引業者は、内閣府令で定めるところにより、顧客から、当該取引に係る有価証券の時価に内閣総理大臣が有価証券…」で始まります。
- 金融商品取引法第161条の2は第六章 有価証券の取引等に関する規制に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第161条の2の前の条は金融商品取引法第161条です。
- 金融商品取引法第161条の2の次の条は金融商品取引法第162条です。
- 金融商品取引法第161条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第161条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第161条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/161_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法161条の2は、信用取引で証券会社が顧客から時価に所定の率を乗じた額を下らない金銭を預託させるべきことを定める。保証金は有価証券で代用できるが、率は下限であり上乗せは適法。
Q · 信用取引の保証金30%って、どの証券会社でも同じなんですか?
違います。30%は法定の下限で、上乗せは適法です
金融商品取引法161条の2は、金融商品取引業者が顧客から「時価に所定の率を乗じた額を下らない額」の金銭の預託を受けるべきことを定めます。つまり法律が決めているのは下限(床)であり、定価ではありません。具体的な率は政令(金融商品取引法施行令16条)で定められ、証券会社や取引所は自社の与信判断や過当投機抑制のため、個別銘柄でこれを上回る率や現金比率を要求できます。2項により、この保証金は有価証券(代用有価証券)で充てることもできますが、掛目が適用され毎営業日時価で評価し直されます。
解説
証券会社の担当者から「信用取引なら自己資金の約3倍まで買えます」と説明されたとき、その「3倍」がどこから来ているか考えたことがあるだろうか。答えがこの条文だ。金融商品取引法161条の2は、信用取引をする客から、証券会社が必ず一定額以上の保証金(委託保証金)を預からなければならないと定める。「下らない額」という言い方に注目してほしい。これは下限規制であり、上限ではない。つまり法定の最低ラインは金融商品取引法施行令16条で30%(かつ最低30万円、金融商品取引業等に関する内閣府令117条関係)だが、証券会社が自社ルールで40%、50%と引き上げるのは完全に適法である。あなたが「昨日まで30%で買えたのに、今日は同じ銘柄が50%必要になった」と驚くとき、それは法改正ではなく、その証券会社または取引所が個別銘柄の規制を強化しただけだ。さらに2項は、この保証金を現金ではなく保有株式などの有価証券で代用できると認める。代用有価証券という仕組みが、あなたの含み益を新たな買付余力に変え、同時に株価下落時に追証を爆発的に膨らませる装置になる。
法的な位置づけ
金融商品取引法161条の2は、信用取引等における委託保証金の預託義務を定める規定である。金融商品取引業者は、顧客から、取引に係る有価証券の時価に内閣総理大臣が取引の公正確保を考慮して定める率を乗じた額を下らない額の金銭を預託させなければならず、当該金銭は有価証券をもって代用することができる。規制の名宛人は業者であり、レバレッジ倍率の上限を実質的に画する市場規制として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.口座開設前に率と掛目を比較する 法定の下限ではなく、各証券会社が実際に適用している委託保証金率・最低保証金額・代用有価証券の掛目・増担保銘柄の扱いを比較表にする。口座開設後に交渉しても率は動かないため、選択の自由があるのは開設前だけ
- 2.約款で追証の判定基準と時刻を確認する 保証金維持率の計算式、判定の基準時点(多くは前営業日終値)、入金期限、強制決済の執行順序(現金充当か代用有価証券の売却か)を約款から抜き出してメモしておく。追証通知が来てから読み始めると一日を失う
- 3.維持率が警戒水準に近づいた段階で手を打つ 追証発生後ではなく、維持率が警戒水準に接近した時点で、建玉の一部決済・現金の追加入金・代用有価証券の入れ替えのいずれを選ぶか決める。代用有価証券と建玉が同じ相場変動に連動していないかも点検する
- 4.追証発生時は自分で決済順序を組む 強制決済に任せると売却順序を選べない。期限内に自分で建玉を整理して決済したほうが、手元に残る資産が多くなる場合がある。入金と決済のどちらで解消するかを期限から逆算して決める
- 5.業者側の説明義務違反が疑われる場合は証跡を保全する 掛目や保証金率の変更が事前説明なく行われたと感じたら、取引報告書・約款・変更通知メール・画面キャプチャをすべて保存する。web 上の約款は後から差し替えられる。そのうえで苦情窓口、次いで FINMAC のあっせん手続を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1委託保証金とは何ですか?
信用取引をする顧客が証券会社に差し入れる担保金です。金融商品取引法161条の2により、業者は時価に所定の率を乗じた額を下らない額を顧客から預託させる義務を負います。
Q2信用取引の保証金率は法律で何%と決まっていますか?
法律本体に数字はありません。161条の2は「内閣総理大臣が定める率」と委任し、政令で率が定められています。条文が決めているのは下限であって定価ではありません。
Q3代用有価証券の掛目は誰が決めますか?
法律ではなく、取引所規則と各証券会社の約款が定めます。同じ銘柄でも会社によって代用価値が違い、相場急変時には掛目自体が引き下げられることがあります。
Q4追証はいつまでに入金すればいいですか?
法定の期限はなく、各証券会社の約款で定まります。判定は前営業日終値ベース、入金期限は翌々営業日正午前後が一般的です。必ず自分の口座の約款をご確認ください。
Q5保証金を現金ではなく株で差し入れられますか?
できます。161条の2第2項が有価証券による代用を明文で認めています。ただし掛目が適用され、毎営業日時価で評価し直される点が現金との決定的な違いです。
Q6証券会社が保証金を取らずに信用取引をさせたら違法ですか?
業者側の法令違反となり、業務改善命令等の行政処分の対象になり得ます。ただし規制の名宛人は業者であり、顧客の取引が当然に無効になったり損失が消えるわけではありません。
Q7銘柄によって保証金率が違うのはなぜですか?
161条の2の率は床にすぎず、取引所が過当投機抑制のため個別銘柄に増担保規制をかけ、証券会社がさらに上乗せできるためです。法改正がなくても率は動きます。
Q8追証が払えないとどうなりますか?
建玉は強制決済され、保証金と代用有価証券が損失に充当されます。なお不足があれば証券会社に対する債務として残ります。信用取引の損失は元本に限定されません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保証金率って、証券会社によって違うんですか?
違います。161条の2は「下らない額」、つまり下限のみを定め、具体的な率は金融商品取引法施行令16条で30%、最低保証金額も内閣府令で定められています。証券会社はこれを上回る率を自社で設定できます。実務のポイント:相場が荒れると、証券会社は個別銘柄の保証金率を予告なく引き上げることがあります。約款に「当社が必要と認めた場合」という一文があれば適法。口座開設前にこの条項の有無を確認できる人はほとんどいない
Q2現金がないんですが、持っている株を担保にして信用取引はできますか?
できます。161条の2第2項が有価証券による代用を明文で認めています。ただし評価額そのままではなく掛目(上場株式なら通常80% 程度)が適用され、毎営業日時価で評価し直されます。実務のポイント:掛目は法定ではなく証券会社・取引所の設定なので、同じ株でも会社によって代用価値が違う。相場急変時に掛目自体が引き下げられることもあり、その場合あなたが何もしていなくても保証金維持率だけが勝手に下がる
Q3追証が払えなかったら、借金だけが残るんですか?
建玉は強制決済され、預託した保証金と代用有価証券は損失の充当に回されます。それでも不足があれば、不足額は証券会社に対する債務として残ります。信用取引は損失が元本に限定されない取引です。実務のポイント:強制決済の執行タイミングと順序(現金から充当か、代用有価証券の売却からか)は約款で決まっており会社ごとに異なる。売却順序によって手元に残るものが変わるため、追証発生時に自分で先に整理して決済した方が結果が良くなる場合がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「保証金率30%は法律で決まった数字だから、どこの証券会社でも同じ」という理解は、条文の読み方を一段間違えている。161条の2が命じているのは「下らない額」の預託、つまり最低ラインの設定でしかない。証券会社が自社の与信判断で率を上げることも、特定銘柄だけ現金比率を要求することも適法。同じ銘柄・同じ資金でも、口座を持つ証券会社によって建てられる金額が違うのはこのためだ
- この条文を「投資家を守るための規制」と読む人は多いが、法律の視点から見ると主眼は別のところにある。条文自身が「有価証券の売買その他の取引の公正を確保することを考慮して」と書いている。守っているのは第一に市場そのもの、つまり信用膨張による相場の過熱と崩壊の連鎖を抑えることだ。あなた個人の損失防止は副次的な効果にすぎない。この落差を理解していないと、「規制があるのになぜ自分は破産するのか」という問いの立て方自体が的外れになる
- 「代用有価証券を使えば現金を用意せずに済む、つまり有利」と考えるのは、リスクの向きを見落としている。代用有価証券には掛目(評価額の80% など)がかけられ、しかも毎日時価で洗い替えられる。相場が下がれば、建玉の損失と担保価値の目減りが同時進行する。現金保証金なら起きなかった追証が、代用有価証券だからこそ発生するという場面が現実に存在する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の対象行為 | 161条の2:信用取引等における委託保証金の預託受入義務 | 161条:空売り等の取引方法そのものの規制 156条:証券金融会社による信用取引の資金・有価証券の貸付 |
| 規制の名宛人 | 金融商品取引業者(顧客から預託を受ける義務) | 売付けを行う者(投資家を含む) 証券金融会社(免許制の貸付主体) |
| 具体的水準を決める主体 | 内閣総理大臣(政令・内閣府令に委任)+上乗せは業者・取引所 | 内閣府令による取引方法の細目 内閣総理大臣の免許および業務規程 |
| 違反時の帰結 | 業務改善命令等の行政処分(51条系)。顧客取引が当然無効になるわけではない | 行政処分に加え課徴金・罰則が及び得る 免許に基づく監督処分 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も融資比率・融券保証金比率を主管機関(金管會)が定める委任構造を採り、証券商がこれを上回る自社基準を設ける点まで日本と同型。個別銘柄への増担保規制(處置股票)も存在する
韓国も投資売買業者の信用供与に担保徴求義務を課し、具体的比率は施行令・金融委員会告示に委ねる。代用証券の掛目(담보비율)運用も日本と近い
中国も融資融券について保証金比率を当局が定め、証券会社が上乗せする構造。担保証券の折算率(掛目)制度も存在し、相場急変時に当局が比率を機動的に変更する運用が顕著
本条の思想的源流。連邦準備制度理事会が initial margin を定め、証券会社・自主規制機関(FINRA)が maintenance margin をこれに上乗せする二層構造は、日本の『法定の床+業者の上乗せ』と同じ発想
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 含み益の出ている保有株を代用有価証券として差し入れ、その評価額を担保に信用で別の銘柄を買った。市場全体が急落すると、買った銘柄の評価損と、担保株の評価額下落が同時に襲ってくる。保証金維持率は分子と分母の両方から削られ、追証は自分の想定の二倍速で到達する。この二重ダメージの構造を知らずにフルレバレッジを組む個人投資家は、今も毎日生まれている
- 証券会社から「明日正午までに追加保証金87万円を入金してください」というメールが届いた。入金しなければ建玉は強制決済される。あなたに残された時間は実質半日。ここで重要なのは、追証の計算根拠になる委託保証金率も代用有価証券の掛目も、法定の最低ライン(30%)ではなく証券会社の約款で決まっているという点。まず自分の口座の約款を開くのが先で、証券会社に電話して粘るのは後だ
- もし証券会社が保証金を受け取らずにあなたに信用取引をさせていたら、どうなる? それは業者側の法令違反であり、行政処分(役所が業者に直接下す業務改善命令や業務停止命令)の対象になる。だがあなたの取引が自動的に無効になって損失が消えるわけではない。規制の名宛人は業者であって、あなたを救済する条文ではない
- 新規上場直後の値動きの荒い銘柄に信用で入ろうとしたら、その銘柄だけ委託保証金率50%(うち現金20%以上)という規制がかかっていた。取引所が過当投機を抑えるために個別に上乗せしたものだ。161条の2が定めるのはあくまで床であり、床の上に何段積むかは取引所と証券会社の裁量にある
- 友人から「信用取引って借金でしょ、危ないからやめとけ」と言われた。本当に危険なのは借金であることではなく、担保が時価で毎日評価し直されるという点だ。この違いを三分で説明できるかどうかが、レバレッジを扱える人間とそうでない人間を分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証券会社が法定額を下回る保証金で取引させていた、または代用有価証券の掛目を事前説明なく変更したと感じたら、まず取引報告書・約款・変更通知メールをすべて保存する(後から web 上の約款は差し替えられる) 2. 証券会社の苦情窓口に書面で申し出る3. 解決しなければ特定非営利活動法人 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)のあっせん手続を利用する。裁判より安価で早い4. 損害賠償を求める場合は民法709条または金融商品取引業者の説明義務違反(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律)の構成を検討する。ただし本条は業者への規制であり、違反が直ちにあなたの損失填補につながるわけではない点は冷静に踏まえること
訴えられた側:1. 金融商品取引業者側として保証金徴収不足を指摘された場合、まず内閣府令上の算定基礎(時価の基準時点、代用有価証券の掛目、現金部分の比率)を洗い直す2. システム起因か運用起因かを切り分け、該当顧客・該当期間・該当金額を確定して自主的に金融庁・財務局へ報告する3. 自主的報告と再発防止策の提出は、その後の行政処分(業務改善命令など役所が事業者に直接下す決定)の重さに実際に影響する4. 顧客への通知と是正措置を同時並行で進める。隠蔽が発覚した場合の処分は、違反本体より重くなるのが通例
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。業者の違反に対する行政処分に期間制限はなく、顧客の損害賠償請求には民法の一般消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)、不法行為構成なら民法724条(損害および加害者を知った時から3年)が適用される。追証への対応期限は法律ではなく各証券会社の約款で定まり、通常は発生の翌々営業日正午前後と極めて短い(最新の各社規定をご確認ください)
学説
通説:本条は投資者保護を直接の目的とする規定ではなく、条文自身が掲げる「有価証券の売買その他の取引の公正を確保する」目的から、信用膨張による市場の過熱と崩壊の連鎖を抑制する市場規制と位置づけられる。投資家個人の損失防止は反射的効果にとどまる
委任立法論からの評価:条文本体に率の数値を置かず内閣総理大臣の定めに委ねた構造は、相場環境に応じて機動的に規制水準を調整するための意図的な設計とされる。他方で、行政による実質的な規制水準の決定が広範に及ぶため、委任の範囲と予測可能性が論じられる領域でもある
- 金融商品取引法 第156条証券金融会社による信用取引の資金貸付制度
- 金融商品取引法 第161条空売り等の規制、同じく市場公正確保のための取引規制
- 金融商品取引法 第51条業務改善命令、保証金徴収義務違反への行政処分根拠
- 金融商品取引法 第40条適合性の原則、信用取引の勧誘における業者の義務
- 金融商品取引法 第37条広告規制、信用取引のリスク表示義務
- 商品先物取引法 第210条商品デリバティブにおける同種の証拠金規制
- 金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律 第4条リスク説明義務違反時の顧客の損害賠償請求根拠
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