金融商品取引法 第40条(適合性の原則等)
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- 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。
- 一金融商品取引行為について、顧客の知識、経験、財産の状況及び金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行つて投資者の保護に欠けることとなつており、又は欠けることとなるおそれがあること。
- 二前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。
この条文の基本情報
適合性の原則等とは何ですか?
定義適合性の原則等とは、金融商品取引法第40条に定められた規定で、「金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第40条(適合性の原則等)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第40条の条文原文は「金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。」で始まります。
- 金融商品取引法第40条は第一款 通則に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第40条の前の条は金融商品取引法第39条です。
- 金融商品取引法第40条の次の条は金融商品取引法第40条の2です。
- 金融商品取引法第40条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第40条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第40条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/40
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法40条は適合性の原則を定め、顧客の知識・経験・財産・契約目的に照らして不適当な勧誘により投資者保護に欠ける業務運営を禁じる。違反は行政処分の対象となる。
Q · リスク説明書にサインして買った商品で損をしたら、もう何も言えないのですか?
説明を受けていても、勧誘自体が違法になりえます
金融商品取引法40条1号は、顧客の知識・経験・財産の状況・契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘によって投資者保護に欠ける業務運営を禁じています。争点は「説明を受けたか」ではなく「そもそもその顧客に勧めてよい商品だったか」です。したがってリスク説明書に署名していても、適合性の原則の違反は別途問題になります。ただし本条は業者への業務規制であり、賠償を得るには民法709条の不法行為として構成し、適合性原則からの著しい逸脱を主張する必要があります。
解説
証券会社の営業担当が「これ、絶対値上がりますよ」と勧めてきた仕組債で、あなたは退職金の半分を失った。ここで多くの人は「自己責任だから仕方ない」と諦める。だが金融商品取引法40条1号は、まったく違う世界を用意している。金融商品取引業者等は、顧客の知識・経験・財産の状況・契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行ってはならない、と。これが「適合性の原則」だ。ポイントは、あなたが「リスクの説明を受けたか」ではなく「そもそもあなたに売っていい商品だったか」を問う点にある。80代の年金生活者に外貨建て仕組債、投資経験ゼロの主婦にレバレッジ型の先物取引。説明書にサインしていても、勧誘そのものが違法と評価されうる。しかも本条は業者への業務規制であって、違反は行政処分(役所が業者に直接下す処分、業務改善命令・業務停止命令)の根拠になる。あなたが持っている武器は、損害賠償請求だけではない。金融庁への申出という別ルートが並走している。
法的な位置づけ
金融商品取引法40条は適合性の原則を定める規定であり、金融商品取引業者等に対し、顧客の知識・経験・財産の状況・金融商品取引契約を締結する目的に照らして不適当と認められる勧誘を行い投資者の保護に欠ける業務運営状態に陥らないことを求める。個別の勧誘行為の禁止にとどまらず、そのおそれのある業務運営体制そのものを規律する点に特色がある。
手順
- 1.勧誘と取引の記録を時系列で全部集める 取引報告書、契約締結前交付書面、取引残高報告書、営業担当とのメール・LINE・通話メモを日付順に並べる。いつ誰にどの商品を勧められたかの流れが見えるかたちにするのが出発点になる
- 2.顧客カードと勧誘記録の開示を書面で求める 証券会社・銀行に対し、顧客カード(適合性を記録した社内書類)と勧誘記録の開示を書面で請求する。投資経験、年収、金融資産、投資目的の記載が実態と一致しているかを一項目ずつ突き合わせる
- 3.FINMAC に苦情を申し立てる 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に苦情を申し立て、解決しなければあっせん手続に進む。費用と期間の負担が訴訟より小さく、不調に終わっても後から訴訟に移行できる
- 4.金融庁へ情報提供し監督ルートも動かす 金融サービス利用者相談室に事実関係を情報提供する。返金は得られないが、同種苦情の集積は検査の端緒となり、業者側が個別紛争を早期和解で処理する動機を高める
- 5.高額・悪質なら不法行為で訴訟提起 民法709条の不法行為として構成し、適合性の原則から著しく逸脱した勧誘であった点を主張軸にする。損害および加害者を知った時から3年の消滅時効(民法724条)に注意する
よくある質問 AI による整理
Q1適合性の原則とは何ですか?
顧客の知識・経験・財産の状況・契約締結目的に照らして不適当な金融商品の勧誘を禁じる原則です。金融商品取引法40条1号が根拠で、説明の有無とは別の規律として働きます。
Q2金融商品取引法40条に違反すると罰則はありますか?
本条は刑事罰ではなく業務運営規制で、違反は業務改善命令や業務停止命令といった行政処分の根拠になります(同法51条等)。顧客への返金を直接命じる条文ではありません。
Q3高齢の親が仕組債を買わされていたらどうすればいい?
取引報告書・契約締結前交付書面・勧誘記録を時系列で集め、証券会社に顧客カードの開示を書面で求めます。その上で FINMAC への苦情申立や不法行為に基づく請求を検討します。
Q4顧客カードの開示請求はできますか?
業者に対し書面で開示を求めることができます。投資経験・年収・投資目的の記載が実態と合っているかを確認し、乖離があれば適合性判断の前提が崩れていた事情として主張できます。
Q5FINMAC のあっせんは費用がかかりますか?
相談は無料で、あっせん手続も低額の手数料で利用できます。数か月で結論が出ることが多く、不調でもその後に訴訟へ進めるため、先に使っても選択肢は狭まりません。
Q6適合性原則違反で損害賠償は認められますか?
40条違反が直ちに賠償請求権を生むわけではありません。民法709条の不法行為として構成し、適合性の原則から著しく逸脱した勧誘であったと評価される必要があります。
Q7不招請勧誘の禁止と適合性の原則は違いますか?
違います。不招請勧誘の禁止は求めていない顧客への訪問・電話勧誘そのものを制限する規律、適合性の原則は勧誘の相手方と商品の組み合わせの当否を問う規律です。
Q8適合性の原則はいつから法律に定められたのですか?
業界の自主規制として運用された後、平成4年(1992年)改正で証券取引法43条に明文化され、平成18年(2006年)の金融商品取引法への改組で40条に移りました。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「自己責任でお願いします」と言われてサインしたんですが、もう無理ですか?
無理ではない。自己責任原則は、適合性のある顧客に適切な情報が与えられた前提で初めて働く。年齢・投資経験・資産に照らして明らかに不適合な商品の勧誘は、40条1号の問題として残る。実務のポイント:業者が持つ顧客カードには、投資経験「有」や投資目的「積極運用」と、営業側の都合で書かれていることがある。開示を求めて実態との食い違いを突くのが、この種の紛争の最初の一手だ。
Q2金融庁に言えば、私のお金は戻ってきますか?
戻らない。金融庁が行うのは業者への行政処分(業務改善命令や業務停止命令など、役所が業者に直接下す決定)であって、あなたへの返金命令ではない。返金は民事の別ルートになる。実務のポイント:それでも情報提供には意味がある。同種の苦情が集積すると検査の端緒になり、業者側が個別の紛争を早期に和解で処理する動機が上がる。民事とは別のレバーだと理解して両方回す。
Q3プロ相手なら適合性は関係ないんですか?
特定投資家(いわゆるプロ投資家)に対しては、行為規制の一部が適用除外になる(金融商品取引法45条)。ただし適合性の原則の中核が完全に消えるわけではなく、特定投資家への移行手続にも厳格な要件がある。実務のポイント:法人や資産家が知らないうちに特定投資家として扱われていることがある。自分がどの区分か確認するだけで、主張できる規制の範囲が変わる。
Q4銀行で投資信託を買った場合も同じですか?
同じ枠組みが及ぶ。銀行等は登録金融機関として金商法の行為規制の適用を受ける(金融商品取引法33条の2以下)。窓口が銀行だから緩い、ということはない。実務のポイント:銀行窓販では「預金の延長」という空気で勧誘されることがあり、元本保証の誤認が起きやすい。勧誘時に預金と比較する説明がされたかは、争う際の有力な材料になる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「リスク説明書にサインしたから、もう文句は言えない」というのは前提が誤っている。説明義務(金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律4条)と適合性の原則は別の規律だ。適合性の原則は「その顧客にその商品を勧めること自体が不適当ではないか」を問うもので、いくら丁寧に説明しても、そもそも不適合な相手への勧誘は正当化されない。サインは説明義務のクリアを示すにすぎない
- 適合性の原則は知っているが、その射程の広さを見落としている人が多い。本条は「不適当と認められる勧誘」を禁じるだけでなく、そのおそれがある業務運営状態そのものを禁じている。つまり個別の一件の勧誘が問題になる前に、そういう勧誘が起きる体制であること自体が違反になる。金融庁が業者を叩くとき、個別事案ではなく体制不備を理由にするのはこのためだ
- あなたから見れば「損をした」という民事の問題だが、金融庁から見れば「業者の業務運営の適正性」という監督の問題である。この落差が重要で、40条違反は直接あなたに賠償請求権を与える条文ではない。裁判で賠償を取るには民法709条の不法行為構成に乗せ、適合性原則違反が「著しく」不法行為法上も違法と評価される必要がある(最判平成17.7.14)。40条を振りかざすだけでは、民事の勝訴には届かない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 金商法40条:顧客と商品の組み合わせの当否(業務運営状態) | 金商法38条:断定的判断の提供など勧誘方法そのもの 金商法37条の3:契約締結前交付書面による情報提供 |
| 問われる時点 | 勧誘する前の「そもそも売ってよい相手か」の判断段階 | 勧誘中の発言・行為の場面 契約締結の直前、書面交付の場面 |
| 違反の主な効果 | 行政処分(業務改善命令・業務停止命令等)の根拠 | 行政処分に加え、私法上の違法性判断にも影響 書面不交付・記載不備として行政処分の対象 |
| 顧客側の使い道 | 民法709条の不法行為構成における違法性の柱 | 誤認による取消し・賠償の補強主張 説明義務違反の立証における客観資料 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は金融サービス業に対し、契約締結前に金融消費者の情報を十分に把握し、商品・サービスの適合度を確保する義務を課す。業法上の義務であり、金融消費評議センターの評議制度が紛争処理を担う点で日本の FINMAC に近い
韓国は資本市場法で適合性原則を定めたうえ、2020年制定の金融消費者保護法で全金融商品に拡張した。違反時の過怠金・立証責任転換など、制裁と民事救済の接続が日本より明示的
ドイツは MiFID II を国内法化し、投資助言・ポートフォリオ管理では Geeignetheit(適合性)、それ以外では Angemessenheit(妥当性)と審査密度を分ける。適合性報告書の交付義務がある点が日本より形式化されている
適合性原則の発祥地。2020年施行の Reg BI により、ブローカー・ディーラーには単なる適合性を超えた顧客の最善の利益基準が課され、利益相反の開示・緩和義務が加わっている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が亡くなり、遺品整理で証券会社の取引報告書が出てきた。87歳、認知症の診断あり、投資経験は定期預金のみ。それが3,000万円分の外貨建て仕組債を買わされていた。相続人であるあなたは、父に代わってこの勧誘の適合性を争える。父本人が「納得してサインした」と言っていたとしても、適合性の原則は本人の同意では治癒しない
- あなた自身が金融商品取引業者の営業担当で、上司から「今期あと2本、この仕組債を売ってこい」と詰められている。顧客リストの中で買ってくれそうなのは、年金生活の高齢者だけ。ここで売れば数字は立つが、後日の苦情で適合性違反を問われるのはあなたの名前だ。顧客カード(適合性を記録する社内書類)に何を書き、何を書かなかったかが、数年後に証拠として引っ張り出される
- もし、自分が買った投資信託が「自分には不適合だった」と後から分かったら、何ができる? 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)への苦情申立、金融 ADR(裁判外紛争解決手続)でのあっせん、そして訴訟。この三つは費用も時間もまったく違う。順番を間違えると、最も安い選択肢を自分で潰すことになる
- 投資用マンションの営業から電話が来た。これは金商法の適合性原則の外側にある(不動産特定共同事業や現物不動産は原則として金商法の対象外)。同じ「高齢者に高額商品を売る」構図でも、適用される法律が違う。どちらの土俵にいるかを見誤ると、主張する条文を丸ごと間違える
- 金融庁の検査が入り、あと10日で報告書の提出期限。顧客に関する情報の適正な取扱いを確保する措置(2号の情報管理体制)について、社内規程はあるが実態が伴っていないことが判明した。ここで何を書くかが、業務改善命令で済むか業務停止まで行くかの分水嶺になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取引報告書・契約締結前交付書面・勧誘時のメモや録音を時系列で全部集める。2. 証券会社に顧客カードと勧誘記録の開示を書面で求める(投資経験・年収・投資目的の記載が実態と合っているか確認)。3. まず FINMAC(証券・金融商品あっせん相談センター)に苦情申立、無料で相談でき、あっせん手続に進める。4. 並行して金融庁の金融サービス利用者相談室に情報提供、行政監督のルートを動かす。5. 高額かつ悪質なら民法709条の不法行為で訴訟、適合性原則からの著しい逸脱を主張軸にする。
訴えられた側:1. 顧客カード・適合性判定の社内記録・勧誘記録を保全し、事後に書き足さない(改ざんが最も重い不利益を生む)。2. 個別事案か体制不備かを切り分ける、40条は体制を問う条文なので社内規程と実際の運用の一致を先に点検する。3. 顧客の知識・経験・財産・目的の四要素のどれを、いつ、どう確認したかを再構成する。4. 金融庁への報告では、原因分析と再発防止策の具体性が処分の重さを左右する。5. 民事では説明義務の履行と適合性の判断過程を分けて主張する。
時効(請求できる期限):40条自体に特定の時効はない。民事で不法行為構成をとる場合、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年(民法724条)。損失を認識した時点と、適合性違反に気付いた時点がずれるケースが多く、起算点が争点になる。FINMAC のあっせん申立には法定の期限はないが、記録の保存期間(多くは10年)を過ぎると立証が困難になる。
学説
通説:40条1号は狭義の適合性原則(不適合な顧客への勧誘の絶対的禁止)を中核としつつ、顧客属性に応じた説明の調整という広義の要請とも連続する。業法上の違反と私法上の違法性は区別され、後者には著しい逸脱が必要とされる。
体制規制説的理解:本条は「業務の運営の状況」を名宛人とするため、個別の勧誘行為が顕在化する前でも、不適合な勧誘が生じるおそれのある体制それ自体が違反となる。監督当局が体制不備を理由に処分できる構造はここに由来する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成4年(1992年) 改正:証券業協会の自主規制として運用されていた適合性の原則が、証券取引法43条として法律に明文化された
- 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法を金融商品取引法に改組(平成19年施行)。適合性の原則は40条に置かれ、証券以外の金融商品にも及ぶ横断的な業務運営規制となった
- 金融商品取引法 第38条断定的判断の提供等の禁止行為
- 金融商品取引法 第37条広告等の規制、勧誘前段階の規律
- 金融商品取引法 第37条の3契約締結前交付書面の交付義務
- 金融商品取引法 第45条特定投資家に対する行為規制の適用除外
- 金融商品取引法 第51条業務改善命令、本条違反の行政処分根拠
- 民法 第709条適合性原則違反を不法行為として構成する受け皿
- 消費者契約法 第4条不実告知等による取消し、重畳適用が可能
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