医師法 第23条
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医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 医師法第23条は、日本の医師法に含まれる条文です。
- 医師法第23条の条文原文は「医師は、診療をしたときは、本人又はその保護者に対し、療養の方法その他保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない。」で始まります。
- 医師法第23条は第五章に置かれています。
- 医師法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 医師法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 医師法第23条の前の条は医師法第22条です。
- 医師法第23条の次の条は医師法第24条です。
- 医師法第23条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第23条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201 - 本サイト収録
医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第23条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000201/23
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点医師法23条は、医師が診療をしたとき、本人又はその保護者に療養の方法など保健の向上に必要な事項を指導する義務を定める。罰則はないが民事上の過失判断で考慮される。
Q · 医師が帰り際に注意事項を何も言わなかったら、法律上問題になるの?
罰則はないが、民事上の過失の判断材料になる義務です
医師法23条は、診療をした医師に、本人又はその保護者へ療養の方法その他保健の向上に必要な事項を指導する義務を課しています。違反しても医師法上の罰則はありません。しかし、帰宅後の注意や再受診の目安を伝えなかったことは、診療契約上の債務不履行(民法415条)や不法行為(民法709条)の過失として評価されることがあります。ただし損害賠償には、指導があれば結果を避けられたという因果関係の立証も必要です。
解説
罰則がない。医師法の罰則の章(31条以下)を見ても、23条違反を処罰する規定は置かれていない。だから軽い努力目標だと思ったなら、評価が逆である。この条文の本当の出番は民事の法廷にある。診療は法的には準委任契約(専門家に事務処理を任せる契約)であり、医師は「治す」だけでなく「家に帰ったあと何に気をつけ、どんな症状が出たらすぐ戻るべきか」を伝える立場にある。帰宅後や退院後に容体が急変した事件では、手術や投薬の腕よりも「帰り際に何を言ったか、言わなかったか」が過失判断の中心に置かれることがある。あなたが患者や家族なら、診察室を出る前に「どうなったら再受診ですか」と聞いてよい。その答えがあったか、なかったかが、後で決定的な意味を持つことがある。
法的な位置づけ
医師法23条は療養指導義務を定める規定であり、診療を行った医師に対し、本人又はその保護者へ療養の方法その他保健の向上に必要な事項を指導する義務を課す。医師法上の罰則は置かれていないが、民事上は医師の注意義務の内容を画する手がかりとして機能し、退院時や帰宅時の注意事項・再受診の目安の伝達が問題となる。
手順
- 1.診察室を出る前に再受診の目安を確認する 診察の最後に「どの症状が出たら、何時間以内に再受診すべきか」「日常生活で避けることは何か」を医師に質問し、答えをその場でスマートフォンのメモに時刻つきで残す
- 2.渡された書面をすべて保管する 退院指導書、薬剤情報提供書、お薬手帳の記載、乳幼児向けの受診目安の紙などを捨てずに一か所にまとめる。何を伝えられ、何を伝えられなかったかを後で比較する材料になる
- 3.容体変化の経過を時系列で記録する 症状が変化したら、時刻、具体的な症状、取った行動(電話相談・再受診・救急要請)を記録する。指導の有無と同じくらい、因果関係の判断で重要になる
- 4.診療録の開示請求または証拠保全を行う 医療機関に診療録・看護記録・検査結果の開示を請求する。改ざんや散逸のおそれがある場合は、弁護士を通じて裁判所に証拠保全を申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1医師法23条とは何ですか?
診療をした医師に、本人又はその保護者へ療養の方法その他保健の向上に必要な事項を指導する義務を課す規定です。療養指導義務と呼ばれます。
Q2医師法23条に違反すると罰則はありますか?
医師法の罰則規定(31条以下)に23条違反を処罰する定めはありません。ただし民事上の損害賠償責任の判断では考慮されることがあります。
Q3療養指導義務の「保護者」とは誰ですか?
典型は未成年の子の親権者です。成人の家族が条文上の保護者にあたるかは事案ごとに判断され、本人の理解力が乏しい場合に問題となります。
Q4退院時に医師はどんなことを指導すべきですか?
帰宅後の過ごし方、服薬上の注意、悪化のサイン、どんな症状が出たら何時間以内に再受診すべきかなど、病状と危険度に応じた具体的事項です。
Q5療養指導は口頭だけでもよいですか?
条文は方法を限定していないため口頭でも足ります。ただし紛争時の立証を考えると、指導文書の交付と診療録への具体的な記載が望ましいです。
Q6看護師や薬剤師の説明でも医師の指導になりますか?
条文の名宛人は医師です。他職種の説明が実質的に指導を補うことはありますが、医師としての指導が尽くされたかは個別事情で評価されます。
Q7オンライン診療でも療養指導義務はありますか?
条文は「診療をしたとき」と定めるだけで診療形態を区別していません。オンライン診療でも、再受診や対面受診の目安を伝えることが重要です。
Q8療養指導義務違反で慰謝料は請求できますか?
指導の欠落が過失と評価され、それと損害との因果関係が認められれば、債務不履行や不法行為として慰謝料を含む損害賠償を請求できる可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1帰るときに何の注意も言われなかったんですが、それだけで病院を訴えられますか?
それだけでは難しい。医師法23条の指導が欠けていたとしても、損害賠償には、その欠落が過失にあたり、かつ指導があれば悪化を避けられたという因果関係が必要である。実務のポイント:医療訴訟の勝敗は、多くの場合、協力医が「その時点で適切な指導があれば受診が早まり結果が変わった」と意見を書けるかで決まる。弁護士に相談する前に経過の時系列表を作っておくと、見込み判断が格段に速くなる
Q2医者が説明したかどうかって、結局は言った言わないになりませんか?
なりやすいからこそ書面と診療録が重視される。診療録の作成と5年間の保存は医師法24条の義務であり、指導内容が記載されていれば有力な証拠になる。実務のポイント:「指導済」「説明した」とだけ書かれたカルテは、何を伝えたのかを示さないため、医療機関側の立証としては弱いと評価されやすい。逆に患者側は、開示されたカルテに具体的な症状名や受診目安が書かれているかを最初に確認するとよい
Q3親が認知症なんですが、説明は本人じゃなくて家族にしてもらえるんですか?
医師法23条は「本人又はその保護者」を指導の相手方としている。本人に理解する力が乏しいと分かる場合、付き添いの家族に伝えることが適切な指導の一部と評価される余地がある。ただし成人の家族がこの条文上の「保護者」にあたるかは事案ごとに判断される。実務のポイント:付き添う家族は受付や診察時に「服薬と帰宅後の注意は私が管理しています」と最初に伝えるとよい。医療機関側も説明相手を記録しやすくなり、伝達漏れが減る
間違えやすい点 AI による整理
- 「罰則がないなら守らなくても困らない」と考えるのは誤りである。刑事罰がない代わりに、指導の欠落は診療契約上の債務不履行(民法415条)や不法行為(民法709条)の過失として評価されうる。罰金数十万円より、損害賠償数千万円の方がはるかに重い
- 患者側は「説明を受けなかった」と思えば勝てると考えがちだが、問題はその深さを知らないことにある。指導義務違反が認められても、指導があれば結果を避けられたという因果関係が立証できなければ請求は通らない。だから悪化した経過の時刻記録が、説明の有無と同じくらい重要になる
- 「説明義務」と「指導義務」は同じものだと思われているが、向いている方向が違う。説明義務は治療を受けるかどうかを決めるための情報提供であり、23条の指導は治療後に患者が自分の身体を守るための行動指示である。手術同意書に署名があっても、帰宅後の注意を伝えたことにはならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務の内容 | 医師法23条:本人又は保護者への療養方法等の指導 | 医師法24条:診療録の記載と5年間の保存 医師法22条:処方箋の交付 |
| 医師法上の罰則 | なし | あり(罰則規定の対象) あり(罰則規定の対象) |
| 紛争での役割 | 帰宅後・退院後の急変事案で過失判断の手がかり | 指導の有無と内容を示す証拠の器 服薬に関する情報提供と連動 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は病情・処置・用薬・予後・副作用の告知を医師・医療機関に義務づける。告知義務が中心で、日本の療養指導と機能が一部重なる
韓国医療法は医療人に、患者又はその保護者への療養方法その他健康管理に必要な事項の指導を義務づけており、日本の23条とほぼ同じ構造
ドイツは治療上の説明(Sicherungsaufklärung)を民法典の診療契約規定に置き、民事責任と直結させている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 生後数日の子どもを連れて退院した。顔色が黄色っぽい気がするが、病院からは「様子を見てください」としか言われていない。何を、いつまで見ればいいのか、誰も教えてくれなかった。
- もし発熱で受診し「風邪でしょう」と帰された父親が、翌日の夜に意識を失って救急搬送されたら、問われるのは診断の誤りだけか? 帰宅時に「呼吸が苦しくなったらすぐ救急へ」と一言あったかどうかも、医師側の注意義務の検討対象になりうる
- あなたはクリニックの勤務医で、外来は1日80人。説明は口頭で済ませ、カルテには「指導済」と三文字だけ書いてきた。患者側の弁護士から証拠保全の申立てが届き、その三文字が何を指導したのか一切証明しない記載だと気付く
- 高齢の母が認知症で、医師は本人にだけ服薬の注意を伝えて帰した。条文の名宛人は「本人又はその保護者」。本人が理解できない状態だと分かっていたなら、付き添いの家族に伝えるべきだったのではないか、という争点が生まれる
- 抗凝固薬を処方された夫が転倒して頭を打った。出血リスクや転倒時の受診目安について説明を受けた記憶がない。カルテの開示を請求できる期間や、損害賠償請求の時効は進み続けている。最初の一週間で診療録の写しを確保しておかないと、記憶の勝負になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 受診日、帰宅時に受けた説明、症状の変化を時刻つきで書き出す。記憶は数日で薄れる2. 医療機関に診療録・看護記録・検査結果の開示を請求する。改ざんや散逸のおそれがあれば、弁護士を通じて裁判所に証拠保全を申し立てる3. 渡された紙(退院指導書、薬の説明書)を全部保管する4. 医療事件を扱う弁護士に相談し、協力医の意見で因果関係の見込みを確かめてから請求方法を決める
訴えられた側:1. 診療録の事後的な加筆は絶対にしない。追記が必要なら日付と追記である旨を明示する2. 実際に行った指導の内容、使った説明文書、同席者を整理する3. 指導があっても結果は避けられなかったか、患者側の受診遅れがなかったかなど、因果関係と過失相殺(民法722条2項)の論点を検討する4. 医師賠償責任保険の保険会社と医師会へ早めに連絡し、個人で患者側と直接交渉しない
時効(請求できる期限):医師法23条自体に特定の時効はない。診療契約上の債務不履行なら、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から20年(人の生命・身体侵害、民法166条、167条)。不法行為なら損害と加害者を知った時から5年、不法行為時から20年(民法724条、724条の2)
学説
一般的理解:医師法23条は行政法上の義務であり、直接に私法上の請求権を生むものではないが、診療契約上の善管注意義務や不法行為上の注意義務の内容を具体化する手がかりとして参照される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:医師法(昭和23年法律第201号)の制定に伴い、医師の義務の一つとして療養方法等の指導義務が規定された。
- 医師法 第1条保健指導を医師の任務と定める総則
- 医師法 第20条無診察治療の禁止、診療の前提
- 医師法 第22条処方箋交付義務、服薬指導と連動
- 医師法 第24条診療録の記載保存、指導の証拠
- 医療法 第1条の4医療提供時の適切な説明の努力義務
- 民法 第644条受任者の善管注意義務、診療契約に適用
- 民法 第709条指導欠落による不法行為責任の根拠
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