保健師助産師看護師法 第35条
クイックジャンプ
保健師は、傷病者の療養上の指導を行うに当たつて主治の医師又は歯科医師があるときは、その指示を受けなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保健師助産師看護師法第35条は、日本の保健師助産師看護師法に含まれる条文です。
- 保健師助産師看護師法第35条の条文原文は「保健師は、傷病者の療養上の指導を行うに当たつて主治の医師又は歯科医師があるときは、その指示を受けなければならない。」で始まります。
- 保健師助産師看護師法第35条は第四章 業務に置かれています。
- 保健師助産師看護師法の公布日は昭和23年7月30日です。
- 保健師助産師看護師法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 保健師助産師看護師法第35条の前の条は保健師助産師看護師法第34条です。
- 保健師助産師看護師法第35条の次の条は保健師助産師看護師法第36条です。
- 保健師助産師看護師法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203 - 本サイト収録
保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000203/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保健師助産師看護師法35条は、保健師が傷病者に療養上の指導を行う際、主治の医師または歯科医師がいる場合はその指示を受けることを義務づける。
Q · 健診後の保健師さんの指導と主治医の話が違ったら、どっちに従えばいいの?
治療中の病気については、主治医の方針が優先されます
保健師助産師看護師法35条により、保健師が主治医のいる傷病者に療養上の指導を行うときは、主治医の指示を受けなければなりません。さらに同法36条ただし書により、保健所長の指示よりも本条が優先されます。したがって治療中の病気に関する療養指導では、主治医の方針が基準になります。食い違いに気づいたら自己判断で服薬や食事を変えず、保健師に主治医への確認を依頼するのが安全です。
解説
保健師は、健康な人には独自の判断で保健指導ができる。医師の許可はいらない。ところが相手が「傷病者」(ケガや病気で治療を受けている人)で、主治医がついている場合は事情が違う。療養上の指導をするときは、主治医の指示を受けなければならない。理由は単純で、患者の体に二つの方針が同時に入ると、患者が混乱し、命に関わる事態も起こりうるからだ。たとえば、治療中の糖尿病患者に、保健師が独自に厳しい糖質制限を勧めたとする。主治医はインスリンの量を今の食事量に合わせて決めている。そこへ食事だけが急に減れば、低血糖を起こしかねない。この条文が保健師に課しているのは、医師に従属することではない。指導する前に主治医がいるかを確かめ、方針を一本にそろえる義務である。指導を受ける側のあなたにとっては、「その指導は主治医と話がついていますか」と尋ねる根拠になる。
法的な位置づけ
保健師助産師看護師法35条は、保健師が傷病者に対して療養上の指導を行う場合に、主治の医師または歯科医師が存在するときは、その指示を受けることを義務づける規定である。義務の対象は主治医のいる傷病者への療養上の指導に限られ、健康な者や主治医のいない者に対する保健指導には及ばない。
手順
- 1.問診で主治医の有無を確認する 指導を始める前に、通院中の医療機関(歯科を含む)と服薬状況を問診で確認する。お薬手帳や問診票の「治療中」欄も見落とさない
- 2.指導内容が療養上の指導に当たるか判断する 予定している指導が、治療中の傷病に関わる療養上の指導か、一般的な健康増進のための保健指導かを整理する。境界が曖昧なときは療養上の指導として扱うのが安全
- 3.主治医の指示を受ける 療養上の指導に当たる場合は、本人の同意を得たうえで主治医または主治の歯科医師に連絡し、食事・運動・服薬に関する方針と指示を確認する
- 4.指示内容を記録し指導に反映する 主治医の指示を受けた日時・方法・内容を指導記録に記載し、その指示に沿って指導を行う。指示と異なる助言はしない
よくある質問 AI による整理
Q1保健師助産師看護師法35条とは何ですか?
保健師が主治医のいる傷病者に療養上の指導をするとき、主治医または主治の歯科医師の指示を受けるよう義務づけた条文です。
Q2保健師は医師の指示なしで保健指導できる?
健康な人や主治医のいない人への保健指導であれば、医師の指示は不要です。指示が必要なのは主治医のいる傷病者への療養上の指導に限られます。
Q3保健師 主治医の指示 違反するとどうなる?
35条違反には同法の罰則規定(44条の3)により刑事罰が定められています。拘禁刑または罰金、その併科の対象となりえます(最新の改正状況を要確認)。
Q4療養上の指導と保健指導の違いは?
療養上の指導は治療中の傷病者の療養生活に関する指導、保健指導は健康の保持増進のための指導です。前者で主治医がいれば医師の指示が必要になります。
Q5歯医者に通っているだけでも主治医がいることになる?
なります。条文は「主治の医師又は歯科医師」と定めており、歯科医師も含まれます。歯科治療中の人への療養上の指導では歯科医師の指示が必要です。
Q6主治医の指示は口頭や電話でもいい?
条文は指示の方式を定めていないため、口頭や電話も考えられます。ただし後の紛争に備え、確認日時・方法・内容を指導記録に残しておくことが重要です。
Q7産業保健師の面談にも35条は適用される?
面談の相手が通院中の傷病者で、療養上の指導に当たる内容であれば、本条の射程に入りうると考えられます。社内面談でも主治医の方針は無視できません。
Q8看護師にも主治医の指示を受ける義務はある?
本条の名宛人は保健師です。看護師については、同法37条が主治医の指示なく医薬品の授与など衛生上危害を生ずるおそれのある行為をすることを禁じています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1健診のあとの保健師さんのアドバイスと、かかりつけ医の言うことが違うんですけど、どっちを信じればいいですか?
治療中の病気に関する療養上の指導であれば、主治医の方針が優先される。保健師は、主治医がいる傷病者に療養上の指導をするとき、主治医の指示を受けなければならないからだ(保健師助産師看護師法35条)。実務のポイント:保健師が主治医の存在を知らないまま助言していることも多い。「主治医に確認してもらえますか」と頼むと、保健師は堂々と主治医に問い合わせられる。保健師にとっても、主治医への確認を言い出す口実ができる
Q2保健所の指示と主治医の指示が違ったら、保健師はどっちに従うの?
主治医の指示が優先される。36条は、保健師は保健所長の指示に従わなければならないと定めつつ、ただし書で「前条の規定の適用を妨げない」としている。前条とは本条(35条)のことである。実務のポイント:行政の現場では、所長の指示を上と考える空気が根強い。このただし書を条文番号つきで示せる保健師は少ないが、示せば現場での板挟みはほぼ解消する
Q3主治医がいない人に指導するときも、医者の許可っていりますか?
いらない。本条の義務が生じるのは「主治の医師又は歯科医師があるとき」に限られる。主治医のいない人や健康な人には、保健師が独自の専門判断で保健指導をしてよい(同法2条)。実務のポイント:本人が「通院していない」と言っていても、実は歯科で治療中ということがよくある。歯科医師も「主治の医師又は歯科医師」に含まれるので、問診で歯科の通院歴まで聞くかどうかで、後のリスクが変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「保健師は医師の部下だから、どんな指導にも医師の許可がいる」と思われがちだが、そうではない。指示が必要なのは「傷病者」の「療養上の指導」で、しかも「主治の医師又は歯科医師があるとき」に限られる。健康な人への保健指導や、主治医のいない人への指導では、保健師は独立した専門職として動ける
- 指示を受ける義務があることは、多くの保健師が知っている。見落とされやすいのは違反したときの重さである。35条違反には刑事罰(同法44条の3、6月以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金、またはその併科)が定められている。「職場の内規違反」程度の話ではない(最新の改正状況をご確認ください)
- 患者から見れば、保健師と医師の言うことが違うのは「どちらを信じればいいか」という悩みにすぎない。法律から見れば、主治医がいる以上、療養上の指導の方針は主治医が決めるという優先順位がすでに定まっている。悩む前に、どちらが上かは法律で決まっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰の指示か | 35条:主治の医師または歯科医師 | 36条:就業地を管轄する保健所の長 37条:主治の医師または歯科医師 |
| 対象となる行為 | 傷病者への療養上の指導 | 保健師の業務全般に関する指示 診療機械の使用、医薬品の授与など衛生上危害を生ずるおそれのある行為 |
| 規範の形 | 主治医があるとき、指示を受ける義務 | 指示に従う義務。ただし35条の適用を妨げない 主治医の指示がある場合を除き、行為を禁止(臨時応急の手当等は例外) |
| 優先関係 | 保健所長の指示より優先される | 35条に劣後する 保健師・助産師・看護師・准看護師に共通して適用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本の保健師に相当する独立資格がなく、護理人員の業務として健康指導と医療補助行為を定め、医療補助行為は医師の指示の下で行うとする
韓国では看護師の任務として療養指導や医師の指導下での診療補助を定める。保健指導を担う独立資格の位置づけは日本と異なる
フランスでは看護師の業務を医師の処方に基づく行為と固有の役割に分けて規律しており、自律領域と指示領域を分ける発想は本条と共通する
米国では州ごとに看護業務の範囲と医師の指示の要否を定めており、全国一律の規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 会社の健診で「要再検査」になり、産業保健師との面談に呼ばれた。あなたはすでに近所のクリニックで高血圧の薬をもらっている。保健師が運動量や塩分について細かく指示を出し始めたら、それは主治医の方針と合っているのか? 面談の前に、お薬手帳と主治医の説明を手元にそろえておく価値がある
- 保健師として訪問指導に入ったあなた。訪問先の高齢者は、話の途中で「実は先月から心臓の薬を飲んでいる」と言った。その時点で、この家は「主治医のいる傷病者」の家になる。今日の指導内容を、そのまま続けてよいかを見直す必要がある
- 母子訪問で、産後うつの治療を受けている母親に、保健師が独自の判断で「薬に頼らず散歩で治しましょう」と勧めた。母親は自分の判断で服薬をやめた。指導の善意と結果の重さが、ここで正面からぶつかる
- 市の特定保健指導の初回面談まで、あと三日。参加者の問診票に「治療中」の欄がある。そこを空欄のままにすると、主治医と合わない指導が始まってしまうおそれがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保健師の指導内容と主治医の説明が食い違っていると気づいたら、その場では自己判断で服薬や食事を変えない2. 保健師に「この指導は主治医の指示を受けていますか」と確認し、受けた指導の内容をメモしておく3. 次の受診時に、指導内容を主治医に伝えて判断をあおぐ4. 指導に従った結果、体調が悪化した場合は、診療記録と指導記録の開示を求めたうえで、雇用主や自治体の窓口に相談する。損害が生じていれば、民法709条または715条による請求を検討する
訴えられた側:1. 指導の時点で、相手が主治医のいる傷病者だと把握できていたか、つまり問診をした記録を確認する2. 主治医の指示を受けていたなら、その日時・方法・内容を記録から特定する3. 指導が療養上の指導ではなく、一般的な健康増進のための保健指導だったと言える場合は、その根拠を整理する。ただし、この境目は実務上、解釈が分かれる4. 刑事手続や懲戒の可能性がある場合は、事情を説明する前に、医療分野に詳しい弁護士へ相談する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。損害賠償の請求は、損害と加害者を知った時から5年(人の生命・身体の侵害の場合、民法724条の2)、行為の時から20年である。罰則(同法44条の3)の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)公布、平成14年(2002年)施行 法律名が保健婦助産婦看護婦法から保健師助産師看護師法へ改められたのにあわせ、条文中の「保健婦」が「保健師」に改正されたとみられる。改正回数と詳細は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:保健婦助産婦看護婦法の制定により、保健婦が傷病者の療養上の指導を行う際に主治の医師または歯科医師の指示を受ける義務が定められた
- 2.平成13年(2001年) 改正:法律名が保健師助産師看護師法に改められ、条文中の「保健婦」が「保健師」に改正された(施行は平成14年)
- 保健師助産師看護師法 第2条保健師の定義、保健指導業務の範囲
- 保健師助産師看護師法 第36条保健所長の指示に従う義務、本条が優先
- 保健師助産師看護師法 第37条医師の指示がない医療行為の禁止
- 保健師助産師看護師法 第44条の3本条違反に対する罰則(現行効力を要確認)
- 医師法 第23条医師の療養方法の指導義務
- 労働安全衛生法 第66条の7健診後に医師・保健師が行う保健指導
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める