消防法 第35条の10
クイックジャンプ
- 救急隊員は、緊急の必要があるときは、傷病者の発生した現場付近に在る者に対し、救急業務に協力することを求めることができる。
- 2.救急隊員は、救急業務の実施に際しては、常に警察官と密接な連絡をとるものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 消防法第35条の10は、日本の消防法に含まれる条文です。
- 消防法第35条の10の条文原文は「救急隊員は、緊急の必要があるときは、傷病者の発生した現場付近に在る者に対し、救急業務に協力することを求めることができる。」で始まります。
- 消防法第35条の10は第七章の二に置かれています。
- 消防法の公布日は昭和23年7月24日です。
- 消防法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 消防法第35条の10の前の条は消防法第35条の9です。
- 消防法第35条の10の次の条は消防法第35条の11です。
- 消防法第35条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第35条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186 - 本サイト収録
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第35条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC1000000186/35_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点消防法35条の10は、救急隊員が緊急時に現場付近の人へ救急業務への協力を求められると定める。要請であり拒否への罰則はなく、協力中の負傷は36条の3で補償される。
Q · 救急隊員に「手伝ってください」と言われたら、従わないといけないの?
義務ではなく要請。応じて負傷すれば補償対象になる
消防法35条の10第1項は、救急隊員が緊急の必要があるとき、現場付近に在る者に救急業務への協力を「求めることができる」と定めるにとどまり、拒否への罰則はありません。一方、要請に応じて協力し、そのために死亡・負傷等をした場合は、消防法36条の3により市町村が条例に基づいて損害を補償します。第2項により、救急隊員は常に警察官と密接に連絡をとるものとされています。
解説
救急車が到着した瞬間、現場の主役は救急隊員に移り、周りの人間はただ見守るだけ。多くの人はそう考えている。しかし消防法35条の10第1項は逆のことを定めている。救急隊員は、緊急の必要があるとき、現場付近にいるあなたに協力を求めることができる。担架の片側を持つ、狭い階段で照明をかざす、倒れた人の家族に連絡を取る、といったことだ。見落とされがちなのは、この要請に応じて手伝い、その最中にけがをした場合の扱いである。消防法36条の3により、市町村は条例に基づいてその損害を補償しなければならない。同じ担架を持つ行為でも、自分の判断で勝手に手を出した場合と、隊員から求められて協力した場合とでは、補償制度に乗れるかどうかが変わる。第2項は、救急隊員が常に警察官と密接に連絡をとるものと定める。交通事故や喧嘩の現場で、救急車の後からパトカーが来るのは偶然ではない。
法的な位置づけ
消防法第35条の10は、救急業務における現場協力と警察との連携を定める規定である。第1項は、救急隊員が緊急の必要があるときに、傷病者の発生した現場付近に在る者へ救急業務への協力を求める権限を定め、第2項は、救急隊員が救急業務の実施に際し常に警察官と密接な連絡をとる旨を定める。
手順
- 1.要請を受けたら、できる範囲を伝えて協力する 救急隊員から協力を求められたら、自分の体調や危険の有無を踏まえ、担架の保持・照明・通路確保など可能な範囲を伝えて応じる。無理な場合は断ってよく、周囲の人に協力を呼びかけるだけでも現場は動く
- 2.救急車が出る前に所属と協力の事実を確認 協力後、隊員の所属消防署名と、要請を受けて協力した事実を確認しておく。日時・場所・頼まれた内容をスマホのメモに残す
- 3.負傷したら受診し、協力の経緯を記録に残す 協力中に負傷した場合は医療機関を受診し、「救急隊の要請で搬送を手伝った」と経緯を伝えて診断書を取得する。治療費や交通費の領収書、休業の記録も保管する
- 4.市町村(消防本部)へ損害補償を申し出る 現場を管轄する市町村の消防本部に、消防法36条の3に基づく損害補償について問い合わせ、条例で定められた手続に従って申請する
よくある質問 AI による整理
Q1消防法35条の10とは?
救急隊員が緊急時に現場付近の人へ救急業務への協力を求められること(1項)と、救急隊員が常に警察官と密接に連絡をとること(2項)を定めた条文です。
Q2「現場付近に在る者」とは誰のこと?
傷病者が発生した現場の近くに居合わせた人を指し、家族・隣人・通行人・店舗の従業員などが典型です。特別な資格や関係は要件とされていません。
Q3救急協力中のけがの補償はどう申請する?
現場を管轄する市町村(消防本部)に、消防法36条の3に基づく損害補償を申し出ます。具体的な手続や様式は各市町村の条例・規則で定められています。
Q4手伝った結果、傷病者の容体が悪化したら責任を問われる?
急迫の危害を免れさせるための行為であれば、悪意または重大な過失がない限り損害賠償責任を負わないとされます(民法698条、緊急事務管理)。
Q5救急協力者の損害補償はどこまで出る?
死亡・負傷・疾病・障害による損害が対象で、市町村の条例が定める内容に従います。基準は非常勤消防団員等の損害補償の政令の枠組みに準じて組まれています。
Q6救急協力の損害補償 期限はいつまで?
請求の手続や期限は各市町村の条例とその基準となる政令で定まります。負傷が判明した時点で、できるだけ早く消防本部に確認するのが安全です。
Q7火災現場の消防作業従事と救急協力の違いは?
火災現場では消防法29条5項が消防作業に「従事させることができる」と定め、救急では本条が協力を「求めることができる」と定めます。いずれも36条の3の補償対象です。
Q8救急隊と警察が連絡をとるのはなぜ?
交通事故や暴力事件など事件性のある現場では、救命と事実関係の解明を同時に進める必要があるためです。本条2項は常時の密接な連絡を求めています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1救急隊の人に手伝ってって言われて断ったら、何か罰とかあるの?
消防法35条の10第1項は、救急隊員が協力を「求めることができる」と定めるだけで、断った人への罰則規定はありません。体調や危険を理由に断ってもかまいません。実務のポイント:隊員が声をかけるのは、人手が足りず搬送の数分が惜しい場面がほとんどです。自分が手を出せないときは「誰か手伝える人いますか」と周りに声をかけ直すだけでも、現場は大きく動きます
Q2手伝ってて腰を痛めたんだけど、治療費って自分持ち?
救急隊員の要請で救急業務に協力し、そのために負傷した場合、消防法36条の3により、市町村は条例で定めるところに従って損害を補償しなければなりません。実務のポイント:この制度は消防団員の補償と同じ政令の枠組みに乗っていますが、市民の間ではほとんど知られていません。自分から消防本部に申し出なければ、手続は始まらないと考えておくべきです
Q3救急車の中で隊員に話したことって、警察にも伝わるんですか?
消防法35条の10第2項は、救急隊員が救急業務の実施に際して常に警察官と密接な連絡をとるものと定めています。事故や暴力が絡む現場では、救急と警察が情報を共有する前提で動きます。実務のポイント:搬送中の何気ない一言、たとえば「自分が押したら倒れた」といった発言が、後の事情聴取の出発点になることがあります。事件性がある場面では、事実だけを落ち着いて話すこと
間違えやすい点 AI による整理
- 「救急隊員に頼まれたら断ると罰せられる」と思い込んでいる人がいる。本条は協力を「求めることができる」と定めるだけで、拒否した者への罰則規定は置いていない。強制ではなく要請である。ただし、明らかに危険な場面でなければ、手を貸すことで搬送が速くなる現実もある
- 善意で手伝ったのだから、何かあっても誰かが面倒を見てくれるだろう。その感覚自体は間違っていない。しかし多くの人は、補償の対象かどうかが、協力の経緯という一点で分かれることを知らない。隊員の要請に基づく協力は消防法36条の3の補償対象として明記されているが、要請もなく自分の判断で動いた場合は、同条の文言にそのまま当てはまるとは限らない
- あなたから見れば、救急隊は医療の人、警察は事件の人で、両者は別世界に見える。法律から見れば、救急隊員は常に警察官と密接に連絡をとるものとされている。救急車の中で「つい言ってしまったこと」が、事故や事件の捜査とは無関係だと考えるのは危険である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 場面 | 消防法35条の10:救急業務(傷病者の発生現場) | 消防法29条5項:火災の現場 道路交通法72条1項:交通事故の現場 |
| 対象者 | 現場付近に在る者(居合わせた人一般) | 火災の現場付近に在る者 事故に係る車両等の運転者その他の乗務員 |
| 文言の強さ | 協力を「求めることができる」(要請) | 消防作業に「従事させることができる」 負傷者の救護等を「しなければならない」(義務) |
| 負傷時の補償・違反時の扱い | 消防法36条の3で市町村が損害補償、拒否への罰則なし | 消防法36条の3で市町村が損害補償 救護義務違反には罰則あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では緊急救護は消防機関の救護隊が担い、緊急医療救護法が救護体制を規律する。居合わせた市民への協力要請を本条のように明文化した対応規定は確認できておらず、要確認
韓国は救助・救急活動を単独法で規律する。現場市民への協力要請・補償の具体的条文対応は要確認
ドイツは事故等の際の救助不作為を刑法で処罰する点で、罰則なき要請にとどめる日本と対照的。救急業務自体は州法が規律する
米国は一般に救助義務を課さず、善意の救助者の責任を州法で軽減する。救助者の負傷を公的に補償する日本型の仕組みとは発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 駅のホームで高齢男性が倒れ、救急隊員から「すみません、担架を一緒に持ってもらえますか」と声をかけられた。階段を下りる途中で足首をひねったら、治療費は自腹になるのか? 隊員の要請に応じた協力であれば、消防法36条の3による市町村の損害補償の対象になりうる
- エレベーターのない団地の5階で急病人が出た。隊員は2人しか上がってこられず、隣室のあなたが「下まで運ぶのを手伝ってほしい」と頼まれた。断っても罰則はない。それでも、ここで手を貸すかどうかで搬送が数分変わることがある
- あなたがケンカの当事者で、相手が頭から血を流して倒れた。救急車を呼んだのはあなた自身。その後に警察も来た。救急隊は警察と常に連絡をとるものとされており、隊員に話した経緯は、警察にも伝わる前提で考えるべきである
- 交通事故の目撃者として残ったあなたに、隊員が「この方の荷物を見ていてください」と頼む。数分後に警察が到着し、あなたは事情を聞かれる。救急と警察の連携の結節点に、あなたが立っていたことになる
- 飲食店の店長であるあなたの店で、客が食事中に意識を失った。到着した隊員から通路の確保とほかの客の誘導を求められた。営業を止めた時間の売上は補償されないが、従業員が協力中にけがをすれば補償制度の対象になりうる。今夜のうちに、誰が何をしたかを記録しておくこと
取るべき行動
被害を受けた側:(協力中にけがをした場合)1. その場で隊員に負傷を伝え、所属の消防署と日時を控える2. 受診時に「救急隊の要請で協力した」と経緯を医師に伝え、診断書を取得する3. 現場を管轄する市町村(消防本部)に、消防法36条の3に基づく損害補償について問い合わせる4. 交通費や領収書はすべて保管し、勤務先を休んだ場合は休業の記録も残す
訴えられた側:(協力を断った、または手伝い中に傷病者の状態が悪化したと言われた場合)1. 本条には協力拒否への罰則がない。断ったこと自体で法的責任を負う根拠はない2. 手伝い中の事故について責任を問われても、急迫した危害を避けるための行為であれば、悪意または重大な過失がない限り賠償責任は負わない(民法698条、緊急事務管理) 3. いつ、誰に、何を頼まれ、何をしたかを、記憶が鮮明なうちにメモしておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。消防法36条の3に基づく損害補償の請求手続や期限は各市町村の条例と、その基準となる政令に定められているため、負傷が判明した時点で速やかに消防本部に確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
- 消防法 第2条第9項で救急業務を定義
- 消防法 第36条の3救急業務協力者の死傷に対する市町村の損害補償
- 消防法 第29条第5項、火災現場での消防作業従事要請
- 消防法 第35条の5傷病者の搬送及び受入れの実施基準
- 民法 第698条緊急事務管理、善意の救助者の責任軽減
- 道路交通法 第72条交通事故時の救護義務と警察への報告
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める