建設業法 第20条(建設工事の見積り等)
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- 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費及び当該建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費として国土交通省令で定めるもの(以下この条において「材料費等」という。)その他当該建設工事の施工のために必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した建設工事の見積書(以下この条において「材料費等記載見積書」という。)を作成するよう努めなければならない。
- 2.前項の場合において、材料費等記載見積書に記載する材料費等の額は、当該建設工事を施工するために通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回るものであつてはならない。
- 3.建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項各号(第二号を除く。)に掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までの間に、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な期間として政令で定める期間を設けなければならない。
- 4.建設工事の注文者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、当該建設工事に係る材料費等記載見積書の内容を考慮するよう努めるものとし、建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでに、当該材料費等記載見積書を交付しなければならない。
- 5.建設業者は、前項の規定による材料費等記載見積書の交付に代えて、政令で定めるところにより、建設工事の注文者の承諾を得て、当該材料費等記載見積書に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該建設業者は、当該材料費等記載見積書を交付したものとみなす。
- 6.建設工事の注文者は、第四項の規定により材料費等記載見積書を交付した建設業者(建設工事の注文者が同項の請求をしないで第一項の規定により作成された材料費等記載見積書の交付を受けた場合における当該交付をした建設業者を含む。次項において同じ。)に対し、その材料費等の額について当該建設工事を施工するために通常必要と認められる材料費等の額を著しく下回ることとなるような変更を求めてはならない。
- 7.前項の規定に違反した発注者が、同項の求めに応じて変更された見積書の内容に基づき建設業者と請負契約(当該請負契約に係る建設工事を施工するために通常必要と認められる費用の額が政令で定める金額以上であるものに限る。)を締結した場合において、当該建設工事の適正な施工の確保を図るため特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。
- 8.前条第三項及び第四項の規定は、前項の勧告について準用する。
この条文の基本情報
建設工事の見積り等とは何ですか?
定義建設工事の見積り等とは、建設業法第20条に定められた規定で、「建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費及び当該建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するため…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建設業法第20条(建設工事の見積り等)は、日本の建設業法に含まれる条文です。
- 建設業法第20条の条文原文は「建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際しては、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費及び当該建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するため…」で始まります。
- 建設業法第20条は第一節 通則に置かれています。
- 建設業法の公布日は昭和24年5月24日です。
- 建設業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 建設業法第20条の前の条は建設業法第19条の6です。
- 建設業法第20条の次の条は建設業法第20条の2です。
- 建設業法第20条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建設業法(昭和二十四年法律第百号)第20条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100 - 本サイト収録
建設業法(昭和二十四年法律第百号)第20条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC0000000100/20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建設業法20条は、材料費・労務費等の内訳を記載した見積書の作成を求め、材料費等を著しく下回る見積りと、注文者によるそうした変更要求を禁止する規定である。
Q · 元請に「労務費をもっと削って」と言われたら、それって違法なの?
通常必要な額を著しく下回らせる要求なら違反になりうる
建設業法20条6項は、注文者が材料費等記載見積書を受け取った建設業者に対し、材料費等(材料費・労務費・法定福利費等)を通常必要な額より著しく下回る額へ変更するよう求めることを禁止しています。受注者側も2項により、そうした額で見積ってはなりません。発注者(建設業法2条5項)が違反し、政令で定める金額以上の工事で契約を結んだ場合、7項により許可行政庁が勧告をすることができます。
解説
建設業界では長いあいだ、「とりあえず安く出して、足りない分は職人の手間で吸収する」という見積りの慣習が通用してきた。建設業法20条は、令和6年(2024年)改正でこの慣習を正面から止めにいった条文である。建設業者は、材料費、労務費、そして法定福利費のように適正な施工に欠かせない経費(材料費等)の内訳と、工程ごとの日数を書いた見積書を作るよう努めなければならない。そのうえで、材料費等を「通常必要な額を著しく下回る」額で見積ることは禁止される。逆に、注文者がその額を著しく下回るよう見積りの変更を求めることも禁止される。押さえておくべきなのは、値切りの圧力が受注者の側だけの問題ではなくなったという点だ。一定規模以上の工事で値切った発注者には、許可行政庁から勧告が出され、従わなければ公表されうる。さらに注文者には、価格以外の契約条件をできるだけ具体的に示し、政令で定める見積期間を確保する義務もある。「明日までに見積り出して」という一言は、それだけで法の外に出ている可能性がある
法的な位置づけ
建設業法20条は、建設工事の見積りに関する規定であり、建設業者に材料費・労務費・適正な施工に不可欠な経費(材料費等)の内訳と工程ごとの日数を記載した見積書の作成努力義務を課す。あわせて、材料費等を通常必要な額より著しく下回る見積り、および注文者によるそのような変更要求を禁止し、注文者には条件提示と政令所定の見積期間の確保を義務付ける。
手順
- 1.内訳入りの見積書を作成・保存する 材料費、労務費、法定福利費などの材料費等と、工程ごとの作業日数を記載した見積書を作成し、提出した版を日付付きで保存する。
- 2.見積期間の不足を確認して延長を求める 条件提示から契約締結・入札までの期間が建設業法施行令6条の日数に満たない場合、書面で注文者に期間の延長を求める。
- 3.値下げ要求の内容を記録に残す 値下げを求められたら、日時・担当者・対象となった内訳の行・金額を記録し、メールで要求内容の確認を求める。
- 4.許可行政庁の窓口に相談する 材料費等を著しく下回る変更を強く求められた場合、国土交通省の地方整備局等または都道府県の建設業担当窓口に相談・情報提供する。
よくある質問 AI による整理
Q1材料費等記載見積書とは何ですか?
材料費・労務費・法定福利費など適正な施工に不可欠な経費の内訳と、工程ごとの作業日数を記載した見積書です。建設業法20条1項が作成を求めています。
Q2建設業法 見積期間 何日?
建設業法施行令6条により、予定価格500万円未満は1日以上、500万円以上5000万円未満は10日以上、5000万円以上は15日以上が原則です。
Q3労務費の値下げ要求は違法?
通常必要な労務費等を著しく下回る額への変更を求めることは、建設業法20条6項で禁止されています。総額の交渉そのものが一律に禁止されるわけではありません。
Q4見積書の内訳を求められたら出さないといけない?
はい。注文者から請求があれば、建設業者は請負契約の成立までに材料費等記載見積書を交付しなければなりません(20条4項)。
Q5見積書はメールやPDFで渡してもいい?
注文者の承諾があれば、国土交通省令で定める電子的方法で提供でき、交付したものとみなされます(20条5項)。
Q6建設業法20条 勧告 対象は?
6項に違反して値下げを求め、変更後の見積りで契約した「発注者」のうち、工事費用が政令で定める金額以上のものが勧告の対象です(20条7項)。
Q7標準労務費とは?
令和6年改正で、中央建設業審議会が作成・勧告する労務費の基準のことです。「著しく下回る」かを判断する際の外部の物差しになります。
Q8建設業法20条 改正 いつから?
令和6年(2024年)の改正法で見直され、材料費等に関する規定は令和7年(2025年)12月の施行とされています。施行日は公式情報で確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1見積書に労務費の内訳まで書かないとダメなんですか?
内訳を記載した見積書の作成は、20条1項では努力義務である。ただし注文者から請求があれば、契約成立までにその見積書を交付する義務を負う(4項)。実務のポイント:内訳を書かずに総額だけで出していると、後で値切られた行がどこなのかを立証できない。内訳を書くことは、受注者自身を守る証拠作りでもある
Q2元請に労務費を下げろと言われたら、どこに相談すればいいの?
建設業許可を出した国土交通大臣または都道府県知事の窓口が相談先である。20条6項違反の発注者に対しては、7項による勧告がありうる。実務のポイント:地方整備局には匿名でも相談できる「駆け込みホットライン」がある。取引関係への影響が心配なら、まず情報提供として伝える方法が使える
Q3施主が個人でも、この規制は関係あるんですか?
ある。20条でいう「注文者」に法人か個人かの限定はなく、6項の値下げ要求の禁止は個人の施主にも及ぶ。ただし7項の勧告は、通常必要な費用が政令で定める金額以上の工事に限られる。実務のポイント:小規模なリフォームで勧告が出る可能性は低いが、見積りの内訳を示して交渉すること自体が、無理な値引きへの抑止力として働く
間違えやすい点 AI による整理
- 「見積書の作成は努力義務だから、守らなくても問題ない」と考えがちだが、1項が努力義務であっても、2項の「著しく下回る額で見積らない」は義務規定であり、6項の「著しく下回る変更を求めない」も禁止規定である。努力義務の部分と禁止の部分が同じ条文の中に混在している。両者を一緒くたにして読むと、自分の立ち位置を見誤る
- 値引き交渉は商売の自由であり、建設業法が口を出す話ではないと思われている。しかし法律から見ると、材料費等は施工品質と労働者の処遇を支える原資であり、その削減は工事の安全性に直結する問題として扱われる。発注者にとっては「ただの値下げ交渉」でも、行政から見れば勧告と公表の対象になりうる。この認識の落差に気付かないと、発注者の信用が損なわれる
- 「著しく下回る」かどうかは当事者の感覚で決まると思われがちだが、問いの立て方が違う。改正法のもとでは、中央建設業審議会が労務費の基準(いわゆる標準労務費)を作成・勧告する仕組みが設けられた(34条)。比較の物差しは外部に用意されている。ただし、具体的な乖離率で違反か否かが自動的に決まるわけではなく、個別判断である(最新の運用指針をご確認ください)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の対象 | 建設業法20条:見積り段階の材料費等の額 | 建設業法19条の3:契約段階の請負代金の総額 建設業法20条の2:工期・代金に影響する事象の情報提供 |
| 禁止の基準 | 通常必要な材料費等の額を「著しく下回る」こと | 通常必要と認められる原価に満たない「不当に低い」請負代金 禁止ではなく、注文者に情報提供を求める規定 |
| 名宛人 | 受注者(2項)と注文者(3項・6項)の双方 | 注文者(取引上の地位を不当に利用する場合) 注文者(契約締結までの通知) |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は公共調達で著しい低価格入札に説明や担保を求める仕組みを持つが、民間工事で労務費の下限を定める規定は見当たらない。
韓国は下請代金の不当な決定を禁止し、公正取引委員会が執行する。日本の建設業法のように見積りの内訳行に着目する構造とは異なる。
中国は入札者が成本を下回る価格で競争することを禁止しており、規制は受注者側の安値入札が中心である。
ドイツは公共調達で異常に低い入札の審査を義務付けている。労働法上の最低賃金規制と組み合わせて安値を抑止する。
米国は連邦建設工事に実勢賃金の支払いを義務付け、労務費の下限を直接確保する。民間工事には原則として及ばない。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 元請の担当者から「他社はこの金額で出してる。労務費の欄をあと2割削れないか」と電話が来た。応じれば20条2項の違反は自分の側にも生じうるが、求めた元請も6項違反になる。電話の日時と発言内容のメモが、後で効いてくる
- 工務店を経営するあなたは、施主にリフォームの見積りを出した。施主が「職人の日当をもっと下げて」と言う。個人の施主であっても20条の「注文者」に当たる。6項の禁止は発注者の属性を問わないが、7項の勧告の対象になるのは政令で定める金額以上の工事に限られる
- あと3日で入札というタイミングで、図面と仕様書がやっと届いた。予定価格が5000万円以上の工事なら、政令上の見積期間は原則15日以上である。期間が足りないまま入札を強いられているなら、注文者の側が3項に違反している可能性がある
- 仕様も工期も決まっていないのに「概算でいいから金額だけ先に」と言われたら、どうするか。19条1項に掲げる事項(請負代金の額を除く)を具体的に示すのは注文者の義務である。条件不明のまま出した概算額が、そのまま契約金額として固定されてしまうのは避けたい
- 一人親方として、二次下請から材料費込みで仕事を受けた。見積書を出す前に「労務費の内訳は書かなくていいから総額だけ」と言われる。内訳を書いた見積書を残しておくことが、後で不当な減額を争うときの唯一の物差しになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 材料費、労務費、法定福利費などの内訳と工程ごとの日数を書いた見積書を作り、提出した版を保存する2. 値下げの要求は日時・担当者・対象の行・金額を記録し、できればメールで確認をとる3. 見積期間が政令の日数に満たない場合は、書面で延長を求める4. 著しい値下げを強要されたら、許可行政庁(国土交通省の地方整備局等または都道府県)の駆け込み窓口に相談する。勧告の対象になるのは一定額以上の工事である
訴えられた側:1. 求めた変更が材料費等に関するものか、それ以外の経費や利益に関するものかを切り分ける2. 標準労務費などの客観的な水準と比べて、「著しく下回る」とまでいえるかを検証する3. 仕様の変更や数量の減少など、減額に合理的な根拠があるなら、その資料を整理する4. 勧告を受けた場合は是正措置を講じて記録する。勧告に従わなければ公表されうるので、早期に社内の発注フローを見直す
時効(請求できる期限):本条に特有の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。見積期間は政令で定める期間であり、予定価格500万円未満は1日以上、500万円以上5000万円未満は10日以上、5000万円以上は15日以上が原則である(建設業法施行令6条。最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和6年(2024年)改正 材料費等記載見積書の概念を導入した。材料費等を著しく下回る見積りの禁止と、注文者による著しく下回る変更要求の禁止を加え、違反した発注者への勧告制度を設けた。施行は令和7年(2025年)12月とされる(施行日は要確認)
改正の年表
- 1.昭和24年(1949年) 新設:建設業法の制定に伴い、建設工事の見積りに関する規定として設けられた。
- 2.令和6年(2024年) 改正:材料費等記載見積書の概念を導入し、材料費等を著しく下回る見積りと注文者による変更要求を禁止。違反した発注者への勧告制度を新設した(施行日は要確認)。
- 建設業法 第19条契約書記載事項、3項の提示事項の参照元
- 建設業法 第19条の3不当に低い請負代金の禁止
- 建設業法 第19条の6発注者への勧告・公表、8項の準用元(現行効力を要確認)
- 建設業法 第20条の2工期・代金に影響する事象の情報提供
- 建設業法 第34条中央建設業審議会による労務費の基準作成(現行効力を要確認)
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第19条優越的地位の濫用による買いたたき規制
- 公共工事の品質確保の促進に関する法律 第7条公共発注者の適正な予定価格・工期設定責務
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