建設業法 第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
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- 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
- 2.建設業者は、自らが保有する低廉な資材を建設工事に用いることができることその他の国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、その請け負う建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
この条文の基本情報
不当に低い請負代金の禁止とは何ですか?
定義不当に低い請負代金の禁止とは、建設業法第19条の3に定められた規定で、「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結しては…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)は、日本の建設業法に含まれる条文です。
- 建設業法第19条の3の条文原文は「注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結しては…」で始まります。
- 建設業法第19条の3は第一節 通則に置かれています。
- 建設業法の公布日は昭和24年5月24日です。
- 建設業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 建設業法第19条の3の前の条は建設業法第19条の2です。
- 建設業法第19条の3の次の条は建設業法第19条の4です。
- 建設業法第19条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
建設業法(昭和二十四年法律第百号)第19条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000100 - 本サイト収録
建設業法(昭和二十四年法律第百号)第19条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC0000000100/19_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点建設業法19条の3は、通常必要な原価に満たない請負代金での契約を禁じる。1項は地位を不当利用する注文者を、2項は正当な理由なく原価割れで受注する建設業者を対象とする。
Q · 元請に原価を割る金額で受けろと言われたら、それって違法なの?
原価割れなら違反になりうる。受けた側も対象
建設業法19条の3第1項は、注文者が取引上の地位を不当に利用し、工事に通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を結ぶことを禁じています。原価には直接工事費、共通仮設費、現場管理費、法定福利費を含む一般管理費が入り、利益は含まれません。令和6年改正で2項が加わり、国土交通省令で定める正当な理由がない限り、原価割れで受注した建設業者の側も違反に問われえます。
解説
見積書の数字を削られるのは商売の常だと、建設業界では長く思われてきた。だが建設業法19条の3が禁じているのは、工事に「通常必要と認められる原価」を下回る金額で請負契約を結ぶことであり、値引き交渉そのものではない。原価とは、材料費と労務費といった直接工事費に、共通仮設費、現場管理費、一般管理費(社会保険料など法定福利費を含む)を足したものである。利益は含まれない。1項は、自分の取引上の地位を不当に利用して原価割れの金額を押し付ける注文者を対象にする。元請に対する発注者だけでなく、下請に対する元請もここでいう注文者に当たる。2項は令和6年(2024年)改正で加わった規定で、受注する建設業者の側にも原価割れ契約を禁じた。自社在庫の安い資材を使えるなど、国土交通省令が定める正当な理由がある場合だけが例外である。「仕事欲しさに赤字でも受けた」という言い訳は、受注側にとってもはや防御にならない。値下げを迫られたとき、あなたが示すべきなのは感情ではなく原価の内訳である
法的な位置づけ
建設業法19条の3は不当に低い請負代金を禁止する規定であり、注文者による取引上の地位の不当利用を通じた原価割れ契約の締結を禁じるとともに(1項)、建設業者に対しても、国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、通常必要と認められる原価に満たない金額での請負契約の締結を禁じる(2項)。
手順
- 1.原価を4区分で積算し直す 対象工事について、施工地域で通常必要な直接工事費(材料費・労務費)、共通仮設費、現場管理費、一般管理費(法定福利費を含む)を分けて積算し、原価の下限額を把握する
- 2.労務費と法定福利費を独立行で見積提出 見積書で労務費と法定福利費をそれぞれ独立した行として明記し、提出日と提出先の記録を残す。後から行ごと削られた場合、その事実が証拠になる
- 3.値下げ要求を記録し書面で回答 値下げ要求のメール、打合せメモ、着信履歴を日付つきで保存する。提示額が原価を下回る場合は、差額と積算根拠を書面で注文者に伝え、回答を記録する
- 4.是正されなければ行政窓口に相談 是正されない場合、許可行政庁または国土交通省の駆込みホットラインに相談・情報提供する。元請の優越的地位の濫用が疑われる場合は公正取引委員会への申告も検討する
よくある質問 AI による整理
Q1不当に低い請負代金とは?
建設工事の施工に通常必要と認められる原価に満たない請負代金のことです。原価には法定福利費を含む一般管理費まで入りますが、利益は含まれません。
Q2建設業法19条の3に違反するとどうなる?
発注者には許可行政庁の勧告と、従わない場合の公表(19条の6)。元請には公取委への措置請求(42条)、建設業者には指示処分などの監督処分(28条)がありえます。
Q3赤字受注は違法?
令和6年改正後は、国土交通省令で定める正当な理由がない限り、建設業者が原価割れで受注すること自体が19条の3第2項違反になりえます。
Q4法定福利費を削られたら違法?
社会保険料などの法定福利費は原価に含まれます。一律に削った結果、契約額が通常必要な原価を下回れば、19条の3違反の疑いが生じます。
Q5指値発注は違法?
指値そのものが直ちに違法とは限りませんが、協議なしに原価割れの金額を一方的に決めれば、取引上の地位の不当利用として1項の問題になりえます。
Q6建設業の原価割れ契約はどこに相談できる?
許可行政庁(地方整備局や都道府県)、国土交通省の駆込みホットラインが窓口です。元請の優越的地位の濫用が疑われる場合は公正取引委員会にも申告できます。
Q7下請法は建設工事に適用される?
建設工事の請負は下請法(中小受託取引適正化法)の対象外です。建設業では建設業法19条の3や42条などが同じ役割を担っています。
Q82項の「正当な理由」とは?
自社が保有する低廉な資材を使えるなど、国土交通省令で定める事由に限られます。受注欲しさや競争上の都合は正当な理由に当たりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「次の現場で埋め合わせる」って言われて安く受けたけど、これ違反になるんですか?
その現場の契約金額が通常必要な原価を下回り、元請への取引依存などを背景に押し付けられたものであれば、1項の問題になりうる。将来の発注を約束しても、目の前の原価割れは正当化されない。令和6年改正後は、受けた側も2項違反を問われうる。実務のポイント:口約束の「埋め合わせ」は、契約書に書かれない限り何の権利にもならない。値下げに応じるなら、その条件も書面に残す
Q2原価割れかどうかって、誰がどうやって判断するんですか?
国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインでは、施工地域で当該工事を行うのに一般的に必要な直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の合計(利益は含まない)を目安にしている。指値で発注していないか、下請と協議したかといった経過も判断材料になる。実務のポイント:見積書で法定福利費を別の行に分けておくと、「その行を削った」という事実が残り、地位の不当利用を立証するときの決め手になりやすい
Q3うちは施主で建設業者じゃないけど、関係ある?
関係ある。1項の「注文者」は建設業者に限らない。施主である事業者が違反した場合、受注した建設業者の許可行政庁は勧告ができ、従わなければ公表もありうる(19条の6)。実務のポイント:大手デベロッパーでも、勧告や公表は入札参加やブランドに直結する。担当者レベルの「とりあえず叩け」が、会社名の公表につながる構造になっている
間違えやすい点 AI による整理
- 「安く受けるのは自社の勝手で、法律が口を出す話ではない」と考える経営者は多い。しかし令和6年改正で2項が加わり、受注者自身の原価割れ契約も禁止された。注文者から押し付けられたかどうかに関係なく、正当な理由のない赤字受注は、建設業者の側の法令違反として監督処分(28条の指示処分など)の対象になりうる
- 違反があると契約そのものが無効になり、差額を請求できると期待されがちだが、問題はそれほど単純ではない。本条は監督上の規制であり、違反契約でも私法上は当然に無効とはならないと一般に解されている。実効性があるのは、許可行政庁による発注者への勧告と公表(19条の6)、そして元請の場合の公正取引委員会への措置請求(42条)という行政ルートである
- 下請側から見れば「元請に逆らえば次の仕事がない」という力関係の問題である。法律から見れば、問われるのは「原価を下回ったか」と「地位を不当に利用したか」の二点に尽きる。この落差のせいで、交渉記録も原価の内訳も残していない下請は、被害を受けていても違反を立証できない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制する行為 | 19条の3:通常必要な原価に満たない請負代金での契約締結 | 19条の4:契約後に地位を不当利用し資材・機械器具等の購入先を指定し購入させること 19条の5:通常必要な期間に比べ著しく短い工期での契約締結 |
| 名宛人 | 1項=注文者、2項=受注する建設業者(令和6年改正) | 注文者 注文者(令和6年改正で受注者側の規律も追加) |
| 判断の物差し | 原価(直接工事費+共通仮設費+現場管理費+一般管理費、利益除く) | 購入強制による請負人の利益侵害 工事の性質に照らした通常必要な工期 |
| 違反時の主な行政ルート | 発注者への勧告・公表(19条の6)、元請は42条措置請求、建設業者は28条監督処分 | 発注者への勧告・公表(19条の6)、元請は42条措置請求 発注者への勧告・公表(19条の6) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には建設請負に特化した原価割れ禁止規定はなく、公共調達の異常低価格標の処理と、公平交易法の顕失公平行為規制で同種の問題に対応している
韓国の下請法は建設工事の下請にも適用され、通常支払われる対価より著しく低い下請代金の決定を禁じる。建設工事を対象外とする日本の下請法とは構造が異なる
中国は入札者の原価割れ競争を禁じ、建設単位が請負側に原価割れの価格を強いることも禁じる。日本の1項・2項に近い両面規制になっている
ドイツは競争法上の原価割れ販売規制と、公共工事における異常に低い入札の審査で対応し、建設業法のような業法上の直接禁止規定は置いていない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 元請の担当者から「今回は800万で頼むよ、次の現場で取り返させるから」と言われた。あなたの積算では原価だけで950万円かかる。下請の売上の大半がこの元請に依存しているなら、これは取引上の地位の不当利用が問題になる典型的な形である
- 工期の着工まであと10日。元請が契約書を出してこないまま「金額は後で詰めよう」と現場だけ動かしている。着工後に原価割れの金額を提示されても、もう断れない。金額が決まらないまま着工させること自体が、19条の書面契約義務とあわせて問題になる
- もし自社が元請として、下請の見積から法定福利費の行を一律に削って発注したら、どうなる? 社会保険料は原価に含まれるので、削った額によってはそのまま19条の3違反の疑いになる。国土交通省の駆け込みホットラインに通報が入れば、許可行政庁の立入りもありうる
- 受注競争に負け続けた工務店の社長が、実行予算を割ってでも公共工事を取りに行った。令和6年改正の後は、受注者側のこの判断も2項違反になりうる
- マンション管理組合の理事が大規模修繕の見積を比べ、最安値の業者に決めようとしている。その業者の金額が足場代すら賄えない水準なら、手抜き施工や工事途中の撤退というリスクを、管理組合が自分で買っていることになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自社の見積書は、労務費・材料費・法定福利費・現場管理費を分けて作成し、提出記録を残す2. 値下げ要求のメール、議事メモ、着信履歴を日付つきで保存する3. 契約金額が原価を下回る場合は、その差額と根拠を書面で元請に伝え、回答を記録する4. 是正されなければ、許可行政庁または国土交通省の駆け込みホットラインに相談する。元請の行為が優越的地位の濫用に当たる疑いがあれば、公正取引委員会に申告する道もある
訴えられた側:1. 当該契約について、施工地域で通常必要な原価を、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費に分けて試算し直す2. 受注者の立場であれば、2項の正当な理由(自社保有の低廉な資材の使用など、国土交通省令に定めるもの)に当たる事実を資料で整理する3. 注文者の立場であれば、下請との協議の経過と、金額の根拠を下請と共有していたかを確認する4. 行政から報告を求められたら、事実と異なる説明は避け、是正の計画を添えて回答する
時効(請求できる期限):本条違反そのものに時効の定めはない。違反は行政上の勧告、公表、指示処分の対象となる。違反行為で生じた損害について民法709条により賠償を求める場合は、損害と加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条)。請負代金債権は一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)
学説
一般的な解釈:本条は建設業の取引適正化を目的とする監督上の規制であり、違反した請負契約であっても私法上当然に無効とはならないと一般に解されている。実効性は勧告・公表、監督処分、公取委への措置請求という行政ルートで確保される
改正沿革 AI による整理
- 令和6年(2024年)改正 建設業者を名宛人とする2項を追加し、国土交通省令で定める正当な理由がない限り、受注者側にも原価割れ契約を禁止した。公布日と施行日、改正前1項の文言変更の有無は要確認
改正の年表
- 1.令和6年(2024年) 改正:建設業者を名宛人とする第2項を新設し、国土交通省令で定める正当な理由がない限り、受注者側の原価割れ契約も禁止した。施行日の詳細は改正附則で要確認
- 建設業法 第19条の4不当な使用資材等の購入強制の禁止
- 建設業法 第19条の5著しく短い工期の禁止
- 建設業法 第19条の6発注者への勧告と公表
- 建設業法 第42条元請違反の公取委への措置請求
- 建設業法 第28条建設業者への指示処分・営業停止
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 第19条優越的地位の濫用等の不公正な取引方法の禁止(通称 独占禁止法)
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