要点相続税法19条の3は、18歳未満の相続人について、10万円に18歳までの年数を乗じた額を相続税額から控除すると定める。控除しきれない額は扶養義務者の税額から控除できる。
Q · 未成年の子が相続したとき、相続税はどれくらい安くなりますか?
18歳未満の相続人は、18歳までの年数×10万円を相続税から引けます
相続税法19条の3により、相続又は遺贈で財産を取得した人が被相続人の相続人にあたり、相続開始時に18歳未満であれば、10万円に18歳までの年数を乗じた額が相続税額から控除されます。15歳なら3年分で30万円です。控除額が本人の相続税額を超えた場合、その超過分は親や祖父母など扶養義務者の相続税額から控除できます(2項)。ただし過去に同じ控除を受けていれば、残枠の範囲内に限られます(3項)。遺贈を受けただけで相続人でない孫は対象外です。
父が亡くなり、15歳の子が遺産を相続した。相続税の申告書を税理士任せにしていると、家族の誰も気付かないまま消えていく控除がある。相続税法19条の3の未成年者控除だ。18歳になるまでの年数に10万円を掛けた額が、その子の相続税額から直接引かれる。15歳なら3年分で30万円。ここまでは知っている人もいる。だが本当の武器は2項にある。控除額がその子自身の相続税を超えて余ったとき、余りは消えない。母や祖父母、兄姉といった扶養義務者の相続税額から引ける。つまり、相続税をほとんど負担しない子ども名義の控除枠が、家族全体の納税額を押し下げる。しかもこの控除は相続人であることが条件だ。遺言で財産をもらっただけの、法定相続人でない孫には一切適用されない。誰が相続人かで、使えるかどうかが分かれる。
相続税法19条の3が定める未成年者控除は、相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の相続人に該当し、かつ相続開始時に18歳未満である場合に適用される税額控除である。控除額は10万円に18歳に達するまでの年数を乗じた額とし、1年未満の端数は1年に切り上げる。控除しきれない部分は扶養義務者の相続税額から控除される。
相続税法19条の3が定める税額控除です。相続人で相続開始時に18歳未満の人について、10万円に18歳までの年数を乗じた額を、その人の相続税額から直接差し引きます。1年未満の端数は1年に切り上げます。
10万円×18歳までの年数です。15歳0か月なら3年で30万円、10歳6か月なら端数切り上げで8年分の80万円になります。年齢は相続開始時点で判定します。
相続開始時、つまり被相続人が亡くなった日の満年齢で判定します。申告時点や遺産分割時点ではありません。端数は切り上げるため、誕生日の直前に相続が開始すると1年分多く控除できる場合があります。
未成年者控除には申告要件がありません。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例と違い、控除の結果として納付税額がゼロになれば申告書の提出は不要です。ただし他の相続人の申告義務は別に判断します。
配偶者と、民法877条により扶養義務を負う直系血族(親・祖父母・子)・兄弟姉妹が基本です。さらに家庭裁判所が特別の事情から扶養義務を負わせた3親等内の親族も含まれます。同居は要件ではありません。
併用できます。未成年者控除(19条の3)と障害者控除(19条の4)は別々の規定で、要件を満たせば両方を相続税額から控除できます。どちらも控除しきれない分は扶養義務者の税額から控除できます。
相続人でない人は使えません。遺贈だけを受けた法定相続人でない孫や第三者は対象外です。また相続税法1条の3第1項3号・4号に該当する制限納税義務者も適用除外とされています。
申告期限から5年以内であれば、更正の請求により減額を求められます(国税通則法23条)。扶養義務者への振り替え漏れも同様です。期限を過ぎると取り戻せないため、申告書の控えで控除欄を確認してください。
意味があります。19条の3第2項で、その子から引ききれなかった余りを、その子の扶養義務者(親・祖父母・兄姉など)の相続税額から引けるからです。子ども本人がゼロでも、家族全体の納税額が下がります。業界裏話ヒント:税理士でもこの扶養義務者への振り替えを失念して申告するケースがあり、後から気付いても更正の請求の期限(5年)を過ぎると取り戻せない。子ども名義の控除欄が余っていないか、自分の目で確かめる価値がある。
原則できません。この控除は民法上の相続人であることが条件で、親が存命の孫は法定相続人ではないため、遺贈で財産をもらっても対象外です(代襲相続人なら別)。業界裏話ヒント:さらに孫への遺贈は相続税額の2割加算(18条)の対象にもなり、控除が使えない上に税が2割増える二重の不利になる。孫世代への承継は、養子縁組など別の枠組みも含めて設計しないと逆効果になりやすい。
放棄がなかったものとして相続人に該当するかを判定するので、相続人としての地位判定では不利になりません(19条の3第1項カッコ書き)。ただし控除は財産を取得したことが前提なので、放棄後に遺贈等で財産を得ている必要があります。業界裏話ヒント:相続放棄は借金逃れによく使われますが、放棄しても未成年者控除の判定上は相続人扱いのまま。放棄と控除は別のレイヤーで動いている、という感覚が要る。
使えません。過去にその子や扶養義務者が控除を受けていると、最初の相続で使える枠から既に使った分を引いた残りの範囲でしか使えません(19条の3第3項)。業界裏話ヒント:短期間に親と祖父母が相次いで亡くなるケースで見落としやすい。一回目の申告書を保管していないと、二回目で残枠を証明できず税務署に否認される。相続関係の書類は、その子が18歳になるまで捨ててはいけない。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象者 | 19条の3:相続人かつ相続開始時18歳未満の者 | — |
| 控除額の算式 | 10万円 × 18歳までの年数(端数は1年に切上げ) | — |
| 控除しきれない場合 | 超過分を扶養義務者の相続税額から控除できる(2項) | — |
| 申告要件・回数制限 | 申告要件なし。ただし過去の使用分だけ生涯枠が減る(3項) | — |
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