要点相続税法 21 条の 2 は贈与税の課税価格を定め、居住無制限納税義務者は全世界の受贈財産、一定の非居住者は国内財産のみが対象となる。相続開始の年の贈与は相続税に回り算入されない。
Q · 親からもらったお金や不動産、どこまでが日本の贈与税の対象になるの?
住所と財産の所在、そして贈与の年で課税範囲が変わります
相続税法 21 条の 2 により、贈与税の課税価格は「その年中に贈与により取得した財産の価額の合計額」です。ただし範囲は納税義務者の区分(同法 1 条の 4)で切り替わり、日本に住所がある居住無制限納税義務者は国外財産を含む全世界の受贈財産が対象(1 項)、一定の非居住者は日本国内にある財産のみが対象(2 項)となります。さらに 4 項により、相続開始の年に被相続人から受けた贈与で第 19 条により相続税の課税価格に加算されるものは、贈与税の課税価格には算入されません。税率表を見る前に、この課税範囲の確定が先です。
親から 300 万円をもらった、祖父が海外の口座からドルを送ってくれた、相続対策で毎年 110 万円ずつ受け取っている。これらが「いくら贈与税の対象になるか」を決める入口が相続税法 21 条の 2 だ。多くの人は贈与税を「もらった額に税率をかけるだけ」と考えている。だが本条はまず、あなたが誰かで課税範囲を切り替える。日本に住所があれば世界中どこでもらった財産も全部が対象(1 項)、一定の非居住者なら日本国内にある財産だけが対象(2 項)。さらに見落とされやすいのが 4 項。相続が開始した年に、その亡くなった人から受けた贈与は、贈与税ではなく相続税に加算される(19 条の生前贈与加算)。つまり同じ 100 万円でも、渡した人が年内に亡くなるかどうかで、贈与税と相続税のどちらの土俵に乗るかが丸ごと変わる。税率表を開くのは、この土俵が決まった後の話だ。
相続税法 21 条の 2 は、贈与税の課税価格の算定方法を定める規定である。納税義務者の区分(同法 1 条の 4)に応じ、居住無制限納税義務者は当年中に贈与により取得した全財産の価額の合計額、一定の非居住者は施行地内にある財産の価額の合計額を課税価格とする。相続開始の年に被相続人から受けた贈与で相続税の課税価格に加算されるものは算入しない。
その年 1 月 1 日から 12 月 31 日までに贈与で取得した財産の価額の合計額です(相続税法 21 条の 2)。ここから基礎控除などを差し引いて税額を計算します。
無制限納税義務者は国外財産を含む全世界の受贈財産が課税対象(1 項)、制限納税義務者は日本国内にある財産だけが対象(2 項)です。区分は同法 1 条の 4 で判定します。
贈与者ごとではなく、受贈者がその年中に受けた贈与を合計します。父から 100 万円、祖母から 60 万円なら課税価格は 160 万円で、基礎控除 110 万円を超えます。
贈与により財産を取得した日の為替相場で円換算するのが原則です。送金明細や取引報告書など、レートの根拠資料を保存しておく必要があります。
受贈者が居住無制限納税義務者なら 1 項により国外財産も課税価格に入ります。国外財産調書や CRS による口座情報の自動交換で捕捉されます。
4 項により贈与税の課税価格には算入せず、19 条で相続税の課税価格に加算します。贈与税申告ではなく相続税申告の側で処理します。
扶養義務者間の通常必要な生活費・教育費、香典や祝儀など社会通念上相当なものは、相続税法 21 条の 3 により課税価格に算入されません。
贈与を受けた年の翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日までに申告・納付します(相続税法 28 条)。期限後は無申告加算税と延滞税の対象になります。
毎年 110 万円までは基礎控除(21 条の 5)内なので、その年の贈与税はかかりません。ただし相続が始まった年の贈与は 4 項で相続税に加算され、さらに 2023 年(令和 5 年)改正で、相続開始前 7 年以内の贈与が相続税の課税価格に順次取り込まれるよう拡大されました。業界裏話ヒント:「110 万円までなら記録も要らない」は危険。毎年同額・同日だと『定期贈与』と見なされ、初年に総額を一括で贈与したものとして課税されるリスクがある。金額や時期を少しずつずらし、贈与契約書を都度作るのが実務の鉄則。(最新の改正状況をご確認ください)
それは財産の所在と、あなたと子の居住期間次第です。子が非居住者でも、日本国内にある財産の贈与は 2 項で課税されます。国外財産まで非課税になるのは、贈与者・受贈者の双方が一定期間日本に住所を持たない場合(1 条の 4)に限られます。業界裏話ヒント:この『海外移住による節税』を巡り、国が約 1300 億円の課税で敗訴したのが武富士事件(最判平成 23.2.18)。判決後に法律が塞がれ、今は居住期間要件が長期化し、生活の本拠がどこかの事実認定も厳しい。形式だけの海外移住は通用しない。
取られません。まさにそれを防ぐのが 4 項です。相続開始の年に被相続人から受けた贈与は、19 条で相続税の課税価格に加算される代わりに、贈与税の課税価格には算入しません。二重課税を避ける調整弁です。業界裏話ヒント:相続開始の年より前に贈与税を払っていた分は、相続税に加算される際に『贈与税額控除』(19 条)で精算される。払い損にはならないが、控除しきれない端数が出ることもあり、暦年課税と相続時精算課税(21 条の 9)の有利不利は事前シミュレーションが要る。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 21 条の 2:贈与税の課税価格そのものを画定する入口 | — |
| 課税される税目 | 贈与税(ただし 4 項該当分は除外) | — |
| 判定のタイミング | 贈与を受けた年ごと(暦年単位) | — |
| 見落とすと起きること | 課税範囲(全世界か国内か)を誤り国外財産が申告漏れ | — |
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