要点相続税法71条は、従業者等が業務に関して脱税等の違反行為をしたとき、行為者のほか法人・事業主にも罰金刑を科す両罰規定。最高裁は選任・監督上の過失の推定と解し、反証で免責される。
Q · 従業員が脱税したら、会社にも自動的に罰金が来るんですか?
自動ではなく、監督を尽くした立証で免れる余地があります
相続税法71条1項により、法人の代表者や代理人・使用人その他の従業者が業務又は財産に関して68条1項・3項、69条、70条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人にも各条の罰金刑が科されます。ただし最高裁大法廷(昭和32年11月27日)は、両罰規定を事業主の選任・監督上の過失を推定する趣旨と解しており、監督を尽くしたと反証できれば法人は罰金を免れます。会社への罰金は自動確定ではありません。
税理士法人の職員が、顧客の相続税申告で預金を隠した。あるいは会社の代表者が、会社が受けたみなし贈与について税をごまかした。このとき国税は、手を下した本人だけでなく、その法人や事業主にも罰金を科してくる。それが相続税法71条、両罰規定と呼ばれる仕組みだ。多くの経営者は「従業員が勝手にやったのに、なぜ会社まで」と思う。だが条文の字面はそう読める。ここで握っておくべき武器がある。最高裁は昭和32年の大法廷判決で、この両罰規定を「無過失で会社を罰する」とは読まなかった。事業主に従業員の選任・監督上の過失があったと推定したうえで罰するので、会社側が「監督は尽くした」と反証できれば罰金を免れる、と判断した。つまり会社への罰金は自動ではない。立証責任がどちらに乗っているかを知る者と知らない者で、同じ査察でも結末が変わる。
相続税法第71条は両罰規定であり、法人(人格のない社団又は財団を含む)の代表者、又は法人若しくは人の代理人・使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関して第68条第1項・第3項、第69条又は第70条の違反行為をした場合に、行為者の処罰に加え、その法人又は人に対しても当該各条の罰金刑を科す旨を定める規定である。
行為者本人を罰するだけでなく、その者を使用する法人や事業主にも罰金刑を科す規定です。相続税法では71条が定め、68条1項・3項、69条、70条の違反行為が対象になります。
68条1項・3項のほ脱犯、69条、70条の違反行為です。これらを法人の代表者や代理人・使用人その他の従業者が業務又は財産に関して行った場合に、法人や事業主にも罰金刑が科されます。
従業者の選任・監督について過失がなかったことの立証です。就業規則、研修記録、内部チェック体制、内部通報制度など、不正発覚前から存在する資料ほど証拠価値が高くなります。
両罰規定は事業主を無過失で罰するものではなく、選任・監督上の過失があったと推定して罰する趣旨だとする考え方です。最高裁大法廷が昭和32年11月27日に示し、判例・通説となっています。
あります。71条2項により、68条1項・3項の違反行為で法人や人に罰金刑を科す場合の時効期間は、これらの罪自体の時効期間によります。罰金刑だから短くなるという扱いにはなりません。
従業者が法人や事業主の業務執行または財産管理と結び付く形で違反行為をした場合を指します。純粋に個人的な相続や贈与についての脱税は、この要件を欠くため法人には及びません。
対象です。条文は「法人若しくは人」と定めており、人には個人事業主が含まれます。雇った従業員が事業の税務で違反行為をすれば、雇い主である個人にも罰金刑が科されうる建て付けです。
あります。所得税法や法人税法など主要な税法にも同様の両罰規定が置かれ、構造はほぼ共通です。適用条文は税目ごとに異なるため、対象となる違反行為の範囲を各法で確認する必要があります。
相続税法71条の両罰規定が、行為者本人に加えて法人・事業主にも罰金を科すからです。ただし最高裁は、事業主の選任・監督上の過失を推定したうえで罰するとしており、監督を尽くしたと反証できれば会社は罰を免れます(最大判昭和32.11.27)。業界裏話ヒント:この過失推定説は捜査官が進んで教えてくれません。会社の罰金を「確定」と諦める前に、就業規則・研修・チェック体制の記録を集めて反証を組めるか、脱税事件に強い弁護人に確認する価値がある
二重処罰にはあたりません。憲法39条が禁じるのは「同一人を同一事実で二度罰する」ことで、行為者本人と法人は別の法主体だからです(相続税法71条1項)。行為者は拘禁刑や罰金、法人は罰金と、それぞれ別枠で科されます。業界裏話ヒント:両者は別枠だからこそ、弁護方針も分けるべき。行為者の弁護人が法人も一緒に見ると利益相反になりうる。法人には専属の弁護人を立て、過失推定を覆す主張を独立して組むのが実務の定石
問われます。人格のない社団や財団(相続税法66条)も、71条3項によりこの両罰規定の対象で、団体そのものが被告人になりえます。この場合、代表者または管理者が訴訟で団体を代表し、法人を被告人とする刑事訴訟の規定が準用されます(71条3項、刑事訴訟法27条)。業界裏話ヒント:任意団体は「登記もない団体を起訴などできないだろう」と油断しがちだが、代表者が団体を代表して被告席に立つ仕組みが用意されている。団体名義で贈与を受けたら、税務は個人と同じ厳しさで見られる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 処罰の対象 | 71条:行為者に加えて法人又は人(事業主)にも罰金刑 | — |
| 適用の前提 | 従業者等の違反行為が「業務又は財産に関して」行われたこと | — |
| 免責・反証の余地 | 選任・監督上の過失がなかったと反証すれば罰金を免れる(過失推定説) | — |
| 時効の扱い | 71条2項:68条1項・3項の罪の時効期間による(罰金刑独自の短縮なし) | — |
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