要点相続税法 8 条は、対価なしに債務の免除、引受け、第三者弁済で利益を受けた場合、その債務額を贈与により取得したものとみなす。ただし資力を喪失し弁済が困難な部分は課税されない。
Q · 親に借金を「もう返さなくていい」と言われたら、税金はかかるの?
現金が動かなくても、免除された額に贈与税がかかります
相続税法 8 条により、対価なしに債務の免除、引受け、第三者弁済で利益を受けた場合、その債務額を免除等をした人から贈与により取得したものとみなされます。現金が一円も動いていなくても、「支払わずに済んだ額」が贈与税の課税対象です。年間 110 万円の基礎控除を超える部分について、翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日に申告が必要です(同法 28 条)。ただし、債務者が資力を喪失して弁済が困難である部分の金額には課税されません(8 条ただし書)。
親から借りていた 500 万円を「もう返さなくていい」と言われた。友人があなたの代わりに借金を払ってくれた。一見、ただのやさしさや助け合いに見えるこれらに、税務署は「贈与」の値札を貼る。相続税法 8 条は、対価なしに(または著しく安い対価で)債務の免除、引受け、第三者弁済で利益を受けたら、その債務額を贈与でもらったものとみなす、と定める。現金が一円も動いていなくても、だ。あなたが得したのは「支払わずに済んだ額」であり、それが贈与税の対象になる。ただし逃げ道が一つある。あなたが資力を失い、返済が事実上不可能な状態で免除を受けたなら、その困難な部分には課税されない。困っている人を救う行為まで課税したら本末転倒だからだ。この一条は、家族間、親族間のお金の助け合いに、静かに税金の網をかけている。
相続税法 8 条は、みなし贈与の一類型を定める規定である。対価を支払わないで、または著しく低い価額の対価で、債務の免除、債務の引受け、第三者のためにする債務の弁済による利益を受けた場合に、その債務の金額に相当する金額を、免除等を行った者からの贈与(遺言によりなされた場合は遺贈)により取得したものとみなす。ただし、債務者が資力を喪失して弁済が困難である部分の金額については、適用が除外される。
当事者に贈与の意思がなくても、実質的に無償で経済的利益が移転した場合に贈与とみなして課税する制度です。相続税法 7 条から 9 条の 6 が類型を定め、8 条は債務免除型を担当します。
利益を受けた年の翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日までに、受贈者の住所地の所轄税務署へ申告します(相続税法 28 条)。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税が上乗せされます。
契約書がない、返済実績がない、利息の授受がない、いわゆる「ある時払いの催促なし」の場合です。免除を待つまでもなく、貸付時点で全額が贈与と認定されやすくなります。
債務超過など、財産と収入の全体からみて債務の弁済が客観的に困難な状態を指します。自己破産していなくても認められうる一方、税務署は原則課税で構えるため資料が必要です。
かかります。8 条は「第三者のためにする債務の弁済」を明示的に対象とし、弁済してもらった額を贈与により取得したものとみなします。求償を受けるなら贈与にはなりません。
保証人が弁済しただけなら求償権が残るため贈与にはなりません。しかし保証人が求償権を放棄すると、主債務者はその時点で利益を受けたとみなされる可能性があります。
肩代わり額から年間 110 万円の基礎控除を引いた額に贈与税率を適用します。直系尊属からで受贈者が 18 歳以上なら特例贈与財産の税率が使えます。
8 条は債務の免除、引受け、第三者弁済という特定類型を捕捉します。9 条は 7 条・8 条に当たらない「その他の利益の享受」を包括的に拾う受け皿規定です。
原則かかります。相続税法 8 条で、免除された債務額を贈与でもらったものとみなされます。ただし年間 110 万円の基礎控除内なら申告不要、超える部分に贈与税がかかります。業界裏話ヒント:税務署が親子間の「貸付」を疑う最大のサインは、契約書がない、返済実績がない、利息がないこと。この三つがそろうと、免除どころか最初に渡した時点で全額が贈与と認定されやすい。免除の心配より、貸付の実態づくりが先。
相続税法 8 条の但書で、あなたが資力を喪失して弁済が困難な部分は非課税です。扶養義務者(親、配偶者、兄弟姉妹等)による引受けや弁済が対象になります。業界裏話ヒント:「資力喪失」は自己破産していなくても認められうるが、税務署は原則課税で構えてくる。免除や肩代わりの時点の財産目録と収支を残しておかないと、後から「本当は返せたはず」と言われて課税される。証拠は事後には作れない。
相手が法人なら贈与税ではなく所得税の対象です。免除益は一時所得や事業所得として所得税、住民税がかかります(所得税法 36 条)。相続税法 8 条はあくまで個人間の贈与の話です。業界裏話ヒント:同じ「借金チャラ」でも、個人からなら贈与税、法人からなら所得税と、税目も税率も申告先も丸ごと変わる。役員が自分の会社に貸し付けて会社から免除される節税スキームが崩れると、この所得税課税が牙をむく。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 捕捉する行為 | 8 条:債務の免除、引受け、第三者のためにする弁済 | — |
| 課税される金額 | 免除等された債務の金額(対価があればその額を控除) | — |
| 救済(非課税)規定 | 資力喪失により弁済が困難な部分は課税しない(ただし書) | — |
| 典型シーン | 親が子の借金を帳消し、住宅ローンを肩代わり | — |
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