第五条から前条まで及び次節に規定する場合を除くほか、対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合においては、当該利益を受けた時において、当該利益を受けた者が、当該利益を受けた時における当該利益の価額に相当する金額(対価の支払があつた場合には、その価額を控除した金額)を当該利益を受けさせた者から贈与(当該行為が遺言によりなされた場合には、遺贈)により取得したものとみなす。
要点相続税法9条は、対価を支払わずに、または著しく低い対価で利益を受けた場合、その利益額を利益を受けさせた者からの贈与とみなして贈与税を課す規定である。現金の授受は要件ではない。
Q · 現金を1円も受け取っていないのに、贈与税がかかることってあるんですか?
現金をもらっていなくても、利益を得れば贈与税がかかります
相続税法9条は、対価を支払わないで、または著しく低い価額の対価で利益を受けた場合、その利益額を利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなします。現金の授受は要件ではなく、同族会社への無償の財産移転による株価上昇、債務の肩代わり、無利息での多額の融資、名義変更などが「利益」に含まれます。5条から8条までの個別類型に当たらない利益を包括的に受け止める補充規定です。ただし、資力を喪失して債務の弁済が困難な者が扶養義務者から弁済に充てるため受けた利益は、その困難な部分について課税されません。
お金を一円も受け取っていないのに、税務署から「贈与税を払ってください」という通知が届く。そんな理不尽があるのかと思うだろうが、相続税法9条を知れば、それが現実に起きる仕組みだと分かる。この条文は「対価を支払わないで、又は著しく低い価額の対価で利益を受けた場合」、その利益を受けた者が、利益を受けさせた者から贈与を受けたものとみなすと定める。現金の授受は要らない。親が同族会社にタダで財産を入れて株価が上がれば、株を持つあなたに贈与税。時価の半額で親の不動産を買えば、差額に贈与税。多額を無利息で借りれば、利息相当分が利益。5条から8条までの個別ルールをすり抜けた利益を、この一条が最後にすくい上げる。あなたが「これは売買だ」「ただの貸し借りだ」と言っても、法は名目ではなく、移転した経済的利益の実質を見る。
相続税法9条は、みなし贈与を定める包括規定である。5条から8条までの個別類型に当たらない場合でも、対価を支払わず、または著しく低い価額の対価で利益を受けた者は、その利益の価額に相当する金額を、利益を受けさせた者から贈与により取得したものとみなされる。当事者が付した契約の名目ではなく、移転した経済的利益の実質に着目して課税する点に特徴がある。
民法上の贈与契約がなくても、経済的な利益が無償または著しく低い対価で移転した場合に、税法上は贈与があったものとして扱う制度です。相続税法9条がその包括規定です。
会社に法人税が課されるほか、株式の価値が上昇した他の株主に対して、その増加分がみなし贈与として課税されます。相続税法基本通達9-2が取扱基準を示しています。
原資の出所と管理・運用の実態が親にあるなら、実質は親の財産のままとされ、贈与自体が成立していない扱いになります。名義変更が実質的な移転と認められた時点で課税されます。
原則としてみなし贈与になります。ただし9条ただし書により、資力を喪失して弁済が困難な部分について扶養義務者が弁済に充てた場合は課税されません。
個人間の使用貸借であれば、借地権相当額の贈与としては課税されないのが実務の取扱いです。ただし法人が当事者になる場合や権利金の授受がある場合は判断が変わります。
利益を受けた年の翌年2月1日から3月15日までが贈与税の申告期限です。無申告の場合、税務署は原則6年(不正があれば7年)遡って更正・決定できます。
使えます。暦年課税では、みなし贈与を含むその年の贈与財産の合計額から基礎控除を差し引いて計算します。複数回の利益移転は合算される点に注意が必要です。
資力を喪失して債務の弁済が困難な者が、扶養義務者からその弁済に充てるため利益を受けた場合、弁済困難な部分の金額を課税対象から外す救済規定です。
実態のない「ある時払いの催促なし」の貸借は、税務署に贈与と認定されやすく、9条のみなし贈与や利息相当分の利益課税が問題になります(相続税法基本通達9-10の考え方)。借用書・利息・実際の返済原資が判断材料です。業界裏話ヒント:無利息でも少額なら課税されませんが、金額が大きいと利息相当額が『利益』とされます。返済を実際に銀行振込で残すと本物の貸借と認められやすく、手渡し返済は記録が残らず一気に不利になる
『著しく低い価額』に条文上の明確な数値基準はなく、時価との乖離を個別に判断します(相続税法7条・9条)。過去の裁判例では時価の概ね8割程度が一つの目安とされたことがありますが、実務上、解釈が分かれている論点です。業界裏話ヒント:相続税評価額(路線価)は時価の約8割で、時価とは別物。路線価どおりに親子間売買すると時価より安くなり、みなし贈与を指摘される余地が生まれる。先に不動産鑑定を取っておくと反論の武器になる
保険料を実際に負担したのが夫であれば、妻が受け取る満期保険金は夫からのみなし贈与として扱われます(相続税法5条・9条の圏内)。契約者の名義ではなく、保険料負担者が誰かで判定されるのが原則です。業界裏話ヒント:契約者を妻にしても、保険料の出所が夫の口座なら贈与認定される。保険料を妻自身の収入・口座から払った証拠を毎年残しておくことが、満期時の課税を分ける決め手になる
『お尋ね』自体は行政指導(役所からの任意の照会で、法的な強制力はない)ですが、無回答だと本格的な税務調査に発展しやすく、虚偽回答は重加算税のリスクを負います。除斥期間内(贈与税6年、不正7年)なら遡って更正・決定されます。業界裏話ヒント:『お尋ね』の段階で正直に事情を説明し、扶養やただし書による非課税を主張すると、調査に至らず終わることが多い。放置が最悪手で、沈黙は『やましい』というシグナルになる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課税される「もの」 | 9条:財産以外も含む、あらゆる経済的利益の移転 | — |
| 典型的な適用場面 | 同族会社への無償移転による株価上昇、無利息融資、名義変更、無償の役務提供 | — |
| 条文相互の関係 | 5条から8条までに当たらない場合に適用される補充的・包括的規定 | — |
| 困窮者救済のただし書 | あり:資力喪失により弁済困難な部分は扶養義務者からの弁済でも非課税 | — |
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