要点相続税法 9 条の 4 は、受益者等が存しない信託について、将来の受益者等が委託者の親族であるとき、受託者が贈与または遺贈で信託財産を取得したとみなして課税する規定である。
Q · 受益者がまだいない信託を作ったら、税金はかからないの?
課税されます。受託者が納税義務者になります
相続税法 9 条の 4 により、受益者等が存しない信託の効力が生じた時点で、将来の受益者等となる者が委託者の親族であれば、受託者が委託者から信託に関する権利を贈与により取得したものとみなされます。委託者の死亡に基因して効力が生じる場合は遺贈とみなされ相続税の対象です。受託者が法人でも 3 項で個人とみなされ、4 項で法人税額相当分が控除されます。
孫のために信託を組んで、まだ生まれていない孫を将来の受益者にしておけば、自分が死ぬまで誰にも受益権がないから相続税も贈与税もかからない。そんな節税スキームを提案されたら、あなたは飛びつくかもしれない。だが相続税法9条の4は、その抜け道を正面から塞ぐ。受益者が誰も存在しない信託を作った時点で、その受益者が将来あなたの親族になる見込みなら、法律は信託を管理する受託者(信託銀行や設立した法人)が、あなたから信託財産を贈与(あなたの死亡に基因して効力が生じるなら遺贈)で受け取ったものとみなし、その場で贈与税や相続税を課す。受益者がいなくても課税を先送りできない。しかも受託者が法人であっても、本条3項は法人を個人とみなして相続税・贈与税の網をかぶせる。孫世代への世代飛ばしで税を一回パスする、その計算が根元から崩れる仕組みだ。
相続税法 9 条の 4 は、受益者等が存しない信託に対する受託者課税を定める規定である。信託の効力発生時または受益者等が不存在となった時に、将来の受益者等が委託者等の親族である場合、受託者が信託に関する権利を贈与または遺贈により取得したものとみなす。受託者が個人以外でも個人とみなして相続税・贈与税を適用する。
受益権を現に持つ者が誰もいない信託です。信託法 258 条の目的信託や、受益者が将来生まれる者・未特定の場合が典型で、相続税法 9 条の 4 の課税対象になります。
1 項は信託の効力が生じた時、2 項は受益者等が存する信託で受益者等が不存在となった時です。将来受益者になる予定の日ではなく、空席が生じたその瞬間が課税時点です。
2 項が適用されます。次に受益者等となる者が委託者または前の受益者等の親族なら、その時点で受託者が前の受益者等から贈与(死亡が原因なら遺贈)で取得したとみなされます。
贈与とみなされる場合は取得した年の翌年 3 月 15 日まで、遺贈とみなされる場合は相続の開始を知った日の翌日から 10 か月以内です。無申告加算税を避けるため起算日の特定が要です。
本条は「委託者の親族として政令で定める者」としており、範囲は相続税法施行令に委ねられています。血族・姻族のどこまでが入るかは現行政令の確認が必須です。
違法ではありません。信託法 258 条が受益者の定めのない信託を認めています。ただし存続期間は最長 20 年に制限され、税務上は本条で受託者に即時課税されます。
本条で受託者に課税された後、実際に親族が受益者等になった段階では相続税法 9 条の 5 が適用されます。設計次第で二段階の課税が生じるため事前試算が必要です。
4 項により、受託者に課されるべき法人税その他の税の額に相当する額を、贈与税・相続税額から政令の定めに従って控除します。控除の取り方で最終税額が大きく変わります。
受益者を空席にした信託ではパスできません。相続税法9条の4が、受益者不在の時点で受託者に贈与税・相続税を課すからです。さらに後で親族が実際に受益者になれば9条の5で改めて課税されます。業界裏話ヒント:金融機関の『信託で世代飛ばし』提案の多くは、受益者を連続指定する9条の3型か、受益者を置く設計です。受益者を『存在させない』設計はむしろ即時課税なので、パンフの節税額だけ見て契約すると足元をすくわれる。
かかります。本条3項が、受託者が個人以外(法人)でも個人とみなして相続税・贈与税を適用すると定めています。加えて法人課税信託として法人税もかかり、その分は4項で控除されます。業界裏話ヒント:『法人受託者だから相続税は無関係』という説明は半分しか正しくない。法人税と相続税・贈与税の両方が絡む複雑な計算で、控除の取り方次第で税額が大きく変わる。信託課税に強い税理士かどうかで結果が変わる領域です。
委託者の親族が将来の受益者や残余財産の帰属者になる設計なら、本条1項で受託者に課税されます。純粋に第三者や公益のためで親族が関与しないなら適用されません。業界裏話ヒント:信託法258条で受益者の定めのない目的信託は最長20年しか続けられません。福祉目的でも残余財産が親族に戻る設計にした瞬間、善意の信託が課税対象に変わる。残余財産の帰属先の設計こそが課税の分かれ目です。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課税の前提となる受益者の状態 | 相続税法 9 条の 4:受益者等が存しない(空席) | — |
| 納税義務者 | 受託者(法人でも 3 項で個人とみなす) | — |
| 課税時点 | 信託の効力発生時、または受益者等が不存在となった時 | — |
| 税目と調整 | 贈与税または遺贈みなしで相続税、4 項で法人税額控除 | — |
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