受益者等が存しない信託について、当該信託の契約が締結された時その他の時として政令で定める時(以下この条において「契約締結時等」という。)において存しない者が当該信託の受益者等となる場合において、当該信託の受益者等となる者が当該信託の契約締結時等における委託者の親族であるときは、当該存しない者が当該信託の受益者等となる時において、当該信託の受益者等となる者は、当該信託に関する権利を個人から贈与により取得したものとみなす。
要点相続税法9条の5は、受益者等が存しない信託で、契約締結時等に存在しなかった委託者の親族が後に受益者等となった時、信託に関する権利を個人からの贈与とみなして課税すると定める。
Q · 「孫が生まれたら受益者にする」信託を組めば、相続税を一世代分飛ばせますか?
飛ばせません。孫が受益者に確定した時点で贈与税がかかります
相続税法9条の5により、受益者等が存しない信託において、契約締結時等に存在しなかった者(典型的には未出生の孫)が後に受益者等となり、その者が契約締結時等における委託者の親族であるときは、受益者等となる時に信託に関する権利を個人から贈与により取得したものとみなして贈与税が課されます。受益者不在の間は同法9条の4で受託者に課税され、受益者が現れた瞬間に本条が発動する二段構えです。信託を使っても、飛ばしたはずの一世代分の課税は基本的に捕捉されます。
祖父が孫の代に財産を直接渡し、相続税を一世代分まるごと飛ばす。その狙いで「今はまだ受益者がいない信託」を組む資産家がいる。これから生まれる孫を将来の受益者に据える、という設計だ。だが相続税法はこの抜け道を二段構えで塞いでいる。まず9条の4で、受益者が存在しない間は受託者(信託を預かる側)に贈与税・相続税を課す。それでも残る隙間を埋めるのが9条の5だ。契約締結時等にまだ存在しなかった者(典型的には未出生の孫)が後から受益者になり、しかもその者が委託者(財産を託した祖父)の親族であるとき、受益者になった瞬間に「個人から贈与を受けた」とみなして再び課税する。つまり孫が受益者に確定した時点で、もう一度税金がかかる。信託を使えば世代飛ばしができるという通説は、この条文の前で崩れる。
相続税法9条の5は、受益者等が存しない信託に関するみなし贈与課税の規定である。信託の契約締結時等に存しなかった者が当該信託の受益者等となり、かつその者が契約締結時等における委託者の親族である場合に、受益者等となる時点で信託に関する権利を個人からの贈与により取得したものとみなす。同法9条の4の受託者課税を補完し、信託を用いた世代間の課税回避を封じる機能を持つ。
受益者等が存しない信託において、契約締結時等に存在しなかった委託者の親族が後に受益者等となった場合、その時点で信託に関する権利を個人からの贈与とみなして贈与税を課す規定です。
受益者不在の間は9条の4で受託者に課税され、契約締結時等に存在しなかった委託者の親族が受益者等となった時に9条の5でみなし贈与課税が発動します。二段構えの課税です。
みなし贈与が成立した年の翌年2月1日から3月15日までに申告・納税します。期限を過ぎると無申告加算税と延滞税が加算されるため、受益者確定日の特定が出発点になります。
民法725条の親族、すなわち六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族が基準となります。範囲が広いため、親族でない第三者を受益者にする設計は容易ではありません。
違法ではありません。信託の設計そのものは自由です。ただし9条の5により受益者確定時にみなし贈与課税が生じるため、節税効果を前提にした設計は成り立ちません。
信託財産の種類に応じて財産評価の一般原則に従い評価します。不動産、非上場株式、金銭債権で評価方法が異なるため、専門家による算定が実務上不可欠です。
受託者は信託に関する受益者の変更等について税務署への調書提出義務を負う場合があります。受益者側の申告と併せ、確定日と権利内容の記録整備が必要です。
受益者等となる者が契約締結時等における委託者の親族に当たらない場合、本条は適用されません。また契約締結時等に既に存在していた者は「存しない者」に当たりません。
受益者がいる信託は9条の2で受益者に、受益者がいない信託は9条の4で受託者に課税され、後から親族が受益者になれば9条の5でみなし贈与課税。どの経路でも一世代分の課税は基本的に免れません。業界裏話ヒント:信託の値打ちは税額を消すことではなく、財産管理の柔軟さや承継設計の自由にある。「信託=節税」と売る提案は、どの条文で課税されるかを説明できるかで信頼度を測れる。
契約締結時等にまだ存在しない者、典型的には未出生・未受胎の孫やこれから生まれる直系卑属です(9条の5)。すでに生まれている人は「存する者」なので、この条文ではなく9条の2や9条の4など別の規定で処理されます。業界裏話ヒント:「まだ生まれていない孫のために」という一見美しい信託設計こそ、この条文の主要ターゲット。提案する側がここを知らずに勧めていることが少なくない。
条文は「個人から贈与により取得したものとみなす」とだけ定め、擬制上の贈与者や具体的な計算方法は施行令・通達に委ねられています(9条の5、9条の6)。誰からとみなすかで基礎控除や税率の当てはめが変わり得ます。業界裏話ヒント:この「誰から」の論点は税理士でも取扱いが固まりにくい領域。信託課税に本当に強い専門家かどうかは、ここを質問すれば見分けられる。(最新の取扱いをご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課税の場面 | 9条の5:契約締結時等に存しなかった委託者の親族が受益者等となった時 | — |
| 納税義務者 | 新たに受益者等となった者(委託者の親族) | — |
| 課税の性質 | 個人からの贈与とみなすみなし贈与課税 | — |
| 制度上の役割 | 9条の4を通過した後の隙間を塞ぐ二段目の網 | — |
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