司法書士法 第38条の2(社員であると誤認させる行為をした者の責任)
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社員でない者が自己を社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて司法書士法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任を負う。
この条文の基本情報
社員であると誤認させる行為をした者の責任とは何ですか?
定義社員であると誤認させる行為をした者の責任とは、司法書士法第38条の2に定められた規定で、「社員でない者が自己を社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて司法書士法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任を負う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 司法書士法第38条の2(社員であると誤認させる行為をした者の責任)は、日本の司法書士法に含まれる条文です。
- 司法書士法第38条の2の条文原文は「社員でない者が自己を社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて司法書士法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任を負う。」で始まります。
- 司法書士法第38条の2は第五章 司法書士法人に置かれています。
- 司法書士法の公布日は昭和25年5月22日です。
- 司法書士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 司法書士法第38条の2の前の条は司法書士法第38条です。
- 司法書士法第38条の2の次の条は司法書士法第39条です。
- 司法書士法第38条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第38条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000197 - 本サイト収録
司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第38条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC1000000197/38_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点司法書士法38条の2は、社員でない者が自己を社員と誤認させた場合、その誤認に基づき司法書士法人と取引した者に対し、社員と同一の責任を負うと定める。
Q · 司法書士法人の担当者が実は社員じゃなかったら、その人個人に損害を請求できないの?
社員と信じて依頼したなら、社員と同じ責任を問える余地がある
司法書士法38条の2により、社員でない者が自分を社員だと誤認させる行為をした場合、その誤認に基づいて法人と取引した者に対しては、社員と同一の責任を負います。社員の責任とは、法人の財産で債務を完済できないときに連帯して弁済する責任(同法38条)です。ただし、社員でないと知っていた相手方など、誤認に基づかずに取引した者は保護されません。名刺やサイトの表示は早めに保存しておくことが重要です。
解説
名刺の肩書き一つで、連帯保証人と同じ立場に立たされることがある。司法書士法人の社員(出資して法人を動かすパートナー格の司法書士)は、法人の財産で債務を払いきれないとき、自分の財産から連帯して払う責任を負う(司法書士法38条)。本条は、この重い責任を社員でない者にまで広げる。条件は二つある。自分を社員だと誤認させる行為をしたこと。そして、相手がその誤認に基づいて法人と取引したこと。たとえば、雇われの司法書士が「パートナー」と刷った名刺を配る。退所した元社員の写真が、事務所サイトに「代表社員」のまま残っている。どちらも登記簿上は社員ではない。それでも、その表示を信じた依頼者に対しては、社員と同じように支払う側に回る。依頼者の立場なら、目にした肩書きを信じたこと自体が救済の足場になる。勤務司法書士の立場なら、肩書きを盛ることが無限責任の入口になる。
法的な位置づけ
司法書士法38条の2は、司法書士法人の社員でない者が自己を社員であると誤認させる行為をした場合に、その誤認に基づいて当該法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任、すなわち法人財産で債務を完済できないときの連帯弁済責任(同法38条)を負わせる規定である。外観を作出した者に責任を帰する外観法理の一類型である。
よくある質問 AI による整理
Q1司法書士法人の社員とは?
司法書士法人を構成し業務を執行する司法書士で、社員になれるのは司法書士に限られます。法人の財産で債務を完済できないときは、連帯して弁済する責任を負います(司法書士法38条)。
Q2誤認社員の責任とは何ですか?
社員でない者が自分を社員だと誤認させた場合、その誤認に基づいて法人と取引した者に対し、社員と同じ責任を負う制度です。司法書士法38条の2が定めています。
Q3名刺に「パートナー」とある司法書士は社員ですか?
必ずしも社員とは限りません。肩書きは事務所内の呼び名にすぎない場合もあります。法律上の社員かどうかは、法務局で取得できる法人の登記事項証明書で確認する必要があります。
Q4司法書士法人の社員は登記で確認できる?
法務局で司法書士法人の登記事項証明書を取得すれば、社員に関する登記事項を確認できます。オンラインの登記情報提供サービスでも閲覧可能です。依頼前の照合が自衛策になります。
Q5司法書士法人が倒産したら損害はどうなる?
まず法人の破産手続で債権届出をします。法人財産で払いきれない部分は社員に連帯責任を問え、社員を装った者がいれば司法書士法38条の2により同様に請求できる余地があります。
Q6誤認社員への請求はいつまでできる?
本条固有の期間制限はなく、一般の消滅時効(知った時から5年、行使できる時から10年)が目安です。社員責任の存続期間に関する特則との関係は条文で確認が必要です。
Q7社員でないと知っていた依頼者も請求できる?
できない可能性が高いです。本条が保護するのは「誤認に基づいて」取引した者に限られます。社員でないと知っていた場合や、誤認に重大な落ち度がある場合は保護されないおそれがあります。
Q8会社法589条と司法書士法38条の2の関係は?
会社法589条は合名会社などの持分会社の誤認社員責任を定め、司法書士法38条の2はそれと同じ構造を司法書士法人に置いた規定です。いずれも外観法理に立脚しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1担当の先生、実は社員じゃなかったみたいです。それでも個人に請求できますか?
社員だと誤認させる表示があり、あなたがそれを信じて依頼したのであれば、司法書士法38条の2によって社員と同一の責任を問える余地がある。実務のポイント:法人が倒れると表示は一斉に書き換えられる。請求の成否は、表示が消える前に証拠を残せたかどうかでほぼ決まる
Q2所長に言われてパートナーの肩書きを使っただけです。私が責任を負うんですか?
指示されたかどうかは、外部の依頼者に対する責任を当然には消さない。本条が見ているのは、誤認させる行為と、それに基づく取引である。実務のポイント:肩書きをめぐる所長との内部合意(責任を負わせない約束)は、外部への免責にはならない。所長への求償の根拠にとどまる
Q3辞めた事務所のサイトに、まだ自分が社員として載っています。放置しても大丈夫?
放置したことが誤認させる行為にあたるかは、事案ごとの評価になり、実務上も見解が分かれうる。ただし、削除を求めた記録があれば強い反論材料になる。実務のポイント:電話で頼むより、日付の残るメールや書面で削除を要求するほうがよい。後から「放置ではない」と示せる証拠は、それ一本しかないことが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「社員かどうかは登記で決まるから、肩書きは単なる呼び名にすぎない」と考えるのは半分しか正しくない。社員の地位そのものは登記と定款で決まる。しかし、外部への責任は誤認させた行為で決まる。地位はないのに責任だけを負う、という組み合わせが法律上成立する
- 誤認させる行為を「嘘をつくこと」だと思っていると足をすくわれる。積極的に名乗らなくても、社員と表示された名刺を使い続ける、サイトの誤った表示を知りながら放置する、といった形でも問題になりうる。どこまでの不作為が含まれるかは事案ごとの判断で、実務上も解釈が分かれる
- 依頼者の側から見れば「信じたのだから当然守られる」となる。しかし法律から見ると、守られるのは誤認に基づいて取引した者だけである。社員でないと知っていた場合や、ひと目で分かる事情を見落とした重大な落ち度がある場合は、保護されない可能性がある。この差は、交渉の場で決定的に効いてくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責任を負う者 | 司法書士法38条の2:社員でないのに社員と誤認させた者 | 司法書士法38条:登記上の社員(全員) 会社法589条:持分会社の社員と誤認させた者 |
| 責任の発生要件 | 誤認させる行為 + 相手方がその誤認に基づいて法人と取引 | 法人財産で債務を完済できない、または強制執行が奏功しない 誤認させる行為 + 誤認に基づく会社との取引 |
| 保護される相手方 | 誤認に基づいて取引した者のみ | 法人の債権者一般 誤認に基づいて取引した者のみ |
| 法的根拠の性質 | 外観法理(作出した外観への責任) | 社員の地位に伴う法定責任 外観法理(自称社員の責任) |
他国ではどう定めているか 3 か国
無限公司について、股東でないのに股東と信じさせる行為をした者は、善意の第三者に対し股東と同一の責任を負う。日本の誤認社員責任とほぼ同構造
合名会社の社員でない者が自己を社員と誤認させた場合、誤認に基づき会社と取引した者に社員と同一の責任を負う。日本法とほぼ同文の規定
パートナーであるかのように表示した者(purported partner)は、その表示を信頼して取引した者に対し責任を負う。Partnership by estoppel として知られる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続登記を頼んだ司法書士法人が、登記ミスで数百万円の損害を出したまま事実上破綻した。担当者の名刺には「パートナー司法書士」とあったが、登記簿を取ると社員ではなかった。それでも、その名刺を信じて依頼したのなら、担当者個人に社員と同一の責任を問える余地がある
- あなたは勤務司法書士で、所長から「対外的に格好がつくから」とパートナーの肩書きを使うよう言われた。給料は固定で、出資もしていない。それでも法人が倒れれば、その肩書きを見て依頼してきた顧客の損害を背負う側に入る
- 退所して半年。古巣のサイトには、まだあなたの写真と「社員」の表示が載っている。削除を頼む連絡は、今週中に書面で送るべきか?
- もし不動産決済の立会いで、法人のミスにより買主の所有権移転が遅れ、損害が出たらどうなる? 法人に資産がなければ、買主側の弁護士はまず登記簿上の社員を探す。次に探すのは、決済当日に「社員」と名乗った人物である
- 法人に内容証明を送ってから一か月がたつが、返事はない。決済日に担当者が出した名刺や、メールの署名欄に「代表社員」とあったなら、それは消える前に保存しておく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 名刺、メール署名、ウェブサイト、委任契約書に書かれた肩書きをすべて保存する。サイトは魚拓とスクリーンショットの両方を残す2. 法人の登記事項証明書を取り、社員欄と照合する3. 誤認した経緯を時系列でメモに残す(何を見て、なぜ社員だと思ったか) 4. 法人と登記上の社員に加え、誤認させた者も宛先にした内容証明で請求する5. 法人が破産手続に入った場合は、債権届出と個人への請求を並行して進める
訴えられた側:1. 名刺やサイトの表示を作ったのは誰か、自分の関与と認識の程度を整理する2. 相手が社員でないと知っていた事情、または容易に知り得た事情(登記の確認、雇用関係の説明など)があれば主張する3. 社員としての責任が及ぶのは、法人財産で完済できない場合などに限られる(38条の要件を確認する) 4. 今後に向けて、肩書きの訂正と訂正の記録を書面で残す
時効(請求できる期限):本条固有の時効規定はない。社員と同一の責任に対しては、一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が基準となる。ただし、社員責任の存続期間に関する特則の準用関係は、条文で確認が必要である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(外観法理説):本条は、自ら社員らしい外観を作出した者に、それを信頼した取引相手方への責任を負わせる外観法理の具体化であり、会社法589条と同趣旨と解される。保護されるのは誤認に基づいて取引した者に限られる。
不作為による誤認惹起をめぐる議論:積極的な名乗りだけでなく、誤った表示を知りながら放置した場合も「誤認させる行為」に含まれうるかは事案ごとの評価となり、帰責性の程度をどう考えるかで見解が分かれうる。
- 司法書士法 第38条社員の連帯無限責任の基本規定(現行効力を要確認)
- 司法書士法 第26条司法書士法人の設立根拠
- 司法書士法 第28条社員の資格を司法書士に限定(現行効力を要確認)
- 会社法 第589条合名会社の誤認社員責任と同じ構造の規定
- 民法 第109条代理権授与表示による外観法理の一般原則
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