土地収用法 第38条(土地調書及び物件調書の効力)
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起業者、土地所有者及び関係人は、第三十六条第三項の規定によつて異議を付記した者及び第三十六条の二第六項の規定によつて異議申出書を提出した者がその内容を述べる場合を除き、第三十六条から前条までの規定によつて作成された土地調書及び物件調書の記載事項の真否について異議を述べることができない。ただし、その調書の記載事項が真実に反していることを立証するときは、この限りでない。
この条文の基本情報
土地調書及び物件調書の効力とは何ですか?
定義土地調書及び物件調書の効力とは、土地収用法第38条に定められた規定で、「起業者、土地所有者及び関係人は、第三十六条第三項の規定によつて異議を付記した者及び第三十六条の二第六項の規定によつて異議申出書を提出した者がその内容を述べる場合…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第38条(土地調書及び物件調書の効力)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第38条の条文原文は「起業者、土地所有者及び関係人は、第三十六条第三項の規定によつて異議を付記した者及び第三十六条の二第六項の規定によつて異議申出書を提出した者がその内容を述べる場合…」で始まります。
- 土地収用法第38条は第一節 調書の作成に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第38条の前の条は土地収用法第37条の2です。
- 土地収用法第38条の次の条は土地収用法第39条です。
- 土地収用法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法38条により、異議を付記せずに署名した土地調書・物件調書の記載は原則として争えない。ただし、記載が真実に反することを立証すれば異議を述べられる。
Q · 収用の立会いで異議を書かずに調書へハンコを押したら、あとから間違いを指摘できないの?
原則できないが、真実に反すると立証すれば争える
土地収用法38条により、異議を付記せずに署名押印した土地調書・物件調書の記載事項は、収用委員会の手続で原則としてその真否を争えません。例外は、署名時に異議を付記した場合(36条3項)と、署名を拒んだ後に異議申出書を出した場合(36条の2第6項)です。それ以外でも、記載が真実に反することを自ら立証すれば異議を述べられますが、立証責任は異議を述べる側が負います。
解説
立会いの日、起業者(道路や鉄道などの事業を行う国、自治体、会社)の担当者が差し出す土地調書と物件調書に、言われるままハンコを押す。収用される側の多くは、この署名押印をただの「受け取りの確認」だと思っている。ところが土地収用法38条によれば、異議を付記せずに署名した場合、後の収用委員会の手続で「面積が違う」「この倉庫が載っていない」「立木の本数が足りない」と言い出すことは原則としてできない。例外は二つだけである。署名のときに調書へ異議を書き添えた場合(36条3項)と、署名を拒んだ後の手続で異議申出書を出した場合(36条の2第6項)。残る道は、記載が真実に反することを自分で立証する場合(38条ただし書)しかない。調書は補償額を計算する土台になる。その土台が固まるのは、補償額を争う段階ではなく、立会いの日のペン一本の段階である。署名する前に一行ずつ照合し、違っている箇所はその場で書き込むこと。読んだ人と読まなかった人の差は、ここで生まれる。
法的な位置づけ
土地収用法第38条は、土地調書及び物件調書の効力を定める規定である。立会いと署名押印を経て作成された調書の記載事項について、起業者、土地所有者及び関係人は、異議を付記した者等がその内容を述べる場合を除き、その真否を争うことができない。ただし、記載事項が真実に反することを立証した場合はこの限りでない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.立会い前に資料をそろえる 登記事項証明書、地積測量図、固定資産税の課税明細書、建物・工作物・立木の写真と一覧を用意し、現地の実態と突き合わせておく。可能なら起業者に調書案の事前交付を依頼する
- 2.当日、調書を一行ずつ照合する 署名欄より先に、面積・地目・所在、物件の種類・数量・構造を準備資料と照合する。担当者の「形式的なもの」という説明に流されず、確認が終わるまで署名しない
- 3.誤りや漏れを異議として付記し署名押印する 違う箇所があれば、どの記載がどう事実と異なるかを具体的に調書へ書き添えたうえで署名押印する(36条3項)。後日文書で出すと口約束で済ませない
- 4.署名を拒んだ場合は異議申出書を期間内に提出する 署名押印を拒んだときは、36条の2に基づき起業者から通知される期間内に、異議の内容を記した異議申出書を提出する
- 5.異議なしで署名済みなら立証資料を集める 古い航空写真、課税明細、建築・修繕の領収書、第三者が作成した日付入り資料を集め、収用委員会の審理で記載が真実に反することを立証する(38条ただし書)
よくある質問 AI による整理
Q1土地調書・物件調書とは何ですか?
収用する土地の面積や地目、土地上の建物・工作物・立木などを記録した書面です。起業者が作成し、土地所有者と関係人を立ち会わせて署名押印させます(土地収用法36条)。
Q2土地調書への署名はいつ求められますか?
事業認定の告示後、起業者が収用委員会へ裁決を申請する前の段階で、現地の立会いとあわせて求められます。調書は裁決申請書に添付されます(40条)。
Q3物件調書に建物が載っていなかったらどうする?
署名前に気づいたら、その場で漏れを具体的に異議として付記します。署名後なら、写真や課税明細などで記載が真実に反することを立証する必要があります(38条ただし書)。
Q4土地調書の署名は拒否できる?
拒否はできますが、手続は36条の2により進みます。拒否した場合も異議申出書を期間内に出さなければ、結局記載事項は原則として争えなくなります。
Q5調書の異議付記はどう書けばいい?
「〇〇の面積は実測〇㎡であり記載と異なる」「作業小屋1棟が記載されていない」など、どの記載がどう違うのかを具体的に書き添えて署名押印します。
Q6土地収用で関係人も署名が必要?
必要です。借地人、賃借人、耕作者など、収用される土地や物件に権利を持つ関係人も立会い・署名の対象で、38条の効力も同じく及びます。
Q7調書の記載ミスは補償額に影響する?
影響します。収用委員会は調書を土台に補償額を判断するため、面積や物件の漏れが確定すると、その分の補償を主張することが難しくなります。
Q8収用委員会で調書の内容を争う方法は?
異議を付記した者・異議申出書を出した者はその内容を述べられます。それ以外の者は、記載が真実に反することを客観資料で立証する必要があります(38条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ハンコ押したら収用OKってことになるんですか?
なりません。調書の署名押印は、記載された土地や物件の事実を確認する行為で、収用への同意でも補償額への合意でもありません。ただし38条によって、異議を付記しなかった記載事項は後から原則争えなくなります。実務のポイント:同意の書面と勘違いして署名を拒む人もいますが、拒否しても手続は進みます。署名したうえで違う箇所に異議を書く方が、立場は強く残ります
Q2署名したあとで調書のミスに気づいたら、もう手遅れですか?
手遅れではありません。38条ただし書により、記載が真実に反することを立証すれば異議を述べられます。立証の責任があなた側に移るだけです。実務のポイント:効くのは古い航空写真、固定資産税の課税明細書、建築や修繕の領収書、Googleストリートビューの過去画像など、第三者が作った日付入りの資料です。本人の陳述だけでは、まず通りません
間違えやすい点 AI による整理
- 「署名押印したら収用そのものに同意したことになる」と恐れて、署名を頑なに拒む人がいる。問いの立て方が間違っている。調書が記録するのは土地や物件の「事実」であって、収用への同意でも補償額への同意でもない。拒否しても手続は36条の2で前に進み、異議申出書を出さなければ、結局同じように異議は封じられる
- 異議の付記ができることは知っていても、その重さを知らない人は多い。付記しなければ、後で異議を言うには「記載が真実に反する」ことを自分で立証しなければならない。立証責任が丸ごと自分に移るということだ。何年も前に取り壊した付属建物や、自然に枯れた立木を後から証明するのは、ほぼ不可能に近い
- 地権者の目には、調書は起業者が作った「役所の書類」に見える。法律の上では、立会いと署名を経た「双方が確認した事実の記録」として扱われる。この見え方のずれが、署名後に「自分は確認したつもりはなかった」と言っても通らない理由になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 38条:作成済み調書の記載事項を後から争えるか | 36条:調書の作成・立会い・署名押印と異議の付記 36条の2:署名押印を拒んだ場合の手続と異議申出書 |
| 異議を述べる方法 | 付記者・申出書提出者以外は、真実に反することの立証が必要 | 署名押印の際に調書へ異議を付記 通知された期間内に異議申出書を提出 |
| 地権者が負う立証の負担 | 異議を残さなかった場合は地権者側が真実に反することを立証 | 付記しておけば、その内容を審理で述べられる 申出書を出しておけば、その内容を審理で述べられる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾にも徴収前の土地・物件調査の手続があるが、調書の記載に日本の38条のような確定効を与える明文があるかは要確認
韓国も事業者が土地調書・物件調書を作成し、所有者等の署名押印を求める構造で、日本と制度設計が近い
ドイツの収用は収用官庁による手続の中で事実関係が調査され、調書に日本と同種の確定効を与える明文は確認できていない
米国の連邦収用は裁判手続の中で行われ、補償額の基礎となる事実も訴訟の中で争う構造になっている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実家の田んぼがバイパス予定地に入った。立会いの日、担当者が「形式的なものですから」と調書を広げる。父は面積の欄を見ないまま印鑑を押そうとしている。登記簿上の面積と実測面積がずれていることを、あなただけが知っている
- 署名して半年後、物件調書に離れの作業小屋が一棟も載っていないことに気づいた。もう補償はゼロなのか? 原則として異議は封じられている。残る手段は、建築時期の写真、固定資産税の課税明細、施工業者の領収書で「記載が真実に反する」ことを立証する、ただし書のルートだけである
- あなたは起業者側で用地を担当している。急ぎの案件で、調書の記載を前任者のデータからそのまま転記した。地権者が異議を付記しないまま署名したので安心していたが、収用委員会で航空写真を出されて記載の誤りを立証され、裁決の前提が崩れた
- 立会いは明日の午前10時。今夜のうちに、登記簿、測量図、建物や工作物の写真、果樹や立木の本数メモを揃えておく。明日その場で異議を付記できるかどうかは、今夜の準備で決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 立会いの前に登記簿、地積測量図、建物・工作物・立木の写真と一覧を準備する2. 当日、調書の面積、地目、物件の種類・数量・構造を一つずつ照合する3. 誤りや漏れがあれば調書に具体的な異議を付記して署名押印する(36条3項) 4. 署名を拒んだ場合は、起業者からの通知に従い期間内に異議申出書を出す(36条の2第6項) 5. すでに異議なしで署名していた場合は、記載が真実に反することを示す客観資料(写真、課税明細、領収書など)を集め、ただし書のルートで主張する
訴えられた側:1. 起業者側は、調書の記載を前回データの転記ではなく現地確認で作る2. 立会いでは記載内容を地権者に読み上げて説明し、異議付記の機会があることを伝えて記録に残す3. 付記された異議は放置せず再調査し、修正できるものは裁決申請の前に直す4. 38条の効力に頼りきらない。客観的な反証が出れば記載は覆り、裁決全体の信用が落ちる
時効(請求できる期限):異議の付記は署名押印の時点でしかできない。署名を拒んだ場合の異議申出書は、36条の2に基づき起業者から通知される期間内に提出する。収用委員会の裁決のうち損失補償に関する訴えは裁決書正本の送達日から6か月以内、それ以外の裁決取消訴訟は3か月の不変期間内(133条、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成13年(2001年)改正(要検証) 署名押印拒否時の手続を定める36条の2が整備され、本条にも同条第6項の異議申出書への言及が加わったとみられる。改正の年と内容は人による確認が必要
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行の土地収用法(昭和26年法律第219号)の制定とともに、調書の記載事項の真否を原則争えないとする規定が設けられた。その後の改正の年次と内容は要確認
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