土地収用法 第73条(その他の補償額算定の時期)
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この節に別段の定めがある場合を除くの外、損失の補償は、明渡裁決の時の価格によつて算定してしなければならない。
この条文の基本情報
その他の補償額算定の時期とは何ですか?
定義その他の補償額算定の時期とは、土地収用法第73条に定められた規定で、「この節に別段の定めがある場合を除くの外、損失の補償は、明渡裁決の時の価格によつて算定してしなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第73条(その他の補償額算定の時期)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第73条の条文原文は「この節に別段の定めがある場合を除くの外、損失の補償は、明渡裁決の時の価格によつて算定してしなければならない。」で始まります。
- 土地収用法第73条は第一節 収用又は使用に因る損失の補償に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第73条の前の条は土地収用法第72条です。
- 土地収用法第73条の次の条は土地収用法第74条です。
- 土地収用法第73条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第73条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第73条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/73
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法73条は、別段の定めがある場合を除き、損失の補償を明渡裁決の時の価格で算定すると定める。土地の補償は71条により事業認定告示時が基準となる。
Q · 収用の補償金って、いつの値段で計算されるの?
移転料などは明渡裁決時の価格、土地は事業認定時が基準
土地収用法73条により、損失の補償は原則として明渡裁決の時の価格で算定します。ただし同じ節に別段の定めがあるものは除かれ、収用する土地の補償は事業認定告示時の価格に物価変動の修正率を掛けて算定します(71条)。そのため、建物の移転料、営業補償、引越し費用などは明渡裁決時の単価で計算するのが原則です。数年前の見積単価のまま提示されている場合は、収用委員会の審理で再算定を主張する余地があります。
解説
土地収用の補償には、時計が二つある。土地そのものの値段は、事業認定(国や都道府県が「この事業のためなら土地を取得してよい」と公益性を認めるお墨付き)の告示の時点で止まる。その後に加わるのは物価変動の修正だけである(土地収用法71条)。一方で73条は、それ以外の損失を「明渡裁決(収用委員会が、いつまでに土地を引き渡し、建物などを移転せよと命じる決定)の時の価格」で算定せよと定めている。建物の移転料、営業の休止による損失、引越し費用などがこれにあたる。事業認定から明渡裁決まで数年かかることは珍しくない。その間に建築資材や人件費が上がれば、移転料は上がった後の単価で算定されるのが原則である。あなたが確かめるべきは、目の前の補償額がどちらの時計で、いつの単価で計算されているかだ。数年前の見積単価のまま提示されていれば、それ自体が争点になる。
法的な位置づけ
土地収用法73条は、収用に伴う損失補償の算定基準時を定める規定であり、同節に別段の定めがある場合を除き、損失の補償を明渡裁決の時の価格によって算定すべきことを定める。収用する土地の補償(71条)と使用する土地の補償(72条)は事業認定告示時の価格が基準となるため、本条は主に建物等の移転料、営業補償、通常受ける損失の補償に適用される。
手順
- 1.補償内訳を「土地分」と「それ以外」に仕分ける 起業者から届いた補償内訳書を、土地・権利の補償(71条・72条)と、移転料・営業補償・引越し費用などその他の損失に分ける。基準時が違う二つのグループを分けないと、どこを争えるか判断できない
- 2.移転料などの単価の基準年度を書面で確認する その他の損失について、算定に使った単価・見積書の作成年度を起業者に書面で質問する。回答は審理での主張の根拠資料として保管する
- 3.最新の見積書と物価資料をそろえる 建設業者による最新の移転工事見積書、建設物価の推移を示す資料、営業補償なら過去数年分の決算書と帳簿を準備する
- 4.収用委員会の審理で明渡裁決時の価格での算定を主張する 裁決が出る前に、意見書と資料を提出し、73条に基づき明渡裁決時の価格で算定するよう求める。裁決後に残る道は6か月以内の損失補償の訴え(133条)だけになる
よくある質問 AI による整理
Q1明渡裁決とは何ですか?
収用委員会が、土地の引渡しや建物等の移転の期限と、移転料などの損失補償を定める裁決です。権利取得裁決とは別に出されます。
Q2収用の移転料はいつの価格で計算されますか?
土地収用法73条により、明渡裁決の時の価格で算定するのが原則です。事業認定から裁決までに建築費が上がれば、上がった単価が基準になります。
Q3土地収用の補償額はいつ決まる?
土地の補償額は事業認定告示時の価格に物価変動の修正率を掛けて算定し(71条)、移転料などは明渡裁決時の価格で算定します(73条)。
Q4収用で営業補償はもらえますか?
営業の休止などで通常受ける損失は補償の対象になります(88条)。算定の基準時は明渡裁決の時ですが、どの期間の収益を基礎にするかは別の論点です。
Q5収用の補償額に不満なときはどうする?
裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に、損失補償に関する訴えを起こします(133条)。審査請求では補償額への不服を理由にできません。
Q6借家人も収用の補償を受けられる?
土地や建物に権利を持つ借主は関係人として、移転に伴う費用や営業上の損失の補償を受けうるとされています。算定の基準時は明渡裁決の時です。
Q7収用の補償金に税金はかかる?
要件を満たせば、収用等による譲渡所得について最高5,000万円の特別控除があります(租税特別措置法33条の4)。最新の要件は税務署等でご確認ください。
Q8収用委員会の審理で意見は言える?
土地所有者や関係人は審理で意見を述べ、資料を提出できます。移転料の単価が古いなら、裁決前に最新の見積書を出して主張しておくことが重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1土地の値段と建物の補償で、計算する時点が違うって本当ですか?
本当である。土地の補償は事業認定告示時の価格に物価変動の修正率を掛けて算定し(71条)、移転料などその他の損失は明渡裁決時の価格で算定する(73条)。実務のポイント:起業者の補償提示書には、単価の基準年度が目立つ場所に書かれていないことが多い。「この移転料は何年度の単価ですか」と一行質問するだけで、相手は再算定の余地を意識し始める
Q2裁決まで粘ったほうが補償は増えるんですか?
土地分は告示時に固定されるため、粘っても地価上昇は基本的に取り込めない。移転料などは明渡裁決時の価格になるので、物価が上がればその分が反映されうる。実務のポイント:土地分は46条の2の補償金支払請求で裁決前に前倒しで受け取るよう請求でき、移転料は明渡裁決時の単価で後から確定させる。お金の受け取り方を項目ごとに分けて考える発想は、意外と知られていない
Q3補償額にどうしても納得できないとき、どこで争えばいいですか?
裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に、損失補償に関する訴えを起こす(133条)。地権者側が訴える場合の相手方は、収用委員会ではなく起業者である。実務のポイント:怒りに任せて裁決の取消しを求める審査請求をしても、補償額への不服は理由にできない(132条2項)。そちらに時間を使って6か月の期限を過ぎるのが、最も多い失敗パターンである
間違えやすい点 AI による整理
- 「交渉を長引かせれば土地の補償額も上がる」と考える人がいるが、土地は事業認定告示時の価格に物価変動の修正率を掛けて算定する仕組みで(71条)、周辺地価の上昇がそのまま反映されるわけではない。時間の経過が補償額に効いてくるのは73条の側、つまり移転料などの「その他の損失」に限られる
- 「補償額に不満だから、裁決の取消しを求めて審査請求すればいい」という問いの立て方そのものがずれている。補償額への不服は審査請求の理由にできない(132条2項)。争う場は、起業者などを相手方とする損失補償の訴え(133条)である
- 地権者から見れば、明渡裁決の日は追い出される日である。だが法律から見れば、移転料などの単価が確定する日でもある。この日付の意味を知らずに数年前の見積りを受け入れると、その間の物価上昇分を自分から手放すことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる補償 | 73条:移転料・営業補償など、別段の定めのない損失 | 71条:収用する土地の補償 72条:使用する土地の補償 |
| 価格の基準時 | 明渡裁決の時の価格 | 事業認定告示時の価格 × 権利取得裁決時までの物価変動修正率 事業認定告示時の価格 × 権利取得裁決時までの物価変動修正率 |
| 時間経過の影響 | 裁決までに建築費・物価が上がれば補償額に反映されうる | 周辺地価の上昇(開発利益)は反映されない 地代相場の上昇はそのまま反映されない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は土地を徴収当期の市価で、建築改良物を徴収当時の再建価格で補償する。土地と建物で算定方法を分ける点は日本と共通するが、土地の基準時の置き方が異なる
韓国は協議成立時または収用・使用の裁決時の価格を基準とし、事業による地価変動は考慮しない。裁決時基準と開発利益排除を組み合わせる点で日本と発想が近い
ドイツは収用庁が収用申請について決定する時点の土地の状態を基準とする。状態の基準時と価格の基準時を区別して論じる点に特色がある
米国は土地の fair market value とは別に、移転費用(relocation payments)を連邦法で手当てする。土地と移転費用を別枠で扱う構造は日本と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 道路拡幅で自宅の一部が収用対象になった。事業認定の告示から明渡裁決まで4年かかり、その間に木造住宅の工事費単価は大きく上がった。起業者(収用して事業を行う国・自治体・事業者)が提示した移転料が告示当時の単価のままなら、73条を根拠に、明渡裁決時点の単価で算定し直すよう収用委員会に主張できる
- もし明渡裁決の直前に店の売上が急落していたら、営業補償はどの数字で計算されるのか? 補償の基準時は明渡裁決の時だが、どの期間の収益を算定の基礎にするかは別の論点になる。直近の落ち込みだけで不利に計算されないよう、過去数年分の決算書と帳簿をそろえて審理に臨む価値がある
- あなたは自治体の用地担当者だ。地権者との任意交渉が長引き、収用裁決の申請に踏み切った。その間に資材価格が上がり、移転料の見込みは当初予算を大きく超えた。起業者にとって73条は、交渉の長期化がそのまま予算超過になって跳ね返ってくる仕組みでもある
- 明渡裁決の審理まであと2週間。手元にあるのは3年前の補償見積書だけだ。単価の更新を求める意見は、裁決が出る前に出さなければ意味が薄れる。
- 借りている倉庫が収用対象になった。所有者ではないあなたも関係人(土地や建物に権利を持つ借主など)として、移転に伴う費用や営業上の損失の補償を受けうる。その算定の基準時もまた、明渡裁決の時である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 補償の内訳を、土地・権利に関する補償(71条、72条)と、それ以外(移転料、営業補償、引越し費用など)に分ける2. 後者について、算定に使った単価・見積書の作成年度を起業者に書面で確認する3. 古い単価なら、建設物価の変動を示す資料や最新の見積書を用意し、収用委員会の審理で明渡裁決時の価格で算定するよう主張する4. 裁決後も不満が残る場合は、補償額への不服を審査請求で争うのではなく、6か月以内に損失補償の訴えを検討する
訴えられた側:1. 起業者側は、移転料などの見積単価を明渡裁決の時点に合わせて更新しているかを確認する2. 任意交渉が長引くほど移転料が増える構造を予算計画に織り込む3. 地権者が新しい見積書を出してきたら、単価だけでなく工法や数量の妥当性も検証する4. 補償訴訟を起こされたときに備え、算定根拠の資料を裁決時点の版で保存しておく
時効(請求できる期限):補償額に不服がある場合、損失補償に関する訴えは裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内(土地収用法133条2項)。裁決そのものへの審査請求は送達を受けた日の翌日から30日以内(同法130条1項)だが、補償額への不服は審査請求の理由にできない(同法132条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:71条が土地価格を事業認定告示時に固定して開発利益の帰属を防ぐ一方、73条は移転の実費など現実に生じる損失を明渡裁決時の価格で償わせる。両条は基準時を項目ごとに振り分けて、公平と完全補償の要請を調整するものと理解される
改正沿革 AI による整理
- 昭和42年(1967年)改正(要確認) 裁決が権利取得裁決と明渡裁決に分けられ、土地の補償額を事業認定告示時で固定する71条の仕組みが導入された。本条の「明渡裁決の時の価格」という基準もこの体系の中に位置付けられたとされるが、文言変更の有無と回数は原典での確認を要する
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