土地収用法 第9条(起業者の権利義務の承継)
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合併その他の事由に因り事業の承継があつた場合においては、この法律の規定によつて従前の起業者が有していた権利義務は、当該事業を承継した者に移転する。
この条文の基本情報
起業者の権利義務の承継とは何ですか?
定義起業者の権利義務の承継とは、土地収用法第9条に定められた規定で、「合併その他の事由に因り事業の承継があつた場合においては、この法律の規定によつて従前の起業者が有していた権利義務は、当該事業を承継した者に移転する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第9条(起業者の権利義務の承継)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第9条の条文原文は「合併その他の事由に因り事業の承継があつた場合においては、この法律の規定によつて従前の起業者が有していた権利義務は、当該事業を承継した者に移転する。」で始まります。
- 土地収用法第9条は第一章 総則に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第9条の前の条は土地収用法第8条です。
- 土地収用法第9条の次の条は土地収用法第10条です。
- 土地収用法第9条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第9条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第9条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法9条は、合併その他の事由で事業が承継されたとき、従前の起業者が同法上有していた権利義務が承継者に移転すると定める。損失補償義務や事業認定の期限も引き継がれる。
Q · 工事をする会社が合併したら、土地収用の手続や補償はどうなるの?
手続も補償義務も合併後の会社にそのまま移る
土地収用法9条により、合併その他の事由で事業が承継されると、従前の起業者が同法上有していた権利義務は承継者に移転します。事業認定の効果、収用裁決を申請できる地位、損失補償を支払う義務(68条)などが連続して引き継がれます。手続が最初からやり直しになるわけではありません。一方で、事業認定の失効期限(29条)も承継によって延びることはありません。
解説
鉄道会社が合併しても、電力会社が送配電部門を分社化しても、道路公社が民営化されても、あなたの土地を巡る収用手続は振り出しに戻らない。土地収用法9条によって、合併などで事業が引き継がれると、前の起業者(土地を収用して事業を行う側)が持っていた権利義務は、承継した会社や団体へそのまま移るからだ。移るのは、事業認定(国や都道府県が「この事業のためなら収用してよい」と認める決定)の効果、測量のための立入りの権限、収用裁決(収用委員会が下す最終判断)を申請できる地位などである。一方で、あなたへの損失補償を支払う義務も同じように移る。交渉の窓口になる会社名が変わっても、それまでに決まったことは原則として白紙に戻らない。相手の看板が変わったときに確かめるべきなのは、「誰が補償を払う義務を負っているのか」と「前の会社と交わした約束は誰が引き継いだのか」の二点である。
法的な位置づけ
土地収用法9条は、起業者の地位の承継を定める規定であり、合併その他の事由により事業の承継があった場合に、同法の規定に基づき従前の起業者が有していた権利義務が、当該事業を承継した者に当然に移転する旨を規定する。承継の対象には権利だけでなく義務も含まれ、起業者側の組織再編によって収用手続が中断・再開されることを防ぐ機能を持つ。
手順
- 1.承継の事実と新しい窓口を確定する 起業者の合併・分割・事業譲渡に関する公告やプレスリリースを保存し、事業を承継した者の正式名称、所在地、担当窓口を確認する
- 2.旧起業者との協議記録を時系列で整理する 旧起業者との面談日時、提示された補償額、口頭での約束内容をメモ・メール・書面から洗い出し、時系列表にまとめる
- 3.承継者に引継ぎ確認の書面を送る 承継者宛てに、旧起業者との協議経過と提示条件を引き継いだことの確認を求める書面を送付する。記録が残る方法(内容証明郵便など)を用いる
- 4.支払遅延や条件後退があれば専門家に相談する 補償金の支払いが遅れる、提示額が後退するなどの事態があれば、収用委員会の手続(39条以下)での主張も見据えて、損失補償に詳しい弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1起業者とは何ですか?
土地収用法上、土地を収用・使用して公共の利益となる事業を行う者のことです。国、地方公共団体、鉄道会社や電力会社などの事業者が該当します。
Q2起業者が合併したら事業認定は取り直しですか?
原則として取り直しは不要です。土地収用法9条により、事業認定の効果を含む従前の起業者の権利義務は、事業を承継した者に移転します。
Q3起業者が変わったら補償金は誰に請求する?
事業を承継した者に請求します。損失補償義務(68条)も9条により承継者に移るため、消滅した旧会社を探す必要はありません。
Q4事業認定の失効期限は承継で延びますか?
延びません。告示日から1年以内に収用裁決を申請しなければ失効する期限(29条)は、承継があっても進行を続けます。
Q5分社化や事業譲渡でも土地収用法9条は適用される?
条文は「合併その他の事由」としており、合併以外の承継も含みえます。ただしどこまで該当するかは事案ごとの判断が必要です。
Q6前の会社と口頭で約束した補償の上乗せは有効?
法律上の地位は承継されますが、口頭の約束は証明が問題になります。メモやメールを整理し、承継者に書面で確認を求めるのが安全です。
Q7土地所有者が亡くなった場合も土地収用法9条?
いいえ。9条が対象とするのは起業者側の承継です。土地所有者側の相続などは、相続に関する一般のルールで処理されます。
Q8収用の相手方の会社名が変わったら何をすべき?
承継者の正式名称と窓口を確認し、旧起業者との協議経過や提示額を整理したうえで、引継ぎの確認を書面で求めることが有効です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1工事をする会社が合併したら、補償の話は最初からやり直しになりますか?
原則としてやり直しにはならない。土地収用法9条により、従前の起業者の権利義務は承継者へ移るので、手続上の地位も補償義務も連続する。実務のポイント:法律上は連続していても、社内の引継ぎ書類から口頭の約束が抜け落ちることは珍しくない。承継が分かった時点で、それまでの経緯を地権者側から書面で突き付けておくのが、一番安上がりな保険になる
Q2前の会社が出した事業認定って、新しい会社でもそのまま使えるんですか?
9条によって承継者は従前の起業者の地位を引き継ぐので、事業認定を一から取り直す必要は原則としてない。ただし29条の失効期限もそのまま引き継がれる。実務のポイント:どこまでが「事業の承継」にあたるかは事案ごとの判断になる。事業の一部だけを切り出した譲渡などでは、行政庁との事前協議を経ずに進めると、後で手続の適法性を争われる種になりうる
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が合併で消えたなら、その会社との交渉や約束も消える」と思われがちだが、土地収用法上の権利義務は承継者に移る。補償を払う義務も逃げない。消えるのは社名だけである
- 承継のことは知っていても、承継されるのが有利な地位だけではない点が見落とされやすい。事業認定の失効期限(29条)のような不利な時計も、止まらずに承継者へ引き継がれる。新しい起業者が「引き継いだばかりだから」と言っても、法律上の期限は延びない
- 地権者から見れば「相手が替わった、別の会社だ」と映る。しかし法律から見れば手続上の同じ当事者の続きにすぎない。この落差に気付かず、既に争う機会を過ぎた論点を新会社相手に蒸し返そうとすると、時間と費用だけを失う。ただし、合併以外の「その他の事由」がどこまで含まれるかは、事案ごとの判断が必要である
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では起業者に当たる「需用土地人」の合併時の地位は、会社法上の合併による権利義務承受の一般則で処理される。条文単位の対応は要確認
韓国の土地補償法も、事業施行者の権利義務が事業の承継者に移転する旨を定め、日本の9条と構造が近い
中国では収用主体は原則として政府であり、事業者の合併に伴う承継は法人合併の一般則で処理される
ドイツでは合併(Verschmelzung)による包括承継の一般則が公法上の地位にどこまで及ぶかが個別に論じられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実家の畑に新しい送電線の計画がかかっている。説明会に出てきたのは電力会社だったが、二年後に届いた書面には聞いたことのない送配電会社の名前が載っていた。「新しい会社が相手なら、話は最初からやり直しになるのか?」答えは原則としてノーである。手続の地位も補償の義務も、新しい会社に引き継がれている
- あなたは中堅インフラ会社の法務担当者で、他社の事業部門を吸収分割で引き継いだ。承継した事業の中に、事業認定の告示から10か月が過ぎた案件がまだ一件残っている。告示から1年以内に収用裁決を申請しなければ事業認定は効力を失う(29条)。期限の計算は振り出しに戻らないので、残された時間は約2か月しかない
- 前の起業者の担当者と口頭で「移転費用は上乗せする」と約束していた。合併後に新会社の担当者は「そんな記録はない」と言う
- 収用されることが決まった土地の補償金について、起業者が別会社に吸収された後、支払いが遅れている。請求先は承継した会社である。旧会社の清算人を探し回る必要はない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 起業者の合併・分割・事業譲渡の公告やプレスリリースを保存し、承継者の正式名称と窓口を確定させる2. 旧起業者との協議記録、提示された補償額、口頭での約束をメモやメールで時系列に整理する3. 承継者宛てに、協議経過と提示条件を引き継いだことの確認を書面で求める4. 補償金の支払いが遅れたり提示額が後退したりした場合は、収用委員会の手続(39条以下)での主張も見据えて、補償に詳しい弁護士へ相談する
訴えられた側:1. 承継した起業者側は、承継する事業ごとに事業認定の告示日と29条の失効期限を一覧化する2. 旧起業者が地権者と交わした協議記録、補償提示、立入りの経緯をデューデリジェンスで回収する3. 地権者に対して、承継の事実と新しい窓口を速やかに通知する。通知の遅れは信頼の損失に直結する4. 承継の範囲がはっきりしない場合(事業の一部譲渡など)は、所管の行政庁や収用委員会と事前に協議する
時効(請求できる期限):本条そのものに期限はない。ただし承継した事業認定については、告示の日から1年以内に収用裁決を申請しないと効力を失う(29条1項、39条1項)。この期間は承継によって延びない。収用委員会の裁決に不服がある場合、補償額を争う訴訟は裁決書正本の送達を受けた日から6か月以内に起こす必要がある(133条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行土地収用法(昭和26年法律第219号)の制定とともに規定。起業者の事業承継時における権利義務の移転を定めた
- 土地収用法 第8条起業者・土地所有者・関係人の定義
- 土地収用法 第20条事業認定の要件、承継される地位の中核
- 土地収用法 第29条事業認定の失効、承継後も期限は継続
- 土地収用法 第39条収用・使用の裁決申請権
- 土地収用法 第68条起業者の損失補償義務、承継の対象
- 会社法 第750条吸収合併による権利義務の包括承継の一般則
- 会社法 第759条吸収分割による権利義務の承継の一般則
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